ツイッター社・AI部門のトップは中国人女性

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「五毛党」の存在

 はじめまして。深田さんはITにお詳しいので、今回は「中国のネット工作」についてお話を伺いたい。

深田 こちらこそ。

 トランプ大統領が極左団体「ANTIFA」をテロ組織に指定する前日(5月30日)、ワシントンにあるハドソン研究所の上級職員で、中国問題首席戦略家のロバート・スポルディング将軍が自身のツイッターに「彼らの(反人種差別)暴動は中国、ロシア、その他の反動的な人々によって支持されており、これらは我が国とは関係なく、米国が破壊されるのを望む国と関係がある」と投稿しました。

深田 香港への導入を決めた国家安全法に対して、ファイブアイズ(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)が強硬な対中姿勢を見せたことに対する中国の報復とオバマゲート隠しでしょう。アメリカに対して「お前たち(白人)も人種差別をして、民主的なデモ活動を武力で弾圧しているじゃないか」と、チベット人やウイグル人、香港人に自分たちが行っている悪行を正当化する目的です。
 すでにANTIFAは、2017年ごろにも「反トランプ」を掲げたデモ活動を継続的に行っていました。しかも振っている旗をよく見ると、中国共産党に似ている旗があったり、中には人民解放軍の兵士が描かれている横に「人民解放軍の兵隊さんが助けにきてくれる」といった様子が描かれた旗まであった。

 今回の暴動についてはネット上でも戦いが繰り広げられ、特にSNSではアメリカ人になりすます中国人が増えています。アイコンは白人の写真で、名前もプロフィールも英語なのに、途中で中国語の記述もある(笑)。いわゆる「五毛党」です。
 彼らは中国共産党配下のインターネット世論誘導集団で、報酬を受け取りながら中国共産党に有利な発言をインターネット上に書き込んでいます。

深田 日本国内でも保守を装った「偽装保守五毛党」がネット上にたくさんいます。そういう人たちに限って旭日旗や日章旗、富士山を背景画像にしたり、「愛国保守」と書かれたプロフィールが多い(笑)。

 私も多く見かけます。皮肉なのは、よく「#安倍首相支持」の次に「#習近平支持」と書かれたプロフィールを見かけます。日本の保守で習近平を支持する人はほぼ皆無ですから、ネットの工作員だとすぐにバレてしまう(笑)。
 それから、彼らが決まって言うのが「習近平の国賓招待は日本の国益のため」「安倍総理の考えなんだ」──そうした言葉で日本国民を巧みに誘導する。また不思議なのは、なぜか彼らは驚くほど綺麗な日本語を使うんです。

深田 日本で産まれ育った大陸系や半島系が混ざっていて、ネット上で連携しながら動いているようです。

巧みな分断工作

深田 華僑系や台湾外省系もかなり多い。見分け方としては、天安門事件の話をすると逃げるのが大陸系。

 最近はネット上で見られる中国語の書き込みは、その多くが繁体字(簡略化されていない漢字)です。単語も台湾系中国語です。中国人の私からすれば、台湾系の人だとすぐにわかります。もともと台湾には2世中国人も多いですから、保守台湾人に成りすまして「台湾独立支持」と書く人もいる。

深田 中国人なのに、「台湾独立支持」を標榜している日本語のアカウントも少なくありません。それに釣られて台湾人が喜んで情報を渡しているケースもある。
 それからプロフィールに「嫌中派」「愛国保守」「台湾支持」と書き込んでいるのに、中国ウォッチャーに付きまとって「武漢ウイルスは中国起源じゃない」「デマを流すな」と言っている人もいます。一方で彼らは、人には「デマだ」「妄想だ」と言いながら、自分たちは根拠を一切示しません。典型的な印象操作です。

 香港版の国家安全法についても同様です。日本の保守を語りながら、「日本は(中国の政治に)内政干渉するべきではない」「わざわざ香港デモに日本は巻き込まれるな」などと発言し、あたかも日本人が香港を見捨てた印象の発言がSNSでも散見されます。

深田 最近SNS上で保守論客同士が喧嘩していることが多々ありますが、あれも五毛党による工作です。匿名のユーザーがAさんに「Bさんは中国のスパイです。Aさんとは逆の意見を言って潰そうとしているので、気をつけて!」と言っている一方で、案の定、Bさんにも「実はAさんはスパイで……」と同じことを言って仲違いさせている。誰でも「○○のスパイ」としておけば、日本の保守を分断できますから。

 私も日本で報道されない情報をネットで生配信すると、「そんな情報を持っているのに、ソースを明らかにしないのはなぜか。どうやってこんな情報を入手したのか、やはり孫向文は中国スパイだからだ」といったコメントが絶えません。

深田 気にしても仕方ありません。相手にせず、放っておけばいいんです。

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赤化するツイッター

 先日、トランプ大統領がツイッターで「郵便投票が詐欺でないなんてことはあり得ない。郵便ポストは奪われ、用紙は偽造され、違法に印刷され、不正に署名される」(5月26日)と持論を展開したところ、このツイートにツイッター社が、「事実を確認してください」と、警告文と青いラベルを付けました。

深田 そのラベルをクリックすると、「トランプ大統領の主張は根拠がない」とする米メディアの報道が閲覧できる。トランプ大統領は「ツイッター社が言論の自由を抑え込み、2020年のアメリカ大統領選を妨害している」と怒り心頭です。

 そこで気になるのが、5月11日にツイッター社の独立取締役に任命されたグーグルの元チーフサイエンティストで、スタンフォード大学教授、李飛飛です。彼女は2017年12月、上海で開催された「グーグル開発者大会」で「グーグルAI中国研究センター」を北京に開設したと正式に発表し、「李飛飛氏がグーグル社の中国復帰を導いた」と中国メディアに報じられた人物。 
 その結果、彼女の斡旋(あっせん)によってグーグル社は習近平の母校でもあり、中国共産党と密接な関係にある清華大学と人工知能の研究において提携し、副学長は「中央政府の要求に従い、AI研究を軍事向けの応用につなげ、軍民融合の国家戦略とAIの国家戦略を緊密に統合していくように努力する」とまで明言しています。

深田 ツイッター社は2016年4月にも、中国で市場を開拓するため、中国共産党の解放軍や公安部門での職歴を持つ陳葵を中国市場の総責任者に任命しています。

 そんな中国共産党や人民解放軍と関係の深い彼女が、ツイッター社のAI部門のトップに就任したのは、ツイッター上に流れている武漢ウイルスに関するデマをAIで自動削除するためだとか。

深田 中国に不利な情報やツイートをすべて「デマ」として括り、ツイッター上から消すつもりでしょう。
 そもそも言葉の意味が理解できないAIに投稿された文章の内容が「真」か「偽」か、判断することはできません。つまり、それが可能だとすれば、「武漢ウイルス」「チャイナウイルス」のようなワードが含まれた文章を「キーワードマッチング」によって抽出して処理するか、五毛党に通報させてAIで自動的に凍結判断させるか、最終的に人間の目で確認するかです。グーグルでは、「アルゴリズム・アンフェアネス」と呼ばれるAIが自動的に差別を行う現象に対して、人間がAIを修正すると内部文書に書かれていました。AIで自動と言っても、恣意的に言論統制しています。
 以前には、ネット上で習近平に表情や体型が似ていると言われた「くまのプーさん」や「ジャイアン」が一時的に中国のネットで検索できなくなったこともあったし、「パナマ文書」が出てきたときも、習近平が20兆円ほど隠していたからか、中国のネット上から「パナマ」という地名自体が消えたこともありました。完全にフィルターとしてキーワードマッチングを使用していた。

 中国版ツイッター、「微博」も同じ現象がよく起こります。

深田 グーグル、ツイッター、フェイスブック……どこもAIでデマを統制していると言われますが、いずれも本当は必ず人間が後ろでかかわっています。特に自分たちに都合の悪い情報だけを削除しているのであれば、それこそ人為的にやらなければ不可能です。

やまぬ技術流出

 先日、アメリカ商務省が自国の安全保障上における脅威となる企業リストにファーウェイと関連会社である114社を登録し、今年9月からの禁輸措置の強化を発表しました。これまではアメリカ製品を直接輸出したり、他国経由で輸出したりする場合が規制対象でしたが、今回からアメリカ企業の生産技術や生産機器を用いて海外で生産された半導体なども新たに禁輸対象に追加されます。

深田 アメリカの制裁を逃れるために、技術者を移転しながら他国から軍事技術を盗み続けてきた。モノが動くと足が付きますから。ここ最近はアメリカの制裁が強化されたから、このような動きをより一層加速させるはずです。 
 事実、ここ1年ほどで日本の半導体企業は4社ほど、中国と深い関わりを持つ台湾企業に次々に買収されています。その技術が制裁逃れとして、そのまま台湾から中国へわたる可能性がかなり高いと考えた方がいい。そうなると、いくらアメリカが中国に制裁を科しても、日本が抜け道になってしまう。これではアメリカの信用も失いかねません。

 半導体をつくる際に電子系の設計作業を自動化、支援するEDAの技術を持つ大企業が世界に4社ありますが、そのうち3社はアメリカで、1社は日本。もし日本が抜け道なら、この技術もいずれは中国にわたることになる。

深田 2019年末には大量破壊兵器や兵器関連技術の拡散防止を目的とした「ワッセナーアレンジメント」が改訂され、その対象に半導体製造装置や技術も加えられ、半導体技術は日本から中国へは売れなくなったはずです。ところが、まだ売れ行きが落ちておらず、出荷が続いている。運用側が追い付いていないのか、実情は分かりません。

 中国における最大の抜け道は、台湾の大手企業である「TSMC」(台積電)です。世界各国から半導体部品を受け取り、組み立てた後にファーウェイに流している。ですが、このTSMCもアメリカの生産技術を利用しているので、今度の追加制裁の対象になります。トランプ大統領は大統領選に向けて、9月から本気で「ファーウェイ潰し」に動き出す気では?

深田 ファーウェイを潰すためには、必ずTSMCを制御することが必要になってきます。
 その他にも、ファーウェイの基地局に配備されているサーバー製品には「インテル」と「ザイリンクス」が製造する特殊なチップが使用されていますが、いまだにザイリンクスはファーウェイに製品を供給している可能性がある。アメリカは関係者を呼び出して聞き取り調査を行っていますが、ザイリンクスもファーウェイが大口顧客です。表向きには売っていないと言っても、製造過程で不良品と分類した良品チップを横流ししている可能性は大いにあります。事実、ザイリンクスはチップの不良品は全部回収できていないどころか、そこまで追っていないと。

 なんと無責任な……。

深田 この前、富士通の関係者に話を聞いたら、台湾の企業に半導体チップを焼いてもらったら、納品されたのは3割で、7割が不良品として納品されなかったとか。

 そんなことありますかね(笑)。本当だとしても、企業として問題がありますよ。またファーウェイは他国の企業との合弁会社も含めて多くの子会社を設立し、自社と関係ないように見せながら、事実上の支配下においている。中には架空の会社もあります。

深田 なので、これまでファーウェイを取り締まる際は、国防権限法で名前を明記して上で、何十社とある関連企業を「エンティティリスト」にしていましたが、今では社名を公表してしまうと、それを逆手にとって違う名前の子会社をすぐにつくってしまう。そのようにして、これまで数々の制裁を逃れてきたわけなので、今回の禁輸強化はファーウェイやTSMCにとってそれなりに影響があるはずです。

IT後進国「日本」

 ITと言えば、最近は台湾のIT大臣に注目が集まっています。2016年、35歳の若さにして台湾デジタル担当政務委員に任命された唐鳳氏は、かつてアップル社に勤めていた若きIT技術者で、最終学歴は中学中退にして、IQ180の天才として台湾では知られています。
 彼を一躍有名にさせたのは、武漢ウイルスの蔓延に伴うマスク政策です。彼は自身のIT知識を駆使しながら、台湾中の薬局にあるマスクの在庫状況をリアルタイムで確認できる「マスク在庫マップ」を公開。買い占めが起きないよう、購入時に健康保険証を利用した「マスク講入の実名制」を導入し、購入ルールをいち早く提示しました。一方の日本は、IT担当のトップであるはずの竹本直一IT担当大臣がUSBメモリすら知らない始末。

深田 情けなさすぎて、言葉が出ません……。

 厚生労働省が武漢ウイルスに関する国民調査を韓国製のメッセージアプリ「LINE」で実施したり、小池百合子都知事が中国製のアプリ「TikTok」でメッセージを発信、そして、若者をはじめとする多くの日本国民が「LINE」「TikTok」をはじめ、「PayPay」「Alipay」「LINEPay」など、中国製電子決済アプリを利用しています。日本人は中国や韓国のスパイウェアに対する警戒心や危機感がなさ過ぎます。

深田 すべてはIT大臣に起因していると考えていいかと。確かに、現在の竹本IT大臣はITに疎いです。そうなると、もともとLINEを省庁利用に導入した前任の平井卓也氏に頼らざるを得なくなる。いくら自民党内で知識や評判、業界人とのコネもあるとはいえ、彼は日本のIT業界の赤化を推進していた中心人物です。
 案の定、「LINE」「PayPay」「Alipay」「LINEPay」……いずれもファーウェイの仲間であるソフトバンクの所有です。なぜ省庁がLINEを使い始めたのか、なぜアメリカやカナダでセキュリティの脆弱性や中国への情報漏洩が指摘されているにもかかわらず、日本の企業が多く活用しているビデオ通話アプリ「Zoom」を禁止しないのか。特にテレビは中国に忖度しているのか、禁止を推奨するどころか言及すらしません。

 国民の個人情報が危険に晒されるかもしれないのに……。

深田 日本は知識と技術があっても全体像が見えていません。つまり世界規模での国家戦略を考えていないんです。それに引き換え、中国は世界を高速道路で結ぶグローバルハイウェイ構想やグローバルスーパーグリッド構想(世界各国を送電線で結ぶ計画)でアジアのインフラ覇権を国家戦略として進め、狙っている。参加企業は自動的に儲かるので、自国の政治家に「中国の言いなりになれ」と迫ります。

 加えてスーパーシティ構想では、キャッシュレスも推し進めることでしょう。

深田 中国製の電子決済アプリを使用する国民の中、「私は一般人だから、別に何を使っても平気でしょ」という空気があるのも問題です。表向きは「日本の地方にお金を落とす」ことでも、その電子決済のプラットフォームは前述の通りソフトバンクがすべて抑えている。そこへデジタル人民元が登場すれば、もちろん中国人は日本でデジタル人民元を使うでしょうから、やがては地方に住む人々はデジタル人民元を使って生活し始める可能性も否定できません。

 通貨だけでなく、いつでも中国はいかなる場所からも日本を徐々に侵略しています

ポスト5G覇権を摑め

深田 「どの方向へIT技術を国家戦略として進めていくのか」「いかに敵のインフラに乗ることが危険なのか」──そこまで考えなければ、このIT戦争は勝ち抜けないことを、いい加減に日本国民は自覚する必要があります。

 それを政府や専門家が国民に周知することも大切です。にもかかわらず、彼らはファーウェイ製品も「Zoom」も、単に「技術的な素晴らしさ」という観点だけで紹介する。

深田 政治家、官僚、役人、専門家、メディア……日本は「国家観」を失った人たちに牛耳られ、毒され続けているんです。

 中国の危険性は数え出すとキリがありません。そういう意味でも、今年9月に予定されているG7に期待しています。トランプ大統領や安倍総理が上手く連携しながら、さらなる対中包囲網を強化してほしいものです。

深田 それから、日本は6Gで世界をリードできる可能性も残されています。昨年の10月に行われた「第32回未来投資会議」で安倍総理はポスト5G(6G)による半導体、通信システムについて「国家プロジェクトを検討していく必要がある」と明言しているし、それに関してNTTとソニー、そしてアメリカのインテルが連携すると発表しています。

 すでに日本とアメリカは、6Gによる情報通信からの中国排除に向かって動いている。

深田 これを成功させ、アメリカの信頼を失わないためにも、今すぐ日本は技術移転や企業売却を禁止する必要があります。中国に勝つなら、ビジネスで勝たなければ。中国が進めている国家ビジネスを上回る6Gのビジネスモデルをアメリカと考える。国や経済産業省がそのロードマップを上手く描ければ、中国の野望を打ち砕くことができるはずです。
孫 向文(そん こうぶん)
1983年、中華人民共和国浙江省杭州市出身。2013年の来日以来、雑誌やインターネットを中心に漫画やコラムを執筆。主な著書に『中国のヤバい正体』、『中国人の僕は日本のアニメに救われた!』、『国籍を捨てた男が語る中国のヤバすぎる話』など。

深田 萌絵(ふかだ もえ)
早稲田大学政治経済学部卒。学生時代にファンドで財務分析のインターン、リサーチハウスの株式アナリスト、外資投資銀行勤務の後にリーマンショックで倒産危機に見舞われた企業の民事再生業務に携わった。現在はコンピュータ製造開発業に従事。著書に『日本のIT産業が中国に盗まれている』『「5G革命」の真実 5G通信と米中デジタル冷戦のすべて』など。また、Youtubeチャンネル「WiLL増刊号」に出演中。

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