さまざまな疑惑

 仁藤夢乃氏が代表理事を務める「Colabo」の炎上が続いています。

 仁藤氏はフェミニスト活動家で、Colaboは10代女性を搾取(さくしゅ)や暴力から守ることを目的とした一般社団法人なのですが、去年の夏頃から解説系YouTube投稿者の暇空茜(ひまそらあかね)氏が同団体の不正会計疑惑を指摘し始めたことが、騒動のきっかけになりました。

 本件についてはこの1~2カ月で本当に大きな話題に成長してしまい、要点をまとめるだけでも大変なのですが、ごく簡単に済ませますと、報告書に記載された諸々の経費が過剰なものなものなのではないか、また保護した少女に生活保護を受給させた上で、それを徴収しているのではないか(これが事実であるなら、まさに「貧困ビジネス」です)……といった点が疑われているのです。

 仁藤氏は暇空氏を提訴、8人の弁護団が組まれたのですが、暇空氏も徹底抗戦の構え。(元より資産のある方らしいのですが、それに加え)カンパを募り、1月15日時点で7500万円の大金が集まる結果となりました。仁藤氏は以前より萌えキャラを女性差別であると否定したり、またAV新法の立法の折、「そもそもAV自体を全廃すべき」と主張するなどしており、オタク業界、風俗業界に恨みを買っていたことが、この結果につながったのかと思われます。

 1月4日には住民監査請求の結果が公表されました。ここではColabo側の支出について「不適切な点」「妥当性が疑われる」点があるとしながらも、暇空氏の主張については大半を「妥当でない」とする、どうにも奇妙な結論が出されており、これがColabo側に「監査請求人が主張した事実のほとんどが認定されなかった」と「勝利宣言」させることともなりました。ともあれ、この点については都に対し、経費の実態を再調査する勧告がなされたため、まずは2月末に出るであろうその結果、そしてまた暇空氏がこの結果に不服として起こすとしている住民訴訟の結果をを待つしかありません。
YouTube (12932)

「Colabo」代表理事、仁藤夢乃氏(マイクを持っている女性)
via YouTube

「ナニカグループ」という勢力

 しかし暇空氏の指摘はこれに留まりません。彼はColaboの件は氷山の一角だとして、水面下に「ナニカグループ」という勢力を想定します。なんだか「ディープステート」めいた用語ですが、要するにColaboやその関連団体とも称するべきNPO法人ぱっぷす、特定非営利活動法人BONDプロジェクト、若草プロジェクトといった諸団体(各々の組織のメンバーは関係が極めて深いようです)のバックに見え隠れする勢力を、仮に「ナニカ」と命名しているわけです。

 こうした諸団体は公金を不正に受給するとともに、風俗や漫画、アニメと言った文化の徹底した規制、締めつけを行うばかりではなく、性的行為にまつわる法規制を強めることで秘密警察的に立ち回るのではないか、というのが、暇空氏の描く未来図です。
 さすがに空想的だと思われるでしょうか。

 しかし先にも名を挙げた「AV新法(AV出演被害防止・救済法)」も、制定のきっかけをつくったのは上にあるぱっぷすだったのです。同会の旧称は「ポルノ被害と性暴力を考える会」であり、そもそもポルノ自体の根絶を目的とした団体と言っていいでしょう。
 
 さらには「困難女性支援法」と呼ばれる法律も去年の5月に成立し、来年4月よりの施行を待つばかりです。これはもちろん理念としては、生活上の困難を抱える女性を支援しよう、というモノなのですが、これがつくられるにあたって行われた有識者会議にも、やはり仁藤氏を筆頭に上の諸団体のメンバーが多く加わっているのです。

 ここで仁藤氏が掲げた要望を見ていくと、彼女らにとって極めて都合のいい要求が並んでいます。
 支援は「自立を目的とせず」に行われるべきと明記してほしい(つまり、経済的自立をしなくても永遠に支援を続けろ、ということなのでしょう)、またそれらの方針を地方自治体に強制力を持って実行させる法律にしてほしい、情報開示請求などがあった場合にも自分たちの情報は守ってほしい、また支援する民間団体は女性が主体になったものを想定すべき(自分たちが認める者だけを仲間にしたい、ということでしょう)、等々(そして実際、同法では都道府県に女性相談支援センターを設置することが義務化されています)。

 ことに「自立を目的とせず」にはぎょっとさせられますが、ここにはどこか労働によってではなく、国からの分配で食べていくことをよしとする考えが、前提されているように思われてなりません。
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さまざまなNPO法人があるが……(画像はイメージ)

極めて閉鎖的で、社会に背を向けている

 今回、本件について語られる際、常に「窮乏(きゅうぼう)している少女を助けるという理念自体は決して否定されるべきではない」といった前置きがくっついてきました。
 しかし、こうして見ると公金の不正受給のみならず、彼女らの理念そのものに大きな問題があると考えざるを得ないのではないでしょうか。
 もちろん、「困っている者(ことに年少者)を助けるのが悪いことか」と問われれば、誰だってそれを否定することはできません。

 しかし同団体はまず、「年少の女性」を限定的に助けることを目的としており、そこに違和を感じないわけにはいきません。以前もお伝えしている通り、ホームレスの圧倒的多数が男性であること(「女性の方が常に危険」というフェミのヘンな前提)、また暴力被害者も基本、男性が多いことは歴然たる事実です。しかし「女性を救え!」というかけ声には誰もがついつい、同調したくなる。

 近年、ネットで囁(ささや)かれる「キモくてカネのないおっさん」理論を引きあいに出すまでもなく、まず女性の年少者と男性には圧倒的な「愛され格差」があり、それを考えた時、同会の予算が適正かは、いよいよ重要な問題になってきましょう。
 仁藤氏がフェミニストであることからもわかるとおり、同団体が少女の救済を理念に掲げている根底には「女性は男性に性的に搾取されている存在だ」との世界観があります。またこの通念にはそれなりの普遍性がありましょう。しかしそもそも日本には性犯罪が驚くほど少ない。そうした通念と実態の乖離(かいり)こそが「不正会計」として現れているのだとしたら、全く笑えない話です。

 例えばColaboには1億8000万円の積立金があるとされていますが、同団体はそれを「シェルターを増設するための正当なもの」と説明しています。
 一般にこの種のシェルター(Colaboは「シェアハウス」と呼称することが多いのですが、本稿では「シェルター」で統一します)というものは、成人して結婚した女性が夫からのDVに悩まされている時、その避難所として用意されるものです。

 しかしColaboは「中高生の少女」の保護を主なる目的としており、noteで積極的に評論活動をしているアルファツイッタラー、小山晃弘氏はこれを児童福祉系の支援団体としては極めて異例であると指摘しています。
 同氏はかなり早い段階でColaboには普通の福祉系支援者であれば最初に考える、家庭における児童の環境調整という発想がないこと、仁藤氏自身が様々なメディアで児童相談所などに対する不信感を露わにしていて、「社会的養護に対して極めて対立的な姿勢を取っている」こと、さらに「Colaboでは中卒か高校中退が普通」と明言されていて、保護児童の進学支援を蔑(ないがし)ろにしているのではないかと疑われることなどについて指摘していました。

 一言で言えばColaboは極めて閉鎖的であり、社会に背を向けているのだ、とまとめることができましょう。
 本件が語られる際、「(仮にColaboに問題があるとしても)フェミニズムはことの本質ではない」、つまり「フェミニズムそのものは悪しきものではないのだ」といった意見も聞かれました。いえ、フェミニズム関連の問題が起きるたび、この種の物言いは必ずなされるものではありますが。
 しかし、この閉鎖性はまさに、「フェミニズムに端を発するもの」としか、言いようがありません。何となればフェミニズムはまず、家庭を「家父長制」の根源として、全否定する思想なのですから。以前もお伝えしたことがありますが、フェミニズムには「異性愛強制社会」という概念があります(LGBT運動で大衆を見下す醜いフェミニストたち)。家庭はおろか、それに前提する「異性愛」そのものが男たちが女を家庭に押し込めるためにつくり上げた、支配のための装置である――そんな途方もない考えが、フェミニズムの根底にはあるのです。
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フェミニズムは家庭を「家父長制」の根源として、全否定する思想

偏向した政治性を植えつけている?

 先の「シェルター」という存在もまた、そうした閉鎖性を象徴するものであると言えます。
 普通のシェルターはDV支援のためのものなのですが、これについてはもう10年以上前から冤罪(えんざい)が問題となっています。何らDVの実態のない家庭がフェミニストカウンセラーに唆(そそのか)され、夫へと冤罪を仕掛け、妻子がシェルターに避難、夫は子供と会うことすら適わなくなる……といった事態が頻発しているのです。いわゆる「子供の連れ去り」問題です。

 このことは国際的にも問題となっています。少々旧聞に属しますが、2010年にはハーグ条約(国際結婚が破綻し、一方の親が自国に子どもを勝手に連れ帰った場合に元の国に戻すことなどを定めた法律)をめぐり、米国のキャンベル国務次官補が東京都内で記者会見したのですが、その内容はDVから逃れて米国から日本へ帰国する日本人の元妻らがいるが、「実際に暴力があった事例はほとんど見つからない。相当な誤認だ」「大半は米国内で離婚して共同親権が確立しており、これは『誘拐』だ」といったもの。
 ハーグ条約そのものは日本でも2014年に締約したのですが、いずれにせよ日本では(欧米では普通である「共同親権」ではなく)親権者が父母のどちらかとなる「単独親権」の制度が採用されているため、離婚後は父親に極めて不利な状況になるわけです。

 また、少々事例としては異なりますが、欧米では80~90年代にかけて「記憶戦争」と呼ばれる騒動が起こりました。フェミニストカウンセラーが(主に)女性の患者に「あなたは乳幼児期に親(多くは父親)に性的虐待を受けていた」と吹き込み、家庭を破壊した、というものです。これは治療によって「抑圧され、忘れ去られた(虐待された)記憶」を回復するといった過程を経ることが多かったのですが、やがて人間は自らの「過去の記憶」をいとも簡単に捏造(ねつぞう)してしまうこと(「偽記憶症候群」)が知られるようになり、騒動は終結を迎えました。

 こうした「過去の性的虐待の記憶」はフェミニストカウンセラーの歪(ゆが)んだ思想を根本とする「願望」が生み出したものというほかはありません。事実、記憶の回復はおろか、会ったこともない、電話をかけてきただけの女性に過去に虐待されたのだと断言するカウンセラーまでいたといいます。カウンセラーはまるで患者の家庭を破壊することが目的であるかのごとく立ち回り、患者が親へと「お前は私に性的な虐待を加えたのだ」と宣告することが癒しとなるのだと説きます。
 これにより破壊された家庭は数万に及ぶともいわれていますが、日本でこの事件が紹介される時、極めて不思議なことに、フェミニストカウンセラーによって引き起こされたものであることは決まって巧妙に隠されます。

 お断りしておきますが、「子供の連れ去り問題」におけるDV冤罪、「記憶戦争」における幼児虐待冤罪そのものは、本件とは直接関係のないことであり、Colaboが近しいことをしているのだ、と主張することが本稿の目的ではありません。
 ただ、Colaboが極めて閉鎖的な性質を持っているのは、その根本に「子供を家庭から引き離すべきだ」とのフェミニズムの理念があるからであり、そしてそうした歪んだ理念はかつてより社会に大打撃を与えてきた、ということを指摘したいのです。

 Colaboでは保護児童たちを沖縄辺野古での基地反対の座り込み運動に動員しているといった疑いも持たれています。少女たちを「オルグ」めいた手段で政治運動に取り込んでいるのではないかとの推測がなされているわけです。フラットとは言いがたい政治性が、どうにも感じられるわけです。
 同団体について、「少女たちを救う理念は正しい」といった語り方をするのは止めて、「少女たちに偏向した政治性を植えつけているとしたら、許せない」と語るべきなのではないでしょうか。
兵頭 新児(ひょうどう しんじ)
本来はオタク系ライター。
フェミニズム、ジェンダー、非モテ問題について考えるうち、女性ジェンダーが男性にもたらす災いとして「女災」という概念を提唱、2009年に『ぼくたちの女災社会』を上梓。
ブログ「兵頭新児の女災対策的随想」を運営中。

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この記事へのコメント

2023/4/3 20:04

やたらとバスに拘る理由
もしかして白い粉の取引所?

2023/4/3 20:04

チョンの間バスのやり手ババア

兵頭新児 2023/3/3 15:03

コメントありがとうございます!
気づくのが遅れてしまい、すみません。
編集部の方にお報せしたので、直していただけるかと思います。
これからもどうぞ応援、よろしくお願いします!

通りすがり 2023/2/26 18:02

文中

LGBT運動で大衆を見下す醜いフェミニストたち
https://web-willmagazine.com/social-history/pqSu3%EF%BC%89
末尾に「)」がついててリンク先に飛べません
https://web-willmagazine.com/social-history/pqSu3
でいけました。ご報告まで

記事自体は様々な関連情報がまとまってて良いと思います

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