【WWUK】安倍元総理の評価:韓国篇~ネットは安倍賞賛の嵐~

【WWUK】安倍元総理の評価:韓国篇~ネットは安倍賞賛の嵐~

器の小さな文在寅

 安倍首相の突然の辞任に驚いています。

 記者会見(8月28日)の前日まで、麻生財務相も「頑張って復帰されるということなので、いいことなのではないか」(8月25日)と発言し、菅官房長官も27日、『ブルームバーグ』の取材に「1日2回程度お会いするが、変わらない」、安倍首相が任期を全うするかについても「もちろんそうだ」と断言していた。ツイッターに「首相、辞任表明へ」と速報が流れてきたときは、何とも言えない虚無感を覚えました。

 そんな安倍首相の辞任を、韓国マスコミと青瓦台(韓国大統領府)はどう報じたか。まずは28日に会見を行った、姜珉碩報道官の発言から。

「日本の憲政史上、最長寿の首相として、さまざまな意味ある成果を残し、特に長らく韓日両国の関係発展のために、多くの役割を果たしてきた安倍首相の突然の辞任発表を残念に思います」(翻訳著者)

「安倍首相の早期の快癒をお祈りいたします。韓国政府は新たに選出される日本の首相と新内閣とも韓日の友好協力関係増進のため、継続的に協力していくでしょう」(同前)

 おや、韓国にしては意外にも友好的な発言です。しかし、これには裏話が。実は、もともと青瓦台の参謀らは、「過去最悪」と言われる現在の日韓関係を考慮し、前述のコメントを青瓦台からではなく、外交部を通じてのみ発表するはずでした。それを文在寅大統領が引き止め、青瓦台から直々に表明する形になったと中央日報(日本語版・9月4日付)が報じています。

 わざわざ裏事情を報じることで、文大統領の器の広さをアピールするつもりだったのでしょうが、むしろ逆効果ではないでしょうか。

 文大統領の器の小ささを露呈させた報道は他にもあります。

 辞任発表の直後から、安倍首相のもとには世界の首脳から健康を気遣いつつ、これまでの偉業を称える、ねぎらいのメッセージがツイッターを通じて届いています。それに返信する形で、安倍首相も「辞任のあいさつ」を伝えました。

 これを韓国メディア「news1」が、「安倍首相、各国首脳にツイッターで『辞任のあいさつ』……『文大統領は〝スルー〟』」という題で《最も地理的に近い韓国の文大統領には、まだあいさつをしていない》と恨み節で報じたのです。

 しかし安倍首相は、あくまでメッセージをくれた首脳へ「あいさつ」として返信しただけ。むしろ文大統領だけがメッセージを送らなかったことが明るみになったと言えます。

 かつて日韓首脳会談(2018年5月9日)で、安倍首相が文大統領にサプライズでケーキを贈ったことを覚えているでしょうか。ケーキには、安倍首相の直筆で「文在寅大統領就任1周年おめでとうございます」というハングルがチョコレートで書かれていた。

 ところが、文大統領はウソかホントか、歯のインプラントを理由に食べるのを拒否した。今思えば、これが文大統領の安倍首相に対するスタンスを、はじめから表していたのかもしれません。

広がる安倍賞賛の声

 意外だったのは、韓国国民の反応です。
《国内の嫌韓ムードを利用して、意図的に韓国叩きを行い、支持率の引き上げを図った》と聯合ニュース(日本語版・8月28日)が報じる中、韓国のネット上では「国家と国民のために辞任するとは、先進国である日本らしい」「体調を崩すほど国のために働いていたのか」「安倍首相は自国のために最善を尽くし、引き際を察して退いた」「早く回復して、健康な老後を送ってください」「安倍首相の健康回復を祈ります」と安倍首相への賛辞の嵐です。

 それどころか、青瓦台のコメントに対して、「文も早く辞意を固めてほしい」「(安倍首相に比べて)わが国の文はなんだ。不誠実で、噓ばかりつく」「安倍首相が韓国叩きを主導したって? 逆でしょ(笑)」「反日でメシ食ってる文たちが、日韓関係の改善を望んでるわけないでしょ」「笑わせてくれるね。(日韓)基本条約を無視して、先に叩き始めたのはわが国の方だろ」「そもそも日本の謝罪を受ける気なんて、最初からないくせに」と文政権を完膚なきまでに徹底批判しています。

対日感情の変化

 これには2つの要因があると考えられます。

 まず1つは、アメリカの外交安保専門コラムニストのデビッド・イグナチウス氏が、「ワシントンポスト」(8月30日付)で《トランプ大統領の変則的な行動を管理することに世界で最も成功した指導者だった》と安倍首相の外交力を評価したうえで、《安倍首相はトランプ大統領の在韓米軍撤退を引き留めることができた》と述べたこと。これが韓国で話題になっているのです。

 これについても、ネットでは「日本は恩人だ。日韓併合時代は奴婢を開放してくれて、今度は赤(共産主義)から救ってくれた」「教科書に載っていない歴史を知れば、日本に感謝すべきと思えるようになる」「安倍首相は天使だよ。今まで散々侮辱されてきたのに」「そこまで韓国のことを思ってくれてたのか、感激に浸る」と、密かなる支持者を意味する「隠れトランプ」ならぬ「隠れアベ」のコメントで埋め尽くされています。

 もちろん韓国のためだけではなく、インド太平洋地域の安全を考慮しての行動と考えることもできる。安倍首相らしい大局的なご判断だと思います。

 もう1つは、今さらですが、韓国国民が日本政府による輸出管理強化の正当性を理解し始めたことです。先日、韓国の通信企業A社が2013年から2014年にかけて、戦略物資に指定されているアメリカ製の電力電波増幅器(被害額は約81万ドル)を購入し、輸出禁止国の中国に横流ししていたと米司法省が公開した起訴状で判明したのです。

 これにも「中国にだけだと思うか?北に忠誠を誓っている者たちがウジャウジャいるのに」「こんなことを日本は昔から知ってたんだろう」「また韓国をホワイト国から外す国が増えるな」「日本の輸出管理強化には、合理的な理由があったのか」「わが国をホワイト国から外した日本は正しい」とのコメントが。安倍首相と日本への評価は、徐々に変わってきています。

「安倍首相は優しかった」

 一方で、菅新総理への期待はどうか。辞任表明の直後、韓国メディアは「新首相が誰になったとしても、全般的に外交政策を再点検して周辺諸国との関係改善を図る可能性がある」と日韓関係の改善に期待を覗かせていました。

 ところが一転、現在は菅政権の誕生に怯えている。文大統領の腹心と言われている尹建永議員(共に民主党)が9月7日、自身のSNSに投稿した文章が、すべてを物語っています。

 「(菅首相は)最近まで『韓国側に適切な対応を強く求める』として、韓国政府を批判してきた。(中略)菅官房長官(当時)の読売新聞でのインタビューでの発言を見ると、まったく変化がなく心配だ」

 読売新聞のインタビューというのは、おそらく自称「徴用工問題」で、韓国の裁判所が日本企業の資産の差し押さえ手続きが完了したことを受けて「国際法違反に徹底して対応していく」(9月7日)と回答したことでしょう。

 そのほか、テレビ朝日「サンデーLIVE!!」に生出演(2019年9月8日)した際に「(日韓関係のこじれは)すべて韓国に責任があると見ています」と発言したことや、過去に「伊藤博文を暗殺した安重根はテロリストだ」と主張したこと、また安倍首相を模したとされる土下座像を「国際儀礼上、許されない」と批判したことなど、その対韓強硬姿勢を国民も危惧しています。

 先ほど紹介した安倍首相への賛辞の中にも、「安倍首相は優しかったと思うよ。次の首相は米国との友好関係を深め、中国と韓国をともにあの世に送るだろう」「今回首相が変わったら、我々は覚悟しておいた方がいいぞ」というコメントが散見されました。韓国国民は、安倍首相より菅首相の方が、韓国を甘やかすことなく、厳しく政策を進めるイメージを抱いているようです。

次なる飯のタネ

 最近、韓国で気になる動きがあります。韓国の国家機関である保健福祉部が、今年5月に漢陽大学のパク・ボヨン教授とナム・ジヌ教授の研究チームに、「原子爆弾被爆の後遺症が、子孫に受け継がれるか」を明らかにする研究を依頼したのです(ハンギョレ新聞・8月5日付)。

 研究が始まった理由については、「被爆者の子孫の多くが希少難治性疾患を患っているから」と説明していますが、もし被爆の後遺症が実証されれば、被爆2世、3世、4世、5世……と、今後永久に賠償金を請求することが可能になるかもしれません。

 一番懸念しているのは、これまでの自称慰安婦や自称徴用工と同様、〝結論ありき〟で調査が進む危険性です。本当かどうかは別として、もし「被爆の後遺症は遺伝する」と実証されれば、当事者を装う韓国人が大量に出てくる可能性も否定できません。

 新たに賠償金をむしり取る〝飯のタネ〟をつくろうとする背景には、自称慰安婦や自称徴用工の高齢化や、これらの問題を後押ししてきた世論の弱体化があげられます。

 直近では、自称元慰安婦の李容洙氏と慰安婦支援団体の挺対協(現在の正義連)元代表の尹美香氏による内ゲバ騒動で、それまで韓国で「聖域」とされてきた自称慰安婦問題が「実は金儲けのためのビジネスだったのでは」という見方が韓国国民の間で急速に広まりました。

 自称徴用工問題も「1965年の日韓請求権協定で最終的かつ不可逆的に解決済み」との認識が韓国のネット上で広がり、「過去に日本は謝罪も補償もしたのに、韓国が不当に謝罪と賠償金を求め続けている」と言い出す人が増えてきた。コメントの中には、韓国政府が約束を破り、個人への補償を条件に日本から受け取った賠償金を懐に収めたことに言及する人もいるほどです。あらゆる理由で、謝罪や賠償金の要求が徐々に困難になりつつある。

 それから、韓国経済が破綻寸前であることも関係しています。現在、韓国政府はサムスンを傘下に置くための動きを見せている。ソウル中央地検は9月1日、サムスングループの経営トップであるイ・ジェヨン副会長とグループ関係者10人を、不正会計などの容疑で在宅起訴したことを発表しました。彼らが逮捕されれば、司令塔を失ったサムスンはコントロールが容易になる。不安定になったところを、最終的に国有化するつもりでしょう。

 サムスン国有化が1つの目印になるはずです。文政権下で国有化が実現すれば、アメリカの制裁対象であるファーウェイに半導体を横流しすることは想像に難くない。横流しする手段は、前述の中国への不正輸出の際に培っています(笑)。それは同時にアメリカの制裁対象にされても構わないということですから、完全な共産陣営入りの合図でもある。

 グアムで開催予定だった日米韓防衛相会談(8月29日)の欠席、中国の外交担当トップ・楊潔篪政治局員の訪韓、そして習近平国家主席の訪韓予定……加えて、原爆被爆による賠償請求も、日本に限らず加害国のアメリカを相手取る可能性も否定できません。新たな賠償金ビジネスと完全な離米政策を同時に目論み、赤化統一へ着実に歩みを進める韓国の動向から今後も目が離せません。
WWUK (ウォーク)
韓国・ソウル市生まれ。YouTubeで「WWUK TV」を開設し、主に日韓問題を取り上げて日々動画を投稿している。チャンネル登録者数は、現在34万4000人を突破。著書に『韓国人のボクが「反日洗脳」から解放された理由』(ワック)、呉善花氏との共著『「親日韓国人」ですが、何か? ─隣国なのにどうしてこんなにも価値観が違うのか』(悟空出版)などがある。

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