【室谷克実】笑うしかない韓国エリート記者のズッコケ記事 三菱鉛筆への濡れ衣、トンボ鉛筆はパクリ

主要紙が79(!)もあるという新聞大国の韓国。 しかしそのクオリティはと言うと失笑ものの記事が多く……。 韓国新聞メディアのリアルに迫る! (『WiLL』2020年2月号掲載)

主要新聞が79紙も

 韓国の事実上の国営通信社である聯合ニュースの韓国語サイトは平日の午前8時に「全国主要新聞トップニュース(朝刊)」を配信する。その欄に取り上げられる主要新聞は79紙に上る。人口でいえば、日本の4割に過ぎない韓国に、「主要新聞」だけで79紙もあるとは……。そう驚いていたら、聯合ニュースが2019年12月6日に配信した「日刊紙の発行部数、10年で26.6%減少」という記事を読んで、もっと驚いた。

 韓国ABC協会(新聞・雑誌の発行部数を公査する第三者機構)の年次報告(18年分)に基づく記事だ。その中にこうある。
「全国紙29社、地域紙112社、経済紙16社、英字紙3社、スポーツ紙7社、少年紙2社、生活情報紙1社、無料日刊紙2社の172社の2018年1~12月の部数を公査」
「172社が18年に発行した新聞(日刊紙)の部数は938万6,408部」
「全国紙の発行部数は516万8,355部」

 韓国で言う「全国紙」とは「ソウルに発行所がある新聞」といった意味だが、その29社の発行部数をすべて集めても、読売新聞1社の発行部数に及ばない。みんな小さいのだ。以下は朝鮮日報(15年11月29日)が報じた韓国ABCの140年分公査の結果だ。いささか古い数字だが、めったにお目にかかれないデータなので紹介しておく。

 ▼朝鮮日報……167万3,000部
 ▽中央日報……157万1,000部
 ▼東亜日報……91万7,000部
 ▽毎日経済……72万6,000部
 ▼韓国経済……50万5,000部
 ▽農民新聞……29万8,000部
 ▲ハンギョレ……24万5,000部
 ▽スポーツ朝鮮……22万部
 ▲京郷新聞……21万5,000部
 ▼国民日報……20万1,000部
(▼は筆者の分類による保守系紙、▲は左翼紙)

 現状は、これよりも1割以上減っているのだろう。発行部数20万部台といったら、日本では中規模の県紙だ。そんな新聞社がワシントンと東京に特派員を送っている。韓国の新聞記者の年俸は、韓国の大手財閥系並みだ。つまり日本の大手企業の社員より高い。韓国の新聞社経営はとても厳しいだろう。もっとも記者の数は少ない。日本の大手新聞社は首相官邸に10人近くの記者を常駐させている。韓国の大統領府は、日本の首相官邸の何倍もの権限を行使している。それなのに、韓国の大手紙ですら、大統領府担当記者は2人だ。

 韓国各紙の通信社配信記事の採用頻度を見れば、日本の大手紙とは比較にならないほど〝薄い取材陣容〟である実態が浮かび上がってくる。そんな態勢でいながら、反日精神を発露する意欲だけは保守系紙も左翼紙も満々で、反日ドライブを掛ける。だから、ズッコケ記事がやたら多くなる。

ネタもとは朝日ベタ記事

 2015年5月のことだった。

「日本の歴史学者『慰安婦強制連行を認めるべき』」(中央日報、5月26日)
「日本の歴史学者、慰安婦は『強制連行された』」(ハンギョレ、5月26日)
 
 ……などなど、韓国では保守系紙も左翼紙も大はしゃぎした。

 見出しにある「日本の歴史学者」とは、「歴史学研究会」という団体などに所属する人々のことだ。
 それにしても、日本の歴史学者の数が、中央日報では6,900人、ハンギョレでは1万3800人。日本人からすると、なぜ2倍もの差があるのか不思議だが、韓国の記者にとっては「そんなこと、ケンチャナヨ(どうでもいいだろうといった意味)」なのだろう。歴史学科がある日本の大学は50あるかどうかだ。一般教養の教授として大学に在籍する学者もいるだろうが、日本に6900人あるいは1万3800人もの歴史学者がいるのだろうか。

 その日の朝、韓国紙の日本語サイトを見て、私はこの「日本の歴史学者」の動きを知った。「昨晩のニュースにあったかな」「家で取っている新聞には載っていなかったはずだが」……私は、全新聞が揃っている喫茶店に急いだ。が、載っていない。もう一度見ると、朝日新聞にだけベタ記事で載っていた。

 韓国紙に狂喜報道させた中核的行為者である日本の「歴史学研究会」とは、どんな存在なのか。ホームページを見た。

「歴史学研究会は、職業・所属・年齢・専門を問わず、会の綱領・会則に賛同する人が自由に入会し参加できる、誰にでも開かれた全国的な学術団体です」

「開かれた全国的な学術団体」に綱領があるので、綱領も見た。
「第二 われわれは、 歴史学の自由と発展とが、歴史学と人民との、正しいむすびつきのうちのみにあることを主張する」
「第五 われわれは、国の内外を問わず、すべての進歩的な学徒や団体と力を合わせ、祖国と人民との文化を高めようとする」

 ホームページの「科学運動」欄には、「教育現場での『日の丸』『君が代』強制に反対する声明」(2001年5月26日)、「朝鮮学校を『高校無償化』措置から除外する日本政府の動きに対する抗議声明」(2010年5月22日)などとあった。なるほど、日本共産党に限りなく近い〝マルクス主義歴史観の愛好者グループ〟ということだ。

説教ジャーナリズムの正体

 慰安婦騒動の火付け役だった朝日新聞が「強制連行」記事をすでに誤報だったと認めているのに、この愛好者グループは「強制連行だった」と主張し、韓国紙は愛好者グループを「日本の歴史学者」に仕立てて大はしゃぎしたわけだ。中央日報はそれだけで終わらなかった。「安倍首相、自国の歴史学界の慰安婦自省論を聞け」と題する見出しの社説(15年5月27日)で、日本に向かって、こう説教を垂れた。

「日本の4大紙のうち関連ニュースを載せたのはただ1つ進歩的指向の朝日だけだった。制限された情報だけを選んで読ませる選択的報道は、読者らにバランスを保った見解を持たせないようにする。消極的歪曲であり『ジャーナリズムの自殺行為』だ」
「歴史学者の忠誠心にあふれた呼びかけが日本社会にまともに波及するわけがない。日本の政界とマスコミは、不都合であっても慰安婦に絡んだ真実を直視して、きちんと伝えるべきだ」

 朝鮮日報(韓国語サイト)が2019年9月28日、「文大統領の支持率が4割を割り込んだ」と報道した。支持率3割台への落ち込みは政権発足後、初めてだから大ニュースだ。ところが、この数字はなんと中央日報が実施した世論調査によるものだった。中央日報は、この数値=大ニュースを報道しなかったのだ。

 韓国は法令により、選挙に関連する世論調査を実施した場合は、その細目を中央選挙世論調査審議委員会に報告しなくてはならない。同委員会のホームページにアクセスすれば、調査の細目を閲覧できる。朝鮮日報はそれを見て記事にしたわけだが、中央日報は自社調査による大ニュースをなぜボツにしたのか。「政権がこわいよ」なのだとしたら〝日和見の中央日報〟の面目躍如。「真実を直視して、きちんと伝えるべきだ」という説教は、どこに消えてしまったのだろうか。

和田春樹の「良識」

 韓国のマスコミは、保守系紙も左翼メディアも、日本の状況を「極右独裁の安倍一派と、多数の良識的な日本市民との葛藤」といった図式でとらえている。「NOジャパン」だった不買運動の標語が(おそらく政権の意向により)一夜にして「NOアベ」に変わった背景にも、この図式的発想があるのだろう。安倍晋三首相が何度も選挙で勝利しているのを見ても、彼らの脳内から、こうした図式が消去されないのは本当に不思議ことだ。この図式的発想により、とんでもない人物が「良識的な日本市民の代表」でもあるかのように、韓国のメディアでは扱われる。鳩山由紀夫元首相、和田春樹東大名誉教授がその典型だ。

 「日本の歴史学者であり『行動する日本の良心』と呼ばれる和田春樹東京大学名誉教授」とは、中央日報(19年9月25日)の表現だ。かつて「横田めぐみさんが拉致されたと断定するだけの根拠は存在しないことが明らかである」と述べた和田氏を〝行動する日本の良心〟と呼ぶような日本人がいるのだろうか。韓国のマスコミが、日本の本当に小さな動きに目が吸い込まれていくのも、脳内に図式的発想が充満しているからではないかと思う。

 19年9月7日、東京・渋谷で、「日本のマスコミの嫌韓報道」に抗議する集会が開かれたという。聯合ニュース(韓国語サイト19年9月7日)は「韓国と共に生きよう、嫌韓に立ち向かい街に出た日本の市民たち」という見出しで、ハングル約3500字、写真3枚付きの大原稿で報じた。が、記事を読むと「主催者発表によると、参加者は300人」とある。写真を見ると、参加者が掲げるプラカードのほとんどはハングルで書かれている。想像するに、韓国大使館が留学生や在日韓国人を対象にセットした集会なので、国営通信社としては大原稿にせざるを得なかったのかもしれない。そうだとしても、「嫌韓に立ち向かい街に出た日本の市民たち」とは、日本の動向を誤って韓国に伝えるものだ。木を見て森を見ずどころか、葉を見て山脈を見ずではないか。しかし、取材陣容が薄い新聞社にとっては、写真を大きく使えば一ページを埋められる嬉しい配信記事だったはずだ。

 韓国公営放送KBSの時事番組『時事直撃』が19年10月25日、日韓の新聞記者2人ずつを招き、討論させる生番組を放映した日本側は朝日新聞の中野晃論説委員と産経新聞の久保田るり子解説委員。韓国からはハンギョレのキル・ユンヒョン記者と朝鮮日報の鮮于鉦編集副局長。日本側の2人はソウル特派員の経験者、韓国側の2人も東京特派員の経験者だ。韓国のネット書き込みによくある表現を借りれば、「極右の産経・亡ぶべき保守の朝鮮日報」×「進歩志向で良識派の朝日・真実を唯一伝えるハンギョレ」の対決だ。

〝日本の極右〟の生の声を伝える画期的な企画と思ったのだが、放送が終わるや抗議が殺到した。
「久保田が、文在寅大統領と呼ばず、文在寅氏と言ったのは、韓国元首に対する侮辱だ」とは、枝葉末節に嚙みつくことから始める国民性の現れとも思える。抗議の本流は「韓日問題は文在寅氏の歴史観のせいだ」「嫌韓があって、反日が出てくるのではない。韓国の反日があるので」「反日の文在寅政権のその(前政権の決定を全面否定する)ような確信があるかぎり、日韓対話は難しい」といった久保田氏の発言に対するものだった。

 しかし、発言内容に具体的に反論したわけではない。「ああいう発言を、公営放送がストレートに放映するとはケシカラン」というあたりが抗議の本流だった。だから、その後に出た番組スタッフの謝罪の言葉は「国民情緒と感情をきちんと考えることができなかった」「視聴者に不快感を与えたことに対して骨身にしみるように受け止め、繰り返してお詫びを申し上げる」というものになった。〝日本の極右〟の生の声を知らせる意義は、国民情緒と感情の前に「ボツ」なのだ。

 「日本の韓国通」の中には、「1998年の小渕恵三・金大中共同宣言により、日本の大衆文化の韓国流入は自由になった」と思い込んでいる人が少なくない。共同宣言の末尾には、その旨が書かれている。しかし、韓国の地上波テレビは、宣言から20年以上も経った今日でも、日本語の歌を放送しない。政府は日本の大衆文化に門戸を開放している。しかし、テレビ各社が独自に設けた規定により、テレビでは日本語の歌を放送しない。政府も「言論の自由」の手前、テレビ各社の内部規定にまでは介入できない──韓国側の説明は、こんなものだ。
 
 韓国では政権が変わるたびに、公営放送はもとより、民間放送の首脳人事にまで介入してきているではないか。何が「言論の自由」だ。18年の平昌五輪では、民放のSBSがうっかり日章旗掲揚と君が代演奏の場面を放映したことが大問題になった。日本人選手が優勝すれば、メダル授与の時に、日本国旗が掲揚され、日本国歌が流れる。当たり前のことだが、韓国のテレビ各局はこれまで、五輪でもアジア大会でも、日本人選手への金メダル授与の場面になると、CMを流したり、他の競技の中継に切り替えたりしてきた。SBSの事件は、放送に対する取締機関ともいうべき放送通信審議委員会に提訴された。

「放送は民族の尊厳性と誇りを傷つけないようにしなければならない」とする放送審議規定に抵触(ていしょく)しているとの理由だ。放送通信審議委は銀メダルを取った韓国人選手の姿を映す必要があったとして却下処分にしたが、「民族の尊厳性と誇りを傷つけないよう」という規定は恐ろしい。

 〝日本の極右〟の主張をストレートに放送することも、日本の現状を好意的に伝えることも、「民族の尊厳性と誇りを傷つけた」とされてしまう危険性があるのだ。その半面、「(海外で)悪いことをしたときは日本人のふりをしよう」といったコメディアンのテレビでの発言は何の問題にもされなかった。きっと、それは敵対民族の尊厳を傷つけるよう慫慂した賞賛すべき発言なのだろう。可哀そうな三菱鉛筆。

 焦点を日用品に絡む日本関連記事に当てると、ズッコケ記事はやたら増える。記憶に残る記事を紹介する。韓国国会の委員会はしばしば、審議対象とする官庁、軍の基地、企業、あるいは海外にある韓国公館などに乗り込んで責任者に質問を浴びせる。「国政監査」といかめしく呼ぶのだが、海外公館での国政監査とは、海外出張手当付きのお遊びだ。

 10年10月、韓国電力が対象になり、国会の知識経済委員会のメンバーが本社会議室に乗り込んだ。朝鮮日報(韓国語サイト、10年10月7日)が、その模様を伝えている。ある議員が、机の上に置かれた文房具のうち消しゴムを手に取り、怒声を上げた。

「大企業の韓電が日本製消しゴムを使う必要があるのか」
「わが国の中小企業がつくった消しゴムを使わず、日本製消しゴムを議員席に置くとは本当に情けない」

 ところが、午後の審議が始まると、別の議員が「このトンボの消しゴムは韓国製だ。そう書いてある」と。記事は、知識経済委員長が「下手すると消しゴムの国政監査になった」と言って笑わせたところで終わっている。朝鮮日報に載った写真を拡大して見ると、確かに「TOMBOW」とあり、側面に小さくメード・イン・コリアと記してある。

 しかし、日本のトンボ鉛筆は中国に生産拠点を持つが、韓国にはない。となると、韓電が用意したTOMBOWの消しゴムは商標のパクリではないのか。朝鮮日報はそこまでは調べていない。取材部門は人手不足なのだろう。聯合ニュース(韓国語サイト 13年10月6日)が「グローバル文具ブランド『トンボ』、創立百周年記念製品を展示」という記事を配信した。「世界的な総合文具用品ブランドのトンボが創立百周年を迎えて」と始まる記事は「……両面修正テープなどを最初に開発して現在の世界的な文具企業になった」で終わる。

 まるでトンボ鉛筆のホームページでも読んでいるような感じがしてくる。ただ、どこにも「日本企業」とは出ていない。聯合ニュースはよほど大量に記念製品を贈与されたのだろうか。こうして日本のトンボ鉛筆は、韓国では「韓国が誇る世界的な文具企業」になってしまったのだ。このため、19年7月から始まった対日不買運動では、三菱鉛筆がトンボ鉛筆の分まで痛めつけられた。

 三菱重工業が、いわゆる徴用工裁判の被告であるため、三菱グループに対する風当たりは強い。ところが三菱グループは、不買運動が対象とするような日用品を韓国で販売していない。普通の韓国人は、三菱鉛筆が三菱グループとは関係のない独立企業であることなど知らない。それで三菱鉛筆が、叩くべき〝戦犯企業〟の代表格にされてしまったのだ。あの「タマネギ男」こと曺国氏が記者会見の際に手にしていたボールペンが三菱鉛筆の製品だったことも、三菱鉛筆叩きの強度を高めた。韓国にも、三菱鉛筆が三菱グループでないことを知っている経済部記者ぐらいはいるだろう。しかし、そうした事実は文具に関する不買運動記事の末尾にさえ出たことはない。

無知の上に無恥な新聞社

 日本関連ズッコケ記事の中で、最近の〝ヒット作〟は、中央日報の「韓国の長寿ブランド」という不定期連載だ。中央日報が保守系紙の枠組みから外れた日和見新聞であることはすでに述べたが、同紙は悪意ある反日記事を掲載する反日新聞でもある。例えば、東日本大震災の翌日(2011年3月12日)、一面トップに「日本沈没」という震災被害を揶揄するような大見出しを立てた。13年5月20日には「(長崎・広島への)原爆投下は神の懲罰だった」とする論説記事を掲げた。

 16年2月20日には、借金取り立ての日本人暴力団員2人を射殺し、人質を取って旅館に立て籠もった在日韓国人二世の金嬉老元受刑者を、「日本人によるヘイトの被害者」であるかのように紹介する記事を掲載した。系列紙の「韓国・日刊スポーツ」は18年8月、韓国の新聞社としては初めて、旭日旗を「戦犯旗」と呼び、「戦犯旗根絶特別企画」という連載をして、済州島沖での国際観艦式に向けて、旭日旗排撃の世論を煽った。日本人からすれば、前科いっぱいの「反日」新聞社だ。

 そうだと分かっていても、この連載は不可解極まる。なぜなら、日本語サイトに出てくる長寿ブランドが、日本の人気菓子をパクった商品が4回連載のうち3回を占めたからだ。日本語サイトに最初(19年9月29日)に出てきたのは「セウカン」。韓国ウオッチャーなら誰でも知っていることだが、日本のカルビーの「かっぱえびせん」のパクリだ。今回の連載のおかげで、そのCMソングを知った。

「手が出る、手が出る、セウカンに手が出る」

 CMソングの歌詞まで「やめられない、止まらない、かっぱえびせん」のパクリの疑い濃厚であることが分かった。
 2回目(10月5日)は「ワールドコーン」。これは江崎グリコの「ジャイアントコーン」のパクリ商品だ。
 3回目(10月12日)はボールペンの「モナミ」だった。これはパクリとは言えないが、モナミは日本製品不買運動の中で、自社製品に国旗や国花のマークを付けるなど「愛国商法」に長けた企業だ。もっとも、ボールペン先端の超硬ボールが日本製とバレた。

 4回目(10月13日)が「チョコパイ」。これは森永製菓の「エンゼルパイ」のパクリだ。
「セウカン」「ワールドコーン」「チョコパイ」が日本菓子のパクリであることは、韓国食品業界の関係者なら誰でも知っていることだ。韓国ネットの書き込みにも出てくるから、一般の韓国人でも知る人は知っていよう。そんな商品を3つも並べて「韓国の長寿ブランド」と太鼓持ち記事を書く新聞社とは無知なのか、それとも無恥なのか。きっと「無知の上に無恥」なのだろうが、その不定期連載もやっと終わったかと思っていたら、11月3日になって「ヤクルト」が出た(韓国語サイトは10月12日)。

 「尹徳炳会長は女性の雇用を創出するために主婦を対象に『ヤクルトおばさん』制度を導入した」

 日本のヤクルトが、そうした独特の販売方式を指導したからなのに、まるで韓国ヤクルトが考案したかのような筆致だ。どの記事も、日本語で1700字ほどの大作なのに、「日本」という国名が一度も出てこないところがスゴーイ。純朴な韓国人に「わが国の誇らしい商品」と思い込ませる記事だ。「民族の尊厳」を最優先して真実を覆い隠す日本関連ズッコケ記事。その洪水により、韓国人の対日観は日に日にガラパゴス化していくのだ。
室谷 克実 (むろたに かつみ)
1949年、東京都生まれ。慶應大学法学部卒業後、時事通信社に入社。政治部記者、ソウル特派員、宮崎・宇都宮支局長、「時事解説」「時事評論」編集長などを経て定年退社。著書に『悪韓論』『日韓がタブーにする半島の歴史』(新潮新書)、『呆韓論』『ディス・イズ・コリア』(産経新聞出版)、『なぜ日本人は韓国に嫌悪感を覚えるのか』(飛鳥新社)などがある。