【橋本琴絵】ウイグル人迫害に手を貸す戦犯企業の大罪【新...

【橋本琴絵】ウイグル人迫害に手を貸す戦犯企業の大罪【新連載第4回】

 いま、ウイグル民族の強制労働による商品生産が問題となっている。産経新聞(令和2年12月4日付)によると、今年三月のアメリカ議会調査報告書で強制労働に関与した疑いがあるとして〈ナイキ〉や〈コカ・コーラ〉などの大手企業名がすでに挙げられ、重大な人権侵害を防止するための「ウイグル人強制労働防止法案」の成立に対し、これらの企業が反対ロビー活動をしていたと報道されている。

 21世紀の現代に、200年前と同じく奴隷強制労働による商品生産が意図されかつ実行されているならば、これほどの邪悪があるのかと戦慄する。そこで、こうした事例は過去どうであったか歴史を振り返りたいと思う。

1946年12月、ナチスドイツの政党幹部以外で、ホロコーストに関与した被告人を裁く「ニュルンベルグ継続裁判」(Trials of War Criminals before the Nuremberg Military Tribunals)が始まり、ユダヤ人や捕虜の虐殺に関わった裁判官や医師、そして企業家を対象としたものなど、12種類の裁判が行われた。

 確かに、これらの戦後裁判は「事後法である」との批判がある。しかし、これはナチスドイツの犯罪を追求する構図をそのまま日本人に適用したことによって生じた批判ではないだろうか。なぜなら、「特定の民族を女性・子供を含め虐殺、または強制労働させてはいけない」といったことを事前に察知して立法することは不可能であり、また事後法禁止の目的とは人々が「何をしたら裁かれるかわからない」といった不安を覚え、行動そのものを抑制して社会が委縮するのを防ぐためにある。つまり、「自らの行動が犯罪になるとは予見できない状態で裁くことを防ぐ」といった前提があり、「ユダヤ人虐殺が悪いこととは思わなかった」といった理屈は受け入れ難いからである。当のナチス自身も敗戦間際に絶滅収容所で隠蔽工作をしていることから見て、「悪いことをしている」といった自覚があったものと推認できる。

 さて、本論で注目すべきは「クルップ裁判」である。ドイツの大手メーカーのクルップ社は、第二次世界大戦中にドイツ政府から大量の発注を受け、多くの工業製品を生産した。問題とされたのは、この生産過程においてユダヤ人を強制労働させ、その過酷な労働によっておよそ7万人が死亡したという罪状だ。結果、クルップ社の社長以下役員は懲役12~3年の罪に処され、不正に蓄財した全財産を没収された。

 ところで、2020年5月25日、在日ウイグル人らによって結成されたNPO法人日本ウイグル協会は「ウイグル人の強制労働に関与している疑いが浮上している日本企業への公開質問状」と題した文書を公開した。そこには、日本の大手企業の名前が挙げられていた。これらの大手企業は、ただちに「ウイグル民族の強制労働によって製品を生産したことはない」と日本ウイグル協会に回答。しかし、唯一大手メーカーの1社だけが回答しなかったことを日本ウイグル協会は発表した。

 2019年の米国務省報告書では、中国における人権問題を取り上げ、中国の臓器移植手術に関する学術論文について「全体の99%を占める440本の論文はドナーに臓器提供の意思があったかどうかを報告していない」と指摘した。

 人道に対する罪とは前述の通り、事後法禁止の適用を受けない。なぜなら正常な人間である限り、特定の民族を「特定の民族である」というだけの事由で強制収容し、強制労働させることの善悪の判断はつくからである。そこに「特定の民族を虐殺してはいけない」といった立法は不要であり、自然犯(成文化された法律を必要とせず、人類が普遍的に犯罪だと認識する行為。強姦、窃盗、殺人など)を大規模にした行為がホロコーストである。

 目先のお金を儲けるため、罪を犯すことは決して珍しいことではない。ただ、それが一個人なのか、法人なのかといった違いに過ぎない。すべての企業はユダヤ人の強制収容でお金儲けをしたクルップ社と経営陣がどのような処分を受けたかという歴史を再認識すべきである。正義は邪悪を決して許さない。

 特に、米議会調査によって明らかになった企業は、東京オリンピックの公式協賛企業でもある。強制労働被害者の血と涙で汚れた製品を平和の祭典で使うことは、果たして人道上許されることなのだろうか。多くの人が「正義」を真摯に考えてほしいと切に願う。
 (4015)

橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第五区より立候補。日本会議会員。

関連する記事

関連するキーワード

投稿者

この記事へのコメント

コメントはまだありません

コメントを書く