≪泥試合≫という第2ラウンド
トランプは3日夜遅くに開いた記者会見で、「率直に言って、私たちは選挙に勝った」と発言。ツイッターにも、「投票が終了した後も投票が行われていた」、民主党は「すべての票を数えることで選挙を盗もうとしている」と、など投稿した。
これに対してバイデンは、政権移行のためのホームページを立ち上げ、勝利を既成事実化するとともに、選挙結果を「守る」ための活動に向けて寄付を募る「バイデン・ファイト・ファンド」を設立した。
投票前から、選挙の正当性を巡って泥試合が起きる危険性は指摘されていた。最大の不安要因は郵便投票だった。有権者確認に甘さがあり、二重投票など組織的な不正が行われる危険性をトランプ自身が事前に指摘していた。
他にも、激戦州の不可解な開票作業停止や、その後のバイデン票のジャンプアップ、一部選挙区での異常な投票数など、一概に言い掛かりとは言い切れない不自然な事案が相次いだ。
トランプは投票日を過ぎて到着する郵便票は無効だとして開票作業の中止を求めるとともに、ミシガンやウィスコンシンなどの票差の極めて少ない敗北州票の数え直しを求めた。
これにより、勝者が確定するのは
・これらのトランプの申し出の是非と事務作業が終わり
・さらに残る激戦州のうちの最大票田ペンシルバニアの票確定まで
先送りされることとなった。
「負け犬トランプ」という刷り込み:再び大外ししたメディア
それは、バイデン圧勝を確定的に伝えた大手メディアや調査会社の予想値よりも、トランプが大健闘したからに他ならない。
前回2016年の大統領選挙では、ほとんど全てのメディアと調査会社が、ヒラリー・クリントンの圧勝、すなわちトランプの大敗北を確定的に予想した。
この屈辱的な結果を受け、各調査の責任者は「予想の仕方に改善を加えたから、今回は『大外し』はない」と見栄を切った。その上で、多くの新聞・テレビが「今度も民主党のバイデンが勝つ」と予想したのである。
例えば、トランプ批判の急先鋒であるニューヨーク・タイムズは投票日直前、
・州別の調査結果に4年前と同じ程度の誤差があったとしても、
・伝統的な共和党支持州であるテキサス州ですらバイデンが取り、
・選挙人400人以上を獲得して圧勝する可能性が高い
というコラムを載せた。
「前回の『大外し』があるから確定的なことは言えない」という論法ではなく、「前回の反省を踏まえても、バイデンが圧勝する」と書いたのである。
現段階ではっきりしているのは、こうした「バイデンが圧勝する」と書いたメディアは、また選挙予想を「大外し」したということである。
調査会社は、選挙予想が本業だから、2回連続の大外しは避けたいという視点で調査を実施し予想を立てた。だから、選挙戦の最終盤でトランプが猛追しているという書き方が調査各会社の主流だった。
ところが、ニューヨークタイムズを始めとする反トランプの姿勢を鮮明にしている新聞は、トランプ勝利の可能性はおろか、接戦というニュアンスもほとんど出すことはなかった。これでは「バイデンを勝たせるために予想と記事を書いた」と見られてもやむを得まい。
これを裏付けるのが開票日後の報道だ。大手メディアは、選挙不正を主張するトランプへの批判一色に染め上げられた。そして、その「報道」を支えたのは、トランプの身内の共和党関係者だった。
例えば、トランプの選挙戦の事前準備を手伝った、トランプの強力なサポーターだったはずのクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事は、トランプが選挙に勝利したと述べたことについて、ABCテレビに対して、「そう主張する根拠は全くない」「自らの信頼性を自分自身で損なっている」と批判した。
CNNテレビは共和党のリック・サントラム元上院議員(ペンシルベニア州選出)にインタビューし、「(選挙不正を訴えているトランプのやり方は)間違っている」「非常に心を痛めている」と批判させた。
こういう逆風の時、こういう者は必ず出てくる。そして、それが身内であればある程、本人にとってはダメージが大きい。
トランプの闘いは続く
ところが、今回は共和党の実働部隊を束ねる大組織が、選挙不正を徹底的に追及する姿勢を鮮明にしていることは、あまり知られていない。
共和党最大の支持母体であるACU(American Conservative Union=アメリカ保守連合)のマット・シュラップ議長が、11月4日、アメリカ時間夜、今回の全米規模の選挙不正を徹底的に追及していく姿勢を鮮明にしたのだ。
その強烈な声明文は、「戦いは今日始まった」という言葉から始まる。
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The real fight begins TODAY. Let’s gear up. We’ve got work to do.
真の戦いは「今日」始まった。気合いを入れ、やるべきことをやろう。
If we don’t fight, we will lose. It’s that simple. We must hold election officials’ feet to the fire, and we must do it NOW.
私たちが戦わなければ、私たちは敗北する。 とてもシンプルなことだ。私たちは選挙管理人たちに、圧力をかけ、従わせねばならない。私たちはそれを「今」行わねばならない。
We must #StopTheSteal.
Early Tuesday night, President Trump was outperforming predictions
nationwide. In an unprecedented move, election officials in crucial
battleground states like Georgia, Nevada, and Pennsylvania
inappropriately stopped counting votes late Tuesday night. The count
was also stopped in cities including Atlanta, Philadelphia, Detroit,
and Milwaukee.
選挙の乗っ取りを止めねばならない。
火曜日の早朝、トランプ大統領は全国的な予測を上回っていた。
前例のない動き方で、ジョージア州、ネバダ州、ペンシルベニア州など激戦州の選挙当局は、火曜日の夜遅くに開票を不適切に停めた。アトランタ、フィラデルフィア、デトロイト、ミルウォーキーなどの都市でもカウントが停止された。
Pollsters, pundits, media outlets, and Big Tech colluded to send the
false message, despite hard data to the contrary, Trump had no chance
to win. They wanted Americans to believe it was over.
信頼できるハードデータがその逆を示しているにもかかわらず、世論調査員、評論家、メディア放送局、そしてビッグテックは共謀して誤ったメッセージを送信した。トランプには勝つチャンスがない、と。彼らはアメリカ人たちに、終わった、と信じてほしかったのだ。
They lied.
彼らは嘘をついた。
Here’s the truth:
以下が真実である。
Republicans gained House seats
Republicans are likely to hold the Senate
President Trump outperformed predictions across the board
In short, there was and is no blue wave.
Follow us closely on social media for specific instructions on what to
do to keep it that way.
•共和党は下院議席を獲得した
•共和党は上院を保持する可能性が高い
•トランプ大統領は全面的に予測を上回っていた。
要するに、青い波(民主党への投票のうねり)はなかったし、今もない。これを維持する保つため、何をすべきか、具体的な指示について私たちのソーシャルメディアに、ガッチリ、フォローしてください。
Stick close. Together, we will #StopTheSteal.
我々に寄り添い、共に「選挙の乗っ取り」をくい止めよう。
For Freedom,
自由のために。
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全米各州に強固な組織を持つACUが、特に激戦州で選挙不正の動かぬ証拠の収集に邁進すれば、その破壊力は計り知れない。
選挙不正の告発は、それが本当に行われていたのであれば、決して泥試合ではない。組織的な不正によってアメリカ国民の審判をねじ曲げる企みがあったのであれば、偽りの大統領を就任させる前に暴かれねばなるまい。
大手メディアによる「負け犬の遠吠え」という連日の刷り込みを跳ね返して、選挙結果をひっくり返すような質と量の「不正の証拠」を示す事が出来るか。崖っぷちのトランプと、「逃げなかった身内」の、ギリギリの戦いが始まった。
1966年、東京都生まれ。フリージャーナリスト。
1990年、慶應義塾大学経済学部卒後、TBS入社。以来25年間報道局に所属する。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、ロンドン支局、社会部を経て2000年から政治部所属。2013年からワシントン支局長を務める。2016年5月、TBSを退職。
著書に『総理』『暗闘』(ともに幻冬舎)がある