「ウイグル迫害は虐殺にあらず」――人権弾圧を無視する腰...

「ウイグル迫害は虐殺にあらず」――人権弾圧を無視する腰抜け外務省の大罪

ジェノサイド非難をできない理由は「ない」

 毎日新聞の記事(令和3年1月26日付)によると、中国によるウイグル民族迫害をアメリカが「ジェノサイド」(虐殺)と認定したことに関して、外務省担当者は日本政府の対応を議論する自民党外交部会の場で「ジェノサイドとは認められない」との立場を表明したという。これに対して、現場に参加された佐藤正久参議院議員らが自身のTwitterで当該記事を引用するなどし、また山田宏参議院議員は自身のTwitterで「しっかり糺さなければならない」と怒りをあらわにされた。
twitter (4547)

佐藤、山田両議院のツイート
via twitter
 実は、日本政府はこれまで「締結した条約等および条約に準ずる国家間文書」に違反した場合を除いて、特定の国家を相手にした非難決議という行為に極めて慎重な姿勢をとっている。韓国の従軍慰安婦訴訟や北朝鮮のミサイル問題、また拉致事件についてはすでに国家間で交換した文書に違反する理由があるため非難しているが、たとえば国連内の決議でも「同性愛」という刑罰を立法し、同性愛自体を凶悪犯罪と法定して死刑執行する主権国家の行為についての非難決議には、日本政府は反対の立場をとっている。

 しかし行政府とは異なり、立法府は核兵器については他国の主権侵害にあたる内容であって非難決議を複数可決している。たとえば「アメリカ、中国の核実験に抗議し、フランスをはじめあらゆる国の核実験に反対する決議」(昭和48年7月9日)、「インドの地下核実験に抗議する決議」(昭和49年5月27日)、「中国の核実験に抗議し、フランスの核実験に反対する決議」(平成7年8月4日)、「中国の核実験に抗議し、反対する決議」(平成8年8月17日)、「インドの地下核実験に抗議する決議」(平成10年5月13日)、「パキスタンの地下核実験に抗議する決議」(平成10年5月29日)などが挙げられる。

 ここにきて、ウイグル民族へのジェノサイド非難ができないとする理由は毫も無い。

 特に、日本政府には基本的人権を否定した前科がある。天安門事件によって大勢の市民が虐殺されたとき、世界は中国の非人道的行為を非難する声をあげた。しかし唯一中国の人権否定政策を擁護したのは日本国であり、最終的には天皇訪中の実現によって完全に有耶無耶にすることに成功している。こうした法の支配に対する挑戦を、私たち日本国民は看過すべき時局ではない。

同じ過ちで中国を助けるな

 ウイグル民族に対するジェノサイドは、他のジェノサイドと比べて実に複雑な事情を含んでいる。それは、他のジェノサイドが単なる民族意識や宗教意識を動機にして、当該民族や宗教の関係者を最大範囲としていたが、今般のウイグル民族ジェノサイドは、複数の大手業が強制労働による工業製品の生産という手段を通じて、ジェノサイドと企業収益が密接に関係しているという特徴を持つ。このため、仮に当該企業の社員および家族を票田にし、あるいは企業献金を受けている政権であればあるほど、ウイグル民族ジェノサイドの非難は利益相反となってしまう性質を持つ。

 しかしながら、親中容共と評価される米バイデン政権下においてもウイグル民族ジェノサイドの非難に同意した中、我が国が基本的人権の軽視を内外に宣伝することによる国益の喪失は、計り知れないものがある。

 一方で、1948年に採択されたジェノサイド条約を我が国が採択しない理由として、ジェノサイド実行国に対する集団的懲罰規定は、憲法第9条に抵触するものであり、同条約を批准しない理由と同じ背景から、特定の国家が国策として実行している「政策」について行政府による直接的非難は出来ないとの見解もある。

たしかにシリアにおける邦人へのテロ行為に対する非難決議案(第189回国会、決議第1号)のように、非難対象が国家ではない場合は比較的容易に非難決議をした事例があるが、「憲法9条があるからジェノサイドを認められないし非難できない」とする詭弁は受け入れ難い。

かつて日本はユダヤ人虐殺を実行した国と条約を締結し、事実上その非道を認容した前科がある。たしかに日本政府自体はユダヤ人差別や虐殺は「しない」と決議したが、同盟国の虐殺を政府が非難した形跡は一切なく、それが今日の対日史観を悪化させる呪いとなっている現実は否定できない。

日本は、かつて犯した過ちを再び犯すことなく、基本的人権の擁護と法の支配を守らなければならない。

 衆参両議会はただちにウイグル民族ジェノサイドに対する非難決議を採択し、政府も同趣旨の非難を閣議決定すべきであることを強く主張する。
 (4541)

橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第五区より立候補。日本会議会員。

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この記事へのコメント

2021/1/29 08:01

日本の保守派の多くはホロコーストを事実として受け入れているけれども、ホロコーストがあったという定説的な主張と無かったという見直し論の主張を吟味し、比べたとき、見直し論の方が圧倒的に科学的で合理性があり、定説論の方は証言と推測によって成り立っていて、完全に公平な立場に立って判断すれば、ホロコーストは虚偽であり、戦勝国によるプロパガンダであり、そういうものは無かったと結論づけるしかありません。

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