名誉毀損天国、韓国

室谷 『反日種族主義』(李栄薫編著)が日韓で売れています。文在寅支持派が読んだら、どういう印象を持つでしょうか。

 曺国氏は「吐き気がする親日派の本」と感情的な反応を示しています。さらに従軍慰安婦系の市民団体が、李栄薫教授を名誉毀損で訴えたし、著者の1人、李宇衍氏が、2016年にソウルの龍山駅前に建てられた徴用工像等のモデルは、旭川新聞に掲載された日本人の労働者の写真だと主張したことについて、像を制作した作家、キム・ウンソン、キム・ソギョン夫婦は「自分たちの想像の産物だ」と反論し、6000万ウォンの名誉毀損の民事訴訟と刑事訴訟を起こしています。

室谷 韓国では名誉毀損罪と職権乱用罪ばかり(苦笑)。

 『反日種族主義』でも取り上げられていましたが、韓国では偽証罪や誣告罪(虚偽に基づく告訴)がとても多く、社会問題化しています。日韓問題にかかわることで、名誉毀損で訴えられたら、まあ、負けですよ。『帝国の慰安婦』(朝日新聞出版)を執筆した朴裕河氏も告訴され、罰金1000万ウォンの判決が出ました。

室谷 韓国には死者に対する名誉毀損罪まであります。日本にも同じ法律があったら、赤穂浪士の物語を書くと、みんな訴えられます(笑)。

 『親日派のための弁明』(草思社)の筆者、金完燮氏は閔妃(みんぴ)(李氏朝鮮の第26代王・高宗の妃)批判をしたら閔妃の末裔たちから「名誉毀損」と「外患扇動(せんどう)」で告訴され、逮捕されました。子孫を探し出してまでやる執念深さです。2016年、韓国では刑事上の名誉毀損が2000件、侮辱罪は1万件に上ります。一方で、日本での名誉毀損は762件。韓国の人口は約5000万人ですから、人口比率から考えてもかなり多い。それと、詐欺や捏造事件も数多くあります。曺国前法相の問題がまだくすぶっており、在宅起訴されました。さらに息子の疑惑も取りざたされています。
 息子が留学中の米ジョージ・ワシントン大学で、2回にわたってオンライン試験問題を曺国前夫妻が代わりに解いたとか。電子メールで問題を送らせたそうで、科目の評価は「A」なので驚きます(笑)。

室谷 曺国氏の奥さんは英語の先生ですから、お手の物でしょう。曺国氏は筋金入りの共産主義者ですが、やっていることを見ると悪徳資本主義者そのものです。実に韓国人らしい(笑)。

 話す内容を聞くと綺麗ごとばかりです。朴槿惠政権時代、崔順実氏の娘が名門・梨花女子大学校の入学などで不正があったとして大騒ぎになりましたが、そのとき、曺国氏は舌鋒鋭く批判しています。

室谷 崔順実氏は腹いせなのか「私の娘は馬術で金メダルを取ったが、曺国の娘はただの不正入学」と批判の声明を発表しました。

 曺国氏に人を批判する資格なんてない(笑)。

室谷 さらに曺国氏の弟も罪を犯していたことが判明しました。曺氏の父親が理事長を務めていた学校法人から資金を引き出すために訴訟を偽装し、さらに学校法人の教育施設への就職希望者から採用の対価として数億ウォン(数千万円)を受け取った疑いがあると。つまり、「就職をさせてやるから、給料の一部を寄こせ」と要求していたのです。

 就職のために賄賂を渡すなんて日常茶飯事で、悪いことだと思っていません。日本でこの話をしたらびっくりされましたけど(一同爆笑)。

赤くて暗い社会

室谷 韓国では、大物のスキャンダルが発覚すると、その人物がしていた不法行為が次から次へと暴かれる。就職の斡旋(あっせん)に伴う給与の中間搾取など、ちょっと権限を持つ韓国人なら当たり前のようにしている。労組の幹部まで「俺の力でお前を就職させてやるから、給与の1割を俺によこせ」とやっている。その程度のことは当たり前の腐敗社会ですからね。当たり前だから取り締まりもしないが、スキャンダルが発覚した大物を起訴する場合は〝当たり前の不法行為〟が罪状になる。

 捕まった人は「運が悪かった」と思うだけ。曺国氏は法務大臣にならなかったら、ここまでのスキャンダルにはならなかったはずです。それともう1つ韓国で気になる動きがあります。ソウルの江南地域には富裕層が住んでいますが、そこで「海外への投資移民説明会」を開催すると参加希望者が殺到するとか。特に文在寅政権以降、増加傾向にあるようです。

室谷 赤くて暗い社会になっていますから(笑)。

 しかも、この流れに便乗した犯罪が増えています。アメリカに投資移民するためには、100万ドル以上投資し、2年以内に10人以上のアメリカ人を雇用しなければなりません。ただ、海外経営の経験がないから失敗する可能性が高い。そこで韓国系アメリカ人のブローカーが入り込み、すでに店や会社を立ち上げているので、そこに投資しろと持ち掛ける。それで詐欺や横領が横行しているようです。

室谷 異様な移民熱ではありませんか。世論調査で「韓国から出たい」と答える人は7~8割に上ります。若者を対象にしたアンケートで「どういう国に行きたいか」を聞いたところ、一番多い答えが「社会福祉制度が整った国」であると。一旗揚げようと大志を抱いて海外に行きたいのではなく、生活保護欲しさに国外脱出を図りたいのです。

文大統領のスキャンダル?

 条件を考えると、一番人気はアメリカです。かつてはカナダやオーストラリア、ニュージーランドも社会福祉が充実しているからと人気がありましたが、就職が難しく今は下火になっています。昔から富裕層は移民を希望する傾向にあります。子供の英語教育のためだったり、アメリカは好景気ですからチャンスもたくさんある。文政権の幹部も同じで、自分の子供をアメリカに留学させている。社会主義を信奉しているのに矛盾しています。

室谷 康京和外務大臣なんて、まさにそう。娘はアメリカ国籍で、2006年には韓国国籍を放棄していますから(笑)。文大統領に至っては、娘のダヘ氏を日本の国士舘大学に2年間留学させていました。卒業後、ダヘ氏は結婚し、現在タイ在住ですが、その理由は夫の就職難のため。それで密かにタイに逃げたのです。

 一国の大統領の娘婿すら、まともに就職できない。

室谷 もともとは文大統領の息がかかった会社に勤めていました。大統領の娘婿ですから、出世するのは間違いなかったのに、突如やめてタイに移ってしまった。元の会社のコネで就職し、しばらく勤めた後、またやめました。その後、どうしているかはわかりません。子供をタイのアメリカンスクールに通わせていますが、学資が結構かかる。金の工面をどうしているのか不明です。一大スキャンダルなのに、韓国紙はどこも後追いしていない。「政権が怖いよ」だからでしょうが、その一方で「わが国の言論の自由度は日本より上だ」と自慢している。不思議な現象です。

逆恨みの反日

 韓国人がアメリカを好むもう1つの理由は、学位を取得しやすい面もあるようです。

室谷 お金で取得できますからね。李健熙サムスン電子会長の長女、李富真氏の元夫、任佑宰氏はハーバード大学院に留学しています。任氏は兵隊あがりのボディガードで、とてもハーバード大学院に行ける学力なんかない。留学する過程がつらく、ストレスで2度の自殺を試みたと告白しています。いやあ、英語がまともに話せなくてもハーバード大学院に留学できる――首をひねりたくなります。一方で、韓国人が日本に留学したがらないのは、博士号を簡単に取得できないからです。
 全斗煥元大統領の秘書官だった許文道氏は有名な反日主義者でした。若い頃、東大大学院に留学して日本語を勉強したのですが、それほど上達せず、博士号を取得できなかった。「私より頭の悪い人間がアメリカで博士号を取っているのに、なぜ私が」と恨み骨髄に徹して、反日に突き進んでしまった(笑)。

 逆恨みもいいところです(笑)。

室谷 韓国でよく話題になるのが、「日本人はアメリカに留学していないのにノーベル賞を受賞している」と。韓国人からすると日本の大不思議の1つのようです。

 韓国人にとって、アメリカは世界のトップ。その国に行けば成功できると思い込んでいるのに、日本人はそうすることもなく世界的名声を得ている。

室谷 それと日本では役に立たない英語の文法ばかりを教えていると批判されることがあります。でも、よくよく考えてみると、植民地国で自国の言語を文法的に解析できた国はどこもないでしょう。英語と自国語を比較し、「これは前置詞」「これは関係代名詞」……と分類する。これは日本の言語学者の成果です。韓国も日本から輸入した文法をそのまま習っています。

 現代韓国語は日本語の影響をとても強く受けています。哲学用語や自然科学用語、政治経済用語は日本語をそのまま使い、ハングル読みをしています。

室谷 「民主主義」や「銀行」「貿易」「輸出」「輸入」がそうです。

 韓国でつくられた言語はほとんどありません。ところが、今は漢字を使用せず、ハングル表記だけなので、言葉の意味合いがわかりづらくなっています。

室谷 たとえば「輸入」と「収入」はハングルでは発音が同じため、表記も一緒。韓国経済企画院の研究員の論文を読んだとき、この2つの用語が頻繁に出てくる。「輸入」なのか、「収入」なのか、だんだんワケがわからなくなって、韓国人の助手に電話で聞かせてみたのですが、電話に出てきた同僚研究員の答えは「どちらかわからない」(一同爆笑)。

呉 韓国語の8割は漢字語なので、日本語以上に、本来なら漢字で書くべき言葉が多く使用されています。漢字を捨てて、ハングルだけだと同音異義語だらけになる。試しに教科書を1ページ分読み通そうと思っても、意味をなかなか把握できない。文章の前後関係で読み解くしかありませんが、時間が結構かかります。それゆえか、韓国では読書量が少ない傾向にあります。

反日理念の劣化

室谷 韓国メディア「マネーS」が、韓国最大の反日団体、VANKの朴起台代表のインタビュー記事を掲載していました(1月2日付)。朴代表は「安倍(晋三首相)の外祖父である岸信介は、日帝強占期最後の朝鮮総督を務めた者だ。安倍はこのような家で生まれた」と述べている。ちょっと待てよ、岸は満洲にはいましたが、朝鮮とはまったく関係がない。最後の朝鮮総督は、阿部信行氏です。「安倍」と「阿部」は漢字では表記が違いますが、ハングルだと発音が同じなので表記も一緒。そこから阿部信行氏の孫は安倍総理だと信じている韓国人がかなり多くいます。

 それで混乱しているんですね。

室谷 さらに朴代表の場合は、岸が最後の朝鮮総督だと話を持っていっている。こんな二重の間違いを堂々とメディアに向かって話し、メディア側も校閲をまともにせず掲載している。韓国の反日理念が劣化している証拠ですが、その理由の1つはハングルのみの使用にあるのではないでしょうか。

 漢字廃止・ハングル専用主義は抽象的な思考を奪っています。ハングルは表音文字なので、音だけでたくさんの漢字語を教えることになります。しかしそれでは、表意文字としての漢字が歴史的に生み出している意味空間をとらえきることができません。つまり正確な概念規定をすることができないのです。李朝時代の知識人たちは漢字を使いこなし、詩も詠じていました。でもいまでは、漢字を使わなくなったため、たとえば「日本統治時代」と言っても、漢字で「統治」の意味すら深くとらえられなくなっています。

室谷 2016年のPIAAC(国際成人力調査)によると、OECD(経済協力開発機構)加盟24カ国の16~65歳の人の中から16万6000人を対象に実施したのですが、韓国人の読解力の低さが目立ちました。高度の文章力と語彙(ごい)力を持ったレベル4及び5の割合を見ると、日本が22.6%で1位ですが、それに対して韓国人は8.1%。考えてみると、韓国人は薬や製品の説明書なんか読まないでしょう。

 私も読みません(一同爆笑)。

室谷 これもハングルの弊害だと思います。読解能力が低いのではなく、平仮名だけを使っているのとほとんど同じだからです。日本語の表記を平仮名だけにしたら、日本人の読解能力はガタ落ちするでしょう。

 そもそも韓国人はあまり本を読みません。30年前、日本に来たとき、驚いたのが、電車で読書をしている人たちがたくさんいたことでした。しかも年齢問わずです。それから書店に行って、さらに驚きました。社会人や年輩の方が書店にたくさんいるのを見て、ショックを覚えたほどです。韓国の本屋に行くと学生ばかりで、社会人は誰もいません。

室谷 5割ほどが「1年に1冊も読まない」というアンケート結果もありますね。

 大学を卒業したら、ほとんど読みません。大学生の間で売れている本も参考書や詩集、小説ばかり。

室谷 韓流ドラマを見ると、詩を読むシーンがよく出てきます。

 韓国人は大方が情緒過多ともいえますが、幻想的な思考に陥りやすい面があります。だから、詩を好むようになるんでしょう。

室谷 文大統領の演説を聞くと、その最たるもので、まるで詩を朗読しているような印象を受けます。原文を見ると、それがより鮮明になります。1文が短く改行ばかり。韻を踏んではいませんが、詩のような感覚です。

 李朝時代末期、韓国人の識字率は6%ほどだった。日本統治時代以降、学校ができ、義務教育が施され、終戦直後は22%まで上がりました。現在の韓国の大学進学率は世界でトップクラスですが、読書率はずっと低いままで一向に上がりません。

三放世代

室谷 だいたい韓国の大学は専門学校みたいなものです。新しく設立された学科を見ると「ユーチューブ制作」「エンベディッドソフトウェア」といったワケの分からないものばかり。4年間勉強して卒業しても、就職先があるのか、他人事ながら心配になります。

 韓国で就職できない若者は、日本に活路を見出し始めています。ITに強いと言われていますから、優秀な人材だと思われている。ただ、2019年の反日活動の煽りを受けて、日本にも来られなくなっています。

室谷 本当に優秀な人材かどうかは疑問です。ITを使いこなせても、「システムを構築する・設計する」レベルになると、そこまでではない。もしそれほどの能力があれば、韓国内で、財閥系か国家公務員の道に進むでしょう。ところが韓国の政府や大使館、商工団体、自治体は日本への就職斡旋を一所懸命やっています。しかも反日運動をやりながら、ですよ。恥を覚えないのかと頭を抱えます(笑)。

 彼らにしてみたら、それで就職率が高まるわけですから、それは必死ですよ。もう1つ、日本企業がいいのは、OJT(業務を通して行う教育訓練)がしっかりしていること。礼儀作法や名刺交換のやり方、電話対応などを教えてくれる。もっとも韓国では、「子供扱いされているような感じだ」と言っていますが(笑)。韓国の場合は、就職したら大人扱いですから、OJTなんてありません。

室谷 韓国男性の初就業年齢が平均30歳です。浪人、留年、留学、就職浪人、兵役……と経ると、そうなる。30歳と言えば、もう大人です。しかも財閥系企業だと45歳でリストラの対象です。私は時事通信に42年間所属していました。でも、韓国だとエリート社員は平均で15年ほどしか働けないのです。

 法律的に60歳定年と決められていますが、そこまで残るのは本当にわずか。子供を30歳まで育てて、やっと就職し給料をもらうようになり、いざ結婚となると、その資金は親が出すしかないし、家だって建ててあげるしかない。50歳でリストラされたら、貯金なんてありません。実際に、韓国の65歳以上で50%以上が貧困状態という統計が発表されています。

室谷 老人貧困率、老人自殺率、トータルの自殺率がOECDでトップ。しかも出生率は世界最低水準です。

 出生率は0.9台まで下がりました。

室谷 正式に発表されていませんが、2019年の合計特殊出生率は0.9台になる見込みと語られています。台湾で1を切ったことがありますが、干支にかかわる縁起担ぎで出産を控えたためです。日本では2005年に1.25まで落ちましたが、そこから持ち直しつつある。ところが韓国は21世紀に入り、2001年の1.29が最高で、その後はジグザグしながら減少し続けています。考えてみると、戦争や革命があったわけでもない近代国家で1を切った国は、韓国以外にはないでしょう。

 日本よりも少子高齢化が加速しています。韓国でも「人生100年時代を迎えている」と言われており、定年が50歳として、その後の50年をどうやって生きるかが大きな関心事です。儒教社会だから子供が親の面倒を見るという価値観が強いのですが、子供が減っているから、親の面倒を見てくれません。さらに、年金制度改革も遅れており、年金受給もほんのわずかです。百歳まで長生きするのは災難だと言う人もいます。

室谷 90年代、韓国の世論調査では、9割ほどが「親の面倒は子供が見るべきだ」と答えていました。それが2010年代になると、20%まで落ちます。ここまで価値観が大逆転してしまった。90年代の価値観であれば、親は子供に対して教育投資をすれば良かったのに。

 教育投資こそ、自分の老後対策だった。

室谷 ところが、みなが大学に進学するようになり、しかも就職先はない。就職してもいつリストラされるかわからない。そういう社会になれば、親の面倒を見る余裕がなくなるのは当然です。3年ほど前、韓国では「3放世代」という流行語が生まれました。就職、恋愛(結婚)、出産の夢を放棄せざるを得ない貧しい若者たちのことを指します。今まさに、その流行語が現実の結果となって現れています。これこそ文政権の〝功績〟ではありませんか(苦笑)。

両班の伝統

 日本の学生の多くはアルバイトを積極的にするでしょう。私の勤めている大学の日本人学生もバイトで忙しく、勉強は怠りがち(笑)。ある学生は親に仕送りまでしています。ところが、韓国では学生バイトを恥じる傾向にあります。韓国人留学生もそう。そうなると、親が授業料や生活費など、すべての面倒を見なければなりません。

室谷 韓国の田舎出身でソウルの大学を卒業したものの、就職できない人たちの多くは、考試院と呼ばれる「一坪ルーム」に住むようになっているとか。

 本来は試験勉強用のレンタルルームです。簡易ベッドがあるだけで、地下にあるから窓もない。まれにトイレやシャワーが付いているところもありますが、基本は何もない。

室谷 そこに夜、1人でインスタントラーメンを食べて、焼酎を飲んで寝る……。日本の木賃(きちん)宿と似たようなものかな。バイトも、事務の補助のような仕事に人気が集中して、コンビニやビラ配り、引っ越し、ピザの配達のような仕事は忌避(きひ)する。とにかく韓国人は肉体労働を嫌います。これも両班の伝統じゃないかと(笑)。

 額に汗して働くことを恥ずかしいと思う感情が強いのです。本人だけでなく、親も同じ感情を持つから厄介です。塾の講師やIT関連のバイトであれば、高度な仕事に就いているということで問題ないのですが。

室谷 韓国の左派紙『ハンギョレ』に、銀行の研究員の論文が紹介されていました。そこで大学新卒者の就職先の分析をしていますが、キーワードは「適正就業」と「下方就業」。大卒者がサービス・販売職などに就くことを「下方就業」と断じています。

 労働観が韓国と日本ではまったく違います。

ウリスト教

室谷 日本の場合、天照大御神も機織りに従事していましたから(笑)。韓国では両班思想とともにキリスト教の影響が強い。プロテスタントの一部は、労働することを否定しています。考えてみると、韓国のキリスト教は「ウリスト教」と言えませんか(一同爆笑)。

 ええ、独自の道を歩んでいます。

室谷 カトリックの天主教正義具現全国司祭団は、北朝鮮を礼讃しています。ほかにはテロリストの安重根を聖人にすべきだと言っている団体もある。一方、プロテスタントは分派が増え続け、それぞれ勝手な教義が生まれています。その1つにセウォル号のオーナーが代表だった「福音浸礼会」があります。ここは「何度も罪を犯しても許される」と教えている。まるで犯罪を勧める宗教です。

 韓国には「私が神である」と言っているキリスト教系教団の教組が40人以上いると言われています。統一教会の文鮮明をはじめ多くが異端とされていますが、その中で異端視されていないのが福音派です。戦後、南米から入ってきた福音派が韓国に根づいたのです。「神様は福を与えてくれる」という現世利益的な話に、多くの韓国人が飛びついたからです。さらに純福音派が生まれ、趙鏞基牧師指導の下、どんどん拡大していったのです。

室谷 韓国の牧師は金さえ納めれば、資格を得ることができます。教会を開いて10人集めれば、信徒から収入の10分の1を寄付させるので、牧師は並みの生活ができる。

 今や「牧師」も巨大ビジネスの1つです。夜のソウルを高台から見下ろすと、赤い十字架がネオンサインのように煌々と輝いている光景に驚きます。韓国では石を投げれば牧師か、社長に当たるとも言われるほどです。

室谷 自称自営業者が700万人ほどいる。法人登録していませんが、名刺には社長か会長と書かれています。

 牧師も同じで、どんどん独立して自分の教会をつくっていくのです。シャーマニズム的な牧師もたくさんいますから。

室谷 さらにウリジナル教として、慰安婦教もあります(笑)。少女像の前で跪(ひざまず)いたり、泣き叫んでいるのを見ると、ああ、1つの国教なんだなと実感します。朴裕河氏の裁判でも、当初は名誉毀損で争っていたのに、最後は裁判所が学術的に正しいかどうかを判断し、判決を下しました。宗教裁判以外の何ものでもありません。

 少女像はもはや女神のように扱われていて、お守りのペンダントやブレスレットもつくられています。高校生の間では少女像をあしらったバッグが流行り、持っていないとイジメられたりする(笑)。

室谷 それも1つのビジネスじゃありませんか。

 それと今や竹島は韓国人にとっての聖地と化しています。いつか、韓国人はそこに慰安婦像を建てて、巡礼を始めるんじゃありませんか(笑)。

室谷 いやあ、反日、ここに極まれりだな(苦笑)。本当に韓国人とは「反日種族」だ。その饗宴ならぬ狂宴が不買運動のように時々あるのですね(笑)。


室谷 克実(むろたに かつみ)
1949年、東京都生まれ。慶應大学法学部卒業後、時事通信社に入社。政治部記者、ソウル特派員、宮崎・宇都宮支局長、「時事解説」「時事評論」編集長などを経て定年退社。著書に『悪韓論』『日韓がタブーにする半島の歴史』(新潮新書)、『呆韓論』『ディス・イズ・コリア』(産経新聞出版)、『なぜ日本人は韓国に嫌悪感を覚えるのか』(飛鳥新社)などがある。

呉 善花(オ ソンファ)
1956年、韓国生まれ。拓殖大学国際学部教授。大東文化大学卒業後、東京外国語大学地域研究科修士課程修了。韓国時代に4年間の軍隊経験あり。外語大大学院時代に発表した『スカートの風』が大ベストセラーに。また『攘夷の韓国 開国の日本』で第5回山本七平賞受賞。著書に『私は、いかにして「日本信徒」となったか』(ワック)、共著に『呆れた哀れな隣人・韓国』(加瀬英明・ワック)など多数。近著に『韓国を蝕む儒教の怨念:反日は永久に終らない』(小学館新書)がある。

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