テロリストを擁護?

 安倍晋三元総理が白昼堂々のテロ行為によって亡くなった。
 現場で手製の銃を放ち逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金を行って一家を破滅させた過去が明らかになっている。その一方で、旧統一教会と安倍氏、安倍派、自民党との関係が問われるなど、旧統一教会と政治に関わる一連のメディア報道が急激に盛り上がっている。

 特に注目したいのは、山上容疑者の生い立ちや心理について理解を深め、共感する気持ちを醸成するような報道が溢れていることだ。
 例えば、朝日新聞は「深流 安倍氏銃撃事件」という全6回(電子版)の特集記事を掲載した。
 山上容疑者が高校生時代、母校が甲子園に出場した際に応援団のメンバーとして活躍し、「団長」というあだ名をもらい、かっこよかったとの話を載せ、「謙虚で、冷静で」「人に心配をかけまいと、優しさが先行するタイプ」だったとの評価も与えている。

 山上容疑者の兄が自殺した際の描写では、山上のことを「てっちゃん」と親しげに呼ぶ男性の証言として、《てっちゃんはずっと泣いていました。「兄ちゃんアホやな、なんで死んだんや。生きてたら何とかなるやん」って。あの姿は忘れられません》との言葉を載せている。こうした山上容疑者への肯定的な評価をあえて載せることで、テロリストとして扱うべき山上容疑者に対して「本当はいい奴なんだ」と感じさせるように、朝日新聞は読者を誘導しているのだ。

 朝日新聞はさらに、サイコスリラー映画『ジョーカー』のセリフ「心を病んで、孤独で社会に見捨てられ、ゴミみたいに扱われた男を欺くとどうなるかわかるか? 今から教えてやるよ!」を引用し、山上容疑者のテロリストとしての行動への理解を読者に求めるようなことまでしている。(続きは本誌にて!)
 (12528)

『WiLL』2022年10月号(8月26日発売!)
◎『WiLL』2022年10月号目次
櫻井よしこ・門田隆将 安倍元総理の遺言に〝聞く耳〟はないのか 裏切りの岸田政権/高市早苗 安倍元総理の遺志をつぐ覚悟です/高市早苗 早苗の国会月報 萩生田政調会長への期待/阿比留瑠比 国葬を潰したいリベラルの暗躍/岩田 温・小川榮太郎 安倍元総理が戦ってきた戦後レジームの正体/髙橋洋一・掛谷英紀 内閣改造の目玉は「旧統一教会」を利用した〝岸降ろし〟/渡邉哲也 霊感商法 旧統一教会と闘ったのは安倍さんだ!/朝香 豊 旧統一教会―ズブズブなのは朝日・毎日ではないか/氷川貴之 氷川政話 国葬と旧統一教会をリンク、政争の具にした野党/白川 司 PCR検査とザル融資の闇 小池都知事の危うい売国媚中政策/佐々木 類 上海電力だけではない またしても大阪がはまった中国の罠(わな)/藤井 聡・木村盛世 決められない日本 これは〝コロナ禍〟ではなく〝岸田禍〟だ!/古森義久 ワシントン報告 安倍元総理の死―悲嘆にくれるアメリカ/孫 向文 孔子学院なんて閉鎖しろ!「安倍晋三射殺万才!」だって!? 不埒な留学生を野放しにする立命館大/岩田清文・尾上定正 台湾危機と令和の国防/平井宏治 日本のサイバーセキュリティー 河野太郎で大丈夫か/仲村 覚 9・11 台湾危機下の沖縄知事選=問われる保守の力/須田慎一郎・小川泰平 安倍元総理暗殺事件 警察史に残る大失態と残るナゾなど

関連する記事

関連するキーワード

投稿者

この記事へのコメント

コメントはまだありません

コメントを書く