【門田隆将】歴史に残る連邦最高裁の「使命放棄」

明かに「おかしい」と思われる2020年米国大統領選挙。12月8日にテキサス州がペンシルベニア、ミシガン、ジョージア、ウィスコンシンの4州対して起こした訴訟も、連邦最高裁は4州側を支持。一体いま米国に何が起こっているのか―(『WiLL』2020年12月21日発売号 初出)

【門田隆将】歴史に残る連邦最高裁の「使命放棄」

 民主主義はこうして滅びていく──2020年10月以降のアメリカは、そんな壮大な映画を観させてもらっているかのようだった。

 民主党のジョー・バイデン氏には中国による「一家ぐるみの買収」問題があり、すでにさまざまな告発や証拠も出ていた。前号の当欄で書いた息子、ハンター・バイデン氏が2013年12月、副大統領の父と共にエアフォース2で訪中し、その直後に設立された投資会社に巨額の資金が流れ込んだ…等々の件である。日本円で1,000億円を超える巨額資金が振り込まれるなど、とても常識では考えがたい話の数々だった。

 だが米国ではメディアの9割が民主党支持。そのため、これらは時間が経過しても報道されなかった。SNSでも、バイデン一家と中国との癒着情報には規制がかかり、有権者には広がらなかった。さらにトランプ氏がバイデン氏とのテレビ討論でも、これを持ち出した途端、司会者が遮り、具体的な疑惑の中身を提示することはできなかった。上院には9月にハンター氏のウクライナや中国との問題の報告書が公式に提出されている。それでも「報じられない」のだ。

 選挙の不正に関しても、各州で公聴会が開かれたのに、扱いは小さく、関心をもってウォッチしている人間と一般の人には大きな情報格差が生じていた。

 公聴会では宣誓証言が要求される。そのため虚偽である場合は処罰(注=罰金もしくは5年以下の自由刑)の対象だ。もちろん職場や隣近所で波紋を起こす場合もあり、勇気を振り絞っての証言になる。そんな中で、集計機ドミニオンの不可思議な算出や死者による投票の具体例、ニセ投票用紙を運搬した人の直接証言など、衝撃的な話が飛び出した。

 だが何といっても、不正選挙のありさまが監視カメラに捉えられたジョージア州フルトン郡の件が圧巻だった。突然、水道管破裂を理由に監視人たちが選挙スタッフに一斉退去させられ、その後、4人のスタッフが机の下から4つのスーツケースを引っ張り出し、そこに入っていた投票用紙をくりかえしスキャンするサマが映像に捉えられていたのだ。 〝バイデンジャンプ〟と称される統計学上あり得ないバイデン氏の大量得票と時間もぴたり一致。他の激戦州でも、同様に未明に〝バイデンジャンプ〟は起きていた。

 しかし、アメリカ民主主義崩壊の決定打は、なんといっても連邦最高裁が放ったものが最も大きかっただろう。ついに12月8日、数々の不正行為が許せなかったテキサス州が、ペンシルベニア、ミシガン、ジョージア、ウィスコンシンの4州を訴えたのだ。

 4州が「大統領選の手続を不当に変更して選挙を歪めた」ために、正当な選挙を行った自分たちが「正当な選挙結果」を得ることができなかったというのである。「これは憲法の平等保護条項に違反している」として連邦最高裁に訴え出たのだ。この訴えには、全米で18州が同調し、米下院の共和党議員126人が支持表明し、意見書を提出した。連邦最高裁には、州最高裁からの上訴審としての立場と、憲法判断に関するもの、そして州同士の争いを裁くという役割があり、まさに連邦最高裁の「出番がやってきた」わけである。

【門田隆将】歴史に残る連邦最高裁の「使命放棄」

連邦最高裁前のトランプ支持者たち
 10日には、訴えられた4州が答弁書を提出した。ペンシルベニア州は、「法律的にも、事実に関しても、テキサス州の訴えには根拠がない。これは司法手続の煽動的乱用だ」と猛反発した。

 翌11日、連邦最高裁の判断が出た。なんと、4州の側を支持し、「テキサス州には他州の選挙に訴訟を起こす法的利益がない。原告適格性を欠いている」として、これを退けたのだ。

 9人の判事のうち審理を開くことに賛成したのは2人のみで、保守系判事6人のうち4人まで「開く必要なし」とした。9人のうち「最低4人の判事が賛成」すれば審理は開かれるので、たとえ造反者が2人いても大丈夫だっただけに、支持者は仰天し、失望した。

 こうして本来、米国公民が持っている権利は否定され、最高裁は民主主義の崩壊に〝知らぬ顔〟を決め込んだ。これだけの数々の告発にも「結果が出た選挙は、不正があってもそれでよし」としたわけである。

 バイデン勝利で高笑いするのは人権弾圧をくり返し、力による現状変更をおこない、建国100年の2049年までに〝偉大なる中華民族の復興〟を実現し、世界の覇権を奪取すると広言する中国である。トランプ氏に追い詰められていたその中国が「息を吹き返した」のだ。

 やがて世界の自由と人権は〝風前の灯〟になるだろう。私たちは、米国の連邦最高裁による使命と責任の「放棄」を決して忘れまい。
門田 隆将(かどた りゅうしょう)
1958年、高知県生まれ。作家、ジャーナリスト。著書に『なぜ君は絶望と闘えたのか』(新潮文庫)、『死の淵を見た男』(角川文庫)など。『この命、義に捧ぐ』(角川文庫)で第19回山本七平賞を受賞。最新刊は、古森義久氏との共著『米中"文明の衝突" 崖っ淵に立つ日本の決断』(PHP研究所)。