困難を抱える女性=メイドさん

「Colabo」問題に火を着けた暇空茜氏のツイートをご紹介しましょう。暇空氏はColaboに留まらず、同団体と連携する関連団体もまた、同様な問題を抱えているとしています。それら団体、「若草プロジェクト」「BONDプロジェクト」「ぱっぷす」はColaboとまとめて「WBPC」と呼ばれたりもしているので、本稿もそれに倣うことにしましょう。

 さて、その暇空氏が先日、上の若草プロジェクトについて、気になるツイートを投稿したのです。

《若草プロジェクトアウトリーチ活動報告書

「秋葉原路上でメイド姿などコスプレをして立つ困難な問題を抱える女性(家出少女や貧困少女や性虐待被害者)に話しかけ、悩みなど聞き取りをした

僕「それメイド喫茶のアルバイトやああああああ!!!!」

なおこれで4600万》


 Colaboスタッフが歌舞伎町で少女たちにアウトリーチ(声かけ)しているのは、ご存じかと思います。若草プロジェクトも同様に秋葉原でアウトリーチを実施し、貧困や性的搾取(さくしゅ)といった困難を抱える少女たちを救済するため、自警団よろしく日夜パトロールしているわけです。

 ――と、ここまでは結構なことなのですが、その「困難を抱える女性」というのが、なんとメイド喫茶のメイドさんだったというのです。暇空氏のツイートは若草プロジェクトの「令和4年度 第二四半期 東京都若年被害女性等支援事業に関する実施状況報告書」からの引用であり、報告書の画像も添付されています。
 報告書には「メイド姿の女性を見張っているスタッフ」から逆に声をかけられたとあり、意地悪な見方をするならば、彼女らこそが「不審者」と思われたのでは……との推測も成り立ちます。

 違法な店で働いているという確証でもない限り、メイドさんに声かけの必要があるのか極めて疑問ですし、ある意味では営業妨害とも言え、そうなれば店のスタッフから逆に声をかけられるのも無理はありません。ちなみに「これで4600万」とあるのは、令和4年度の、若草プロジェクトへの国と都からの支給額です(上には「日夜」と書いたものの、若草プロジェクトに限らずColaboも、そもそもこうした活動を報告通りに勤勉に行っているのか……といった疑惑がまずあるのですが、それはひとまず、措きます)。
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暇空茜氏の気になるツイート

女だけの寄生国家

 さて、そんなWBPCですが、「困難女性支援法」の成立にも大きく関わっていることは前回もお伝えした通りです。
 ところが、この法律について、また新たに問題が浮上してきました。

 同法の基本方針の原案には、支援対象者は「年齢、障害の有無、国籍等を問わない」と明記されていることが1月20日、判明したというのです(同法は去年4月に成立し、来年4月1日よりの施行です)。
 国籍を問わず、とにもかくにも女性へと国税を投入せよというわけです。

 Colaboが少女たちに「シェアハウス」と呼ばれる住居を(安価で)提供しているように、フェミニストたちは「男たちからのDVに苦しむ女性たち」を救済するための男子禁制のシェルターをつくりたがる傾向にあります(そして、彼女らが「声かけ」により見つけ出してくるDVや性的搾取が、非常にしばしば虚偽である点については、前回も述べた通りです)。
 同法では都道府県に女性相談支援センターを設置することが義務化されており、ここはシェルターとしての役割も持つとされています。他にも夥しい予算でシェルターがつくられる可能性は大きく、こうなるとそれら施設が(女性でありさえすれば)不法移民、不法就労者の駆け込み寺になってしまうことも考えられます。ましてや、仁藤氏(や、その関係者)は同法に関する有識者会議において、支援は「自立を目的とせず」に行われるべきと明記してほしいとの要望を出してもいるのです。

 こうなると国籍すらも異なる女性が、日本の(多くは男性によって支払われる)税により一生涯にわたって養われる、といったことも起こりかねません。何しろ仁藤氏は極めて韓国と関係が深く、元慰安婦支援団体・性議連のスポンサーになり、またドイツ慰安婦像の後援者にもなっている人物なのですから。
 しかし、(大前提としてどうしてここまで女性ばかり贔屓〈ひいき〉するのかということも疑問ですが、それに加え)国籍の違う者に安易にカネを投入していいのかとの懸念もありますが、ここにぼくはそれ以上の気味の悪さを感じました。
 連想したのは1995年にテロを起こしたカルト教団、オウム真理教です。彼らは組織内に「大蔵省」「治療省」「諜報省」など20近い省庁を設置し、言わば「国家内国家」の設立を目指していました。本件は、何だかそれと似ていないでしょうか。

 カネは日本の、多くは男性が稼ぐのだから、「国家内国家」というより「国家寄生国家」とも呼べますし、そもそも女性であれば国籍を問わないとなると、「超国家的組織」とも言えましょうが。
 そう、まさに彼女らのビジョンは「女だけの国」を作ること、否、「男のリソースを無限にチューチューできる、女だけの寄生国家」をつくることではないか……と、そう思われるのです。
gettyimages (13130)

目指すは「女だけの国」!?(画像はイメージ)

フェミニズムは共産主義のバリアント(変種)

 そして、そうなるとさらに思い出されることがあります。
 今では忘れ去られていますが、実のところ2000年代にも保守派によるフェミニズム批判が盛んになった時期がありました。一つに男女共同参画局が10兆円近い、あまりにも莫大な予算を獲得していること、そしてもう一つはフェミによる小学生を含む子供への、過激な性教育が問題になったことが原因でした。
 もっとも、現在においても男女共同参画局は同様の予算を獲得し、また(主に海外の話ですが)子供への「過激なLGBT教育」が盛んになっていることを考えると、残念ながらぼくたちはフェミに対し、結局有効な手を打てなかった、ということになりますが(だからこそ、暇空茜氏の活動は本当に貴重なものなのです)。

 ともあれ、その当時によく言われたのは「フェミニズムは共産主義のバリアント(変種)だ」ということです。
 確かにフェミニズムとは、共産主義における資本家と労働者の関係を雑に男女に準(なぞら)えたものであると言えます。男は支配者で女は家事という名のアンペイドワークを強制される奴隷である、女も働いて自立せよ、というわけですね(今、ここを読んで「女は奴隷だ!」との決めつけに苦笑した方の中にも、しかし「女性の社会進出」と聞くと、何かいいことのように思ってしまう方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。つまり、フェミニズムの洗脳というのは想像以上にぼくたちの脳を蝕〈むしば〉んでいる、ということなのです)。

 しかしさらに言うならば、フェミニズムの「家族否定」の思想、それこそが共産主義との、最も大きな共通点ではないでしょうか。前回お伝えしたColaboの少女を家庭に戻そうという意識の希薄さ、そして「記憶戦争」や「DV冤罪」が家庭を破壊してきた歴史は、すなわちそうしたフェミの理念に基づいたものだったわけです。
 2月19日に刑事告発した女性からも、それを感じます。その女性はガールズバーで働いていたところColaboから声をかけられ、唆(そそのか)されるようにして店を辞め、シェルターに入りました。状況をオーバーに申告することで生活保護の給付を受けるのですが、得られた保護費ももとから持っていた所持品もColabo側に管理されていたそうです。
 それだけでも大問題ですが、彼女がシェルターを出てしばらくしてから、預けておいた所持品を引き取ろうとすると、それらは既に勝手に処分され、彼女の生活保護費もそれらの処分費用として使われてしまっていたといいます。その中には彼女にとって大切であろうアルバムも含まれていたそうです。

 ここからは私有財産権や、(アルバムの件から推察するに)家族関係というものを、同団体が極めて軽視していることが窺(うかが)えるのではないでしょうか。
 事実、男女共同参画会議議員である経済学博士、橘木俊詔(たちばなき・としあき)氏は少子化対策として、キブツ共同体の復活を唱えていると言います。このキブツとはイスラエルにおける農業共同体であり、全財産の集団所有、徹底した共同生活、子供の共同育成などを特色としています。つまり私有財産もプライバシーもなく、子供は親から引き離され「社会で育てる」という、原始共産制的なコミュニティ。それこそが、まさにフェミの理念にぴったりと合致するもの、というわけです。

立派な「シェルター2世」が生まれる

 さて、ここで冒頭のエピソードを思い出してください。
 メイド喫茶への、考えようによっては冤罪(えんざい)に近いような「声かけ」をすることが「困難女性支援」だとして莫大な予算を獲得しているというだけで充分笑えない話ですが、以上のことを鑑みるとWBPCの活動は、さらに笑えないものになるのではないでしょうか。
 
 なにせ、ポルノも風俗も全て女性への搾取なのだから廃止せよというのがWBPCの、いえ、およそあらゆるフェミニストの考えなのですから。
 だから彼女らが先の暇空氏のツイートを見たら、以下のように言うことが想像できるわけです。

――あらゆる風俗は女性への性的搾取である。だからメイド喫茶の店員ももちろん、性的搾取の被害者。声をかけ、救いの手を差し伸べるのは当然のことだ。正当な活動をしていた我々を批判する暇空こそ悪質だ。

 そう、確かにいわゆるメイド喫茶は風俗営業に該当することも多いのです。何しろお客さんといっしょにカラオケをしたり、料理を食べさせてあげたりするサービスもありますから、それがキャバレーなどに類する「接待行為」とされているのです。
 もちろん、その程度の接待が性的と呼ぶべきかは疑問ですし、本当にウェイトレスさんの代わりにメイドさんが接客するだけのメイド喫茶もあるのですが、仁藤氏は以前より秋葉原やメイド喫茶を犯罪者が溢れる児童買春の温床であるかのように語っておりました。例えば彼女の著作『女子高生の裏社会』では秋葉原にはメイド姿や制服姿の少女たちが溢れ、オタクは彼女らを物色している、などと表現されていますが、そもそもその少女たちを「女子高生」だと繰り返し断言する理由が不明だし(いちいち年齢を聞いて回ったのならば別ですが)、オタクも多くは生身の少女よりはゲームやフィギュアなどを「物色」していたことでしょう。
 また彼女は海外のメディアの取材を受けたこともあります。(暇空氏より以前より仁藤氏の問題を追っている)エコーニュースの記事には以下のようにあります。

《米国、イギリス、ドイツ、ロシア、中国、イタリア、スペイン、インドネシア、ベトナム、ベルギーの、少なくとも10カ国で26の海外メディアによって「日本人男性は女子生徒に異常な性的執着を持つ」「秋葉原のJKビジネスやメイドカフェは児童買春の隠れ蓑」「秋葉原には児童ポルノが販売されている」という報道が今年の5月以降に出されていることが分かった》(「日本のメイドカフェ、実態は単なる買春産業。女子児童が強姦されても警察は捜査しない」・・・エミー賞受賞の米国記者や英デイリーメールなど、26の海外メディアが日本を集中砲火」)

 これらメディアに情報を発信した中心人物こそ、仁藤氏だったというのです。
 そんなことから、そもそもWBPCの活動のスタートラインにはこうしたアキバ文化、オタク文化への(大幅な曲解の上での)憎悪があったのではないか……と見る向きもあります。
 フェミニストにしてみれば、仮にメイド喫茶にあからさまな性的要素がなくとも、女性が「下位」に置かれ、「ご主人さま」に奉仕するという構造そのものが憎くてたまらないのでしょう。仁藤氏自身も、その思いを吐露しています。

《夫のことを「主人」とも言いたくない。私は犬じゃないんだし。私の主は自分だし。主人と聞くと15歳でメイドカフェでバイトしてたときのこと思い出す。男性客を「ご主人様」と呼び、客が入店したら「おかえりなさいませ」と言い、食事の世話などを「ご奉仕」するというやばいコンセプトの店なんだけど》

 しかしながら、メイド喫茶と言えば高校の文化祭における出し物としても、定番です。可愛らしいコスチュームを着ることも、お客さんに奉仕して感謝されることも、少女自身が望んでしていることと考える他はありません。これはフェミニストたちの「萌え絵は性的搾取であり、けしからぬ」といった主張と、普通に女性たちが自発的に萌え絵を描いているという現状と、パラレルです。
「萌え」という女性性の魅力を描く文化。性的か否かよりも前に、フェミニストたちは何よりそれそのものを、まずつぶしたくて仕方がなかったわけです。

 だからこそWBPCは単なるバイトのメイドさんのことを「困難女性」と断じ、声をかけ続けるのです(念のために申し添えておきますと、仁藤氏は混同しているフシがあるのですが、メイド喫茶のメイドさんは女子高生とは限らず、いわゆるJKビジネスとは全然別物です。だから上のメイドさんも女子高生かどうかも判然としないのです)。

 それは前回お伝えした「記憶戦争」のように、少女たちを「わたしたちは性的搾取された」と誘導する振る舞いに、容易につながります。そして少女たちは、シェアハウスという名の「女だけの国」の「国民」になる資格を得る――ぼくにはそんなシナリオが書かれているようにしか、思えません。
 そして来年より施行の困難女性支援法によって、男性は働きバチのごとくカネを稼ぎ、岸田さんの増税によってチューチューされたそれを(多国籍の)女性が(不)平等に分配する。子供は親から(分けても父親から)引き離されて育てられるのだから当然、フェミニズム教育を受け、立派な「シェルター2世」となる。
 そうした共産主義国家、日本はもう、始まりつつあるのです。
 (13131)

仁藤夢乃氏のツイート
兵頭 新児(ひょうどう しんじ)
本来はオタク系ライター。
フェミニズム、ジェンダー、非モテ問題について考えるうち、女性ジェンダーが男性にもたらす災いとして「女災」という概念を提唱、2009年に『ぼくたちの女災社会』を上梓。
ブログ「兵頭新児の女災対策的随想」を運営中。

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