【WiLLデスク山根】テレビ・新聞という情弱ビジネス(山根真の口が滑って⑩)

時代の流れをつくっているつもりのテレビ・新聞。実は最もその流れに取り残されているのは彼ら自身では⁉

テレビ・新聞という情弱ビジネス

政治・宗教・野球はNG?

 僕は公共の場でもつい政治や宗教、野球の話をしてしまう空気の読めない人間です。
 
 特にお酒を飲んでいる時は厄介。隣に座っているお客さんが「政府のコロナ対応どうなの?」みたいな話を始めると、つい話に入ってしまうことがあります。完全にヤバイ奴ですね。
 でも、初対面の人と政治や野球の話に花が咲き、仲良くなる――というのが意外に多い。険悪になってどちらからが店を去る――という最悪な事態も稀に招いてしまいますが……。あまりオススメしません。

 さて先日、酒場である男性に質問を投げかけられました。「マスコミはなぜ偏向しているのか」と。あまりにも直球な問いかけに、そこまで真剣には考えたことがなかったと反省。今ふと思い出したので、この場を借りて自分なりの答えを書いてみます。

イデオロギーかビジネスか

 第一に考えられるのが、純粋にイデオロギーの問題。例えば北朝鮮は今でこそトンデモない国として認識されていますが、かつては「地上の楽園」と呼ぶ向きもありました。正気の沙汰とは思えませんが、本気で信じていた記者もいたのでしょう。メディアは帰還事業を応援し、拉致問題を必死で否定していました。社会主義・共産主義イデオロギーを本気で信奉する“確信犯”なのか、その破綻を知っていながら流布する“エージェント”なのかは知りません。ともあれ、イデオロギーありきの報道があることは誰もが認めるところでしょう。

 次に有力なのが、ビジネス左翼。ご存じのように、テレビ局のスポンサー企業からお金をもらっています。視聴率が高ければ、スポンサーがついて儲けられる。視聴率を稼ぐために手っ取り早い方法は何か。みんな大好き、悪口です。
 人の不幸は蜜の味。アベノミクスで景気が良いという話をするより、モリ・カケ・サクラの疑惑を騒ぎ立てる方が視聴者の注目を引くと思っているのでしょう。ワイドショーが芸能人の結婚より離婚・不倫報道に時間を割くのと同じです。朝から晩まで家にいてテレビばかり見ている人にとっては、そのレベルが丁度いいのかもしれません(偏見)。

 さらに、視聴率低下で日本企業から見切りをつけられたテレビ局にとって、中国企業はありがたい新規かつ大型スポンサーです。アメリカから締め出しを食らいそうな「TikTok」も日本のテレビでガンガンCMを流していますが、いくら“スパイアプリ”と指摘されようと批判のトーンは弱め。大事な大事なスポンサー様ですから。むしろ、中国企業の規制を進めるトランプ政権と自民党はケシカラン、となるわけです。

ナルシシズム=ジャーナリズム

 イデオロギーとビジネスに加えて、「権力と闘っている」という自己陶酔も重要と考えられます。彼らはなぜか「反権力こそジャーナリズム」という倒錯した職業倫理をお持ちのようで。

 1993年、椿事件というものがありました。細川政権が誕生した折、テレビ朝日幹部が選挙報道について「反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」という方針があった旨を発言してしまった。結果、テレビ朝日が放送免許を剝奪されかけた事件です。

 第一次安倍政権が発足した当時は、朝日新聞の若宮啓文元主筆が「安倍政権打倒は朝日の社是」「安倍の葬式は朝日で出す」と、三宅久之さんに語ったとされています。

 自民党総裁選をめぐる報道をみても、メディアは石破茂氏を異様に推している。現状では、立憲民主党や国民民主党など野党が政権を奪取することは不可能。そんななか、石破氏による“党内政権交代”を目指しているのではないでしょうか。

 イデオロギー、ビジネス、ナルシシズムと、メディア本来の役割とはかけ離れたファクターによって偏向を続ける新聞・テレビ。情報弱者相手の詐欺ビジネス、せいぜい頑張ってください。

山根 真(ヤマネ マコト)
1990年、鳥取県生まれ。中学時代から『WiLL』を読んで育つ。
慶應義塾大学法学部卒業。ロンドン大学(LSE)大学院修了。銀行勤務を経て、現在『WiLL』編集部。
好きなものは広島カープと年上の優しい女性。