とんでもない悪法!

「AV出演被害防止・救済法」通称「AV新法」は、当初は、今年4月から成人年齢が引下られることで18,19歳のAV出演被害がないよう立案されたものだが、最終的には年齢問わず全ての出演者を守る法として施行された。
 一見すると素晴らしい法律に思えるが、これが「とんでもない悪法!」と今世間で騒がれている。
 AV新法に反対しているのが守られるはずのAV女優たちだから驚く。

 彼女たちの主張はこうだ。
――AV女優を「判断能力なき哀れな被害者」と見下している上に、自分たちが好んでしているAVの仕事を奪っている

 実際、AV新法で仕事がなくなり、引退することにした女優もすでに出てきている。
 施行からまだ2カ月で守るべき女優にダメージを与える本末転倒なAV新法には、また別の看過できない問題がある。
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AV新法はとんでもない悪法?

本当に「AV出演被害」はあるのか?

 警察庁によれば、平成29年から令和3年の5年間に検挙された「AV出演被害」は3件のみである。
 ところが、「今の法律では対応できず、緊急性が高い」(自民党 上川陽子国会議員)と被害が甚大であると強調され立法されており、しかも、加害側とされるAV業界への聞き取りは一切されていない。

 複数の被害者支援団体からの報告のみに基づく。しかし、その支援窓口に寄せられる被害の総括は警察が担っているはずだ。
 その警察のここ最近5年間の検挙数が3件なのに対して、国会は甚大と言う。
 この乖離(かいり)に疑問を持つのは私だけではないだろう。

慎重さを欠く拙速な立法

 AV新法には、懲役と罰金1億以下というかなり重い刑罰が課せられている。
 通念では、こうした刑罰ある場合は公示後に社会に意見公募が一定期間行われてから施行されるよう慎重になされるべきと考えられている。
 しかし、今回は意見公募はカットされ公示翌日に施行されたのだ。

危うい議員立法

 私が特に、問題視しているのは、日本の警察の報告ではなく、民間団体の報告だけを信頼したことである。
 AV新法のベースになった被害実態は、一般社団法人や特定NPO法人が訴えたものであるが、これらの公益法人には行政介入が極力ないよう監督指導が入らない。

 一方、警察は言わずもがなだが、信頼性が高い。
 まさかないだろうが、これらの公益法人に我が国にとって歓迎せざる資金が入り込んでいたらどうだろう。
 決して、公益法人を疑っているのではなく、日本の議員立法の不可解な点を挙げた上で、国会の立法姿勢を私は問うているのだ。

 さらに付け加えれば、公益法人のあり方も見直しが必要だ。
 先に挙げた公益法人の中で、寄付金や助成金が年間5千万円を超えている民間団体は一つではない。
行政介入なしとはいかない規模ではないだろうか。これらの団体を隠れ蓑に利用する悪しき者たちが出ないとは言いきれない。
 公益に役するはずが意図せず日本を害するようなことは決してあってはならない。
 AV新法とほぼ同時期に施行された「困難な問題を抱える女性支援法」なども同様の問題を孕(はら)んでいそうだ。

 以上は、私のあくまでも提言ではあるが、日本を愛する国民の一人として、議員立法姿勢を正すべく、AV新法の立法姿勢の見直しを国に求める次第だ。
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国会の立法姿勢は正しかったのか
もり めぐみ
市民ジャーナリスト。早稲田大学文学部卒。家族社会学を中心に取材・執筆活動を展開。現在「実子連れ去り被害」についても取材を行っている。

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