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ひらい こうじ
1958年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。82年、電機メーカー入社。外資系投資銀行、M&A(企業の合併・買収)仲介会社、メガバンクグループの証券会社、会計コンサルティング会社で勤務後、2016年、アシスト社長。1991年からM&Aや事業再生の助言支援を行う傍ら、メディアへの寄稿や講演会を行う。主な著書に『トヨタが中国に接収される日』(ワック)など。

実質的な中国国営企業

 5月11日、経済安全保障推進法が成立した。この法律は4つの柱から構成されるが、2本目の柱は「基幹インフラの安全確保」である。ところが、この方針と逆行する事態が進行している。中国系企業「上海電力」が基幹インフラの電力事業に、闇にまぎれた忍者よろしく「ステルス参入」しているのだ。中国が仕掛ける「ハイブリッド戦」の一環である。

 中国に「国家電力投資集団」という中央企業がある。中央企業とは、国務院国有資産監督管理委員会が監督管理する企業のことだ。国家電力投資集団は、中国の五大発電グループの一つであり、世界最大の太陽光発電企業とされる。13万人の従業員と62の子会社を有する国家電力投資集団は、中国のエネルギー安全保障を確保する使命が課せられている。国家電力投資集団の傘下にある企業の一つが、上海電力股份有限公司(上海電力)だ。

 上海市や江蘇省、安徽省を中心に発電事業を展開する上海電力は、石炭火力発電、ガス発電、風力発電、太陽光発電などを幅広く手掛けている。上海電力は上海証券取引所に上場しているが、その主要株主と株主比率は、第1位が国家電力投資集団有限公司(46・3%)、第2位が中国電力国際発展有限公司(13・9%)である。
 つまり、中国政府関連の株主2社が上海電力の経営権を有するということだ。この上海電力の日本法人が、上海電力日本株式会社(上海電力日本)である。(続きは本誌にて!)
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『WiLL』2022年8月号(6月24日発売!)
◎『WiLL』2022年8月号目次
安倍晋三・櫻井よしこ:■葛西敬之JR東海名誉会長を偲(しの)びつつ 防衛費GDP比2%は独立国家の覚悟の証(あかし)だ/河野克俊:米ミサイル配備で中国の野望を挫(くじ)け/平井宏治:疑惑の上海電力 浮上した金脈と人脈
中国が仕掛けるハイブリッド戦争 付 上海電力関連人脈 北尾吉孝・竹中平蔵/大高未貴:米海兵隊岩国基地を包囲するメガソーラー 付 上海電力関連人脈 林芳正外相・山口県議会の〝ドン〟/北村 滋・平井宏治:中国の野心 警戒なき日本 トヨタ・ソニー・ソフトバンクは大丈夫か/片山さつき・有本 香:北海道 中国資本の土地買い その先に自衛隊の施設/阿比留瑠比:ステルス岸田、幸運の星に恵まれて/高市早苗:「岸田内閣が無為無策」という虚構/ 飯山 陽・岩田 温:帰ってきた「魔女・重信房子」―日本赤軍は死んだフリ/武藤正敏・髙山正之:オモテでニコニコ ウラで対日軍備増強 韓国はナニ考えてンだ!!

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