米国大統領選：バイデンはボケてるョ！
仕事ができない〝言い訳本〟
ケント ボルトンの回顧録、読みましたか。
渡瀬 仕事ができない理由を人のせいにした〝言い訳本〟ですね。引いているアメリカ人も多い。
ケント 海外メディアは「トランプ政権に大打撃」とか騒ぎ立ててるけどあり得ない。すぐ忘れられて選挙へのダメージもないはず。
渡瀬 そもそも、ボルトンはどんな人物か。セイウチみたいな口ヒゲがトレードマークですけど、一言でいえば、彼は自分がアメリカで一番頭がいいと思っている（笑）。 生粋の共和党員で、イェール大学を首席で卒業。司法省などで働き、父ブッシュ政権で国務次官補、息子ブッシュ政権で国務次官、国連大使を務めました。自分のなかで「安全保障観」が完成していて、それを実現させるために仕事をしてきた。だから原理原則を振りかざし、相手の話を聞こうとしない。
ケント 「嫌いな戦争はない」と言うほどの「タカ派中のタカ派」。もしボルトンの言う通りやったら、対イラン、対北朝鮮……アメリカは世界で戦争中だよ。
渡瀬 第3次世界大戦、間違いなし（笑）。日本国内でも北朝鮮問題などでボルトンの発言を持ち出し、先制攻撃があると言っていた人もいましたね。正直、アメリカ政治を全然理解してない。
人の話を聞かないから、共和党内でも人気がない。トランプ政権では国務長官就任が取り沙汰されましたが、就任には上院で過半数の承認が必要です。当時の上院は「共和党：51」対「民主党：49」でしたが、ランド・ポール議員が反対にまわり、もう一人離反者が出たら承認されないので審議にすらかけられなかった。
息子ブッシュ政権で国連大使になったときも、議会の休会中に承認なしで就任しました。けっきょく、議会が始まってから承認が得られず、1年強でやめている。自分が所属する党からも支持が得られないほど偏った人、という前提で回顧録を読んだほうがいい。
ケント 大統領補佐官になったのも驚きだった。
渡瀬 選挙目的だと思いますよ。2018年の中間選挙で極右票を取り込めると踏んだんでしょう。彼が「イランや北朝鮮を攻撃しろ」と原則論を言えば、「トランプはよくやってる」と思いますから。
でもボルトンは、自分が外交安保を任せられたと錯覚していた。回顧録では「トランプがやることはすべて選挙目的だ」と批判しているのに、自分が選挙要員だったとは思っていないみたい（笑）。
ケント あくまで大統領〝補佐官〟なのにね。大統領のために選択肢を示して政治決断を補佐する仕事で、国務長官じゃないんだから。
渡瀬 ボルトンの言い分はこうです。トランプ大統領や2024年の大統領選で共和党候補と目されているニッキー・ヘイリー前国連大使は、外交・安全保障を知らない素人。権力欲のために政治を利用する汚い存在だ。マティス前国防長官やティラーソン前国務長官、ムニューシン財務長官は官庁の言いなりで国益に適うことをしていない──。
こういう考え方って、外交・安全保障「だけ」をやってきた人に多いんです。とにかく政治は汚いもので、自分たちの仕事はそこから離れた崇高なものだと自己陶酔している。日本人にも多いですが、政治を理解しない専門バカは最悪。原則論ばかり言っても、現実は変えられません。
渡瀬 仕事ができない理由を人のせいにした〝言い訳本〟ですね。引いているアメリカ人も多い。
ケント 海外メディアは「トランプ政権に大打撃」とか騒ぎ立ててるけどあり得ない。すぐ忘れられて選挙へのダメージもないはず。
渡瀬 そもそも、ボルトンはどんな人物か。セイウチみたいな口ヒゲがトレードマークですけど、一言でいえば、彼は自分がアメリカで一番頭がいいと思っている（笑）。 生粋の共和党員で、イェール大学を首席で卒業。司法省などで働き、父ブッシュ政権で国務次官補、息子ブッシュ政権で国務次官、国連大使を務めました。自分のなかで「安全保障観」が完成していて、それを実現させるために仕事をしてきた。だから原理原則を振りかざし、相手の話を聞こうとしない。
ケント 「嫌いな戦争はない」と言うほどの「タカ派中のタカ派」。もしボルトンの言う通りやったら、対イラン、対北朝鮮……アメリカは世界で戦争中だよ。
渡瀬 第3次世界大戦、間違いなし（笑）。日本国内でも北朝鮮問題などでボルトンの発言を持ち出し、先制攻撃があると言っていた人もいましたね。正直、アメリカ政治を全然理解してない。
人の話を聞かないから、共和党内でも人気がない。トランプ政権では国務長官就任が取り沙汰されましたが、就任には上院で過半数の承認が必要です。当時の上院は「共和党：51」対「民主党：49」でしたが、ランド・ポール議員が反対にまわり、もう一人離反者が出たら承認されないので審議にすらかけられなかった。
息子ブッシュ政権で国連大使になったときも、議会の休会中に承認なしで就任しました。けっきょく、議会が始まってから承認が得られず、1年強でやめている。自分が所属する党からも支持が得られないほど偏った人、という前提で回顧録を読んだほうがいい。
ケント 大統領補佐官になったのも驚きだった。
渡瀬 選挙目的だと思いますよ。2018年の中間選挙で極右票を取り込めると踏んだんでしょう。彼が「イランや北朝鮮を攻撃しろ」と原則論を言えば、「トランプはよくやってる」と思いますから。
でもボルトンは、自分が外交安保を任せられたと錯覚していた。回顧録では「トランプがやることはすべて選挙目的だ」と批判しているのに、自分が選挙要員だったとは思っていないみたい（笑）。
ケント あくまで大統領〝補佐官〟なのにね。大統領のために選択肢を示して政治決断を補佐する仕事で、国務長官じゃないんだから。
渡瀬 ボルトンの言い分はこうです。トランプ大統領や2024年の大統領選で共和党候補と目されているニッキー・ヘイリー前国連大使は、外交・安全保障を知らない素人。権力欲のために政治を利用する汚い存在だ。マティス前国防長官やティラーソン前国務長官、ムニューシン財務長官は官庁の言いなりで国益に適うことをしていない──。
こういう考え方って、外交・安全保障「だけ」をやってきた人に多いんです。とにかく政治は汚いもので、自分たちの仕事はそこから離れた崇高なものだと自己陶酔している。日本人にも多いですが、政治を理解しない専門バカは最悪。原則論ばかり言っても、現実は変えられません。
ケントさん出演の『WiLL増刊号』はこちら！
via www.youtube.com
誰も相手にしていない
ケント ボルトンは大統領補佐官としても〝クズ〟です。就任してから政権の内部情報のリークが増えた。ボルトンから見ればトランプ大統領はハト派で、その方針が気に入らない。でもリークするのはダメでしょ。大統領への背信行為ですよ。回顧録にも意思決定の際の発言内容、外国首脳とのやり取りまで出てくる。国家機密の漏洩だから、トランプ政権は裁判所に差し止め請求をしていたくらい。
渡瀬 でも、どんどん回顧録の中身がリークされるから諦めたようです。いまさら止めても仕方がないと。ボルトンは〝メモ魔〟なので、内容の記述がめちゃくちゃ細かい。誰が部屋を出たあとに誰が入って来て、こう言った──と、もはやただの日記です。資料的価値はあるかもしれませんけど。
日本でいえば、官邸の安全保障を担当する官僚がやめて、つい最近の外国との交渉内容を暴露してしまうようなもの。正直言って、〝売国奴〟ですよ。
ケント そんな非常識な本だから、政治関係者も相手にしてない。
渡瀬 出版の契約報酬は約2億円。特に共和党は「カネ目的」だと批判していますね。ワシントンに住む共和党系の知人も、「トランプ政権の意思決定はめちゃくちゃだとわかった。でもそれ以上にボルトンは嫌われているから、誰も相手にしないよ」と言っていました。
ケント 民主党も怒ってるのが面白い。ウクライナゲート事件でトランプ大統領が弾劾されそうになったとき、ボルトンは議会で証言を求められていたけど応じなかった。でも回顧録では、トランプ大統領がウクライナの大統領や検察に圧力をかけたという疑惑を認めている。だから民主党は「遅いよ！」「議会で言えよ！」って（笑）。
渡瀬 自信満々な人が経営コンサルとして企業に入り、やめさせられたら雇われ先の内情を暴露し、社長と経営幹部を罵倒し続ける本。こんなの、政権叩きに使いにくいでしょ。
ケント トランプ大統領を責められるとすれば、ボルトンを任命したことだけ。その程度の本なのに、海外は騒ぎすぎだよ。
渡瀬 外国首脳の発言が出てきますからね。文在寅大統領のダメっぷりがわかったり。アメリカ大統領選よりも、外国の選挙への影響が大きそう（笑）。
渡瀬 でも、どんどん回顧録の中身がリークされるから諦めたようです。いまさら止めても仕方がないと。ボルトンは〝メモ魔〟なので、内容の記述がめちゃくちゃ細かい。誰が部屋を出たあとに誰が入って来て、こう言った──と、もはやただの日記です。資料的価値はあるかもしれませんけど。
日本でいえば、官邸の安全保障を担当する官僚がやめて、つい最近の外国との交渉内容を暴露してしまうようなもの。正直言って、〝売国奴〟ですよ。
ケント そんな非常識な本だから、政治関係者も相手にしてない。
渡瀬 出版の契約報酬は約2億円。特に共和党は「カネ目的」だと批判していますね。ワシントンに住む共和党系の知人も、「トランプ政権の意思決定はめちゃくちゃだとわかった。でもそれ以上にボルトンは嫌われているから、誰も相手にしないよ」と言っていました。
ケント 民主党も怒ってるのが面白い。ウクライナゲート事件でトランプ大統領が弾劾されそうになったとき、ボルトンは議会で証言を求められていたけど応じなかった。でも回顧録では、トランプ大統領がウクライナの大統領や検察に圧力をかけたという疑惑を認めている。だから民主党は「遅いよ！」「議会で言えよ！」って（笑）。
渡瀬 自信満々な人が経営コンサルとして企業に入り、やめさせられたら雇われ先の内情を暴露し、社長と経営幹部を罵倒し続ける本。こんなの、政権叩きに使いにくいでしょ。
ケント トランプ大統領を責められるとすれば、ボルトンを任命したことだけ。その程度の本なのに、海外は騒ぎすぎだよ。
渡瀬 外国首脳の発言が出てきますからね。文在寅大統領のダメっぷりがわかったり。アメリカ大統領選よりも、外国の選挙への影響が大きそう（笑）。
バイデンは痴呆症？
ケント アメリカ大統領選、トランプ大統領は世論調査の支持率でバイデンに負けている。これから話すけど、政策を見ればバイデンに負けるはずがないのに……。
渡瀬 「政策」は勝っています。でも今回の争点は政策ではなく、トランプ大統領の「性格」。だから支持率で負けている。
ケント 大統領選を一言で表せば、「バイデンが勝つことはない。でもトランプは負けるかもしれない」。つまり、トランプ大統領への信任投票ってわけ。特に郊外に住んでいる高所得・高学歴の女性はトランプ大統領の攻撃的な性格が大嫌い。ウチの女房も嫌いだったけど、主張している政策が正しいから好きになっていった。
渡瀬 しかも相手がバイデンですからね（笑）。
ケント バイデンには大きな問題が5つある。1つ、77歳のバイデンは、ボケてる。
渡瀬 間違いない（笑）。
ケント バイデンは痴呆症だという声が、だんだん大きくなっています。ある世論調査では、「バイデンが何らかの認知症を病んでいると思うか」という問いに、民主党支持者でさえ20％が「そう思う」と答えている。共和党なら60％、無党派層でも30％。なかなかスゴイ数字です。
渡瀬 演説会で隣にいた妹と妻の区別がつかなかったほど。自分が何の選挙に出ているかも答えられなかった。
ケント 「アメリカではコロナウイルスで1億2千万人が死んだ」と発言したこともある。実際は12万人（※）。「1」と「2」が合ってるとはいえ、1億2千万人はあり得ない。自分がどこにいるかもわかっていません。バージニア州にいたときも、「ここノースカロライナ州では」と言っていた。オハイオ州とアイオワ州を間違えたこともあった。副大統領時代の経験を話したときは、大統領だったオバマの名を思い出せず、「私のボスだった大統領」と言いつくろったこともある。
※対談が行われた2020年7月中旬の状況です。
渡瀬 こんなふうに外で演説するとボロが出るから、コロナを言い訳にずっと自宅の地下室に閉じこもっています。トランプ陣営からは、引きこもりの〝バンカー・バイデン〟（バンカー＝掩体壕）というあだ名がつけられた（笑）。
ケント 「彼は出てこないほうがいい」と選挙スタッフがハッキリと言っています。5月下旬、約2カ月半ぶりの記者会見では、質問を事前に集めて回答の原稿も用意していた。それをプロンプターにあてて読んだけど、それすら読み間違えている（笑）。集める記者もみんなリベラルでバイデンに優しい。トランプ大統領みたいに記者と討論になることはありません。
渡瀬 バイデン陣営は集会を極力行わない方針で、「今のままで支持率を維持できる」と言っています。でも本音は「今のままじゃないと支持率を維持できない」でしょうね。ちなみにトランプ大統領は、ディベートをいつもの3回だけでなく何回もやりたいと言っています（笑）。大統領選の行方は討論会次第、もっと言えば、討論会の「司会者」次第といったところですね。バイデンに優しい司会者だったら、答えられない質問を止めたりしますから。
ケント 私の女房の母が痴呆症に似たアルツハイマー病だったけど、時間とともに悪くなる一方。快方に向かうことはありません。バイデンは当選したら1期・4年しかやらないと言ってるけど、それすら難しいんじゃないか。
渡瀬 「政策」は勝っています。でも今回の争点は政策ではなく、トランプ大統領の「性格」。だから支持率で負けている。
ケント 大統領選を一言で表せば、「バイデンが勝つことはない。でもトランプは負けるかもしれない」。つまり、トランプ大統領への信任投票ってわけ。特に郊外に住んでいる高所得・高学歴の女性はトランプ大統領の攻撃的な性格が大嫌い。ウチの女房も嫌いだったけど、主張している政策が正しいから好きになっていった。
渡瀬 しかも相手がバイデンですからね（笑）。
ケント バイデンには大きな問題が5つある。1つ、77歳のバイデンは、ボケてる。
渡瀬 間違いない（笑）。
ケント バイデンは痴呆症だという声が、だんだん大きくなっています。ある世論調査では、「バイデンが何らかの認知症を病んでいると思うか」という問いに、民主党支持者でさえ20％が「そう思う」と答えている。共和党なら60％、無党派層でも30％。なかなかスゴイ数字です。
渡瀬 演説会で隣にいた妹と妻の区別がつかなかったほど。自分が何の選挙に出ているかも答えられなかった。
ケント 「アメリカではコロナウイルスで1億2千万人が死んだ」と発言したこともある。実際は12万人（※）。「1」と「2」が合ってるとはいえ、1億2千万人はあり得ない。自分がどこにいるかもわかっていません。バージニア州にいたときも、「ここノースカロライナ州では」と言っていた。オハイオ州とアイオワ州を間違えたこともあった。副大統領時代の経験を話したときは、大統領だったオバマの名を思い出せず、「私のボスだった大統領」と言いつくろったこともある。
※対談が行われた2020年7月中旬の状況です。
渡瀬 こんなふうに外で演説するとボロが出るから、コロナを言い訳にずっと自宅の地下室に閉じこもっています。トランプ陣営からは、引きこもりの〝バンカー・バイデン〟（バンカー＝掩体壕）というあだ名がつけられた（笑）。
ケント 「彼は出てこないほうがいい」と選挙スタッフがハッキリと言っています。5月下旬、約2カ月半ぶりの記者会見では、質問を事前に集めて回答の原稿も用意していた。それをプロンプターにあてて読んだけど、それすら読み間違えている（笑）。集める記者もみんなリベラルでバイデンに優しい。トランプ大統領みたいに記者と討論になることはありません。
渡瀬 バイデン陣営は集会を極力行わない方針で、「今のままで支持率を維持できる」と言っています。でも本音は「今のままじゃないと支持率を維持できない」でしょうね。ちなみにトランプ大統領は、ディベートをいつもの3回だけでなく何回もやりたいと言っています（笑）。大統領選の行方は討論会次第、もっと言えば、討論会の「司会者」次第といったところですね。バイデンに優しい司会者だったら、答えられない質問を止めたりしますから。
ケント 私の女房の母が痴呆症に似たアルツハイマー病だったけど、時間とともに悪くなる一方。快方に向かうことはありません。バイデンは当選したら1期・4年しかやらないと言ってるけど、それすら難しいんじゃないか。
副大統領候補がひどい
ケント そこで重要になってくるのが、2つ目の問題点、副大統領候補。バイデンは「有色人種の女性」を副大統領に指名すると言っています。大統領選は副大統領候補を指名したうえで行われる。もしバイデンが任期中に亡くなったり、執務不可能になれば、副大統領が代行することになる。
渡瀬 民主党が女性の副大統領候補を立てるのは、今回で2回目。1984年、レーガンが圧勝（再選）したとき、民主党のウォルター・モンデールの副大統領候補がジェラルディン・フェラーロという女性でした。
ケント ニューヨークで彼女の記者会見に行ったことがある（笑）。女性の社会進出が進んでいない当時はまだ早かった。バイデンが指名する可能性がある顔ぶれを見ると、優秀な人はゼロ。有力どころでは、次の4人がいます（※）。
・スーザン・ライス（オバマ政権の大統領補佐官、元国連大使）
・エリザベス・ウォーレン（上院議員）
・カマラ・ハリス（上院議員）
・ステイシー・エイブラムス（元ジョージア州議会下院議員）
※8月11日にカマラ・ハリスを指名
あとで話すロシアゲート問題の進展で、スーザン・ライスというコマが消えた。一番まともだったのに。残りでまだマシなのは、エリザベス・ウォーレンか。でも「ポカホンタス問題」がある。彼女はハーバード大学で教職を取るとき、「先住民の血を引いている」と主張していた。でもトランプ大統領に疑いをかけられて、ＤＮＡ鑑定をしたらウソだとわかった。副大統領就任についても、「インディアンの血を引いていればいいよ」と揶揄されています（笑）。
渡瀬 大統領候補として、予備選ではバイデンを差し置いて支持率1位になったこともありましたね。
ケント カマラ・ハリスは、黒人なのに黒人差別主義者。カリフォルニア州の司法長官時代、黒人やマイノリティの逮捕・検挙率が大きく上がった。しかも性格がキツすぎる。友達がいないタイプ（笑）。
渡瀬 黒人のヒラリー・クリントンみたいな（笑）。
ケント ステイシー・エイブラムスは、これまで何か成果を上げたことがない。2018年のジョージア州知事選で、黒人女性候補として善戦しただけ。でもいまだに「不正選挙だ！」と言い続けている。国政経験もないし、副大統領なんてムリ！
渡瀬 しかもペンネームでエロ小説を書いていたことがバレた（笑）。
ケント ちなみに万が一、副大統領も執務不可能になれば下院議長が代行することになる。となると反トランプの急先鋒、ナンシー・ペロシだからやっぱりダメだ。
渡瀬 民主党が女性の副大統領候補を立てるのは、今回で2回目。1984年、レーガンが圧勝（再選）したとき、民主党のウォルター・モンデールの副大統領候補がジェラルディン・フェラーロという女性でした。
ケント ニューヨークで彼女の記者会見に行ったことがある（笑）。女性の社会進出が進んでいない当時はまだ早かった。バイデンが指名する可能性がある顔ぶれを見ると、優秀な人はゼロ。有力どころでは、次の4人がいます（※）。
・スーザン・ライス（オバマ政権の大統領補佐官、元国連大使）
・エリザベス・ウォーレン（上院議員）
・カマラ・ハリス（上院議員）
・ステイシー・エイブラムス（元ジョージア州議会下院議員）
※8月11日にカマラ・ハリスを指名
あとで話すロシアゲート問題の進展で、スーザン・ライスというコマが消えた。一番まともだったのに。残りでまだマシなのは、エリザベス・ウォーレンか。でも「ポカホンタス問題」がある。彼女はハーバード大学で教職を取るとき、「先住民の血を引いている」と主張していた。でもトランプ大統領に疑いをかけられて、ＤＮＡ鑑定をしたらウソだとわかった。副大統領就任についても、「インディアンの血を引いていればいいよ」と揶揄されています（笑）。
渡瀬 大統領候補として、予備選ではバイデンを差し置いて支持率1位になったこともありましたね。
ケント カマラ・ハリスは、黒人なのに黒人差別主義者。カリフォルニア州の司法長官時代、黒人やマイノリティの逮捕・検挙率が大きく上がった。しかも性格がキツすぎる。友達がいないタイプ（笑）。
渡瀬 黒人のヒラリー・クリントンみたいな（笑）。
ケント ステイシー・エイブラムスは、これまで何か成果を上げたことがない。2018年のジョージア州知事選で、黒人女性候補として善戦しただけ。でもいまだに「不正選挙だ！」と言い続けている。国政経験もないし、副大統領なんてムリ！
渡瀬 しかもペンネームでエロ小説を書いていたことがバレた（笑）。
ケント ちなみに万が一、副大統領も執務不可能になれば下院議長が代行することになる。となると反トランプの急先鋒、ナンシー・ペロシだからやっぱりダメだ。
女性の髪の毛が大好き
渡瀬 3つ目は、ロシアゲート事件の真実が明らかになったこと。2017～19年にかけて、FBIはロシアゲートをめぐってマイケル・フリン大統領補佐官（国家安全保障担当）を調査していましたが、違法性を見つけられませんでした。ところが当時のオバマ大統領が、フリンを無理やり罪に陥れるように命令していたことが判明した。その時の会議には、バイデン副大統領、スーザン・ライス大統領補佐官など政権の要人が出席しています。
ケント フリンに対する尋問でFBIは、フリンが偽証することを狙って「あなたが捜査対象ではない。弁護士は同席させなくていい」と言った。これ自体が違法行為！
油断したフリンはロシアのキスリアック大使との電話会談をなかったことにしたので、起訴されてしまった。しかし違法捜査だとわかったので5月7日、フリンの起訴が取り消されました。
渡瀬 つまり、でっち上げのロシアゲート事件の首謀者がオバマだったということ。だからトランプ大統領はツイッターに、「OBAMAGATE！」と投稿した。そんなオバマ政権の副大統領だったのがバイデンで、副大統領候補に挙がっているのが大統領補佐官だったスーザン・ライスです。
ケント これだけでバイデン政権の本質がわかるね。
渡瀬 4つ目は、セクハラ事件。今年に入り、上院議員時代に雇っていた女性事務職員が、バイデンに首や腰を触られたと告発しました。女性いわく、バイデンは壁に向かって〝壁ドン〟したあとにキスをし、スカートの中に手を入れて性器を指で触り、「どこか別の場所へ行かないか」を囁（ささや）いたとか。さらに2014年の中間選挙のとき、腰を触り体を寄せられ、髪の毛の匂いを嗅がれて後頭部にキスをされたという女性も出てきた。
ケント リベラルメディアは取り上げないけど、討論会で絶対トランプ大統領が攻めるよ。「ジョー、女性の髪の毛は好きか」って（笑）。
渡瀬 バイデンは女性の背後に立って、髪の毛の匂いを嗅ぐのが大好き。その映像も流出していて、その様子を揶揄したプリントTシャツもつくられています（笑）。
ケント フリンに対する尋問でFBIは、フリンが偽証することを狙って「あなたが捜査対象ではない。弁護士は同席させなくていい」と言った。これ自体が違法行為！
油断したフリンはロシアのキスリアック大使との電話会談をなかったことにしたので、起訴されてしまった。しかし違法捜査だとわかったので5月7日、フリンの起訴が取り消されました。
渡瀬 つまり、でっち上げのロシアゲート事件の首謀者がオバマだったということ。だからトランプ大統領はツイッターに、「OBAMAGATE！」と投稿した。そんなオバマ政権の副大統領だったのがバイデンで、副大統領候補に挙がっているのが大統領補佐官だったスーザン・ライスです。
ケント これだけでバイデン政権の本質がわかるね。
渡瀬 4つ目は、セクハラ事件。今年に入り、上院議員時代に雇っていた女性事務職員が、バイデンに首や腰を触られたと告発しました。女性いわく、バイデンは壁に向かって〝壁ドン〟したあとにキスをし、スカートの中に手を入れて性器を指で触り、「どこか別の場所へ行かないか」を囁（ささや）いたとか。さらに2014年の中間選挙のとき、腰を触り体を寄せられ、髪の毛の匂いを嗅がれて後頭部にキスをされたという女性も出てきた。
ケント リベラルメディアは取り上げないけど、討論会で絶対トランプ大統領が攻めるよ。「ジョー、女性の髪の毛は好きか」って（笑）。
渡瀬 バイデンは女性の背後に立って、髪の毛の匂いを嗅ぐのが大好き。その映像も流出していて、その様子を揶揄したプリントTシャツもつくられています（笑）。
Law ＆ Order
ケント 問題点の5つ目は、極左に支えられていること。
民主党の〝AOC〟こと、アレクサンドリア・オカシオ＝コルテスみたいな議員の召使いになっている。日本でいえば辻元清美議員とか、そこらへん（笑）。民主党の支持者には極左もいるから、候補者は彼らの支持を得るために予備選挙でかなりリベラルなことを言う。でも本選挙では無党派層の支持を得るために中道に寄っていくのが普通。ところが、バイデンはどんどん左旋回してる。
渡瀬 その象徴が、コロナウイルスと黒人暴動に対する対応です。トランプ大統領は、ロックダウンさせて経済を破壊したのは民主党の知事、暴動を野放しにして治安を悪化させたのも民主党の知事。そんな民主党に連邦政府を任せてもいいのかと言っている。
ケント ニューヨーク市やシアトル市など、暴動が激化しているところはどこも民主党の市長。
ニューヨークは昨年に比べて犯罪率が50％も上がっているし、シカゴでは1週間に100人以上が殺されている。シカゴは横浜くらいの都市でしょう。横浜で1週間に100人殺されるって考えられますか。ところが、民主党はこの状況で警察予算を減らそうとしている。信じられない！
警察力が落ちて一番苦しむのは、黒人をはじめとしたマイノリティの人たちです。彼らが住んでいる地域の犯罪率は高く、最も警察を必要としている。世論調査でも、マイノリティの人たちは予算削減に反対しています。
渡瀬 暴動は黒人のために一ミリも役立っていません。コロナで悪化した失業率が改善してきましたが、人種別に見るとアフリカ系移民だけ遅れている。黒人は暴動を起こしているという色がついてしまって、経営者は雇いにくい。
ケント そう言うと黒人が差別されているように聞こえますが、実は違います。6月の黒人男性の失業率は16.3％に上がっています。コロナウイルスと暴動によって雇用機会を奪われた低賃金のサービス業に従事するマイノリティが多いからです。ちなみに、コロナ前の黒人男性の失業率は5.8％で、史上最低でした。大統領選で一番重視されるのは経済、2番目に重要視されるのは治安です。トランプ大統領の再選を阻むために、反トランプ陣営がわざと経済混乱を長引かせようとしてるんじゃないのか。
渡瀬 トランプ大統領は暴動が起きてから、「Law & Order」（法と秩序）をスローガンに掲げています。大統領選でもこのフレーズは効きそう。
ケント 一方のバイデンは、暴動に反対の声を上げていない。それどころか、選挙スタッフが暴動で捕まった人の釈放金のための基金に寄付したことを自慢している。マイノリティの味方なんてウソ。ANTIFAやブラック・ライブズ・マター（BLM）の活動を支えているのは、大学で徹底した左翼思想を吹き込まれたIYIの白人たち。IYIというのは「Intellectual Yet Idiot」の略で、日本語でいえば〝知的バカ〟。学校の勉強はできたけど、社会に出て通用しない人のこと。机上で理屈をこねくり回して、いまだに共産主義に幻想を抱いている。
渡瀬 ANTIFAやBLMは国際共産主義運動の残滓（ざんし）です。アメリカには反ファシズム運動がなかったので、人種差別を持ち出して黒人を利用しているだけ。それに冷戦後に生まれた世代が増え、実際に共産主義を知る世代が減っている。「自由の国」なのに、共産主義の何が問題なのか理解していない人が増えているんです。
ケント ANTIFAやBLM、暴力を使ってでも自分たちの正義を実現しようとするファシストです。企業も彼らに屈して、ホームページに「We Support BLM」と書いていたりする。BLMの代表は、「バイデンが自分たちの言うことを聞かないのなら、この国を焼き尽くしてしまう」とまで言っていた。
渡瀬 言いそう（笑）。
ケント 暴動では「黒人の命を大切にしろ」と言いながら、黒人が殺されています。7月1日のFOXニュースでは、シアトルで殺された19歳の少年の父親が涙ながらに思いを語っていました。黒人の多くは貧しくて、情報弱者が多い。これまでリベラルメディアや政治家に騙され、自分たちは被害者だと思い込んでいた。でもこういう放送を見て騙されていたと知り、民主党は黒人の味方じゃないと気づく人も増えています。
渡瀬 7月に入り、過激派が占拠していたシアトル自治区も警察の力で崩壊しました。シアトル市のジェニー・ダーカン市長は、自分の家が過激派に囲まれた、つまり自分に危害か加わりそうになったから警察の投入を決めたという話もあります。本当だったらひどい。
民主党の〝AOC〟こと、アレクサンドリア・オカシオ＝コルテスみたいな議員の召使いになっている。日本でいえば辻元清美議員とか、そこらへん（笑）。民主党の支持者には極左もいるから、候補者は彼らの支持を得るために予備選挙でかなりリベラルなことを言う。でも本選挙では無党派層の支持を得るために中道に寄っていくのが普通。ところが、バイデンはどんどん左旋回してる。
渡瀬 その象徴が、コロナウイルスと黒人暴動に対する対応です。トランプ大統領は、ロックダウンさせて経済を破壊したのは民主党の知事、暴動を野放しにして治安を悪化させたのも民主党の知事。そんな民主党に連邦政府を任せてもいいのかと言っている。
ケント ニューヨーク市やシアトル市など、暴動が激化しているところはどこも民主党の市長。
ニューヨークは昨年に比べて犯罪率が50％も上がっているし、シカゴでは1週間に100人以上が殺されている。シカゴは横浜くらいの都市でしょう。横浜で1週間に100人殺されるって考えられますか。ところが、民主党はこの状況で警察予算を減らそうとしている。信じられない！
警察力が落ちて一番苦しむのは、黒人をはじめとしたマイノリティの人たちです。彼らが住んでいる地域の犯罪率は高く、最も警察を必要としている。世論調査でも、マイノリティの人たちは予算削減に反対しています。
渡瀬 暴動は黒人のために一ミリも役立っていません。コロナで悪化した失業率が改善してきましたが、人種別に見るとアフリカ系移民だけ遅れている。黒人は暴動を起こしているという色がついてしまって、経営者は雇いにくい。
ケント そう言うと黒人が差別されているように聞こえますが、実は違います。6月の黒人男性の失業率は16.3％に上がっています。コロナウイルスと暴動によって雇用機会を奪われた低賃金のサービス業に従事するマイノリティが多いからです。ちなみに、コロナ前の黒人男性の失業率は5.8％で、史上最低でした。大統領選で一番重視されるのは経済、2番目に重要視されるのは治安です。トランプ大統領の再選を阻むために、反トランプ陣営がわざと経済混乱を長引かせようとしてるんじゃないのか。
渡瀬 トランプ大統領は暴動が起きてから、「Law & Order」（法と秩序）をスローガンに掲げています。大統領選でもこのフレーズは効きそう。
ケント 一方のバイデンは、暴動に反対の声を上げていない。それどころか、選挙スタッフが暴動で捕まった人の釈放金のための基金に寄付したことを自慢している。マイノリティの味方なんてウソ。ANTIFAやブラック・ライブズ・マター（BLM）の活動を支えているのは、大学で徹底した左翼思想を吹き込まれたIYIの白人たち。IYIというのは「Intellectual Yet Idiot」の略で、日本語でいえば〝知的バカ〟。学校の勉強はできたけど、社会に出て通用しない人のこと。机上で理屈をこねくり回して、いまだに共産主義に幻想を抱いている。
渡瀬 ANTIFAやBLMは国際共産主義運動の残滓（ざんし）です。アメリカには反ファシズム運動がなかったので、人種差別を持ち出して黒人を利用しているだけ。それに冷戦後に生まれた世代が増え、実際に共産主義を知る世代が減っている。「自由の国」なのに、共産主義の何が問題なのか理解していない人が増えているんです。
ケント ANTIFAやBLM、暴力を使ってでも自分たちの正義を実現しようとするファシストです。企業も彼らに屈して、ホームページに「We Support BLM」と書いていたりする。BLMの代表は、「バイデンが自分たちの言うことを聞かないのなら、この国を焼き尽くしてしまう」とまで言っていた。
渡瀬 言いそう（笑）。
ケント 暴動では「黒人の命を大切にしろ」と言いながら、黒人が殺されています。7月1日のFOXニュースでは、シアトルで殺された19歳の少年の父親が涙ながらに思いを語っていました。黒人の多くは貧しくて、情報弱者が多い。これまでリベラルメディアや政治家に騙され、自分たちは被害者だと思い込んでいた。でもこういう放送を見て騙されていたと知り、民主党は黒人の味方じゃないと気づく人も増えています。
渡瀬 7月に入り、過激派が占拠していたシアトル自治区も警察の力で崩壊しました。シアトル市のジェニー・ダーカン市長は、自分の家が過激派に囲まれた、つまり自分に危害か加わりそうになったから警察の投入を決めたという話もあります。本当だったらひどい。
「自由の国」で失われる自由
ケント アメリカは言論の自由も風前の灯火です。先日、ニューヨークタイムズに共和党のトム・コットン上院議員のコラムが載りました。すると社員や読者が激怒して、編集担当者がクビになった。
渡瀬 しかも、あえて社説と異なる意見を載せるオプエド（Op-ed）というコーナーです。「社会の公器」どころか、民主党の機関誌ですよ。
ケント メディアが極左化したのは、教育の問題が大きいです。保守的な人はアメリカで教授になれない。麗澤大のジェイソン・モーガンを見ればわかるでしょ。やっとの思いで学位を取ったんだから（笑）。極左の教授に教わった人たちがメディアに流れ込み、組織の中心になっている。
渡瀬 数年前から、大学に保守系の論客を呼んで講演させることもできなくなりました。だからいま保守系の学生がやっているのは、フリー・スピーチ運動。自由に講演会を開かせてくださいという運動です。
ケント でも彼らが活動しているところにANTIFAがやってきて、暴力で潰す。2019年6月、ポートランド市で行われていたデモを取材していた保守系ジャーナリスト、アンディー・ノーがANTIFAに暴行を受けて重傷を負いました。そのときに警察は止めようともせず、犯人も逮捕されていない。リベラルメディアは彼が保守だから悪いという報道までしたんです。
渡瀬 昨年3月には、トランプ大統領が保守派の大会に彼を呼び、翌日に「大学に言論の自由の履行を求める大統領令」に署名しています。
ケント 7月4日の独立記念日に、赤・青・白色の服を着るなという運動までありました。これは星条旗の色。アメリカで独立記念日を祝えないなんて、誰が想像したでしょう。
渡瀬 「自由の国」から自由が失われています。たとえば、以前から南北戦争で南軍を指揮したリー将軍の銅像を撤去しようとする動きはありました。ところが最近、初代大統領のジョージ・ワシントンや、独立宣言を起草した第3代大統領のジェファーソン、さらにエイブラハム・リンカーンの銅像の撤去を求める運動もあります。普通のアメリカ人は受け入れられませんよ。
ケント 繰り返しになりますが、大統領選で最も重要なのは経済。トランプ政権発足後はずっと好景気だったし、昨年9月には失業率が3.9％という50年ぶりの低水準になった。コロナで下落した株価も回復したし、トランプ大統領はよくやっています。
渡瀬 国民もそこは評価しています。世論調査で唯一、トランプ大統領がバイデンに勝っているのは経済政策の評価ですから。
ケント それに比べて、バイデンの経済政策はひどい。増税を主張しているし、トランプ大統領が規制緩和したフラッキングも禁止しようとしている。
渡瀬 フラッキングというのは、シェールオイル、シェールガスを生産するための掘削方法のこと。このおかげで電気代やガソリン代は安くなり、アメリカはエネルギー輸出国になった。アメリカ経済のエンジンです。
ケント AOCやバーニー・サンダースは、環境に悪いと言ってフラッキングを禁止しようとしています。彼らがその代わりに主張しているのが「グリーン・ニューディール」。太陽光発電や温暖化対策に公共投資して雇用を増やそうというわけ。こんなことしたら、また電気代が上がって景気が悪くなる。バイデンはまだ部分的にしか主張していないけど、極左に支えられているから「やる」と言わざるを得ないでしょう。
経済、治安の次に重視されるのが安全保障。いまトランプ大統領が力を入れているのは、アフガニスタンから米軍を完全撤退させること。フラッキングでエネルギーを中東に頼る必要がなくなったアメリカは、もう軍を置いておく必要がない。2019年は中東での戦争で17兆ドル（約1800兆円）も費やしていて、多くの尊い命が失われた。だから国民も引き揚げたいと思っています。
渡瀬 そのカネがあるなら、インフラ整備したほうがいい。ワシントンでもデコボコ道がありますから（笑）。
ケント アフガニスタンからの撤退は、トランプ大統領が前回の大統領選で掲げた公約です。民主党はそれを阻止して「公約違反」だと攻め立てたい。
渡瀬 しかも、あえて社説と異なる意見を載せるオプエド（Op-ed）というコーナーです。「社会の公器」どころか、民主党の機関誌ですよ。
ケント メディアが極左化したのは、教育の問題が大きいです。保守的な人はアメリカで教授になれない。麗澤大のジェイソン・モーガンを見ればわかるでしょ。やっとの思いで学位を取ったんだから（笑）。極左の教授に教わった人たちがメディアに流れ込み、組織の中心になっている。
渡瀬 数年前から、大学に保守系の論客を呼んで講演させることもできなくなりました。だからいま保守系の学生がやっているのは、フリー・スピーチ運動。自由に講演会を開かせてくださいという運動です。
ケント でも彼らが活動しているところにANTIFAがやってきて、暴力で潰す。2019年6月、ポートランド市で行われていたデモを取材していた保守系ジャーナリスト、アンディー・ノーがANTIFAに暴行を受けて重傷を負いました。そのときに警察は止めようともせず、犯人も逮捕されていない。リベラルメディアは彼が保守だから悪いという報道までしたんです。
渡瀬 昨年3月には、トランプ大統領が保守派の大会に彼を呼び、翌日に「大学に言論の自由の履行を求める大統領令」に署名しています。
ケント 7月4日の独立記念日に、赤・青・白色の服を着るなという運動までありました。これは星条旗の色。アメリカで独立記念日を祝えないなんて、誰が想像したでしょう。
渡瀬 「自由の国」から自由が失われています。たとえば、以前から南北戦争で南軍を指揮したリー将軍の銅像を撤去しようとする動きはありました。ところが最近、初代大統領のジョージ・ワシントンや、独立宣言を起草した第3代大統領のジェファーソン、さらにエイブラハム・リンカーンの銅像の撤去を求める運動もあります。普通のアメリカ人は受け入れられませんよ。
ケント 繰り返しになりますが、大統領選で最も重要なのは経済。トランプ政権発足後はずっと好景気だったし、昨年9月には失業率が3.9％という50年ぶりの低水準になった。コロナで下落した株価も回復したし、トランプ大統領はよくやっています。
渡瀬 国民もそこは評価しています。世論調査で唯一、トランプ大統領がバイデンに勝っているのは経済政策の評価ですから。
ケント それに比べて、バイデンの経済政策はひどい。増税を主張しているし、トランプ大統領が規制緩和したフラッキングも禁止しようとしている。
渡瀬 フラッキングというのは、シェールオイル、シェールガスを生産するための掘削方法のこと。このおかげで電気代やガソリン代は安くなり、アメリカはエネルギー輸出国になった。アメリカ経済のエンジンです。
ケント AOCやバーニー・サンダースは、環境に悪いと言ってフラッキングを禁止しようとしています。彼らがその代わりに主張しているのが「グリーン・ニューディール」。太陽光発電や温暖化対策に公共投資して雇用を増やそうというわけ。こんなことしたら、また電気代が上がって景気が悪くなる。バイデンはまだ部分的にしか主張していないけど、極左に支えられているから「やる」と言わざるを得ないでしょう。
経済、治安の次に重視されるのが安全保障。いまトランプ大統領が力を入れているのは、アフガニスタンから米軍を完全撤退させること。フラッキングでエネルギーを中東に頼る必要がなくなったアメリカは、もう軍を置いておく必要がない。2019年は中東での戦争で17兆ドル（約1800兆円）も費やしていて、多くの尊い命が失われた。だから国民も引き揚げたいと思っています。
渡瀬 そのカネがあるなら、インフラ整備したほうがいい。ワシントンでもデコボコ道がありますから（笑）。
ケント アフガニスタンからの撤退は、トランプ大統領が前回の大統領選で掲げた公約です。民主党はそれを阻止して「公約違反」だと攻め立てたい。
世論調査は意味ナシ
渡瀬 2月の一般教書演説のラストシーンを思い出します。トランプ大統領はアフガニスタンから戻ってきた軍人が、議場で家族と再会するという演出を行った。アフガニスタンからの撤退は今年一番の成果になります。現実問題として、アフガニスタンを筆頭に世界中に派遣されている米軍を引き揚げないと中国に軍を向けられない。第一優先は対中国ですから。
ケント いまでさえ南シナ海に空母が3隻派遣されている。これは第2次世界大戦以来でしょう。シリアに駐留していた米軍も、IS（イスラム国）を潰したら公約通りに撤退させました。力の空白が生まれてクルド人とトルコが揉めたけど、千年続く兄弟喧嘩（笑）。アメリカが仲介する理由もない。
渡瀬 クルド人はアメリカが協力してくれなければ、ロシアと協力しますから（笑）。
ケント 新聞と軍需産業は戦争が大好きです。発行部数が増えるし、武器の需要が増えるから。彼らと戦っているトランプ大統領は勇ましく見える。
渡瀬 それに対して、民主党の中東政策はめちゃくちゃ。フラッキングを禁止して、石油のために中東に軍隊を置く。でもサウジアラビアは嫌いなので支援せず、敵対しているイランには優しくする（笑）。
ケント 経済、治安、安全……やっぱり「政策」ならトランプ大統領の圧勝なんだよなぁ。
渡瀬 一つ気になるのは、民主党の小口献金の額が上がっていることです。選挙戦の足腰は民主党のほうが強いから、バイデンが逃げ切る可能性もゼロじゃない。
ケント 大統領選といっても、ほとんどの州はどっちが勝つか決まっています。だから全米の世論調査を見ても意味がない。前回の大統領選はトランプ大統領が勝ったけど、得票数はヒラリーのほうが多かった。なぜなら、リベラルで人口の多いニューヨーク州とカリフォルニア州で票を取ったから。でも最終的に選挙人の数で決まるから死に票になる。
渡瀬 接戦州を取れるかどうかが重要です。接戦なのは、フロリダ州。ここが最も重要。キューバ系ヒスパニックの票を取れるのか。そして前回と同じようにラストベルト（石炭・鉄鋼・自動車産業を抱える五大湖周辺から東海岸にかけての地域）のペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州ですね。
さらに今回はのサンベルト（南部）のネバダ州やアリゾナ州だけでなく、共和党の地盤であるテキサス州やジョージア州も〝戦場〟になりつつあります。総合的に見ると前回よりも情勢は厳しいかもしれない。
ケント もしバイデンが大統領になっても、上院だけは取っておきたい。最高裁判事の人事は上院で決まるから。トランプ大統領は9月に最高裁判事の指名リストを出す予定だそうです。バイデンにも出すように迫るでしょうけど、左翼弁護士が並んで国民に引かれるので出さないと思う（笑）。
渡瀬 いま上院は共和党：53議席に対して、民主党：47議席。でも共和党が負けそうな州も少なくない。閣僚の承認もあるから、上院が取られたら大変ですよ。バイデンが勝って、上院も民主党が取れば、間違いなくオバマ政権以上の左翼政権になる。バイデン政権でも上院を共和党が抑えていれば、人事権で止めることができる。
ケント まずは討論会でトランプ大統領がどんな〝口撃〟をするか、楽しみにしておこう。
ケント いまでさえ南シナ海に空母が3隻派遣されている。これは第2次世界大戦以来でしょう。シリアに駐留していた米軍も、IS（イスラム国）を潰したら公約通りに撤退させました。力の空白が生まれてクルド人とトルコが揉めたけど、千年続く兄弟喧嘩（笑）。アメリカが仲介する理由もない。
渡瀬 クルド人はアメリカが協力してくれなければ、ロシアと協力しますから（笑）。
ケント 新聞と軍需産業は戦争が大好きです。発行部数が増えるし、武器の需要が増えるから。彼らと戦っているトランプ大統領は勇ましく見える。
渡瀬 それに対して、民主党の中東政策はめちゃくちゃ。フラッキングを禁止して、石油のために中東に軍隊を置く。でもサウジアラビアは嫌いなので支援せず、敵対しているイランには優しくする（笑）。
ケント 経済、治安、安全……やっぱり「政策」ならトランプ大統領の圧勝なんだよなぁ。
渡瀬 一つ気になるのは、民主党の小口献金の額が上がっていることです。選挙戦の足腰は民主党のほうが強いから、バイデンが逃げ切る可能性もゼロじゃない。
ケント 大統領選といっても、ほとんどの州はどっちが勝つか決まっています。だから全米の世論調査を見ても意味がない。前回の大統領選はトランプ大統領が勝ったけど、得票数はヒラリーのほうが多かった。なぜなら、リベラルで人口の多いニューヨーク州とカリフォルニア州で票を取ったから。でも最終的に選挙人の数で決まるから死に票になる。
渡瀬 接戦州を取れるかどうかが重要です。接戦なのは、フロリダ州。ここが最も重要。キューバ系ヒスパニックの票を取れるのか。そして前回と同じようにラストベルト（石炭・鉄鋼・自動車産業を抱える五大湖周辺から東海岸にかけての地域）のペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州ですね。
さらに今回はのサンベルト（南部）のネバダ州やアリゾナ州だけでなく、共和党の地盤であるテキサス州やジョージア州も〝戦場〟になりつつあります。総合的に見ると前回よりも情勢は厳しいかもしれない。
ケント もしバイデンが大統領になっても、上院だけは取っておきたい。最高裁判事の人事は上院で決まるから。トランプ大統領は9月に最高裁判事の指名リストを出す予定だそうです。バイデンにも出すように迫るでしょうけど、左翼弁護士が並んで国民に引かれるので出さないと思う（笑）。
渡瀬 いま上院は共和党：53議席に対して、民主党：47議席。でも共和党が負けそうな州も少なくない。閣僚の承認もあるから、上院が取られたら大変ですよ。バイデンが勝って、上院も民主党が取れば、間違いなくオバマ政権以上の左翼政権になる。バイデン政権でも上院を共和党が抑えていれば、人事権で止めることができる。
ケント まずは討論会でトランプ大統領がどんな〝口撃〟をするか、楽しみにしておこう。
渡瀬 裕哉 (わたせ ゆうや)
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンドなどのプロフェッショナル投資家向けの米国政治の講師として活躍。米国共和党保守派と深い関係を有する。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。著書に『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』（産学社）、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』（祥伝社）などがある。
ケント・ギルバート
1952年、米国アイダホ州生まれ。70年にブリガムヤング大学に入学し、71年に宣教師として初来日。80年、同大学大学院を修了し、法務博士号・経営学修士号を取得。その後、国際法律事務所に就職し、法律コンサルタントとして再び来日。タレントとして『世界まるごとHOWマッチ』などの番組に出演する。『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』（講談社）など著書多数。
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンドなどのプロフェッショナル投資家向けの米国政治の講師として活躍。米国共和党保守派と深い関係を有する。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。著書に『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』（産学社）、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』（祥伝社）などがある。
ケント・ギルバート
1952年、米国アイダホ州生まれ。70年にブリガムヤング大学に入学し、71年に宣教師として初来日。80年、同大学大学院を修了し、法務博士号・経営学修士号を取得。その後、国際法律事務所に就職し、法律コンサルタントとして再び来日。タレントとして『世界まるごとHOWマッチ』などの番組に出演する。『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』（講談社）など著書多数。