ボリス・ジョンソン「D10」構想を活用せよ

ボリス・ジョンソン「D10」構想を活用せよ

ボリス・ジョンソン  イギリス首相

英国が唱える「D10」構想に注目

 最近イギリスのボリス・ジョンソン首相が「D10」ということを言い出した。D10とは、民主主義国10カ国の連合で、G7加盟の7カ国に、インド・オーストラリア・韓国を加えたものだ。
 その目的は、5G通信システムをどう築くか、そして中国に頼りすぎているサプライチェーンをどう再構築するかについてこの10カ国で話し合おうというもので、明らかに「脱中国」を目指した動きである。

 現状の情報ではD10構想はあくまでも5Gとサプライチェーンの問題に限定し、軍事的なことは対象外とするものではあるが、5Gとサプライチェーンも安全保障上の要求に基づいているものである。近年明らかになってきたように、5Gにファーウェイを絡ませると中国に情報が抜かれる危険が高いうえ、いざという時に5Gの通信を中国の意志で遮断できる可能性もある。

 また、サプライチェーンで中国依存が高すぎると、輸出を差し止めるとの中国の脅しに抵抗できなくなる。しかも、こうした危険は単なる懸念ではなく、中国がこういうことを平気でやる国であることが、今回のコロナ騒動で明らかになった。

 実際に中国は、10万枚のマスクと引き換えに、5Gからファーウェイ製品を排除させないことを、フランスに約束させている。新型コロナウイルスの発生源について独立した調査を求めたオーストラリアに対して、中国は80%という法外な大麦の関税の導入や一部牛肉の輸入差し止めを行ったほか、オーストラリア政府組織全体を対象とした大規模なサイバー攻撃まで仕掛けている。まさに中華人民共和国という異形の大国の存在が、安全保障上の脅威だという認識が、D10構想の根底にある。

「D10」構想を日本の安全保障に

 この「D10」という構想は日本にとっては歓迎すべき議論であろう。D10構想を一歩進めて、D10の参加国が多くかぶるNATO(北大西洋条約機構)と日米安保を統合させ、軍事面においても中国に対して民主主義国が一体となる安全保障体制を構築する方向性が志向できるのではないか。

 NATOは2010年に新しく発表された「戦略概念」で、北大西洋の地域安全保障の枠組みから一歩抜け出して、日本をパートナー国としてすでに受け入れている。それでも当時はまだ、ロシアを主たる脅威とした枠組みから抜け出せなかった。

 前回発表の戦略概念からすでに10年が経過し、NATOは新たな戦略概念を準備する時期に入ってきた。この中で、新たな脅威として中国が取り上げられることになるのはほぼ確実であり、この文脈の中では日米安保とNATOの統合は自然な流れでもある。

 日米安保でアメリカには日本防衛の義務があると思われているが、文面上は「義務」と言えるほど強固なものではない。これに対してNATOの場合には、1カ国に対する武力攻撃が全加盟国への攻撃と見なして共同で防衛する義務を定めており、NATOへの日米安保の統合は我が国の安全保障にとって非常に利する部分が大きい。

 そして、NATO上の義務を果たすためには、憲法9条の改正が課題となってこざるを得なくなる。

 アメリカの起こす侵略戦争のコマとして自衛隊が使われると信じているような人たちも、中国への共通対処の一環として日米安保とNATOを統合するという提案には、反対しにくいであろう。この流れの中に憲法改正を位置づけていくというデザインの中で、日本の防衛力の強化を考えるというのが、正攻法になるのではないかと思っている。
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朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。

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