【山口敬之】小池百合子のウソを証明する~「虚言癖」に殺...

【山口敬之】小池百合子のウソを証明する~「虚言癖」に殺される都民

「信義則」を守りたいらしいが…
via youtube

明らかになった「ウソ」

 小池百合子都知事のウソが次々と明らかになっている。

 緊急事態延長を巡って……

・黒岩神奈川県知事は延長に慎重な姿勢を示していたにもかかわらず、小池知事は政府側に「黒岩知事を含む4都県知事が延長の方向で一致している」とウソをついて、面会を要請。 
・小池知事の虚言を察知した黒岩知事が真意を確認すると、小池知事は「埼玉県知事も千葉県知事も延長に賛成だ」と黒岩知事にウソをついた。
・埼玉や千葉の知事にも同様のウソをついていた。

 ということが明らかになった。

 世間的には、小池知事が「先走った」「独断専行」というような報道が相次いだが、それはこの「事件」に対する評価として全く正しくない。

 今回明らかになったのは

 (1)小池百合子が「平気でウソをつく人物である」ということ
 (2)すぐにバレるウソをついてまで、緊急事態宣言を延長させた

 という2点である。
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小池知事のやり方に「不信感」を持ったという黒岩神奈川県知事

被害を招く4つの「ウソ」

その1》解除目標のウソ
 1月に緊急事態宣言が発布された際には、菅首相が「東京の新規陽性者500人以下」「各種指標がステージ3まで下がること」と明示しており、その数値は2月11日に達成されていたにもかかわらず、今回小池知事は唐突に「ステージ2を目指す」と宣言した。
 
「新規陽性者が500人を下回れば店を再開できる」と信じて仕入れや雇用を調整していた東京の飲食店にしてみれば、いきなり梯子を外されたも同然だ。必死の経営が続く都内の経営者を知事自ら愚弄したのであって、政治家として決して許されない裏切り行為だ。

《その2》重症者病床数のウソ
 重症者対応病床数について、東京都が厚労省に病床数を過少申告して、「重症者病床占有率」を大きく水増ししていたことが明らかになっている。
 「重症者」とは「ECMO(体外式人工呼吸器)が必要な患者」と「ICU、HCUなど高度集中治療が必要な患者」を足し合わせた数字だ。ところが、患者数がECMO+ICUであると知りながら、東京都は「重症者対応病床数」としてECMO対応病床のみを申告していたのである。

 この結果、東京都は重症者病床数占有率が8割を超えて高止まりし、小池知事が緊急事態宣言の延長を要求する根拠の1つとされてきた。この明らかな「騙し」が判明した後も、小池知事はこの問題について謝罪も弁明もせず頰被りを決め込んだままだ。

 首都圏3知事にウソをついてまで緊急事態宣言を延長させたことも併せて考えれば、小池知事には「コロナ禍を誇大に捏造する」という確信犯的悪意がある可能性が極めて高い。

《その3》「7つのゼロ」のウソ
 小池百合子は2016年の都知事選で「電柱ゼロ」「花粉症ゼロ」など7つのゼロを掲げたが、達成したゼロは1つもなかった。これだけで知事としての実績評価として最低である。

 しかし、もっと重要なのは、ほとんどの公約が、まともに政策として取り組まれた形跡がないことである。選挙公約とは有権者との約束である。目標を達成できなかっただけでなく、約束を破った、すなわち「ウソをついた」のである。

《その4》築地のウソ

 豊洲市場問題についても、小池百合子は2017年6月に「築地は守る」「市場機能は確保する」と明言したにもかかわらず、その後の再開発計画に市場機能再整備は盛り込まなかった。
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「花粉症ゼロ」も、一向に減る気配なし…

もはや虚言癖か?

 これらは政治家・小池百合子のついてきたウソのごく一部である。列挙した全ての発言は公約違反を超えたウソであり、小池百合子は「虚言癖」という特殊な傾向をかかえた人物である可能性すら疑われる。

 虚言癖とはWikipediaでは以下のように説明されている。

 「『虚栄心や自惚れから、自分を実際よりも大きく見せようと、ホラを吹く』とされる。ただ、実態としては自身の言質よりも劣っているケースも多く、劣等感(→劣等コンプレックス)の変形と見なされている。病的になってくると、自分でも、嘘か本当かよくわからなくなってしまう傾向があり、中には空想の自分像との同一視や、現実認識に支障が出る傾向もあるなど、当人にとっても有害無益である傾向が出ることもあるとされる」

 また、虚言癖の人物の特徴としては次のようなものが挙げられる。

 ①プライドが高く、虚栄心を満たしたい
 ②劣等感が強く、本当は自信がない
 ③努力ができない
 ④隠したいことがある
 ⑤注目を浴びたい、構ってほしい


 こうした症状や傾向に、どの人物が当てはまるかの判断は、読者各位の受け止めに任せたい。

 都民に対して都知事が多くの虚言を放ち続けている異常事態にもかかわらず、多くのメディアは問題の所在を明確にせず、小池知事の責任を追及してこなかった。異常な知事と仕事をしないメディアの組み合わせが、都民と国民の命と生活を脅かしている。

発言に行動が全く伴わない

 小池百合子は宣言延長にあたり、こう述べた。

 「より感染力が強いとされる変異株。他の県や地域でクラスターが発生するなど、最大限の警戒が必要だ」
 「変異株が広がった場合には、医療提供体制がひっ迫したままでは迅速な対応が取れないという課題がある」

 この発言も、ウソと矛盾に満ちた「虚言」である。

 もし小池知事が本当に変異株の脅威を懸念しているなら、コロナ対応病床数を総力を挙げて増やすはずなのだ。
 
 東京都は旧来型の新型コロナウイルスの感染力を前提に、コロナ対応病床と重症者対応病床を5000床としてきた。昨年末から2月にかけての第3波では、1月初旬の2500を上回る陽性反応者が出た。その際、小池知事と日本医師会・東京都医師会は医療逼迫を強く訴えた。
 
 そして、イギリス型変異株の感染力は、これまでのものと比較して70%ほど高いと言われている。感染拡大期には感染者数は等比数列的に増加するが、感染力が1.7倍であれば、その右肩上がりの増加カーブも過激なものとなる。

 だとすれば、感染者数の予測値は様々な因子を加味して計算しなければならないものの、第3波で2500人であった1日の最大感染者数は、変異株であれば4200を上回ってくるものと見られている。

 第3波ですら、5000床用意したコロナ対応病床では不足だったと都知事自ら繰り返し述べている。変異株の脅威を緊急事態宣言の延長理由として掲げるのであれば、「感染力が70%も高い」変異株に合わせて、コロナ対応病床を増加させるのが知事の最初の仕事であるはずだ。

 ところが、都民と首都圏の住民には行動自粛を要請しておきながら、3月11日の都のホームページのコロナ対応病床/重症者対応病床は5000/350のままで、増床計画や医療関係者への呼び掛けなど、変異株から都民を物理的に守る具体的な施策は全く打ち出されていない。

「変異株」拡大なら本当にすべきこととは

 イギリスの首都ロンドンでは、イギリス型変異株の流行により約30人に1人が新型コロナに感染した状態にある。医療リソースは限界を超え、重症患者の域外搬送や、治療のトリアージ(治る見込の高い患者の治療を優先する=基礎疾患のある高齢者患者を事実上放置する)を余儀なくされている。

 こうした事態は、ロンドン首都圏でコロナ対応病床が不足しているから起きる。

 イギリス型変異株は、致死率が従来株に比べ64%高いとする論文が先月10日、イギリスの医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表された。

 英国で昨年10月から今年1月までの期間に病院以外の検査所や自宅で新型コロナウイルス検査を受けて陽性になった約5万5000人について、28日間にわたり追跡調査を実施したところ、イギリス型致死率は1000人当たり4.1人で、従来株の1000人当たり2.5人と比べ64%高かったという。

 小池知事が変異株の脅威を本当に自覚しているのであれば、ロンドンのような事態を避けるために最初にすべきことは、他県知事を騙すのではなく、「コロナ対応病床と医療リソースの拡充」である。

 東京都には106,000床の病床がある。この内のコロナ対応病床はわずか4.7%の5000床だ。欧米各国の大都市では、20~60%の病床をコロナ対応可能病床としてパンデミックに立ち向かっている。

 5000床では不十分であることは最早自明なのだから、あらゆる手段を講じて臨時病院の設置や病床の転換に取り組むべきだ。

 実際イギリスではナイチンゲール病院をはじめとした各種の病院がコロナ対応病床を大幅増床して対応している。また、ニューヨークやパリなど世界の大都市では、病院船の借り上げや都有地の公園にプレハブやテントの臨時病棟を立てて来るべきパンデミックに備えている。
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イギリスではコロナ対応病床を大幅に増床
 東京で言えば、日比谷公園に臨時病棟を建て、借り上げたクルーズ船を東京湾に浮かべてコロナ対応病床とすれば、1万床程度の増床はたちどころに実現する。

 こうした実現可能な対策を一切しないまま「医療ひっ迫」を上から目線で訴えるとは、言語道断、厚顔無恥の極みである。

 都民の命を守る意思がなく、無能で虚言を繰り返す知事の問題点を、新聞やテレビといった大手メディアはほとんど報じず、放置してきた。
 
 その結果、命を失うのは、本当に変異株で第4波が生じた際の都民・国民である。
 
 大手メディアが小池知事の本性を伝えないのであれば、小池知事がなぜウソをついてまで緊急事態宣言を延長させ、コロナ禍を誇大にするのかは、都民1人ひとりが分析するほかあるまい。

 本稿で先に挙げた虚言癖の人物の特徴として、
 
 ③努力ができない
 ④隠したいことがある
 ⑤注目を浴びたい、構ってほしい


 という傾向は注目に値する。今後は「都民に対して何か隠していることがあるのではないか?」という疑念を持って、小池知事の言動を注意深く観察していく必要がある。
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山口 敬之(やまぐち のりゆき)
1966年、東京都生まれ。フリージャーナリスト。
1990年、慶應義塾大学経済学部卒後、TBS入社。以来25年間報道局に所属する。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、ロンドン支局、社会部を経て2000年から政治部所属。2013年からワシントン支局長を務める。2016年5月、TBSを退職。
著書に『総理』『暗闘』(ともに幻冬舎)がある

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この記事へのコメント

憂行生 2021/3/17 19:03

小池が嘘吐きというのは築地の一件でも十分分かるし、去年の知事選の前には小池の本性を暴く暴露本も出てかなり売れた。問題はなぜ圧倒的支持で都民はこんなのを再選したのかということ。そして現時点で小池を以前として支持している層はなぜ支持に値すると思っているのか?都民(首都圏民)じゃないけど、都知事が無能だと全国に迷惑をかけるというのをちゃんと理解してもらいたい。

へろ 2021/3/15 16:03

これ突っ込み待ちなんですよね?

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