産経新聞ニュースより (13699)

2023年7月4日夜、埼玉県川口市の市立医療センター周辺でクルド人らによる騒ぎが発生、埼玉県警が多数のパトカーや機動隊を出動することに。日本の未来はどうなる?
via 産経新聞ニュースより

深刻な状況なっている移民問題

 昨今ではクルド人問題が勃発(ぼっぱつ)しておりますが、私が関係先で事業所が埼玉県川口市にあり、周辺の治安も含めて深刻な状況になりつつあります。

 というか、そのあたりをウロウロしているといろいろ妙なことが起きるので、私自身、よほど仕事で大事なことでもない限り川口市周辺に立ち入らなくなりました。たぶん、川口市に生まれ育った人も、いま川口市に住んでおられる高齢者の皆さんも、一定の身の危険も感じつつ「仕方ない」という割り切った感情で現状を受け入れざるを得ないのではないでしょうか。

 また、ご同業で頑張っている会社さんの間でも、解体業や産廃輸送業で外国人の雇用を進めていたところ、勝手に会社の設備や備品を使って「独立」してしまったり、雇っていない人がそこで勝手に働いていたり、話の分からない業務先に委託してしまったり、業界ならではのトラブルもあるあるで存在していたりもします。

 あまり多くは指摘されないことですが、自治体合併ごろから川口市だけでなく足立区、北区などではエスニックな多国籍住民が集住する地域として長らく共存してきて、その中でも中国系の住民の集住が進んだのもあったかと思います。特に「君どこから来たの?」という中国人が外国人登録もされずに集合住宅ですし詰めになってくらしているとか、中国人が古い団地に住みついて大変なことになっているとか、自動車免許を持たない中国系住民が白タクや大型トラックを運転しているとか、行儀の悪い話が跋扈(ばっこ)していたのも思い出されます。

 その後、なんだかんだ日本社会と中国人コミュニティの間での対話と、双方努力の結果の融合もまあまあ進み、最近では私ども地元の事業者にも「ちゃんとした中国人」の皆さんが求職されてきて、日本人従業員と同等の待遇(給与や福利厚生含め)で肩を並べて働く機会も増えてきました。私はまあ座ってるだけですが、関係者の努力は凄くあったんだろうなあ、と思います。

 中には、一時期半グレで問題になった、中国残留孤児で帰国された方の2世、3世の人たちも社会復帰と言いますか真面目に働くようになって、おまえ昔は悪かったらしいじゃん的なテンプレもありつつご一緒していたのも印象的です。そのうちもっと給料のいい別会社に転職していってしまいましたが。まあ、それは高い給料を払えなかったウチが悪い。

粗暴な人たちをエスコートする謎のコミュニティが

 思い返せば、秋葉原でパソコンパーツを売っていたころも日本ではあまりなじみのなかった台湾人や中国人、インド人の社員と一緒になって私も働いていましたし、産廃業界やリサイクル産業に足を突っ込んでからは、韓国やトルコ、ウズベキスタン、モロッコ、ベトナム、チュニジアなど、いろんな国をルーツに持つ人たちを、いまも複数雇っています。

 私が日本人として彼ら外国人をリスペクトする面も多くあって、例えば読者の皆さんが生まれ育ったところが貧しく、仕事がないからといって、身一つで外国に出稼ぎに出て、言葉も満足に通じないところでそう高くもない給料をもらい、それを自国で貧しく暮らしている妻や子どものために生活費を削って送金する、って大変なことだと思うんですよ。

 家族のために稼ぎたいので言葉も通じない外国で頑張ろうって、なかなか偉大だなって思うんですよね。

 で、私も年に何回か、いろんな国から来た人たちと安い酒を飲みながら話を聞く機会はあるんですが、やっぱり最後は国に帰りたいとか、もっといい仕事をするためにこうしてほしいとか、家族の写真を私に見せながら何人かいる子どものなかで、「こいつは優秀だと思うから地元で大学に行かせてやりたい」とか、そういう話です。どちらかというと、そういう彼らを単なる安い労働力として日本に連れてきて働いてもらうという政策になりがちですが、実際には彼らも理性も情もある一人ひとりの立派な人間なのであって、どうにかしてやらないといけないな、と毎回思います。

 他方で、彼らは悪意なく乱暴であったり、俺たちには俺たちの生き方・やり方があるんだという考えを持っていたり、日本人が決めたルールは守らないぞ的な高いプライドを持っていたりします。困るんだよ、そういうの。割と平気であるのは俺、昔、軍隊にいたから自動車なんて運転できるから、日本の免許とかいらないよとか豪語されます。いや、駄目だからそういうの。

 また、川口市では先般トルコ人とクルド人が衝突したり、変なデモが起きて暴言を吐いたり、最悪なのは救急病院の前で抗議集会やって病人の受け入れがストップしてしまったり、面倒くさいことがたくさん発生してしまい、世間的にイスラム世界から来た外国人に対してかなり率直に排斥(はいせき)の声が出るようになってきました。

 さらに、江東区や川口市、蕨市(わらびし)で問題を起こしていたイラン人が定住して長くなって、大人しくなってきた一方、まだ土着して地域でコミュニティを形成し定着しようとするトルコ人やクルド人、ベトナム人と違い、観光ビザでやってきて短期集中で荒っぽい仕事をして帰る類のチュニジア人やカザフ人、ウズベク人などが増えてきました。また、そういう粗暴な人たちをエスコートしている謎のコミュニティがあるようで、それが見た目はNPOやボランティア組織のていをしているのでツッコミがしづらいなどで問題になってきています。

 いずれ本格的な重大事案でも出てきて日本人や外国人の中に被害者がドーンと出たら、いままでいろいろと共生のための努力を積み重ねてきた人たちの活動が駄目になってしまうでしょう。

マジでクレージーな受け入れ政策

 また、最近では変なブローカーが受け入れ先の農家の書類を偽造するなどして、外国人を雇って農作業をするはずが、高齢化した農家自体が外国人ブローカーに乗っ取られてしまうような事案も出てきています。そこで働いている外国人はまともな人ばかりでしたが、やっていることは違法なので、マズいんじゃないのかと話すとナチュラルに恫喝(どうかつ)してくる人たちなので、こりゃ埼玉や北関東各県の県警も思ってもいなかった問題を突き付けられていく可能性も高いのではないかと思います。

 結局、永住権を取ったり日本国籍を取って日本人になろうとする、割とまともな外国人の中にその民族を代表する顔役の人に立ってもらい、治安防犯ほか法律を守るためにこれをやってほしいという要望や共生のための努力にコミットしてもらうしか方法がありません。いま不法滞在になってしまっている人や、問題となっている難民申請の課題などあると聞きますが、事業者として外国人を雇う側からすると「もともと品行方正とは言いがたい外国人にも日本で幸せに、それなりに長い期間を働いてもらうにはどうするか」を考えますので、上手い付き合い方を模索するときは、特に気を遣うのです。

 それでも、いかに顔役にまともな人が立とうと、また、日本社会での共生をしたいと願っていようと、問題はふたつ立ちはだかります。

 ひとつは、本当の意味で外国人は日本では弱い立場であり、食えなくなると犯罪するしかなくなっちゃうこと。
 もうひとつは、そもそも民族的に相容れないとき、顔役や個人個人がいい人でも徒党組んで殴り込みしちゃうことですかね。
 
 トルコ人とクルド人との間での抗争なんてのはその典型例ですが、普通に職場や取引先でも口論や殴り合いに容易に発展します。さっきまでチョコ食って笑顔でおいしいねとか言ってたやつが、敵と顔を合わせるなり鬼の形相(ぎょうそう)になって言いがかりをつけて殴りに行くの、見ているこっちの心臓がきゅっとするし、やめてほしいというのが本音です。

 かといって、そこであんまり日本人が出しゃばって「お前らやめろ」ってなると、面倒が拡大することになるし、不法滞在だから難民申請却下されたら帰国しろって話になると日本で生まれた赤ちゃん抱えたお母さんだけ日本に残してどうするの、みたいな問題を起こすので、なんかうまい方法はないのかと毎回思います。

 そうなると、私もそうですが日本人として「そういう面倒くさいことには関わらないようにする」のが最適解になってしまいます。自治体行政も私ら事業者も住民たちも、面倒だからお前ら自分たちで解決しろよ、といって、金網つくって収容しろみたいな話になるのは一里塚の先にある暗い未来です。そんななかで、人手が足りないから5年で上限を80万人超外国人受け入れますとか、マジでクレージーだと思うんですよ。
 
 単純計算で日本の就労人口が6860 万人(2021年)で、たった1%の外国人だと言いますが、でも、そういう外国人は日本全国に満遍なく散らばるのではなく、住みやすさや彼ら自身のコロニーも含めて考えれば川口や蕨や足立区に集住するのだから、当然そういう自治体に住んでいる人たちや行政も事業者も大変なことになるでしょう。

共生するためのグランドデザインを

 先に述べた中国人たちも、また割と日本で問題を起こさないインド人コミュニティも、ゆっくり日本社会と向き合い努力して共生してきている面はあり、それは日本社会が「外国人を受け入れていけるペース」の問題です。

 人が足りんので労働力をドーンと入れますよというのは、労働力という名の人格ある人たちを消化可能なペースを無視して受け入れ続けることになるわけですから、別の副作用を起こすのも当然と言えます。

 日本も元来移民国家であり、いろんな人たちを受け入れていきながら成立してきた国なんだという前提に立つならば、やはり日本国籍をしっかりとってもらい、子どもを日本で生んで育てて日本人と一緒になって社会をつくり、働いて幸せに暮らしていくんだというグランドデザインがないといけないんじゃないのかなあと強く思います。

 そのためには、不法移民や難民申請についてはよく議論をしたうえで、なお厳格に国外退去も含めて執行をしなければならないし、日本の法規を守らせることは予算を積んででもしないといけない。

 他方で、日本で生きていく覚悟を持って暮らしている外国人には帰化を促し、捜査機関や自治体職員としても一部待遇して禄を食(は)んでもらって、日本の治安や行政を担う一端を担っていただくしかないのではないかと思うんですよ。

 いまの外国人受け入れの議論では特に、信賞必罰で厳格な法執行がなされておらず、入管法改正でもあれだけ揉めてきたことを踏まえれば、現実的には受け入れ可能なペースをちゃんと考え、外国人の定着定住のモデルケースもつくりながら、ソフトランディングさせざるを得ないのではないかと感じます。
山本 一郎(やまもと いちろう)
1973年、東京都生まれ。個人投資家、作家。慶應義塾大学法学部政治学科卒。一般財団法人情報法制研究所上席研究員。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も行っている。

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