【横田由美子】保守分裂?岐阜県知事選挙がアツい!

【横田由美子】保守分裂?岐阜県知事選挙がアツい!

保守分裂&通産省内対立が実現

 新型コロナウィルス感染症の再拡大や米国大統領選などに埋もれてしまっているが、来年初頭に行われる岐阜県知事選挙(1月7日告示、24日投開票)がおもしろい。

 まずは、経産省出身の江崎禎秀(よしひで)元内閣府大臣官房審議官(平元年、通産)が、「岐阜県に新しい風を吹かせる。コロナの先の未来を示していく」と立候補を表明。
 これに対して、現職の古田肇知事(46年、通産)も、5選目の出馬を表明した。これにより自民の県選出国会議員や県議の間で支持が分かれ、保守分裂とともに、旧通産省内対立が決定的となった。

 県議会の中堅県議のひとりは、困惑した様子で次のように言う。
「負の遺産のおかげで、話がこじれてしまった。中堅以下の県議は江崎氏、中堅以上は古田氏に支持が分かれている。複雑なのは、最長老の猫田孝会長代行(13期連続当選、80歳)を筆頭にした幾人かの長老が、江崎氏を強力に推していることです」

 古田知事は御年73歳。今回当選すれば5選となり、多選批判は免れない以上、次の出馬はないだろう。4年後を見据えた時に、何人かは、古田支持派も江崎氏に寝返ってもおかしくない。

 前出の県議は続ける。
「恐ろしいのは、古田さんは4年後にはいないと思いますが、猫田会長は、4年どころかあと10年はやる気満々だということです。そもそも、古田さんを連れてきたのは猫田さんです。表向きは、梶原拓前知事(故人、旧建設省)の後継指名となっていますが、梶原さんは、02年に民事再生手続きとなったかつての大日本土木株式会社とズブズブの関係にあって、ハコモノ行政を推進し、県の財政を悪化させた。その後、裏金問題が明るみに出ましたが、当時、中堅だった猫田さんらも皆、大日本とは関係が深かったと聞いています。火の粉を避けて、古田さんを担いだんです」

ガチンコ勝負に

 古田知事の16年は、まさに、梶原前知事が残した大借金の返済に苦しむ日々だったという。真面目にコツコツ節約に励む知事のおかげで、県の財政は持ち直したが、それまで甘い汁を吸っていたゼネコン系企業は面白くない。彼らの「切実な陳情」が、県議会長老らを動かしてしまったのだろうと、岐阜県選出の国会議員秘書も言う。どこの県でも似たような状況は起きるが、新人の「江崎県政」なら、県議会のグリップを握るのはむしろ、長老県議たちなのだ。

 もともと、江崎氏と古田氏の関係はよく、江崎氏が08年から2年間、岐阜県に出向していた時には、右腕のような形で働いていた。そこに楔(くさび)を打ち込んだのが、古田氏に追い落とされる形になった、梶原前知事だという。
「(江崎氏が)後継を狙っている」などの噂がいつの間にか広がり、結果として、江崎氏との関係も悪化してしまったと聞く。

 そうした感情の捻れがなければ、今回も「禅譲」という形で落ち着けたのではないかと見る向きは少なくない。

 別の中堅県議は、諦めたようにため息をついた。
「もはやガチンコ勝負は避けられない。県内の業界団体も、農協、医師会などを巻き込み、古田派と江崎派で、争い初めている。長老県議たちは、下手な国会議員よりも余程力を持っています。我々も色んな意味で身の振り方を考えないと」

 ひそかに注目の岐阜県知事選挙。岐阜県に本当の意味で、新風は吹くのか?

 
 ※「横田由美子の忖度なしでごめんあそばせ」は今後不定期の掲載となります。
 (3682)

横田由美子(よこた・ゆみこ) 

埼玉県出身。青山学院大学在学中より、取材活動を始める。官界を中心に、財界、政界など幅広いテーマで記事、コラムを執筆。「官僚村生活白書」など著書多数。IT企業の代表取締役を経て、2015年、合同会社マグノリアを立ち上げる。女性のキャリアアップ支援やテレビ番組、書籍の企画・プロデュースを手がける。

関連する記事

関連するキーワード

投稿者

この記事へのコメント

コメントはまだありません

コメントを書く