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さとう まさる
1960年、東京都生まれ。85年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア連邦日本国大使館勤務等を経て、本省国際情報局分析第一課主任分析官として、対露外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害罪容疑で東京地検特捜部に逮捕され、512日間勾留される。09年、最高裁で上告棄却、有罪が確定し外務省を失職。05年発表の『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。翌06年には『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

政治倫理の問題

 旧統一教会(現世界平和統一家庭連合、以下、旧統一教会)をめぐる問題が猖獗を極めています。
 政府・自民党は旧統一教会との関係について、岸田総理は「断絶する」、茂木敏充幹事長は関係があることが判明したら「離党させる」と言う。河野太郎消費者相は「(宗教団体の)解散命令まで消費者庁が関わったり、解散命令まで踏み込めと文部科学省に働きかけたりすることになるかもしれない」と言及しています。

 そして、9月8日、自民党は旧統一教会や関連団体との関係について点検結果を公表しましたが、今後もどの宗教団体の会合に出席したのか、徹底調査すると言っています。
 どこまで本気なのかわかりませんが、この問題を「政治と宗教」という切り口からとらえると事柄の本質が見えなくなるように思えて致し方ありません。

 キリスト教やイスラム教、そして仏教などの宗教団体との関係を徹底調査する行為は、「信教の自由」の観点から疑問を覚えます。
 近代民主国家の大原則は「内心の自由」「信教の自由」を尊重すること。だから、「私は○○を信じています」と言わなくていいのです。無理やりに告白させようとするのは、旧ソ連や中国、北朝鮮のような全体主義国家が行うことです。

 結論から言えば、旧統一教会問題に関しては、その信仰ではなく、霊感商法や高額献金による破産などの具体的行為を問題とすべきです。
 宗教団体に限りません。企業や労働組合、学校、NPO法人などでも違法行為や、違法ではないとしても社会通念から著しく逸脱した行為をした場合は、それは当然、非難されるべきことであり、その行為に応じて法的、社会的責任を取らせる必要があります。そして、公人である政治家は、違法行為や社会通念から著しく逸脱した行為が頻発している団体との支持・協力関係について常に慎重に対処する。これは政教分離ではなく政治倫理の問題だからです。(続きは本誌にて!)
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