いま『愛の不時着』ブームのなぜ

いま『愛の不時着』ブームのなぜ

via 『愛の不時着』オリジナルサウンドトラック より

第2次韓流ブーム?

『冬のソナタ』以来の第2次韓流ブームがきているという。
 海外ドラマオタクを密かに自負していた私としては、「えー、いつの間にそんなことが起きてたの?」という印象だったが、ネットで、韓流ドラマ『愛の不時着』についての記事やコラムを見ない日はない。日本のネットメディアはどうしちゃったんだ? どうせなら、日本のドラマをとりあげろ!
 ――という怒りから、改めて、配信しているNetflixでこのドラマを見返してみたが、本当に「なぜ、それほど?」と思うほど、目新しいことは何もないのである。

 2月には配信が終わっているのに、多くのおばさまコラムニストが絶賛コラムを書いている『愛の不時着』。15年ほど前、爆発的に韓流ブームが起きた時と比較すれば、さすがに演出は洗練されているが、これのどこが「ロス現象」を生むほどの内容なのか、不思議でならない。

 要はコロナ禍の巣ごもりで、現実逃避したい人たちの需要とマッチしただけだが、その機会のとらえ方は実に絶妙であった。ネットはネット右翼と呼ばれているユーザーが多いとみなされているが、実は、左系の方が戦略的に、ネット業界を侵食しているのではないかと確信したほどだ。 

 コロナ禍で、経済的に苦しい状態が続く日本人が『愛の不時着』を見るために、Netflix社の会員になり、同社の売上に、相当貢献したことは間違いない。Netflix社の前身は、レンタルビデオ屋さんなので、アジアで金儲けできればよいのだろうが、なんだか、貧乏人(日本)がさらに貧乏の渦に巻き込まれているような気がして不愉快である。

韓流ドラマの「3種の神器」

 いまさらではあるが、嫌韓派のために、簡単に『愛の不時着』について触れておく。

 同作品は、第1次韓流ブームを牽引し、その後も韓国芸能界でスター街道を走り続けてきたヒョンビン扮する北朝鮮の高級軍人と南の財閥令嬢役のソン・イェジンとのラブストーリーだ。ヒョンビンは、冬ソナを含めたユン・ソクホ監督の四季シリーズの第1弾である『秋の童話』に、ソン・イェジンは第3弾の『夏の香り』に出演しているのも感慨深い。ちなみに『冬ソナ』ヒロインのチェ・ジウも本人役で出てくる。
 
 3人とも、若づくりの努力跡は垣間見えるものの、相変わらずヒョンビンは格好良く、女優陣は美しいが、フレッシュ感はまるでない。要するに、普通に年をとったのだが、今回の米企業への功績が評価されてか、ソンには、米国進出の道が開けたという。韓国一の大女優なんだそうだ。全くもって首を傾げざるをえない。ソンは性格の悪さや高慢さが韓国内では報じられているが、それを跳ね返すほどの美貌と、そこそこの演技力もあるが、それだけだ。なぜ、彼女がここまで評価されるのか? それは、外国(特に日本)向けの作品選びが上手いからとしか思えない。


 かつての韓流ラブストーリーの3種の神器といえば「記憶喪失」「不治の病」「経済(身分)格差」。これらの要素に、貧しいヒロインを陥れる悪役女性が加わり、財閥の後継者だったりする恋人を間にはさんだりして、ドロドロの展開を繰り広げていく。そして、最後には、これらのネックを乗り越えて愛を貫き通すあり得ないハッピーエンドで終わるのが韓流ラブストーリーの常だった。

 前述した3種の神器は、その後、様々なドラマで使い古されたためか、とうとう、南北分断という、現実世界でも決して超えられない壁を代わりに置き換えたのが本作である。

99.9%あり得ないストーリーに酔う人たち

 韓国の財閥令嬢と北朝鮮の高級軍人が北と南をいったりきたりする「99.9%あり得ないストーリー」。
 とうとう手持ちの札がなくなってジョーカーを出したかと私は思ったが、絶賛コラムを読んでいると、今も昔も、女はアラフォーを過ぎると、「マディソン郡の端」症候群にかかるのかと疑念を抱いてしまう。

 そもそも、韓国人の男性ですら、「あんな男(どこまでもヒロインを守る)がいるわけない」と断言するのに、少女漫画の王子様さながら、ヒョンビンの役どころを自分の恋人や夫に重ねているのだろう。あなたの恋人や旦那さんを改めて見直してほしいと私は強く言いたい。

 それでも、日本のネット界をここまで席巻しているのは、みな日々の生活に疲れているんだなあと改めて思った次第であるが、実は古くさいドラマで現実逃避するよりも、コロナ禍での生き方を模索する努力をした方が、よほど人生の糧になるのではないかと慮(おもんぱか)る次第である。

 私は大声で言いたい。
『愛の不時着』は、つまらないし、非現実的だし、見る価値な
どないということを。
 (1740)

横田由美子(よこた・ゆみこ) 

埼玉県出身。青山学院大学在学中より、取材活動を始める。官界を中心に、財界、政界など幅広いテーマで記事、コラムを執筆。「官僚村生活白書」など著書多数。IT企業の代表取締役を経て、2015年、合同会社マグノリアを立ち上げる。女性のキャリアアップ支援やテレビ番組、書籍の企画・プロデュースを手がける。

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