安積明子:"激熱"自民総裁選でもカヤ外の石破茂氏

安積明子:"激熱"自民総裁選でもカヤ外の石破茂氏

気付いたらカヤの外?
 岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務大臣に続き、9月10日に河野太郎ワクチン担当大臣が出馬会見を開きました。有力候補はこれで出揃い、9月17日の告示日まで1週間を残していますが、すでに戦いの火ぶたは切られたということになります。

 それにしても壮絶な総裁選ですね。いち早く出馬会見をした岸田氏が「1期1年の党役員の任期を3期までに制限し、権力の集中と惰性を防止」「政治とカネ問題について国民に丁寧に説明し、透明性を高める」と意気揚々と主張しましたが、前者は菅義偉首相に5年間も自民党を牛耳ってきた二階俊博幹事長のクビを斬ることを決意させたものの、後者は安倍普三前首相の逆鱗に触れ、高市氏支援にまわらせてしまったという藪蛇状態。

 また9月8日の出馬会見が高評価で20人の推薦人を確保したと言われた高市氏も、9日の細田派の総会では一部の支援者を除いて「高市支持」にはけっこうクールな空気だったようで、さっそく高市氏の元夫の山本拓衆議院議員が推薦人集めに動いているとデイリー新潮が報道。なお同記事は野田聖子幹事長代行の元夫の鶴保庸介参議院議員も野田氏のために推薦人集めに奔走していると報じており、別れても愛はあるんだとしみじみ実感。これは総裁選とは全く関係ありませんけどね。
安積明子:"激熱"自民総裁選でもカヤ外の石破茂氏

安積明子:"激熱"自民総裁選でもカヤ外の石破茂氏

実はいまだに「カギ」を握っている人?
 そうした状況に少しでもチャンスがあるのかを窺っているのでしょう。石破茂元幹事長が9日のTBS番組で、森友学園問題について「国民の納得のために必要であれば」という条件を付けているようで付けていない独自の言い回しで再調査を主張。再調査を否定する岸田氏や高市氏とは異なるカラーを打ち出しました。

 しかし石破氏は、いまだ総裁選出馬に必要な20人の推薦人を確保できないため、出馬したくてもできないようです。石破氏が事実上率いる水月会は17名(休会中の山本有二元農水大臣を含む)ですが、平将明衆議院議員が広報委員長の辞表を鴨下一郎代表世話人に預けて河野氏を支援。平氏以外にも“逃亡者”はいるとの噂が絶えません。

 その中で注目されたのが、9月8日に緊急に行われた二階氏との会談でした。ところがその内容が伝わってきません。

 水月会の関係者は「本人が言いたがらないんだよなあ」と言っていましたので、あまり良いことではないのでしょう…。と思っていたら、あるところからこんな情報が!

 「石破さんは二階幹事長に推薦人を貸してほしいと頼んだが、(二階幹事長の秘書役の)林幹雄幹事長代理から、『水月会で何人が推薦するか、リストを出せ』と言われたらしい」

 うわっ!石破氏はそれで引っ込んだんですか!ということは、総裁選に4度出馬した石破氏は、事実上「5回目以降はない」ということになりかねない…。

 というわけでもないんですね。永田町の力学は非常に面白くて、10日の河野氏の出馬会見が非常に不評なので、二階氏が世論調査では河野氏に次ぐ人気の石破氏を拾い上げるのではないかという見方があります。というのも、二階氏にとって自分のクビを斬ろうとした岸田氏は絶対に許せないし、高市氏を支援する安倍前首相とはキングメーカーの座をめぐって密かに戦いを展開しているからです。御年82歳の二階氏ですが、覚醒した時の凄さといったら…。うーん、やはりジジイは恐るべし!!
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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