被災地でレイプ多発⁉NHKはフェミニストの手先か【兵頭新児】

世間を騒がせた新井祥子草津町議のリコール騒動。本件は町長との間での性被害の有無が問題になったものであったが、それ以外にも過去には性被害やレイプでその真偽が定かでないものが多く存在している。本記事ではNHKの番組を事例に、「被災地でのレイプ多発」という問題を考える―

被災地でレイプ多発⁉NHKはフェミニストの手先か【兵頭新児】

 群馬県草津町の新井祥子町議が話題になっています。新井氏は2019年11月、町長から性被害に遭ったと告白、しかし町長は事実無根だとして新井氏を名誉棄損で告訴。それが新井氏のリコール騒動につながった、というわけです。

 早速フェミニストが飛びついて、地元を貶めるデモを行っていますが、何といっても新井氏の主張は矛盾が多く、信じにくい点――被害があったとされる町長室の間合いの問題、またその時点では副町長も同席し、部屋のドアも空いていたらしき点など――が多いです。

 レイプが卑劣な犯罪であることは論を待ちませんが、重要なのはこれがほかの犯罪と異なり、極めて「冤(えん)罪を生みやすい構造」を最初から抱えていることなのです。そう、ことにフェミニズムが絡んでくると…。

被災地でレイプ多発⁉NHKはフェミニストの手先か【兵頭新児】

外国特派員協会で記者会見する新井氏
via youtube

阪神淡路大震災でレイプ事件が多発⁉

 2020年3月1日、NHK『明日へつなげよう』において、「証言記録「埋もれた声 25年の真実 ~災害時の性暴力~」」といった特集が組まれました。
 番組サイトを見ると、以下のような具合に紹介されています。

《阪神・淡路大震災の後、被災地で起きた深刻なDVや性暴力被害。しかし、女性たちは声を上げられず真実は水面下に埋もれた(後略)》
 https://www.nhk.or.jp/ashita/bangumi/archives/archives2019.html 

 また、やはりNHKの看板番組『クローズアップ現代+』の番組サイトにおいても、「【性暴力を考えるvol.58】見過ごされてきた災害時の性被害」といった記事が掲載されています。この記事は上の番組の告知で締められており、上の番組との連動企画と考えていいように思われます。

 ――最初に白状しておきますと、私は当番組そのものを観てはおりません。放映後、ネット記事で上智大学教授の水島宏明氏が同番組を紹介しており、それで知ったのではないか、と記憶しています。
 https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200306-00165967/

 もちろん災害時の性被害が見過ごされているのなら、全くもって許せない話です。
 
 ただ、先にも書いたフェミニズムが、本件においてはより「濃厚接触」しており、残念ながら話を怪しいものにしてしまっているのです。

 実のところ、「阪神淡路大震災においてレイプ事件が多発した」との話には、かなり初期の段階で疑問符がついていました。

 ノンフィクション作家、与那原恵氏が『諸君!』1996年8月号において発表した「被災地神戸『レイプ多発』伝説の作られ方」がそれです。これは『物語の海、揺れる島』に収録されており、今回はそこから引用して、本件について再度検証してみることにしましょう。

レイプの「噂」だけが独り歩き

 まず、重要なのは兵庫県警が95年に認知した強姦事件の件数は、前年とほとんど同じだったということです。被災地14署に限れば95年に認知した強姦事件の件数は15件であり、前年の19件よりも減っています。

 むろん、「震災後のごたごたで強姦事件が放置されてしまったのでは」といった推測も成り立ちますが、警察に聞くと「強姦事件の話が多く聞かれたため調べてみたが、結局は噂だけだった」といった答えが返ってきており、他の事件で強姦事件にまで手が回らなかったとも言えなさそうです。

 また、関西でよく知られた女性団体や公的機関においても、レイプに関する相談は軒並みゼロ。「兵庫県立女性センターでは、震災後後半で1万553件の相談を受けた」が、「レイプにかかわる相談は一件あった」だけとのことです。

《これらの電話相談を設けたところで異口同音に言うことは「レイプの噂はいくつも聞いているが、自分のところにはなかった」である》(与那原論文より)

 先のNHK番組『明日へつなげよう』についての水島教授の記事では、「NPO法人「うぃめんずネット・こうべ」代表の正井禮子(まさい・れいこ)さんの活動を軸にして実態を描いていく」とありました。

 この正井氏については『クロ現』のページでも大きく扱われているのですが、彼女の団体でも震災当時、電話相談を開設していたものの、レイプ被害者の相談はゼロであったといいます。

 与那原氏の取材を受けて、正井氏は「4件のレイプの話を聞いていた」と話していました。しかし、そのうち3件が「又聞き」の類であり、最後の一件は、無線を趣味にする正井氏の弟さんが、「○○避難所のボランティアはかわいい女の子がいるよ」というカー無線マニア同士のやりとりを偶然傍受した、というものだったというのです!

 「可愛い女の子の噂をすることは、レイプ未遂に該当する」というのが、どうやら正井氏のお考えであるようです。

 果たして、そんな人物への取材をメインにした番組が、信用に値するのでしょうか…?

被害者意識を振りまわすばかり

 そもそも、正井氏にまともなニュースソースがなかったのであれば、この「レイプ多発」の事例は、どこから出てきたものなのでしょう?

 調べて行くと、具体的なレイプ事件の情報源はH氏(与那原氏の本でもイニシャルなので、本稿もそれに倣います)であるとわかりました。

 彼女は個人でホットライン「女性のこころとからだ」を開設し、未遂含め37件ものレイプ被害の電話相談を受けたと言います。さらに正井氏に依頼を受けてイベントで講演し、それが新聞記事となって「神戸でレイプ多発」との話が全国へと拡散していったのです。

 もちろん、H氏が信頼を置ける人物であれば、何ら問題はありません。

 しかし彼女の話は、極めて不自然なものばかりでした。相談を始めた時期は震災の1カ月後だとされているのが、その頃のH氏は知りあいの家に避難していて、落ち着いたのは4月末か5月頃のはずだったといいます。

 チラシを避難所などに三千枚配ったというのに、避難所の様子に詳しいボランティアセンターの職員に聞くと、そんなものは見ていないとの話でした。

 また、そもそもたった一本の電話で4カ月間に1635件もの相談を受けたというが、あまりに多すぎやしませんか。

 しかし与那原氏の突撃取材を受けたH氏の返答は、それぞれ「(相談を)始めた時期はちょっとはっきりしない」「(チラシは)最初は100枚だった」「相談件数は曖昧かも」などと実にふわっとしたもの。

 与那原氏は彼女の夫にも取材したのですが、震災当日の話すら2人の言うことが全く違うという有様で、正直、とても信頼に足る人物とは思えません。

 が、この記事の発表以降も、正井氏は懲りることなく、被害者のような顔で強弁を続けています。

 この話題は2011年の東日本大震災の折にも蒸し返されていました。
 同年4月7日『東京新聞』夕刊で、正井氏や、近い活動をしている近藤恵子氏に取材をし、記事を作っていたのです。

 私は『東京新聞』と両氏に上の事情を踏まえ、「デマではないか」とのメールを送ったのですが、返事は近藤氏から(それも残念ですが、言葉を左右にするようなもの)しかいただけませんでした。

 正井氏は近年も#KuTooで有名な石川優実氏責任編集のフェミニズム雑誌『エトセトラvol.4』に寄稿し、

《ところがその後、一部マスコミから「被災地で性暴力はなかった。証拠がない。すべて捏造である」といったバッシングを受けることになったのです》

 などと書いていました。

 これは彼女の一貫した主張で、イベントにおいても「レイプ事件は起きたのに、1件もなかったことにされた」などと発言を続けていたようです(※1)。しかしそもそも、「1件たりとレイプ事件は起こっていない」と主張している者はいないわけで、どう考えても嘘をついているのは彼女の方です。

 ウィメンズネット・こうべは2005年、「災害と女性」という冊子を発行しています。正井氏はそこでも与那原氏に言及していますが、

《Hさんも私もひどいショックを受け、これはペンの暴力だと思った。「性暴力を許さない」という声をあげただけで、何故ここまで叩かれなくてはならないのか理解できなかった》

 とただ、被害者意識を振り回すのみで、反論の体をなしているとは言い難いもの。

 彼女らが熱意を込めて情緒的に書き立てる様子を見ていると、彼女らの中では「私が不快であること」と「実際に性犯罪があったこと」とがほぼ同列の現象として捉えられているのではないか……と思えてきます。

過去の恋愛も「セクハラ」に⁉

 さて、実は先の新井町議の件にはまだ疑惑があります。

 ご当人は問題とされる町長に対して、電子書籍ではむしろ(性暴力があったとされるその後も)好意を抱いていると述べているというのです(※2)。つまり新井氏は町長の自分への感情が変わったことを受けて、過去の経験を「性被害」だったのだ、実は嫌だったのだと「再解釈」した――とそのように思われるのです。

 ワレン・ファレル『男性権力の神話』には以下のような一文があります。

 《とても残念なことだが、私たちは全てのレイプ疑惑の少なくとも60%が虚偽であることを発見した》

 正直、私も60%は多すぎでは…と感じたのですが、米空軍においても、中西部と南西部の主な都市の警察のファイルにおける調査でも同じ数字が出ており、メリーランド州のプリンスジョージとバージニア州のフェアファックスにおいても、それぞれ30%と40%の虚偽、または「根拠なし」の事例が記録されていたといいます。

 ファレルは女性たちが公にしたくないセックスで妊娠してしまった時の言い訳として、虚偽の訴えをするのではないか、と想像していますが、そうした理詰めの計算が働いているというよりは、相手に対する感情の変化によって、過去の記憶が「上書き」されてしまったのだと考えた方がいいように思います。

 事実、著名なフェミニスト、牟田和恵氏の『部長、その恋愛はセクハラです!』を読むと、

 《女性の気持ちとしては、本当に「セクハラかどうかわからない」のです》

 《(引用者註・恋愛とは)本人でさえ、「自分の気持ちに確信が持てない」「なんであんな人が好きだったのかわからない」などというのもよくあることです。
(中略)
そうした断りの上ではありますが、恋愛関係だったにもかかわらず関係が悪化して、女性があの関係はセクハラだったと男性を訴えるケースはあると私は考えています》

 などといった言葉が繰り返され、「後づけで性暴力があったことにした」場合でも男は性犯罪者として制裁を受けよ、と主張しているのです。

 ほとんどの女性は健全な精神を備えているはずですが、一部には平然と嘘を吐く者がいる。それはほとんどの男性は健全であっても、一部に性犯罪の累犯者となる者がいるのと、同様に。そしてフェミニズムはそんな女性たちにとって甘い飴となり続けた。

 上の番組が放映された直後、私は先に述べた水島教授とNHKにメールを送りました。しかしやはり残念なことに、返事は帰ってきませんでした。これからもNHKはフェミニズムの手先として、デマの流布を続けていくのでしょう。
※1 ただし、これは個人のブログにおける記録です。
http://plaza.rakuten.co.jp/ykoyo/diary/200611140003/

※2 「令和電子瓦版  2019年12月3日茶番劇? 新井祥子元議員「町長室で気持ちが通じた時には本当に嬉しかった」」https://reiwa-kawaraban.com/society/20191203/
★本記事で取り上げている問題に関して、より詳しい内容を知りたい方は兵頭さんのブログまで↓↓↓

・物語の海、揺れる島(再)――NHKのデマ放送の元ネタが、デタラメ極まる件
https://ch.nicovideo.jp/hyodoshinji/blomaga/ar1878548

・エンタのフェミ様!(再)――NHKのデマ放送の元ネタが、デタラメ極まる件
https://ch.nicovideo.jp/hyodoshinji/blomaga/ar1881013
兵頭 新児(ひょうどう しんじ)
本来はオタク系ライター。
フェミニズム、ジェンダー、非モテ問題について考えるうち、女性ジェンダーが男性にもたらす災いとして「女災」という概念を提唱、2009年に『ぼくたちの女災社会』を上梓。