これが石破茂だ!~国を亡ぼす危険人物~

これが石破茂だ!~国を亡ぼす危険人物~

日本滅亡の起爆スイッチ

 自民党総裁選への出馬を表明した石破茂氏が、いわゆる自虐史観の持ち主であることは既知の事実であり、その証明は容易である。しかし石破氏の自虐史観は、いったい何が本当の問題なのだろうか? 日本の名誉が永遠に傷つけられるからだろうか? 戦後レジームからの脱却を困難にするからだろうか?

 残念ながら、そんなレベルはとっくに超えてしまっている。誇張ではなく、石破政権が誕生すれば、日本を存亡の危機に追いやることになるだろう。たとえ自民党総裁選の帰趨がすでに決まっていたとしても、その重要さをひとりでも多くの国民に理解していただきたい。石破茂という一政治家の歴史観が、現在日本が直面する危機的状況においては、国益の損失に留まらず、日本を滅亡させる起爆装置のスイッチとして機能し得るからだ。

 まず、石破氏の歴史観を再確認してみよう。石破氏の歴史観を理解する上で最適なのは、2017年5月23日付韓国東亜日報のインタビュー記事だ。この記事が産経新聞(同5月24日)で次のように報じられた。

《韓国紙の東亜日報(電子版)は23日、自民党の石破茂前地方創生担当相が慰安婦問題をめぐる平成27年の日韓合意に関し「(韓国で)納得を得るまで(日本は)謝罪するしかない」と述べたとするインタビュー記事を掲載した。石破氏が日韓合意に反する発言をしたと受け取られかねないが、石破氏は24日、産経新聞の取材に「『謝罪』という言葉は一切使っていない。『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」と述べ、記事の内容を否定した。ただ、抗議はしない意向という》

 誤報にもかかわらず抗議しないのであれば、石破氏が噓をついていると思われても仕方がない。全体の文脈を見れば、石橋氏が何を言ったか、ある程度の予想がつくだろう。この場合、一次資料に当たるのが原則だ。

語られた国家観と歴史観

 そこで私は、東亜日報のオリジナル記事を取り寄せ、プロの翻訳者に全文を和訳してもらった。するとそこには慰安婦問題のみならず、憲法、天皇、靖國、日韓併合、そして北朝鮮問題に至るまで、石破氏の歴史観が赤裸々に語られていた。期せずして、石破氏の歴史観の全容を知ることとなったのだ。
 まず、石破氏は、完全な「反安倍」として紹介されている。

《「安倍一強」体制の日本の自民党の中で、ほぼ唯一の反安倍の声をあげている人がいる。〝ポスト安倍〟に挙げられている石破茂前地方創生担当相は、今月3日の憲法記念日に安倍晋三総理が明らかにした改憲構想についても、政界で一番に反対意見を出した》

 次に、韓国人記者との1問1答をいくつか抜粋してみよう。

憲法と天皇
──2012年自民党草案は天皇を「国家元首」と規定するなど、あまりにも保守的だという指摘が多いですが。
石破 国家元首案には私も反対をしています。今の天皇も絶対に受け入れることができないでしょう。そういったところまで含め、議論を発展させていかなければいけません。また、安倍首相が9条1項、2項をそのままにして、3項を追加するのは、連立与党である公明党の反対を抑えるための窮余の策です。憲法なので論理的整合性は備えなければいけません。彼は「自分の手で改憲する」という考えに陥っています。

モリカケ問題
──事実、最近の安倍首相は、あまりにも無理が多く詭弁が目立っています。森友学園への不当な支援問題に続き、加計学園獣医学部の新設支援問題など、本人が関係しているスキャンダルが相次いで飛び出るからでしょうか。
石破 彼を代表として選んだ自民党の人々には、首相が間違った道に行かないようにする責任があります。今は誰も「おかしい」とか「間違っている」という言葉を言わない。これは深刻な問題です。

太平洋戦争
──改憲と関連し、韓国では日本が戦争のできる国になろうとしていると懸念しています。
石破 日本が戦争のできる国になるのであれば、太平洋戦争の反省が前提にされなければいけません。日中戦争、太平洋戦争、原爆投下と敗戦で、200万人が犠牲になりました。なぜ戦争を開始したのだろう。なぜ途中でやめなかったのだろう。正しく検証し、反省しなければなりません。
 当時の政府、陸海軍のトップたちは勝つことができないことを知りながらも、雰囲気に流され戦争に突入しました。当時のマスコミをはじめ、誰も反対していないことも大きいです。誰も真実を言いませんでした。

靖國神社
──靖國神社参拝をしていない理由もそのためでしょうか。右翼の攻撃が激しいと言っていましたが。
石破 若いころは何も知らずに参拝しました。しかし、靖國神社の本当の意味を知っているので、今は行けません。国民を騙し、天皇も騙して戦争を強行したA級戦犯の分祀が行われない限り、靖國神社に行くことはできない。天皇が参拝できるようになれば、行こうと思います。

日本会議
──日本会議などの右翼勢力は敗戦を認めず、戦前に回帰したいという傾向が強い。現在現れている歴史修正主義的傾向も、この基盤の上にあります。同じ保守といっても石破議員は、このような傾向とは異なりますが。
石破 私の考えは違います。日本は敗戦を徹底的に反省した上で独立主権国家、民主国家としての道を見つけていくべきだと思っています。

慰安婦問題
──慰安婦問題などで韓日関係が難しくなっていることについては、どうお考えでしょうか。
石破 本当に難しい問題です。慰安婦問題について日本にも多くの意見がありますが、人間の尊厳、特に女性の尊厳を侵害したという点において、あってはならないことであり、謝罪すべきです。
 ただ、歴代首相、天皇まで何度も謝罪の意を明らかにしても、韓国で受け入れられていないことについては不満も大きい。それでも、納得を得られるまでずっと謝罪するしかないでしょう。

北朝鮮問題
──韓国では、日本の政界が北朝鮮のミサイルの脅威を利用し危機意識を煽っているという批判が多いですが。
石破 日米韓が強固に協力して対処をしていますが、国によって北朝鮮のミサイルに関しての脅威度は違うようです。ミサイルが米国本土に到達するのに時間があるし、北朝鮮が韓国に撃つ可能性は希薄です。ですが、いたるところに米軍基地を持つ日本は、足元の火のように感じています。国ごとに感じている危険の程度が違うので、反応も違う。
 金正恩の最も恐ろしい点は、何をするのか分からないこと。ただ、今の安倍政権のように「北朝鮮の脅威が深刻だ。だから安倍政権を支持してほしい」と利用することは問題です。対策は静かに、静かに進行すればいい。

 付記として、石破氏は日韓併合についても、次のように語ったとされている。

──日本は「当時の国際法上違法ではなかった」と主張していますが、「違法ではないから併合した。以上!」と終わる問題ではない。国を失うということは、その国の伝統と歴史、言語、文化をすべて失うという意味であり、その国の国民の自尊心に深刻な傷を与えることです。ですが、私がこのような話をすると、すぐに 「石破は韓国の味方か」と攻撃されるんです(笑)──

 いかがだろうか。石破氏がどのような思想を持つ政治家か、これ以上分析する必要がないほどはっきりとわかる。そして、この文脈ならば、彼が「日本は、韓国が納得するまで慰安婦問題で謝罪すべき」と言ったとして、まったく不思議ではない。現に、記事のタイトル自体が『石破茂「日本は、韓国納得するまで慰安婦謝罪すべき」』なのである。

 当時、念のため石破事務所に再確認の電話取材をしたところ、以下の返答を得た。

○翌日の産経新聞のインタビューに答えている内容が総てである
○今後とも反論・訂正などはしない
○韓国の新聞なので翻訳・通訳による間違いがある
○謝罪に関しては発言していない。産経に書かれた通りだ
○ネット等で叩かれていてもこれ以上何もしない

 これも石破氏の人間としての姿勢を如実に表している。謝罪に関しては発言していないとしながら、翻訳や通訳のせいにし、かつ訂正や削除の要請もしないと開き直る。まったく誠意が感じられない。

なぜ日本を滅ぼすのか

 ここで日本人が認識しなくてはならないことは、このような石破氏の発言が単なる歴史認識に関する意見の違いでは済まされない現状があるということだ。

 今、世界では中国が南シナ海への軍事的進出のみならず、膨大なチャイナマネーと在外中国系移民をフルに活用して、ありとあらゆる浸透工作を行っていることが発覚して大問題になっている。その優先ターゲットとされたのがオーストラリアだった。

 今年2月、オーストラリアで『サイレント・インベージョン(静かなる侵略)』なる本が出版され、大反響を呼んでいる。著者は、チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授だ。
 オーストラリアの2大政党である自由党と労働党に大量の中国マネーが入り込んでいることが発覚し、労働党の連邦議員が献金者である中華系ビジネスマンに不適切なアドバイスをして辞任を余儀なくされるなど、中国の浸透工作の顕在化に動揺が広がる最中に出版されてベストセラーとなった。中国のオーストラリアにおける広範囲な浸透工作の実態について詳細な分析を加えている。

 この本の中でハミルトン教授は、近年の中国の覇権主義の動機となっているのは、「栄光の中華帝国再興の夢」だと指摘している。ソ連が崩壊し、共産主義の優位性を共産党支配の正統性(レジティマシー)に使えなくなった中国共産党は、経済的繁栄と民族主義に活路を見出した。しかし、生涯皇帝となった習近平は、毛沢東や鄧小平に比肩する偉業が必要になる。それが、「中華帝国再興の夢実現」というわけだ。

 問題は、「中華帝国再興」が、平和的台頭ではなく次のようなストーリーに即しているということだとハミルトン教授は指摘する。
「中国の近代は中国が傲慢な西欧諸国と残虐な日本人によって踏みにじられた屈辱の歴史であった。今こそ中国共産党の指導のもとで、偉大な中国を再建し、屈辱を晴らす時が来た」

 これはまったく平和的台頭などというものではない。この分析は、日本に帰化した評論家、石平氏の主張と符合する。石平氏は「中華帝国再興の夢」という発想には、「復讐」という苛烈な概念が含まれていることを見落としてはならないと警告する。復讐という名の下に敵を外部に設定し、そこに国民の意識を向かわせるのだ。

 それならば、アヘンを売りつけ、中国を残酷に搾取したイギリスはどうなるのか。石平氏によれば、習近平がイギリス議会で演説したり、バッキンガム宮殿に招待されたりしたことで復讐が果たされたと見做されるという。

 一方で、押せばいくらでも謝罪し金を出す日本を許す理由はない。とことん憎むべき敵として利用し、幼少期から反日洗脳教育を行う。そして敵愾(てきがい)心は日本のみならず、チベットやウイグル、台湾などの他、中国に批判的な全ての国や民族に向けられる。

3つの国家記念日

 2014年、中国は3つの国家記念日(祝日)を制定した。

・7月7日――1937年の盧溝橋事件を回顧する記念日
・9月3日――抗日戦争勝利記念日(大陸における日本の降伏を記念する日)
・12月13日――南京大虐殺記念日

 日本だけと戦ったわけではないのに、全て日本に関する記念日になっている。つまり、全ての中国人は年に3回、必ずこれらについてリマインドさせられる。そして、中国人は幼少期から「日本人は中国人を南京で30万人虐殺した」と徹底的に刷り込まれているのだ。

 石平氏が警告する。中国人の若いエリートは、酒を飲むと「いつか東京大虐殺を起こして復讐しよう」と盛り上がる、と。私はこの話には説得力があると思っている。先日、アメリカから帰省中の日本人の母親から恐ろしい話を聞いたからだ。
 現地の小学校で、生徒たちに日本の紙芝居を見せる授業があった。桃太郎だった。最初子供たちは大人しく見ていたが、桃太郎が刀を抜いて鬼退治をするシーンになると、突然、中国系の子供たちが立ち上がって、「日本人は中国人をたくさん殺した!」と興奮して大騒ぎになり、先生たちが慌てて鎮めるのに一苦労したという。

 このことからわかるように、中国政府は意図的に世界規模で中国人に「日本人は中国人を大虐殺した酷い民族だから、復讐の対象である」と幼少期から刷り込んでいるのだ。海外では現地の教育機関に潜り込み、全ての人種の子供たちに同様な教育を行っている。だから、石平氏は、「日本には中国の属国になって生きる道はない」と警告するのだ。韓国人にとって、中国の属国になることは先祖がえりに過ぎないが、日本人は復讐の対象とされているからだ。

中国に利用される韓国

 そのような中国にとって、韓国は手先として利用する対象でしかない。韓国人の反日感情を利用して、背後から慰安婦問題などを煽る。私は以前から、慰安婦問題の背後に中国の工作があることに気付いていた。サンフランシスコの慰安婦像は完全に中華系が主導した。さらに最近、アメリカから驚くべきニュースが舞い込んだ。

 デイリー・コーラーなどの報道によると、元サンフランシスコ市長で、カリフォルニア州選出のダイアン・ファインスタイン民主党上院議員が20年間にわたって雇用していた中華系アメリカ人スタッフが、中国総領事館からの指令で活動する中国共産党のスパイであったことが暴露されたのだ。

 5年前、FBIからそのスタッフが中国のスパイだと報告を受けたファインスタイン議員は、その中華系スタッフ、Russell Loweを懲戒することもなく、静かに退職させた。Loweは、その後も「元ファインスタイン議員のオフィスディレクター」の肩書きで様々な公式行事に参加。慰安婦像設置を許可した後に急死したサンフランシスコ市長のエドウィン・リーとも交流があり、昨年、2017年には、あのマイク・ホンダ元議員と韓国のソウルを訪れている。

 そしてなんと、今は、アメリカの一般大衆に日本の慰安婦制度の非道を伝えることを目的とするNPOの事務局長をしているという。

 この団体のホームページには、次のような記載がある。
「Our current project involves educating the public on the Japanese military's "comfort women" system, which forced over 200,000 girls and women from at least 13 Asian countries into sexual slavery by the Japanese Imperial Army before and during WWII(我々が現在取り組んでいるのは、日本軍の慰安婦制度について一般大衆に教育するプロジェクトです。慰安婦制度によって、少なくとも13のアジア諸国から20万人以上の少女や女性が第2次大戦前と最中、日本帝国陸軍の性奴隷になることを強制されました)」

 サンフランシスコの慰安婦問題の異様な高まりの背後には、このような中国共産党スパイの暗躍と工作があったのだ。目的はもちろん、日本を悪魔化し、アメリカ人に嫌悪感を持たせ、同盟を分断することだ。日米同盟が崩壊すれば日本を落とすことは容易い。

覇権的浸透工作

 ファインスタイン議員は、Loweが機密情報に触れることはできなかったと言っているが、かなりの情報が中国総領事館に直送されていたことは想像に難くない。
 そして、ファインスタイン自身の素顔も暴かれつつある。地元では既知の事実だったというが、80年代に上海市長だった江沢民とファインスタインは意気投合し、以来、40年近くにわたって密接な関係を続けてきた。ファインスタインの投資家の夫はその間に中国関係のビジネスで大きな利益を上げ、ファインスタインは一貫して中国の人権問題を擁護し、アメリカの最恵国待遇を与えるべく努力してきた。

 さらに、クリントン政権下で始まり、7年の歳月と3000万ドルの費用をかけた「ナチスと日本帝国の戦争犯罪を機密解除した機密文書から解析する省庁間作業(通称IWG報告)」に積極的に関わっていた。この作業はもともとナチスの戦争犯罪のみを対象としていたが、中国系の反日工作団体である世界抗日戦争史実維護連合会が強硬に要求した結果、日本帝国が含められた。

 また1996年の第3次台湾海峡危機の際、ファインスタインは李登輝総統に対して「台湾の指導者に求められることは、ひとつの中国を尊重することを明確に表明することだ」と迫った。
 これらの事実から、ファインスタイン自身が「最も親中的なアメリカ政治家」として、中国の利益を優先する活動を続けてきたことが明らかである。果たして彼女は、自分の部下が中国総領事館に出入りしていることを知らなかっただろうか?

 このように、中国の覇権的浸透工作がハード、ソフト両面で進行している。そして、中国にとって日本は復讐を果たすべき敵であり、歴史問題を日本の弱点と見て、徹底的に利用する戦略を実行している。これは謀略であり、もとより歴史的事実など興味がない。歴史は政策的に作るものなのである。その目的のために、韓国は徹底的に利用される。
 今、日中関係が改善に向かっていると報じられているが、現在、世界で起こっている現実に鑑みて、突然日中関係が改善するなどということがあるだろうか?

 中国の覇権的間接侵略に気付いた米豪、特にアメリカから敵視され、反日圧力を弱めざるを得なくなっただけだ。日本は喜んでしっぽを振るのではなく、尖閣への侵入や歴史問題を利用した反日工作を止めるよう、強く要求しなくてはならない。

 このような過酷な国際情勢において、前述した石破氏の歴史観と姿勢は日本の安全保障にとって決定的に危険なのだ。逆に言えば、中韓にとっては自分たちの戦略に最も好都合な政治家である。
 今そこにある危機を見抜けず、自ら利敵行為に走る政治家を絶対に担いではならない。それは日本滅亡に直結するハイウェイだ。


※この記事は『WiLL』2018年10月号に掲載された記事の再掲となります。
山岡 鉄秀(やまおか てつひで)
1965年、東京都生まれ。中央大学卒、シドニー大大学院、ニューサウスウエールズ大大学院修士課程修了。2014年4月、豪州ストラスフィールド市で中韓反日団体が仕掛ける慰安婦像公有地設置計画に遭遇。シドニー を中心とする在豪邦人の有志と共に反対活動を展開。オーストラリア人現地住民の協力を取りつけ、一致団結のワンチームにて2015年8月阻止に成功。現在は日本を拠点に言論活動中。新著に『日本よ、もう謝るな!』(飛鳥新社)、『日本よ、情報戦はこう戦え!』『新・失敗の本質』(ともに育鵬社)などがある。

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