アスリートの敵

 東京五輪がいよいよ開幕。ソフトボールやサッカーなど一部の球技は、開会式前に一足早く試合が行われていましたが、スポーツにあまり興味ない私でも「なんだかんだ見てしまう」のが五輪というもの。4連休は予定もないので、テレビ中継を流しながら読書でもしていることでしょう。

 今回の東京五輪は日本人選手の金メダルラッシュが期待されているようです。聞くところによると、水泳や柔道をはじめ、史上最多の30個の金メダルも夢ではないとか。そうなると、楽しみなのがメディアの手のひら返し。これまで散々、東京五輪中止を唱えてきた彼らですが、日本人選手が活躍すれば当然、世界に感動を与えてくれた云々とはしゃぎだすのは時間の問題です。でも、忘れてはなりません。朝日新聞をはじめとする大手新聞・テレビは五輪開催に反対していた「アスリートの敵」だということを。
山根真:テレビ朝日「報ステ」と共産党はズブズブの関係?

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五輪反対勢のお里が知れる―

「代々木病院」の怪

 とくに注目しているのがテレビ朝日「報道ステーション」。「報ステ」は一貫して東京五輪懐疑派なので、いまさら何を聞かされても不思議ではありません。それでも7月16日の放送には驚愕させられました。

 「『ワクチンに集中させて』病院の訴え――五輪1週間前 首都圏で感染拡大」というテーマでVTRが流れます。

 ナレーション:国立競技場を臨む都内の病院では。
 リポーター:国立競技場から5分ほど歩いた場所にあるこちらの病院では、窓ガラス全面に五輪中止を訴える紙が貼られています(「五輪中止!」という張り紙が映し出される)。
 ナレーション:五輪よりも感染防止やワクチンを優先してほしいとの訴えが。この張り紙をした病院の院長に話を聞きました。
 
 …で、登場したのが代々木病院の河邉博正院長。

 河邉院長:五輪が開催されるとなると、非常に私たちの医療活動に大きな支障をきたすことになりますので、医療現場の声をやはりしっかり届ける必要があるだろうということで、ああいった掲示をさせてもらいました。

代々木といえば…

山根真:テレビ朝日「報ステ」と共産党はズブズブの関係?

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小池晃氏もかつて代々木病院に勤務!
 一連のVTRを見た視聴者は、「医療現場も五輪開催に不満なんだ。やっぱり五輪を強行する政府はケシカラン」と思ってしまいます。ところが、真に受けてはいけません。なぜなら、この「代々木病院」は共産党系の東京勤労者医療会が運営している病院だからです。ちなみに、共産党の小池晃委員長は以前、代々木病院に勤務していたそうです。ちなみにちなみに、同会が保有する「代々木診療所」の住所は、日本共産党本部ビル2階。答え合わせ完了、といったところでしょうか。

 そんな代々木病院の院長をインタビューすれば、「東京五輪反対」を言い出すのは当然。窓全面に張り紙が貼られるのはごく自然なことです。「報ステ」は、「たまたま国立競技場の近くの病院だっただけで、共産党系だとは知らなかった!」とでも言うのでしょうか。

 こんなVTRを流したことも忘れて、日本人のメダルラッシュを嬉々として報じる1週間後の報ステが目に浮かびます。ある意味、それも東京五輪の楽しみ方の一つかもしれません。

 ともあれ、今回の教訓は「『代々木』と聞けば身構えろ!」。代々木ゼミナールや代々木アニメーション学院には気の毒ですが。
山根 真(ヤマネ マコト)
1990年、鳥取県生まれ。中学時代から『WiLL』を読んで育つ。慶應義塾大学卒業。ロンドン大学(LSE)大学院修士課程修了。銀行勤務などを経て、現在『WiLL』本誌およびYouTube『WiLL増刊号』デスク。好きなものは広島カープと年上の優しい女性。

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