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かけや ひでき
1970年、大阪府生まれ。東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。通信総合研究所(現情報通信研究機構)研究員を経て現職。専門はメディア工学。著書に『学問とは何か』(大学教育出版)、『学者のウソ』(SBクリエイティブ)、『「先見力」の授業』(かんき出版)、『人類の敵──共産主義勢力から自由を守る方法』(集広舎)など。

何が「陰謀論」なのか

 米国では「陰謀論と事実の差は半年である」という表現がある。日本語にするとわかりにくいが、陰謀論のレッテルを貼られていたことも半年後には事実として認められるという意味である。たしかに、この世の中には明らかにウソとわかる陰謀論もある。たとえば米大統領選において、ドミニオンサーバーをめぐってドイツで銃撃戦があったとか、リン・ウッド弁護士やシドニー・パウエル弁護士が煽った「クラーケン」なる国防総省のサイバー戦争プログラムにより大統領選の結果を覆せるといった話は、その典型である。新型コロナウイルスワクチンを接種すると5Gに接続するというのも、科学的にはありえない明らかなデマである。

 その一方で、一時は陰謀論であると言われたが、結果的に事実であったことも数多くある。たとえば、米大統領選が佳境に入っていた2020年10月、「ニューヨークポスト」がバイデン現大統領(当時候補者)の息子であるハンター・バイデンのノートパソコンから、数々の不正行為の証拠が見つかったとの報道をした。しかし、大手メディアは一斉にその報道はフェイクであると決めつけて弾圧した。その結果、その報道は選挙に影響を与えず、バイデンは選挙に勝って大統領の座にありつけた。ところが、その後ハンター・バイデンのノートパソコンに含まれていた情報といわれたものは本物であることが判明したのである。

 イーロン・マスクがツイッター社を買収してCEOに就いて以降、彼はジャーナリストを招き、彼が就任する前にツイッター社内で行われていた検閲の実態の調査を許し、その結果を公開させている。これらは「ツイッター・ファイル」と呼ばれている。すでに十を超える報告がなされているが、その中でハンター・バイデンのノートパソコンに関する情報の拡散を防ぐのに、民主党や政府関係者からの要請がツイッター社にあったことが明らかになっている。このことは現在、共和党が過半数となった下院においても徹底追及されている。

 筆者は本誌『WiLL』でこれまで何度か、新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所起源であることが濃厚であると書いてきた。
 2020年の米大統領選のときは、筆者は陰謀論を批判する立場にいた。しかし、新型コロナウイルスについては世間一般では陰謀論と呼ばれる側の立場にいる。それゆえに、陰謀論支持派、否定派の両陣営から敵視されている。「お前はどちらの味方なのか」と問われることも多い。だが、筆者の立場は一貫している。常に真実を追い求めているだけである。陰謀論と言われるものがデマであれば、それには加担しない。陰謀論と言われても、それが真実なら擁護する。それだけである。(続きは本誌にて!)
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『WiLL』2023年4月号(2月24日発売!)

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