【但馬オサム】日本を害する韓国の過剰な「民族心」

米大統領選の影にすっかり隠れてしまったベルリン・ミッテ区の慰安婦像設置問題。しかし、この問題の経緯は韓国がどんな国で、韓国人とはどういう思考を持った人々なのかを知ることができるわかりやすい事案だ。浮き彫りになる韓国人の過剰な「民族心」がいかに日本を害するかについて述べる――。

【但馬オサム】日本を害する韓国の過剰な「民族心」

ベルリン市ミッテ区に設置された慰安婦像
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愛・民族心

 米大統領選の影にすっかり隠れてしまった感があるが、ベルリン・ミッテ区の慰安婦像設置問題についてもわれわれは改めて注視を怠ってはいけないと思う。なぜまたぞろ慰安婦像なのか、なぜベルリンなのか、韓国人の思考をさぐりながら少し分析してみたい。

 その決着のつけ方への賛否はさておき、2015年12月の日韓合意で慰安婦問題は国家間の問題としては完全に解決しているのだ。合意には、国連や国際社会に同問題を持ち出して互いを非難しないとあるから、第三国での新たな像設置はあきらかな合意違反である。しかし、韓国にそんな道理は通じるものではない。「国家間で勝手に決めた約束なんかで民族の恨みを消すことができない」、というのが彼らのもつ驚くべき論理なのだ。民族という概念が常に国家という概念よりも上位にあるのが韓国人なのである。ましてや、合意は朴槿恵政権時に結ばれたもの。政権が代わるたびに前の政権を全否定するお国柄ゆえ、日韓合意も朴槿恵とともに監獄入りしたとみるべきなのだろう。

 韓国人は二言目には愛国心を口にする。スポーツの国際試合などでのスタンドで揺れる太極旗の波と「大韓民国(テーハミンゴック)!」の大合唱を見るにつけ、われわれも韓国人=愛国心という単純な理解をしがちだ。しかし、実際の韓国人と話してわかるのは、彼らが国家というものを根本では信用していないということだ。その証拠に、韓国の若者はいともたやすく国を捨てるではないか。

 一流大学を出ても就職もままならない現在の韓国。若者たちはそんなヘル朝鮮に見切りをつけ海外に出る。留学を経て現地の企業に就職するコースが一般的である。人気はアメリカ、カナダ、オーストラリアだという。そして現地の国籍なり永住権を収得し生活を安定させると次に母国にいる親を呼び寄せる。親も海外で余生を過ごすことを望み、そのために幼少のころからわが子に英会話を学ばせたがる。すべては投資と割り切っている。海外に定住した韓国人にとって、母国に意味があるとすれば、「ご先祖さまのお墓のあるところ」でしかない。

 韓国人にあるのは、愛・国心ではなく愛・民族心ともいうべきものなのだ。ここでいう民族とは血族の集合体といった色合いが強い。当然、国籍よりも民族の血の方にアイデンティティを置く。それを象徴するのが、1996年のロバート・キム事件である。米海軍情報局に勤務していた韓国系米国人ロバート・キムなる人物が、米軍の北朝鮮に関する機密情報を韓国に漏らしていたかどで逮捕された事件だ。なんと彼の母国韓国では、このスパイ男を「帰化しても祖国のために尽くした愛国者」と讃え、服役中に後援会が結成され救命運動まで起こったという。先の大戦で、「大和魂を持った良きアメリカ人」を証明するためにヨーロッパ戦線を戦った日系人部隊とは大きな違いだ。ある在日韓国人の女優(帰化済み)が朝鮮日報のインタビューに、「(保険などの恩恵のために)帰化はしたが、心まで日本に渡していない。血とはそういうもの」と答えていたが、この言葉がすべてを物語っているだろう。

「反日」=民族の証

 韓国人の海外移住者はここ20年で急速に世界に拡大、今もその勢いは止まる気配はない。ニューヨーク市の有名なユダヤ人地区であるクイーンズの一角は既にコリアンが占めている。LAのリトルトーキョーなどハングルの看板が乱立し、さながらリトルソウルの様相を呈しているという。

 それにつけ、NYやLAの公立小中学校では、コリア系児童による日本人および日系児童のイジメが深刻化しているという話も耳にしている。イジメのネタは慰安婦問題である。コリア系のPTAが学校にねじ込み、慰安婦問題を授業で取り上げるよう圧力をかけた結果だ。日本人児童の父兄がたまりかねて担任に相談しても、その担任がコリア系だったりするので埒が明きようもない。在外韓国人の勢力はそこまできているのである。欧州も同様のありさまで、在独韓国人は在独日本人の数を圧倒している。

 彼ら在外韓国人がアイデンティティのよりどころにするのが反日なのである。中国人の反日は多分に政治的だが、韓国人の反日は宗教的だ。民族宗教としての反日教と言った方がわかりすいかもしれない。ちょうど、ユダヤ人がどの国の国籍をもとうとも、ユダヤの律法を守ることでユダヤ人であろうとするのと同じで、在外韓国人は反日教の信徒であることで民族の証を得るのである。国を捨てたという負い目もあってか、いきおい在外韓国人は本国の韓国人以上に反日であろうとする。迷惑な話である。

 さらにいえば、あの慰安婦像は反日教徒たちにとっての偶像、崇拝物なのだ。世界中、華僑のいるところに関帝廟(関羽は華僑の商売繁盛の神様)があるように、このまま放っておくと、韓国人のコミュニティのあるところすべてにあの忌まわしい像が建つことだろう。先日観た動画で、在ベルリン韓国人団体のメンバーが慰安婦像を撤去から守ると称して像の前で、集団で太鼓を叩きながら土俗的な舞を踊っていたが、像が宗教的呪物であることの証左ではないか。韓国人の宗教的母体は巫覡(シャーマニズム)であって、韓国系キリスト教や仏教もその強い影響下にある。それはさておき、果たしてベルリン市民の目にはあの光景がどんなふうに映ったか興味のあるところだ。

「東洋のナチス」という印象操作

 この20年を見ると韓国は、慰安婦問題を日韓2国間の問題ではなく、国際問題にステージアップさせることに奔走し半ば成功させてきたと断言できる。これに関しては、日本は完全に後手に回っていた気がする。そもそもは、金学順という元慰安婦の未払賃金の請求から発した問題が、いつの間にか、「女性の人権」、「戦争犯罪」といった、より人類にとっての普遍的な問題へとすり替えられてしまった。そして、この国際問題化を担ってきたのが、日韓の左翼連携による国連での工作であり、在外韓国人のロビー活動である。慰安婦像もその過程で生み出されたものとも思っていい。

 韓国が次に狙うのは、日本の絶対悪というイメージの定着化だ。具体的にいえば、大日本帝国=ナチスの同一視化である。そのための活動も実に余念がない。旭日旗を「東洋のハーケンクロイツ」と言いつのったり、慰安婦問題をホロコーストとともに論じたりするのはその一環だ。最近では、長崎県端島(軍艦島)を監獄島と呼び、まるでアウシュビッツ収容所を連想させるような映画まで制作し世界市場に放っている。

 その上で、韓国は、1970年、ワルシャワ・ゲットーの英雄記念碑の前で跪いたブラント西ドイツ首相(当時)を引き合いに出し、「ドイツは過去の過ちを認め真摯に反省・謝罪し国際社会に認められたが、日本は反省も謝罪もしていない」などということをさかんに喧伝している。そもそも、戦前の日本政府にも軍にも、ナチスのように特定民族を絶滅させようなどという狂気じみた発想はない。むしろ、朝鮮にやったことといえば、学校を建てて教育を普及させ、衛生概念を徹底させ人口を増やしたことだ。やったことが違うのだから、ドイツと比較して云々言われても反省のしようがないのである。唯一、地球上でホロコーストと並び称せられるべきは、中共政府が現在進行形でチベットやウィグルで行っている民族浄化ではないか。

暗躍する韓国キリスト教

 さらに警戒すべきは、在外韓国人グループのユダヤ人団体への接近である。ユダヤ人団体のシンパシーを得ることによって、慰安婦=アジアのホロコーストというプロパガンダを世界中に広め、日本とナチスの同一視を固定化させようという狙いのようだ。

 2013年6月、ニューヨーク州のナッソー郡のホロコースト記念館で慰安婦関連の常設展示館設置が計画されているというニュースが飛び込み、良識ある日本人を震撼させた。韓米公共政策委員会なる在米韓国人団体による熱心な呼びかけによるものだという。

 ホロコーストに関する博物館はNYの他、ワシントンDCや全米各地、世界各国に存在する。NYの記念館に常設館が設置されれば、それらの博物館にも波及しかねない。幸いなことに、日本の保守系女性グループ「なでしこアクション」がNYの記念館に確認したところ、計画はあくまで計画のまま終わったようだが(毎度のごとく韓国マスコミのトバシ記事だったか)、決して油断はできない。2015年8月には、姜日出(カン・イルチュル)という元慰安婦がナッソーのホロコースト記念館を訪れ、スティーブン・マーコウィッツ館長と面談、慰安婦関係の展示を直訴しているのだ。このとき姜は例によって「ドイツは謝罪したが日本は謝罪していない」論をぶったという。

 2013年、ニューヨークのユダヤ伝統文化博物館では韓ユ友好イベントが開かれている。伝統舞踊の披露や伝統料理の交換会などが主なプログラムだが、これを単なる文化交流のイベントと見るほど筆者はお花畑ではない。調べたところ、このイベントを企画した在米韓国人グループの背後にはオンヌリ教会があることがわかった。同教会はあのドラマ『冬のソナタ』で一世を風靡した女優チェ・ジウが広告塔であることでも知られるキリスト教団体で、自前の衛星放送局を持ち、日本をはじめ世界各国に根を張るメガチャーチだ。

 韓国系キリスト教団体は、極論するならそのすべてはカルト(邪教)と呼ぶのにふさわしく、教義に反日的要素を色濃くもっているのが特徴だ。オンヌリ教会の教祖ハ・ヨンジョ氏(故人)からして、信者向けの小冊子に「日本が大地震(東日本大震災)に見舞われたのは神を知らぬサタンの国だから」と堂々と載せていたほどの反日思想の持ち主であった。そのような教会の擬態するグループが、ユダヤ人団体にどのようなことを吹き込んでいるかは推して知るべしであろう。

 ついでに申せば、在外韓国人コミュニティの中心となるのが、各種韓国系キリスト教団体である。彼らにとって教会は祈りの場であると同時に情報交換と相互扶助の場であり、そして反日工作の前線基地なのだ。まさに反日と宗教は一体なのである。世界各国に根を下ろした韓国人は教会のコミュニティを使い、慰安婦像設置の運動を立ち上げてきた。キリスト教徒という”身分証明書”は欧米人の受けもいい。そうやって、地元住民を巻き込んで慰安婦像設置運動の草の根を広げるのだ。こうして、現在の状況がある。

「反省しない」日本を演出

 一度は決まったベルリン市ミッテ区の慰安婦像の撤去に対し猛烈な反対運動を主導し、とりあえずの保留にまで持ち込んだのは、在独韓国人団体「コリア協議会」とそれを支える韓国キリスト教団体だ。彼らは地元ドイツの女性団体まで巻き込むことに成功している。

【但馬オサム】日本を害する韓国の過剰な「民族心」

慰安婦像撤去の反対運動
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 今後、彼らはあらゆる手段を尽くしてベルリンの慰安婦像を死守しようとするだろう。ドイツの首都ベルリン市、しかも公共の場に慰安婦像が建つことは、世界の他の街に建つこと以上の意味をもつ。ひとつは、ドイツも韓国もともに分断を経験した国家ということで、ベルリンはその象徴であること。文政権の目指す南北融和のアピールにはもってこいだ。もうひとつは言うまでもなく、「過去を反省したドイツと反省しない日本」のプロパガンダ、その先にある慰安婦=ホロコーストの同視化である。

 ドイツ人の多くは、今もナチスというトラウマを背負っている。その負い目を少しでも軽減してくれるなら、韓国のいう「反省したドイツ」を積極的ならずとも演じ、相対的に「反省しない日本」を糾弾する立場に身を置きたくなるのも人情(?)なのかもしれない。韓国人は情の民族であることを自認するが、そういった人間の情の部分につけこむ術に関しては実に巧みだ。そして、今回の慰安婦像撤去決定に徹底抗議し、ドイツ当局に書簡を送ったシュレーダー元首相の夫人は韓国人なのである。

 2017年、W不倫の末にシュレーダーと結ばれたといわれるキム・ソヨン夫人に、「“元”がつけどドイツを代表する要人である夫に、なぜ日本との外交問題につながるような行動を焚きつけるのか」と問いたいものだが、おそらく彼女は平然とこう答えるのだろう。「韓国人とての民族の血よ。血とはそういうもの」と。
但馬 オサム(たじま おさむ)
1962年、東京生まれ。文筆人・出版プロデューサー・国策映画研究会会長。十代のころより、自動販売機用成人雑誌界隈に出入りし、雑文を生業にするようになる。得意分野は、映画、犯罪、フェティシズム、猫と多岐にわたる。著書に『ゴジラと御真影』(オークラ出版)、『韓国呪術と反日』(青林堂)など多数。