【WiLLデスク山根】元朝日・植村隆氏を「日本国への名誉毀損」で訴えられないものか(山根真の口が滑って⑮)

元朝日新聞記者の植村隆氏が、櫻井よしこさんと弊社ワックをはじめ3出版社を訴えていた裁判が完全決着。 世界中で日本の評判を落とした一連の慰安婦記事こそ日本への名誉棄損ではないか――。

元朝日・植村隆氏を「日本国への名誉棄損」で訴えられないか

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櫻井よしこvs植村隆、完全決着!

 元朝日新聞記者の植村隆氏が、櫻井よしこさんと弊社ワック含め3出版社を訴えていた件が、ついに終わりを迎えました。1、2審は植村氏の訴えを棄却していましたが、最高裁も植村氏の上告を退けたのです。1審は「櫻井氏が、記事の公正さに疑問を持ち、植村氏があえて事実と異なる記事を執筆したと信じたのには相当な理由がある」として請求を棄却し、2審も1審の判断を支持していました。櫻井さんの完全勝訴、植村氏の完全敗訴であることがわかります。

 植村氏が問題視した櫻井さんの記事の一つが、『WiLL』2014年4月号掲載の論考「朝日は日本の進路を謝らせる」。そこでは、植村氏の署名入り記事「思い出すといまも涙、元朝鮮人従軍慰安婦を韓国の団体聞き取り」(朝日新聞、1991年8月11日付)について「捏造」と断言しています。植村氏の記事中には、「日中戦争や第二次大戦の際『女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、一人がソウル市内に生存していることがわか」ったと記されていました。

 植村氏が取材したとされるのが、金学順さんという女性です。彼女は人身売買によって“慰安婦”になったといわれています。しかし植村氏は女子挺身隊と結び付けて、あたかも日本軍が強制連行したかのように報じたのです。女子挺身隊とは、日本が戦時期に労働力として産業の現場に動員した女性たちのことです。

 ともあれ、植村氏の記事は「捏造」以外の何物でもありません。今回、植村氏が「捏造記者」だということに、司法がお墨付きを与えた格好です。

日本国への名誉毀損ではないか

 慰安婦に関する捏造記事といえば、もう一つ有名なのが吉田証言です。1980年代に、吉田清治氏が「軍の命令により朝鮮で若い女性を慰安婦にするために自身が強制連行した」と述べ、吉田証言を朝日が“従軍慰安婦”の根拠として引用してきました。そのせいで、日韓関係は取り返しがつかないほど拗(こじ)れに拗れてしまったことはご承知の通りです。

 しかし、2014年に朝日自身が記事の訂正をしているように、吉田証言には各方面から疑義が呈されることになります。そんななか、植村氏の記事は朝日にとっては意味のあるものでした。吉田証言は「加害者としての日本軍」を述べたもので、植村氏の記事は「被害者としての朝鮮人女性」を報じたものだったからです。朝日にしてみれば、パズルのピースとピースがハマったような感覚だったことでしょう。

 結局、2014年8月に朝日が一連の慰安婦記事の誤りを認めたことで、日本を貶める慰安婦報道のウソが広く世間に知られることになりましたが、それ以前に櫻井さんが捏造された記事を「捏造記事」と指摘したというだけの話です。

 植村氏は「事実に基づかない中傷で激しいバッシングを受けた」と櫻井さんを訴えていましたが、どの口が言っているのか。植村氏こそ、日本という国を事実に基づかない中傷で激しいバッシングに晒した張本人にほかなりません。

山根 真(ヤマネ マコト)
1990年、鳥取県生まれ。中学時代から『WiLL』を読んで育つ。慶應義塾大学卒業。ロンドン大学(LSE)大学院修士課程修了。銀行勤務などを経て、現在『WiLL』本誌およびYouTube『WiLL増刊号』デスク。好きなものは広島カープと年上の優しい女性。