イデオロギー教育と化す「環境教育」
いま子供たちは、「地球は気候危機にある」「2050年までのCO2をゼロ(=脱炭素)にしないと破局が訪れる」というスローガンを毎日のように浴びている。メディアでも学校でも、そう教わっている。
しかし、その根拠となるデータを教わることはない。
観測データ、統計データを見れば、
・北極の海氷が無くなって絶滅すると言われたホッキョクグマはじつは増えている。
・温暖化によって海面上昇で沈没すると言われたサンゴ礁の島々は沈んでなどいない。
・温暖化で激甚化しているとされる台風は強くなっていない。
といったことが、はっきりとわかる。
環境運動家グレタ・トゥンベリは「科学の声を聴くべきだ」といって一部の政府役人や学者の意見に従うように訴えている。しかし特定の人の意見を聞くというのは「政治的」態度にすぎない。科学的態度とは、データに基づいて論理的に考えることだ。
しかし、その根拠となるデータを教わることはない。
観測データ、統計データを見れば、
・北極の海氷が無くなって絶滅すると言われたホッキョクグマはじつは増えている。
・温暖化によって海面上昇で沈没すると言われたサンゴ礁の島々は沈んでなどいない。
・温暖化で激甚化しているとされる台風は強くなっていない。
といったことが、はっきりとわかる。
環境運動家グレタ・トゥンベリは「科学の声を聴くべきだ」といって一部の政府役人や学者の意見に従うように訴えている。しかし特定の人の意見を聞くというのは「政治的」態度にすぎない。科学的態度とは、データに基づいて論理的に考えることだ。
環境教育とは、決して「環境運動家になるよう洗脳する教育」ではなく、「データをきちんと読んで自分で考える能力をつける教育」であるべきだ。
イギリスでは、国営放送BBCなどが地球温暖化で起きる恐ろしい災害なる映像を連日放送した結果、子供の5人に1人が地球温暖化による災害の悪夢を見るにいたったという報告もある。
だが、「みんなが言っている」から正しいとはかぎらない。思いこみにとらわれず、データをもとに“地球の今のすがた"を理解しなくてはいけない。
じつは必要なデータは、どれも公開されているものばかりで、だれでも探して見ることができる。それにもかかわらず、本当にデータを知っている人は、メディアにも政治家にも官僚にもほとんどいない。それだけ、大人でもデータを見ていない人ばかりなのだ。それより始末が悪いのは、都合が悪いデータを故意に無視する大人が大勢いることだ。
イギリスでは、国営放送BBCなどが地球温暖化で起きる恐ろしい災害なる映像を連日放送した結果、子供の5人に1人が地球温暖化による災害の悪夢を見るにいたったという報告もある。
だが、「みんなが言っている」から正しいとはかぎらない。思いこみにとらわれず、データをもとに“地球の今のすがた"を理解しなくてはいけない。
じつは必要なデータは、どれも公開されているものばかりで、だれでも探して見ることができる。それにもかかわらず、本当にデータを知っている人は、メディアにも政治家にも官僚にもほとんどいない。それだけ、大人でもデータを見ていない人ばかりなのだ。それより始末が悪いのは、都合が悪いデータを故意に無視する大人が大勢いることだ。
拙著『15歳からの地球温暖化』(育鵬社)にも子供向けに読みやすいように各種データを紹介したが、観測データ、統計データを見る限り、気候危機などどこにも存在しないことは明らかだ。
未来予測の不確かさ
では不吉な未来予測はどうか。
地球温暖化による被害の予測のほとんどは、未来を対象としたシミュレーションに依存している。しかしこれは要注意だ。
そもそも、気候がどう変わるかというシミュレーション自体が、とても不確かなものだ。
さらに、人間社会が変わり続けること、そして人間社会が実に柔軟に気候の変化に適応してしまうことは、シミュレーションではまず表現できない。
たとえば、温暖化のせいで、熱中症による死者が増えるという試算がある。もちろん、暑い日でも今とまったく同じように人が行動していれば、死者は増えるかもしれない。けれども、より暑くなったのならば、行動を変えない人はほとんどいない。それに、建物の断熱性能は良くなり、エアコンはますます普及していく。ICT も活用して健康管理や老人見守りサービスも発達する。こういった人間社会の変化は、シミュレーションにはほとんど反映されていない。
実際には、今から100 年かけて気温があと1~2℃上がったとしても、適応能力の向上を考慮するならば、東京に住む人にとって、熱中症で死亡するリスクは減る一方であろう。
人間社会の変化は温暖化の進行よりはるかに速い。だから、「人間社会の諸事情を現在と同じにして」という前提の下で、将来の地球温暖化による被害をシミュレーションしても、現実にはほとんど意味のない結果が出てくる。
地球温暖化による被害の予測のほとんどは、未来を対象としたシミュレーションに依存している。しかしこれは要注意だ。
そもそも、気候がどう変わるかというシミュレーション自体が、とても不確かなものだ。
さらに、人間社会が変わり続けること、そして人間社会が実に柔軟に気候の変化に適応してしまうことは、シミュレーションではまず表現できない。
たとえば、温暖化のせいで、熱中症による死者が増えるという試算がある。もちろん、暑い日でも今とまったく同じように人が行動していれば、死者は増えるかもしれない。けれども、より暑くなったのならば、行動を変えない人はほとんどいない。それに、建物の断熱性能は良くなり、エアコンはますます普及していく。ICT も活用して健康管理や老人見守りサービスも発達する。こういった人間社会の変化は、シミュレーションにはほとんど反映されていない。
実際には、今から100 年かけて気温があと1~2℃上がったとしても、適応能力の向上を考慮するならば、東京に住む人にとって、熱中症で死亡するリスクは減る一方であろう。
人間社会の変化は温暖化の進行よりはるかに速い。だから、「人間社会の諸事情を現在と同じにして」という前提の下で、将来の地球温暖化による被害をシミュレーションしても、現実にはほとんど意味のない結果が出てくる。
地球温暖化の被害というと、おどろおどろしい映像を流して「何となく」怖くして、「CO2 排出をゼロにしなくてはならない」という認識が広く流布されてきた。しかし、本当のところは何が困るのか、冷静に見極める必要がある。
2021年1月のNHK スペシャル『2030 未来への分岐点(1)「暴走する温暖化“脱炭素” への挑戦」』では、「すでに温暖化の悪影響が起きている、地球が壊れている、今すぐ行動しないといけない!」といって、最近欧米で流行している、若者が温暖化阻止訴運動の学校ストライキとデモの様子を流し、日本の若者に「行動せよ!」と訴えていた。
しかし若者は、学校でストライキをする前に、データを読めるように勉強して、事実関係を自ら確認するべきではないのか?
まずは「思いこみ」や「人から聞いた話」ではなく、「観測や統計のデータ」にもとづいて考える力を付ける必要がある。その上で、何をすればよいか、知恵を働かせて判断すべだ。
2021年1月のNHK スペシャル『2030 未来への分岐点(1)「暴走する温暖化“脱炭素” への挑戦」』では、「すでに温暖化の悪影響が起きている、地球が壊れている、今すぐ行動しないといけない!」といって、最近欧米で流行している、若者が温暖化阻止訴運動の学校ストライキとデモの様子を流し、日本の若者に「行動せよ!」と訴えていた。
しかし若者は、学校でストライキをする前に、データを読めるように勉強して、事実関係を自ら確認するべきではないのか?
まずは「思いこみ」や「人から聞いた話」ではなく、「観測や統計のデータ」にもとづいて考える力を付ける必要がある。その上で、何をすればよいか、知恵を働かせて判断すべだ。
杉山 大志(すぎやま たいし/キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。産経新聞・『正論』レギュラー寄稿者。著書に『脱炭素は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『15歳からの地球温暖化』(扶桑社)、『地球温暖化のファクトフルネス』『脱炭素のファクトフルネス』(共にアマゾン他)等。
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。産経新聞・『正論』レギュラー寄稿者。著書に『脱炭素は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『15歳からの地球温暖化』(扶桑社)、『地球温暖化のファクトフルネス』『脱炭素のファクトフルネス』(共にアマゾン他)等。