ロスジェネ離党?その幼稚さに失笑

ロスジェネ離党?その幼稚さに失笑

離党会見に臨む須藤元気参議院議員
via youtube
 呆れてものが言えないというか、あるいは失笑を禁じ得ないというか……。通常国会最終日の6月17日に開かれた須藤元気参議院議員の離党表明会見で、政治家の未熟さを目のあたりにした。

 須藤氏が離党を決意するきっかけは7月5日投開票の東京都知事選だ。立憲民主党は宇都宮健児氏を支援するが、須藤氏は「消費税5%」を掲げるれいわ新選組の山本太郎氏を応援したい。42歳の須藤氏と45歳の山本氏は同世代で、須藤氏は開口一番に「自分たちはロスジェネ世代で、バブルの恩恵を受けていない。悔しいんですよね、政治の失敗の犠牲になっている」と語っている。
 だから「宇都宮氏ではなく山本氏」なのか。財政政策では宇都宮氏と山本氏には大差なく(山本氏は出馬会見で「宇都宮氏と財政政策が食い違った」と述べたが、宇都宮氏側は否定)、「世代交代したい」「上の世代には引退してもらいたい」という須藤氏の言葉からは単なる「年寄りイジメ」しか読み取れない。だが、須藤氏の本音はそれにとどまらないものだった。

「悔しいですよ。何で上の人の言うことを聞かなきゃいけないんですか。『消費税減税とかそういうこと言うな』とか、何が『言うな』だよ。いいじゃないですか、言ったって」

 涙ながらに須藤氏が語るのは、自分を“抑圧”する党執行部に対する不満だった。須藤氏は昨年の参議院選で立憲民主党の比例候補として出馬して当選した。離党するからといって議席を失うわけではないが、政党の得票数で議席数が決まる比例区は、「党が当選させた」という意味がより大きい。果たして須藤氏はその立場を十分に理解しているのか。

 というのも“タレント枠”とはいえ、抜群の知名度を誇るわけではない。須藤氏が昨年の参議院選で獲得した個人票数は7万3799票にすぎず、自民党の比嘉奈津美氏が11万4596票、国民民主党の石上俊雄氏は19万2586票で落選したことと比べると、立憲民主党から出馬できた“幸運”が際立つ。
 しかも5%だった消費税を8%に上げ、それから10%にすることは、民主党政権時の野田内閣で決まったことだ。この時、枝野幸男代表は経産大臣で、安住淳国対委員長は財務大臣を務め、いずれも政権の中枢として消費税増税を主導する立場にいた。要するに立憲民主党とはその成り立ちから「消費税10%に賛成する政党」なのだ。もし須藤氏がその事実を知らなくて同党から出馬したとするなら、あまりにも無知すぎる。
 さらに「消費税減税とかそういうことを言うな」と言われたからといって、感極まって涙するようなものなのか。

 そもそも政治家の涙というのは有権者にシンパシーを感じさせるものでなければ、単なる茶番にすぎない。たとえば、195回のカラ出張で政務活動費913万円をだましとった野々村竜太郎元兵庫県議の大泣きがそうだ。その動画は国内のみならず世界中で再生されたが、あれを見て度肝を抜かれても、野々村氏に同情を寄せる人は皆無だろう。
 もっとも野々村氏の大泣きのように常識を突き抜けてしまうようなものならば「別の評価」もできるだろうが、須藤氏の涙は全くの中途半端。政治家としてマイナス点にしかならない。

 さて須藤氏が提出した離党届を立憲民主党は受理せず、議員辞職を求めるつもりだ。須藤氏はそれに応じる様子はないが、仮に須藤氏が議員辞職すれば、出馬会見で政策を全く語れず「当選すれば、タレント活動もする」と、議員活動をパートタイムのように見なした市井紗耶香氏が繰り上げ当選することになる。いずれにしろ、つくづく立憲民主党は罪深い政党だ。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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