新メディア・ネットの誕生で新聞・テレビに風穴が
今や新聞やテレビの衰退は著しく、「レガシーメディア」「オールドメディア」などと呼ばれている。
新聞やテレビが情報を独占する状態に風穴を開けたのが、インターネットの存在である。
ネットは、新聞、テレビ、ラジオに次ぐ「第4のメディア」ともいわれると同時に、マスメディア(第4の権力)に次ぐ「第5の権力」ともいわれる。このネットの普及によって、これまで隠されていたメディアや広告業界の闇が表面化し始めているのは事実であろう。
新聞の残紙問題もその一端であり、公取委などの行政機関も重い腰を上げ始めている。
そもそも、この問題の根底には、メディアと政治家、そして官僚による談合に近い構造があったといわれており、政治家にとっても残紙問題はタブーであった。残紙問題を追及することは、メディアに対するネガティブ・キャンペーンになるため、自らの政治生命を危険にさらすことにもなりかねないからだ。
また、政治家に残紙問題について触(ふ)れられることを嫌うメディア側も、政治家のご機嫌取りに精を出していたのが実態だ。
さらに、「監督官庁と、天下りを引き受けるメディア企業と外郭団体」という構図があるため、残紙問題は行政側にとってもアンタッチャブル化していたわけだ。
そもそも、明治時代には新聞記者は「羽織(はおり)ゴロ」「羽織ヤクザ」などと呼ばれていた。これは、良い身なりをしながら人や企業を恫喝(どうかつ)するなどして、金を取っている者が多かったからだ。
そのおこぼれを狙って「口利きで飯を食う広告代理店」と「規制で飯を食う政治家と官僚」が一体になった姿こそが、今のメディアの構図である。そして、彼らは好むと好まざるとにかかわらず、新聞の残紙問題を闇に葬(ほうむ)り続けてきたといえるわけだ。
しかし、ネットという新しいメディアの誕生によって、アンタッチャブルな存在は「見える化」され、既得権益化した従来のメディア構造が瓦解(がかい)を始めている。
新聞やテレビが情報を独占する状態に風穴を開けたのが、インターネットの存在である。
ネットは、新聞、テレビ、ラジオに次ぐ「第4のメディア」ともいわれると同時に、マスメディア(第4の権力)に次ぐ「第5の権力」ともいわれる。このネットの普及によって、これまで隠されていたメディアや広告業界の闇が表面化し始めているのは事実であろう。
新聞の残紙問題もその一端であり、公取委などの行政機関も重い腰を上げ始めている。
そもそも、この問題の根底には、メディアと政治家、そして官僚による談合に近い構造があったといわれており、政治家にとっても残紙問題はタブーであった。残紙問題を追及することは、メディアに対するネガティブ・キャンペーンになるため、自らの政治生命を危険にさらすことにもなりかねないからだ。
また、政治家に残紙問題について触(ふ)れられることを嫌うメディア側も、政治家のご機嫌取りに精を出していたのが実態だ。
さらに、「監督官庁と、天下りを引き受けるメディア企業と外郭団体」という構図があるため、残紙問題は行政側にとってもアンタッチャブル化していたわけだ。
そもそも、明治時代には新聞記者は「羽織(はおり)ゴロ」「羽織ヤクザ」などと呼ばれていた。これは、良い身なりをしながら人や企業を恫喝(どうかつ)するなどして、金を取っている者が多かったからだ。
そのおこぼれを狙って「口利きで飯を食う広告代理店」と「規制で飯を食う政治家と官僚」が一体になった姿こそが、今のメディアの構図である。そして、彼らは好むと好まざるとにかかわらず、新聞の残紙問題を闇に葬(ほうむ)り続けてきたといえるわけだ。
しかし、ネットという新しいメディアの誕生によって、アンタッチャブルな存在は「見える化」され、既得権益化した従来のメディア構造が瓦解(がかい)を始めている。
新聞・テレビの「報じない自由」が崩壊
これまで、メディアが大きな力を持っていた最大の理由は、「報じることができる」からではなく、実は「報じないことができる」からであった。
たとえ事実として起きたことであっても、新聞やテレビなどのメディアが一切報じなければ、それは世間に知られないため実質的に「なかったこと」になる。しかし、今はネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によって、誰もが情報発信することが可能となった。また、ネット固有のウェブメディアも隆盛(りゅうせい)を極めている。
そのため、これまで大手メディアが謳歌(おうか)してきた「報じない」という最大の武器が使えなくなりつつあるわけだ。
これまで、新聞やテレビは、ある情報があったときに、それを恣意(しい)的に伝えないことで権力を強めてきた。対象となる人物や組織にとって都合の悪い情報を「報じない」ことで、恩を売り、彼らの弱みを握ることで上に立つことが可能だったわけだ。
しかし、ネットによって隠蔽(いんぺい)されていた情報が拡散するようになり、「報じない」というマスメディアの特権も失われることとなった。
特に、拡散力の高いツイッターやフェイスブックが普及した影響は大きく、「2ちゃんねる」(1999年設立の日本最大の掲示板サイト)などの掲示板とまとめサイト、さらにウェブメディアの相乗効果は既存のメディアを凌駕(りょうが)するものになり始めている。
いい例が、2013年に起きた、人気司会者のみのもんた氏の番組降板騒動だろう。情報番組の『みのもんたの朝ズバッ!』『みのもんたのサタデーずばッと』で司会者を務めていたみの氏は、次男の逮捕、さらに女子アナウンサーに対する生放送中のセクハラ疑惑によって番組を降板した。
これは、16年の東京都知事選挙における鳥越俊太郎氏の問題についても同様だ。野党統一候補として出馬した鳥越氏だが、選挙期間中に週刊誌で過去の淫行疑惑について報じられると、徹底的に「知らぬ存ぜぬ」を決め込んだ。しかし、隠そうとすればするほど、その不自然な姿勢にネット上では拡散と検証が進んだ。
結果的に落選した鳥越氏は、自らの敗因の一つにスキャンダルを挙げていることは、周知の通りだ。
さらにいえば、前都知事の舛添要一氏を辞任に追い込んだ政治資金不正使用問題をはじめ、高齢者への契約をめぐって〝炎上〟したPCデポの問題(2016年8月、高齢者に不必要と思われる高額契約を結ばせ、契約解除料に大金を請求するなどした問題)、民進党代表の蓮舫氏の二重国籍問題など、これらはネット上の議論に端を発するものであり、新聞やテレビなどの既存メディアは大きな騒動になってから後追いをしたにすぎなかった。
たとえ事実として起きたことであっても、新聞やテレビなどのメディアが一切報じなければ、それは世間に知られないため実質的に「なかったこと」になる。しかし、今はネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によって、誰もが情報発信することが可能となった。また、ネット固有のウェブメディアも隆盛(りゅうせい)を極めている。
そのため、これまで大手メディアが謳歌(おうか)してきた「報じない」という最大の武器が使えなくなりつつあるわけだ。
これまで、新聞やテレビは、ある情報があったときに、それを恣意(しい)的に伝えないことで権力を強めてきた。対象となる人物や組織にとって都合の悪い情報を「報じない」ことで、恩を売り、彼らの弱みを握ることで上に立つことが可能だったわけだ。
しかし、ネットによって隠蔽(いんぺい)されていた情報が拡散するようになり、「報じない」というマスメディアの特権も失われることとなった。
特に、拡散力の高いツイッターやフェイスブックが普及した影響は大きく、「2ちゃんねる」(1999年設立の日本最大の掲示板サイト)などの掲示板とまとめサイト、さらにウェブメディアの相乗効果は既存のメディアを凌駕(りょうが)するものになり始めている。
いい例が、2013年に起きた、人気司会者のみのもんた氏の番組降板騒動だろう。情報番組の『みのもんたの朝ズバッ!』『みのもんたのサタデーずばッと』で司会者を務めていたみの氏は、次男の逮捕、さらに女子アナウンサーに対する生放送中のセクハラ疑惑によって番組を降板した。
これは、16年の東京都知事選挙における鳥越俊太郎氏の問題についても同様だ。野党統一候補として出馬した鳥越氏だが、選挙期間中に週刊誌で過去の淫行疑惑について報じられると、徹底的に「知らぬ存ぜぬ」を決め込んだ。しかし、隠そうとすればするほど、その不自然な姿勢にネット上では拡散と検証が進んだ。
結果的に落選した鳥越氏は、自らの敗因の一つにスキャンダルを挙げていることは、周知の通りだ。
さらにいえば、前都知事の舛添要一氏を辞任に追い込んだ政治資金不正使用問題をはじめ、高齢者への契約をめぐって〝炎上〟したPCデポの問題(2016年8月、高齢者に不必要と思われる高額契約を結ばせ、契約解除料に大金を請求するなどした問題)、民進党代表の蓮舫氏の二重国籍問題など、これらはネット上の議論に端を発するものであり、新聞やテレビなどの既存メディアは大きな騒動になってから後追いをしたにすぎなかった。
マスメディアによる情報操作が機能不全に
今や、ネットには、文書や写真はもちろん、音楽や動画などさまざまなコンテンツを自由にアップロードできる機能がある。
たとえば、30年前の新聞紙面をネット上で誰でも閲覧(えつらん)することを可能にしたり、特定の人物の発言の変遷を追うことで検証したりすることもできる。
それは、同時に既存メディアの報道や情報を再検証する動きにつながり、結果的に新聞やテレビの権威や権力を低下させることにつながっている。これまで、権力の監視を行うと同時に「第4の権力」といわれていたマスメディアだが、ネットという大きな勢力の拡大によって、逆に監視されるという構造に変わっているわけだ。
もう世間は騙されない
また、ネットの世界では「権威」というものがまったく役に立たない。
既存のマスメディアの常連ともいえる、頭に「御用」がつく学者や評論家ではなく、ネット上には各分野のプロフェッショナルや専門家が存在しており、即時に情報発信が可能だ。
それゆえ、状況によっては、テレビで御用学者が話している内容より、ネット発の専門家のつぶやきのほうが信頼できるという構図になっている。そのため、マスメディアによる情報操作が機能不全に陥りつつあるのだ。
たとえば、30年前の新聞紙面をネット上で誰でも閲覧(えつらん)することを可能にしたり、特定の人物の発言の変遷を追うことで検証したりすることもできる。
それは、同時に既存メディアの報道や情報を再検証する動きにつながり、結果的に新聞やテレビの権威や権力を低下させることにつながっている。これまで、権力の監視を行うと同時に「第4の権力」といわれていたマスメディアだが、ネットという大きな勢力の拡大によって、逆に監視されるという構造に変わっているわけだ。
もう世間は騙されない
また、ネットの世界では「権威」というものがまったく役に立たない。
既存のマスメディアの常連ともいえる、頭に「御用」がつく学者や評論家ではなく、ネット上には各分野のプロフェッショナルや専門家が存在しており、即時に情報発信が可能だ。
それゆえ、状況によっては、テレビで御用学者が話している内容より、ネット発の専門家のつぶやきのほうが信頼できるという構図になっている。そのため、マスメディアによる情報操作が機能不全に陥りつつあるのだ。
渡邉 哲也(わたなべ てつや)
作家・経済評論家。1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。大手掲示板での欧米経済、韓国経済などの評論が話題となり、2009年『本当にヤバイ!欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告しベストセラーになる。内外の経済・政治情勢のリサーチや分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行っている。
公式HP http://www.watanabetetsuya.info/
人気経済ブログ「代表戸締役 ◆ jJEom8Ii3E の妄言」
人気メルマガ「渡邉哲也の今世界で何が起きているのか」を運営している。
作家・経済評論家。1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。大手掲示板での欧米経済、韓国経済などの評論が話題となり、2009年『本当にヤバイ!欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告しベストセラーになる。内外の経済・政治情勢のリサーチや分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行っている。
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