【WiLLデスク山根】米国大統領選:産経新聞ですら「トランプ嫌い」なのか(山根真の口が滑って⑭)

米国大統領選を「中立公正」に報道するメディアはないのか――。

【WiLLデスク山根】米国大統領選:産経新聞ですら「トランプ嫌い」なのか

第一幕は終了

 今回の大統領選挙は、コロナ禍における郵便投票の集計に時間がかかったこともあり、日本時間8日まで結果がわからない状態が続きました。結局、スウィング・ステートと呼ばれる激戦州・ペンシルバニアでバイデンが勝利し、「第1幕」が閉じた格好です。

 今回の大統領選については、前々から本誌『WiLL』とYouTubeチャンネル「WiLL増刊号」で、国内外における偏向報道の酷さをしてきしました。ハンター・バイデン氏をめぐる疑惑など、日本の地上波テレビでは全く触れられず、本国アメリカでもFOXなどごく少数のメディアを除いて扱われなかったと聞きます。

 今後、大統領選の「第2幕」が開かれるでしょう。焦点となるのはトランプ陣営が主張する“バイデン陣営による不正”があったのかどうか。ただ、相変わらず日米のメディアはトランプ側の主張・言論を封殺するはずです。

朝日新聞的な記事

 大統領選をめぐる報道は、メディアの腐敗を再認識する機会となりました。最もショッキングだったのは、産経新聞(11月5日付朝刊)。一面にワシントン支局長・黒瀬悦成さん署名の「トランプ氏 勝利宣言は『暴挙』」なる見出しが躍り、「トランプ氏がとった行動は、米国の選挙制度の信頼性を揺るがしなけない『暴挙』として、かつてない逆風と試練にさらされるのは不可避だ」と、トランプ大統領が行った演説を一方的に「暴挙」と断じていたのです。

 トランプ氏の“勝利宣言”の少し前、バイデン氏は支援者に向けて「勝利に向かっている」と宣言しました。現役の大統領として、対抗候補に事実上の勝利宣言をされて黙っていることはできません。つまり、トランプ氏の行動は、いわば正当防衛ともいえるものではないでしょうか。にもかかわらず、当該記事にはバイデン側の“暴挙”には触れず、一方的にトランプ側を糾弾する内容でした。

 問題の記事に関しては、産経新聞ワシントン駐在客員特派員・古森義久さんも「WiLL増刊号#320」で“朝日新聞的”だと苦言を呈していました。例えば、日本が軍備増強を図っても、それが中国の脅威を念頭に置いたものであることは常識的に考えればわかります。しかし、朝日は「日本の軍国主義化」だけを強調する。総合的・俯瞰的に物事を見ることができない、いや、敢えて見ないようにして報じるのはいかがなものか。

 小学生の頃から産経新聞を読んで育ち、「ジャーナリズムの良心」と信じていた産経がこのような記事を掲載するとは、遺憾の意を表明せざるを得ません。どうか、産経だけは朝日や毎日のような論調に傾くことがないよう願っています。

山根 真(ヤマネ マコト)
1990年、鳥取県生まれ。中学時代から『WiLL』を読んで育つ。
慶應義塾大学法学部卒業。ロンドン大学(LSE)大学院修了。銀行勤務を経て、現在『WiLL』編集部。
好きなものは広島カープと年上の優しい女性。