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グレンコ・アンドリー
1987年、ウクライナのキーウ生まれ。 2010年、早稲田大学で語学留学。13年、京都大学へ留学。19年、京都大学大学院博士課程卒業。 同年、アパ日本再興財団主催第9回「真の近現代史観」 懸賞論文学生部門優秀賞受賞。著書に『プーチン幻想』『NATOの教訓』(ともにPHP)などがある。

噓つき国家「ロシア」

 ウクライナ戦争で改めて認識しましたが、やはり「プーチン・ロシア」は噓つきです。「ロシアに戦争をする用意はない」と表明した1週間後に侵攻開始、ウクライナ国民を避難させるため人道回廊を設けるも地雷を敷設、「軍事施設だけを攻撃している」と言いながら集合住宅や病院、幼稚園、避難所を爆撃……キリがないのでこれくらいで留めますが、いかにロシアが噓つきか、発言と行動を見れば一目瞭然です。

 実際に証言もあります。
 フランスのオランド前大統領は、在任中にプーチン大統領と協議した経験から「彼は噓をつくのが習慣だ」と明言(5月5日)。
 ウクライナ軍に保護された5人のロシア兵捕虜も自らの意思で会見(3月15日)を開き、「特別軍事作戦に関して、徴集兵がいないという、プーチン大統領の声明はすべて噓です。彼は噓つきで、戦犯です」「誰にも、銃を撃つなんて言われなかった」と、騙されて戦場に送り込まれた事実を涙ながらに暴露しています。

 また、興味深い話もあります。
 朝日新聞の元モスクワ支局長である駒木明義論説委員は、プーチン大統領を直接知る人物を数多く取材した経験から、ロシア大統領府が発表するプーチン大統領の写真や映像の日付は「まったく当てにならない」と指摘している。
 ウクライナ戦争についても、侵攻前の2月21日にウクライナ東部2州の独立を(一方的に)承認すると表明したテレビ演説と、その3日後(24日)に公開されたウクライナへの侵攻開始を発表したテレビ演説を比較し、どちらのプーチン大統領も服装やネクタイが同じで、演説している場所や位置まで同じに見えるというのです。
 もし両方のテレビ演説が同日に録画されたものなら、ウクライナに対する全面侵攻の筋書きは最初から決まっていたことになる。

 プーチン大統領はもとより、ロシアが噓つきであることは、旧ソ連から独立した国の間では常識化しています。
 世界中のロシア通も「ロシアを絶対に信じるな」と口を揃えて言う。それが真実であることを、ウクライナ戦争を通じてプーチン大統領自身が証明してくれた。もはや国際社会において、彼の発言を信じている人はほとんど皆無に等しいでしょう。(続きは本誌にて!)
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◎『WiLL』2022年7月特大号目次
岩田温:『秋篠宮』が示す慄然(りつぜん)と国難/セルギー・コルスンスキー・有本香・ナザレンコ・アンドリー(通訳):駐日ウクライナ大使インタビュー ロシア軍は愚連隊/中村逸郎:暗殺狂プーチンの連続〝見せしめ殺人〟/ 
門田隆将・宮嶋茂樹:惨殺・強姦・略奪 ウクライナ激戦地の凄惨(せいさん) /岡部俊哉(元陸上幕僚長)・村川豊(元海上幕僚長)・福江広明(元航空総隊司令官):ロシア軍〝負け戦(いくさ)〟―これだけの理由/グレンコ・アンドリー:戦わなければ殺されるだけ/阿比留瑠比:「ロシア敗北」で動揺する習近平と金正恩/矢板明夫・西岡力:青ざめる独裁者たち 習近平 金正恩/髙山正之・朝香豊:米国頼み―核の傘は〝破れ傘〟

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