杉山大志:若者に「無理」と笑われている≪カーボンニュー...

杉山大志:若者に「無理」と笑われている≪カーボンニュートラル≫

王様は裸?

 いま日本は「カーボンニュートラル祭り」である。政府、自治体、経済団体は、こぞって「2050年カーボンニュートラルを目指す」、つまりCO2をゼロにする、脱炭素だ、と宣言している。

 でも普通に考えればそんなことはまず出来ず、無謀な目標なのだが、幸いなことに、日本の若者は賢いので、不可能だと分かっているようだ。

 以下に紹介するのは日本財団が実施した「脱炭素について」の「18歳意識調査」の結果の一部である。

 質問は以下の通り:・

 〇政府は2050年までに日本の温室効果ガス排出を実質ゼロにする政策目標として「2050年カーボンニュートラル」を掲げました。実現可能だと思いますか。

 →回答者は1000人で、以下の結果になった。
若者に聞いた「2050年カーボンニュートラル」の実現可能性

若者に聞いた「2050年カーボンニュートラル」の実現可能性

via 日本財団「18歳意識調査」 第34回テーマ:脱炭素について
 なんと、「はい」より「いいえ」が遥かに多い! 首相の方針を若者が却下しているのだ!

 痛快なのは自由記述欄にある辛辣なコメントである。以下、筆者による傑作選―

冷静な若者たちの意見

 ① 非現実的です! という意見

 ・ 非現実的で実現可能な政策だとは思わない。政策として最も無駄な支出だと感じる。果たしてこれまでの政策によってどれほど効果が出たのか疑問である。このような政策にお金を支出するのであれば、目の前の課題をきちんと解決してほしい。

 ・経済を優先させると、達成が難しい

 ・削減は出来ても今の社会と技術では実現は不可能

 ・日本は排出しなくなっても他国に二酸化炭素を排出させることはあり得る

 ・生活のあらゆるところで二酸化炭素が排出される

 ・たった30年近くで実現させるのは難しい

 ・それが実現可能ならもっと早くから事業や行動を行なっていただろうし、具体性が感じられない

 ・現実的に見て、経済活動を行ううえでは化石燃料を使わないというのは難しい

 ・普通に考えて0にするのは無理だと思う

 ・何かを製造するのに二酸化炭素が発生する

 ・二酸化炭素削減の開発は進んでいるかもしれないが各企業や家庭まで普及されておらず、減りそうだという実感がない。技術が生まれても、普及させて二酸化炭素をゼロまで減らすのは、残り30年足らずで達成できるかどうか怪しいと感じた。

 ・カーボンを無くすことは今の状態では不可能だと思う。私たちの生活にすごく大切なもの。代わりになるものがない。

 ・冷静に考えて実質ゼロにするのは技術やお金、時間的に不可能。
 ② エネルギーは大事です! という意見

 ・現段階のエネルギー開発事情から見てみて、100%不可能です。

 ・代わりとなる燃料や発電方法がない、もしくは発電方法はあるが根拠もなく反発してくる輩がいる

 ・安定したエネルギー供給ができなくなりそう

 ・火力発電の供給が大事だ

 ・日本は電力問題があり、国民感情的にも、状況的にも火力に頼らざるを得ない

 ・現在の生活を続けるためには、再生可能エネルギーだけではエネルギー量が足りないと思う

 ・現状として火力発電に大きく依存しており他の発電ではこのままだと日本全体の電力需要に堪えられない
杉山大志:若者に「無理」と笑われている≪カーボンニュー...

杉山大志:若者に「無理」と笑われている≪カーボンニュートラル≫

若者たちの冷静な意見は頼もしい
 ③ 政府は言うだけです! という意見

 ・いま提唱した政治家がこの頃には間違いなく生きていないので、言うだけは自由で当時の人間が達成するかは不透明

 ・今の日本政府では到底無理です。デジタル化も進めない国では到底無理です

  ・ 世界の流れとして当然のことだとは思うが流れに乗っただけで具体的なビジョンは見えてこない

 ・今まで様々な目標を立ててきたが、ほとんどが予定通りに行っていない。

 ・ 抽象的過ぎる

 ・ 日本の政府は信じることができない

 ・ 目標にするのはすごくいいと思うが、解決に繋がるような具体的な提案があまりない。

 ・言うだけなら誰にでもできるが今の政府や政治家が真剣に取り組むとは思わない。

 ・そう言って出来た試しなくね

 ・夢の話

 ・具体性がないただの理想論。

 ・もう少し具体的で実行しやすい目標を立てるべき
 ④ もっと大事なことがある! という意見

 ・日本の経済が終わりそうだ

 ・他の問題もある。

 ・震災の多い日本では何かあった時には対処する為に活動を見送りにする可能性が高い

 ・二酸化炭素の排出を抑制しようとすると新しいエネルギー源を開発しない限り経済活動の縮小は免れないと思うが、政府がそこまでしてやるとは思えない

 ・地震や不況でそれどころじゃなくなると思う

 ・ する必要がない

 ・ それをすることによって本当に効果があるかわからない

 ・ やった所で改善しない

 ・ 何もかも意味のない対策(レジ袋有料化やガソリン車廃止)を行い、余計に温室効果ガスを増加する政策をとっている

頼もしい日本の若者たち

 以上、面白いのでついつい長くなってしまった。どれもこれも、ごもっともな意見で、いま流行りの浮わついたオトナの空想論とは雲泥の差だ。中でも「また大震災があったらどうせ政策変更するのではないか」という意見には、ハッとさせられた

 若者たち、すごく冷静で頼もしい。きっとスウェーデンの若者の様に脱炭素デモに出かけたりせず学校に通ってまじめに勉強しているお陰だろう。君たちがいれば日本は大丈夫そうだ。
杉山 大志(すぎやま たいし/キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。
国連気候変動政府間パネル(IPCC)、産業構造審議会、省エネ基準部会等の委員を歴任。産経新聞・『正論』レギュラー寄稿者。著書「地球温暖化のファクトフルネス」を発売中。電子版99円、書籍版2228円。

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