世界情勢は一変する

 新型コロナウイルス克服後の世界情勢は、これまでと一変する──。

「今回のコロナ感染拡大で、中国のメッキが剝がれたのは大きい。しかも被害は、自分たちにも及ぶのだと欧州諸国も理解した」

 ある外務省幹部がこのように指摘しているように、中国の市場規模と経済力に目がくらんでいた各国は、その危うさを思い知ったはずです。 特にG7で初めて中国の「一帯一路」構想に加わるなど関係が深いイタリアで、2万人以上が亡くなる感染爆発が起こっているのは(4月15日現在)、偶然のひと言で片づけられません。

 イギリスにいたっては、チャールズ皇太子、そしてボリス・ジョンソン首相がウイルス感染しています。スペインやオランダでは、中国製検査キットの不具合や不良品マスクを送りつけられたことで、不満が噴出している。

 世界で死者が一番多く出ているアメリカは「中国は絶対に許さない」と思っているでしょう。3月27日に習近平国家主席と電話会談したトランプ大統領は会談終了後、怒りをあらわに批判してきた中国に対して、ツイッターで敬意を示しました。とはいえ、額面通りに受け取っていいものかどうか。トランプ大統領流の交渉術と見て間違いないと思います。

 その証拠に同月25日のG7外相会合で、ポンペオ米国務長官は中国が嫌がる「武漢ウイルス」を連呼し、中国の隠蔽体質が世界に感染拡大を促したと強調しています。採用はされませんでしたが、共同声明に「武漢ウイルス」と明記することも主張しました。
 
 習近平主席はこれを受けて、翌日の20カ国・地域(G20)首脳会議で、汚名をすすぐ意図もあってか「感染が拡大する国にできるだけの援助を行いたい」と申し出ています。ところが、こういった申し出に対しても、ポンペオ氏は「中国は正義の味方気取りだ」 と手厳しい。すでにフロリダ州とテキサス州ではコロナウイルスの被害に遭ったとして、中国政府に計数10兆ドルの損害賠償を請求した集団訴訟が発生しています。今後もこういったケースが増えていく可能性が高い。
 
 一方で日本を見ると、大変心もとない。サプライチェーン(部品の調達・供給網)を過度に中国に依存してきた経団連から中小企業にとって、決して欧米の状況は対岸の火事ではないはずです。ですが、どうも他人事のように見ている。
 
 安倍総理は1つの国への生産依存度が高い製品については、生産拠点の国内回帰を後押しする考えを表明しています。「1つの国」とは、要するに「中国」のこと。現在のマスク不足にしても、中国に工場を置いている企業が多いため、国内供給が滞っている面もある。
 
 以前から、「チャイナリスク」が指摘されていながらも、中国に一極集中している企業が日本にはたくさん存在しています。サプライチェーンを中国から移転できていない企業も多く、今後はそういった企業が脱中国の足を引っ張ることになりかねません。
 
 サントリーホールディングス新浪剛史社長は、朝日新聞のインタビューで「モノの生産を中国に頼りすぎていたと、強く感じる。国内でも安くつくれるよう、大企業ももっと勉強をして、やる気があり、技術を持つ中小企業を支援する」と答えています(4月7日付)。このような意識を持った企業が、どんどん増えていくことを望みます。

バカのクラスター

 日本国内では、新型コロナ騒動の影で、不必要な政治的主張や悪意が横行しています。日本が危機的な状況にあるからこそ、相手の本性が見えてくる。

 驚いたのは、コロナ禍による休業などで生活が困難になった人々が、4月12日、渋谷でデモを決行。安倍首相、麻生財務相の私邸などを中心に、「国民全員に現金給付を」「金を出せ!」と声を上げ、住宅街を練り歩いたのです。外出自粛要請の最中、さらなる感染拡大を招きかねないこんなデモを敢行するなんて、まさに「左翼老人」の暴走です。ネット上では彼らの行いを見て、「バカのクラスター(感染拡大)」だと(笑)。言い得て妙だと感心しました。

 もっとも悲惨な状況にあるのが、テレビの報道番組。特にワイドショー番組はひどい。

 昭恵総理夫人が、自粛の最中、SNS上で花見に興じている写真を投稿したと、ワイドショーをはじめとして大騒ぎになりました。

 TVキャスターの辛坊治郎氏は、あるテレビ番組に出演した際、「テレビ局として確認しろ!3月下旬っていつだよ。そこに写ってる芸能人に聞けば確定する。こんなことやってたらこの番組、数字伸びないですよ」と怒りのコメントを発していましたが、実に的確な指摘だと思います。安倍政権をたたける材料だと思えば、裏も取らずに利用する。そして後に間違いだったと判明しても決して訂正はしない。

 かようにワイドショーでは何事も針小棒大化して、過剰に煽り、政府の補助金対象の中身についても誤って報じています。それに便乗してネットニュースでも間違った情報が散見される。見るに見かねてか、厚労省は4月12日、公式ツイッターを通じて「ヤフーニュースなど、インターネットニュースサイトで、『補償なき休業要請』との報道があり、外出自粛や出勤者の最低7割減は、休業補償がないと不可能だと報じられていますが、正確ではありません」と投稿しています。

 また、ワイドショー番組では、医療の専門家ではない人を識者として登場させ、訳知り顔にコロナの現状や政府の対応を批判したりしています。まるっきり素人のコメンテーターも好き勝手なことを語る。ネット上では経歴も含めすべてフェイクだと判明しているのに、テレビは視聴者をバカにしているのか、起用を続けている。

 こういった状況を踏まえ、神奈川県医師会は、
「専門家でもないコメンテーターが、まるでエンターテインメントのように同じような主張を繰り返しているテレビ報道があります。視聴者の不安に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心地よく響くものです。不安や苛立ちかが多い時こそ、慎重に考えてください」
 と、公式サイトにメッセージを公開するほどです。

 さらに安倍政権批判を繰り返していた「報道ステーション」(テレ朝)のメインキャスター、富川悠太アナウンサーが緊急事態宣言後も体調不良のまま出社を続け、結果、陽性反応であることが判明しました。富川アナは連日、コロナ感染の状況を報じ、自宅待機を何度も呼びかけていたにもかかわらず、体調不良を押して番組出演を続けた。多くの批判が集まっていますが、致し方ありません。

無駄な行為はやめる時

 ストレスと不安からか安倍政権批判をヒステリックに連呼する人が増える一方で、各界の著名人の間では、冷静なコメントを発信する人たちが増えています。
 
 たとえば、メジャーリーガーのダルビッシュ有氏は「やっぱり首相の立場からでないと見えない景色ってあると思うんですよ。『こうして欲しいな』はあっても『俺だったらこうする』はなんか居酒屋でプロ野球中継の配球に文句言うみたいで嫌なんですよね」(4月5日)とツイートしました。さすがは一流のプロの言葉だと感心しました。
 
 ほかにも音楽家の山下達郎氏は、4月12日、自身がパーソナリティーを務めるTOKYO FM『サンデー・ソングブック』に出演し、そこで、
「私は政治的な言説にあまり深く立ち入らないように努めているのですが、今一番必要なのは政治的利害を乗り超えた団結ではないかと思います。今、政治的対立を一時休戦して、いかにこのウイルスと戦うかを日本中の、世界中のみんなで助け合って考えなければならないときです。何でも反対、何でも批判の政治的プロパガンダはお休みにしませんか? 責任追及や糾弾はこのウイルスが終息してからいくらでもすればいいと思います」
 と訴え、多くの反響を呼んでいます。その通り、今は他者をいたずらに攻撃することではなく、団結こそが求められています。

 同じく音楽家のGACKT氏も9日、テレビ番組に出演した際、
「安マスク(配布)について議論されていますけど、(政府は)他にもいろんなことをいっぱいやっているんですよ。意味があるとか、どれくらい意味のないこととか議論はあると思うんですけど、僕からするとリーダーを選んでいるのは僕ら自身だよって話じゃないですか。リーダーに従って、生きていかなければいけない社会だと思う。こういうことがあって、リーダーを責める。そもそもリーダーを選ぶ意識の低さ、危機感の足らなさじゃないですか」
 と正論を述べています。政府の対応について不満も、「それは違う」と思うこともあるでしょうが、まずはそれぞれがそれぞれの立場でできることをやっていく。みんな暗中模索のような状況なのですから。
 政治的な足の引っ張り合いは無駄な行為だと、わかっている人にはわかっている。
 
 一方で、女優の小柳ルミ子氏は、緊急事態宣言後の安倍総理の会見を受けて、自身のブログで、
「正直言って喋りが下手だなとも思った。一国のリーダーですよ!『この人について行こう』『この人なら信頼出来る』それがリーダーじゃないでしょうか」
 と批判しました。ところが、このコメントに対して「一所懸命やってる人間に対して『喋りが下手』って何様なのか」などと健全な反応も同時に起こっています。

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諸悪の根源

 最新の産経・FNN合同世論調査(4月11日、12日両日実施)では、安倍内閣の支持率が前回調査(3月21、22両日実施)に比べ、2.3ポイント減の39%。これはコロナ有事の対応に関する不安や危機感が反映したものですから、致し方ない面があります。

 一方で、野党第一党の立憲民主党の支持率が、3.7%と過去に例がないほど急落しています。コロナ拡散防止ができるかどうかの重要な局面でありながら、相も変わらず森友学園や「桜を見る会」などを取り上げていました。3年前のモリ・カケを延々と繰り返している野党に対して「バカのクラスター」ならぬ「バカの永劫回帰(えいごうかいき)か」と言いたくなります(笑)。主流派野党の政権批判は感情的で脊髄(せきずい)反射的なためにするものが多いように思います。

 蓮舫議員(立憲民主党)に至っては、批判が目的化したような内容のツイッターを連発しています。たとえば、安倍総理が憲法に緊急事態条項を盛り込むかどうか、活発な議論を望むと発言したことに対して、
「政治が行う、今最大の目的はコロナウイルス感染症の収束に向けたあらゆる手段です。国民の命を守ることです。改憲議論への期待を口にするリーダーに、それは違うとなぜ、自民党から声が出ないのでしょう」(4月8日)
 とツイート。どう読んでも難癖としか思えません。
 
 1月29日、政府のチャーター便で武漢から帰国した第1陣のうち2名が検査を拒否し、帰宅したという衝撃的な事実が発覚しました。

 ところが、そんな直後でも、参院予算委員会で蓮舫氏の質疑は「桜」を見る会の追及に一辺倒。呆れ返るほかありません。野党には対案がないので、条件反射的な批判しかできないのです。

 笑い話ですが、蓮舫氏はツイッターで「感染拡大のための協力は惜しみません」とあげたのです。すでに削除されていますが、「感染拡大(防止)のための協力は惜しみません」と言いたかったのでしょうが、まわりからは「やっぱりそうか、蓮舫の正体見たり」という声が上がった。

 ほかにも蓮舫氏は休校要請のときも「こんなめちゃめちゃなリーダーシップはない。すぐ撤回すべきだ」と散々騒ぎ立てました。ですが、休校要請をしたことは、結果的に大正解だったと思います。小中高生への感染拡大を防止できたこともそうですが、ディズニーランドやUSJなどの大きなテーマパークが同時に休園を決めたことも大きかった。もし開園を続けていたら、そこを拠点にして大規模なクラスターが発生していたに違いありません。小中高校が休校になったことで、暇になった学生らが殺到するかもしれないと、賢明な判断を下すことができたのです。

 民主党党首時代、滅茶苦茶なリーダーシップを発揮していたのは一体誰だったのか──改めて問いたくなります。

 もう一人、小池百合子都知事のスタンドプレーにも目に余るものがあります。政府に確認もせず、勝手に「ロックダウン(都市封鎖)」とまくし立てた。日本の法律では、現状ロックダウンはできません。小池都知事の唐突な発言に官邸は面食らったことでしょう。

 ところが、ワイドショーを始め、メディアはこぞって小池発言を取り上げて、まるでロックダウンが可能かのように報じたのです。この報道によって、不必要な買い占め、買いだめが起こった事実は否めません。

 官邸側も日本国民をいたずらに混乱に陥れることを避け、緊急事態宣言の発令の時期を遅らせた可能性があります。休業対象の業種についても都と政府で折り合いが難航していたことを、まるで政府が悪者のように報道されていますが、そもそも小池都知事が先行しすぎていたのです。小池都知事は「もっとも(知事の)権限は、代表取締役社長かなと思っていたら〝天の声〟が色々聞こえまして、中間管理職になったような感じ」とぼやいていますが、官邸側のほうがぼやきたい気持ちでいっぱいでしょう。

 小池都知事は7月の都知事選の再選を睨(にら)み、コロナ対策を利用して点数稼ぎをしたいのでしょうか。そして、その小池都知事の意図を知ってか知らずか、乗じたマスコミ、特にワイドショーは本当にどうしようもありません。昔から「諸悪の根源」と言われていますが、先の例も含め、その実態が露呈したと言えます。

国民の切実な要望

 先の合同調査で気になる結果が出ています。それは憲法改正による「緊急事態条項」新設に65.8%が賛意を示していることです。現状の憲法では、政府や地方自治体は自粛を「要請」レベルでしか行えません。現状に不満や不安を覚えている人たちは、「だったら憲法を改正し、強制権を持たせるべきだ」と考えるのは当然です。

 ところが、2月の初め、「緊急事態条項」を憲法に盛り込む案を一部の自民党議員や、日本維新の会の議員が提案したところ、枝野幸男氏と玉木雄一郎氏は口を揃えて、「悪ノリだ」と批判しました。自民党のポスト安倍候補の一人である石破茂氏まで同じことを言っています。悪ノリでも何でもありません。国民の切実な要望なのです。今国会では憲法審査会は一度も開かれていません。駒沢大学の西修名誉教授(比較憲法学)は新著『憲法9条を正しく知ろう』で、衆参両院に設置された憲法審査会に費やされた予算がまったく生かされていないと嘆いています。さらに「仕事の機会が与えられない衆参事務局の人件費だけで、これまで16億2000万円かかっている」とも指摘。
 
 日本維新の会の馬場伸幸幹事長が今年1月の衆院予算委員会での次の質問も紹介しています。「全然、議論しない。仕事をしないのに海外視察だけ行っている。1人200万円もの大金を使って。私からいえば慰安旅行ですよ、これ」と。

 視察しても審議はしないのですから、結果は反映させようがありません。マスクの値段が高騰し、中小零細企業では人件費が捻出できないという苦境にある中、国会は何をしているのか。16億2000万円もの大金を平気でドブに捨てている議員のセンセイたちがしていることと言えば、「桜を見る会」に5000万円もかけたのは怪しからんと。

 一言で言えば「偽善」。有権者はこの状況に飽き飽きしています。

 新藤義孝氏(自民党)が言うように、コロナの感染拡大で議員の間に感染者や濃厚接触者が広がれば、あっという間に国会は停止します。

 これまで憲法改正論議に消極姿勢だった北側一雄憲法調査会長は、4月9日、「感染症の拡大がどう展開していくかわからない。(緊急事態に関する)憲法上の規定を議論するのはとても大事だ」と明言。ところが、立憲民主党をはじめとした野党の多くは「不要とは言わないが不急だ」と言葉遊びではぐらかし、憲法審査会開催を拒否しています。野党は国民に対する配慮がないし、危機意識すら欠如していると言わざるを得ません。

「アベノマスク」の意味

 未曾有の状況下なので、安倍政権も試行錯誤を繰り返しています。また、それゆえにミスもあるでしょう。安倍総理だって当然、全知全能の神ではありませんから、細部にまで目が行き届いていないことだって、どうしてもあります。

 それを現時点で責め立てたところで、事態が好転するわけではありません。たとえば、ワイドショーは「ドイツでは、感染拡大対策がうまくいっている。見習うべきではないか」と報じています。でも客観的に見れば、感染者数や死亡数は圧倒的に日本のほうが少ない(4月15日時点)。

 かつて「出羽守(ではのかみ)」という言葉が流行りました。すぐに「海外では」などと言って何かにつけて他者の例を引き合いに出して語る人のことを指します。今は「ドイツでは」「韓国では」「台湾では」……と、他国を持ち出して自国の感染対策を不当に貶める発言をする人たちが一定程度、存在している。

 そんな情報に惑わされてはいけません。終息した後に、結果を見て改めて問題点や反省点を洗い出せばいい。4月15日現在、日本の死亡者数や感染者数が世界に比べて少なく抑えられていることに関しては、評価すべき点ではないでしょうか。
 
 人々は不安にかられると、荒唐無稽でも強いことを言うアジテーター(扇動者)に惹かれ、支持しがちです。また、アジテーター側もそれを分かっていて利用するフシがある。
 
 安倍総理が自宅でくつろぐ姿を、音楽家の星野源氏とのコラボ動画としてツイートしたことに「不謹慎だ」と批判が集まっています。政治家の戦術として問題があると指摘している人もいますが、もっと素直に見るべきではありませんか。「緊急の用事がなければ家にいましょう」と言っているのですから、多少の息抜きも必要です。激務をこなしている安倍総理ですから、休息がなければ過労で倒れることだってあり得ます。
 
 総理自身、潰瘍性大腸炎という難病指定の重大疾患を抱えていることを忘れてはいけません。コロナに感染すれば重篤化するリスクが高い中で、陣頭指揮を執っているという点にも目を向けてもらいたい。万が一、安倍総理が病に倒れたら、政府の機能は完全に停止します。それこそ日本の危機を迎えてしまう。

 当初、「アベノマスク」だと批判が集まった布マスク2枚の全世帯配布についても、医療従事者へ優先的に使い捨てマスクを供給するための案です。実際に医療従事者からの評判はいい。
 
 私の家人は「今マスク2枚配布について文句をつけている人たちは、マスクを持っている人たちだよ。持ってなかったら、きっと感謝する」と言っていました。本当にマスクに困っている人にとっては2枚でも嬉しいはずです。

 その証拠に産経新聞の「産経抄」が「布製マスク1億枚を購入し、全世帯に2枚ずつ配布するという、政府の発表には耳を疑った」(4月3日付)と批判したところ、産経新聞本社に数多くの抗議電話やメールが殺到しました。ほかにも、マスク二枚の配布が安倍政権の経済対策だと同一視して「しょぼすぎる」と反発する人たちもいましたが、そんなわけがありません(笑)。こういうときだからこそ、批判するにしても冷静に、客観的にするべきです。

反社会的新聞?

 朝日新聞はマスク2枚配布について、「感染を防ぐ効果がほとんど期待できない布製マスク」や「『アベノマスク』海外でも報道 マスク配布に『冗談か』」「WHOは、新型コロナ感染拡大期における布マスク使用について『いかなる状況においても勧めない』と助言している」と一方的にあげつらいながら、自社のオンラインショップで布マスク2枚を3300円という高価でしれっと販売していたのです(現在購入できず)。

 実にみっともなく、醜い行為だし、吐き気を覚えるほどです。まさに朝日新聞を象徴するような出来事ではありませんか。
 
 ほかにも小滝ちひろ編集委員はツイッターで「あっという間に世界中を席巻し、戦争でもないのに超大国の大統領が恐れ慄く。新コロナウイルスは、ある意味で痛快な存在かもしれない」と投稿(削除済み)しました。死亡者や苦しんでいる患者、限界を感じながら闘っている医師らをどう考えているのか。
 
 さらに朝日新聞アジア総局(バンコク)駐在の吉岡桂子編集委員が「取材のため」と称して、3月18日に台湾に入国し、検疫のための隔離生活をSNS上にアップ。まるで旅日記のようなひどい内容に批判が殺到、すぐに削除しています。

 もう世間を舐めているとしか言いようがありません。天罰でしょうか、50代の男性論説委員が感染しましたが、彼らはこれも「痛快」と言うのでしょうか。
 
 安倍総理はこうした一連の朝日のやり方を「反社会的だ」と周囲に漏らしましたが、同感です。総理は4月9日の時点で、東京の感染者数の推移を見ながら、「今週、この感染者数の数値で動けば、今後は数字が下降していく可能性が高い。そうなると、世界的に稀有な例となる」と希望を語りもしました。また「ワクチンは2021年明けにでも完成するのではないか」とも述べています。 
 
 今は「非常時」なのです。安倍総理が日本の現状を俯瞰的な視点で分析し、世界の首脳らと話し合い、専門家らの分析も踏まえて決断を下したことに関して、一方的に断罪するのはいかがなものでしょうか。
 新型コロナを通じて日本のウミやアクがさまざまなところで噴出しています。これらを出し切って、コロナ終息後には「新生日本」として生まれ変わり、東京五輪を心地よく迎えたいものです。


阿比留瑠比 (あびる るい) 
1966年生まれ、福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。90年、産経新聞社入社。仙台総局、文化部、社会部を経て、98年から政治部。首相官邸、自由党、防衛庁(現防衛省)、自民党、外務省などを担当し、第一次安倍内閣、鳩山内閣、菅内閣、第二次以降の安倍内閣で首相官邸キャップを務める。『総理の誕生』(文藝春秋)、『安倍晋三の闘い』(ワック)など著書多数。

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