7月1日からレジ袋の有料化が義務付けられることになった。「環境保護」派の主張に従った形だが、これが環境にとって、また私たちの生活にとって本当によいものなのか、検討してみよう。
まずは「エコバッグ」1つの二酸化炭素排出量はレジ袋何枚分の二酸化炭素排出量に相当するかだ。
これは「エコバッグ」の材質・大きさなどによっても大きく違うために、一般論としては語りにくいのだが、フィンランドの公共放送によると、布バッグの場合だとレジ袋840枚分に相当するそうだ。つまり、1つの布バッグを「エコバッグ」として利用した場合、レジ袋840枚に相当する分以上に使い続けなければ、「エコ」にはならないことになる。
「エコバッグ」がまだ普及する前の2002年に、日本人1人が1年間に利用したレジ袋の量は、Lサイズ換算で350枚程度である。これを前提とすれば、2年半は1つの「エコバッグ」だけを使い続けないと、エコにはならないことになる。同時に数種類の「エコバッグ」を気分を変えて使い分け、毎年のように買い替えたりしている人も多いと思うが、それでは決して「エコ」にはならないわけだ。
なお、東大が出した論文では、100均で売っているようなポリエステル製の袋でも、二酸化炭素排出量はレジ袋50枚分に相当するそうだ。
そもそもレジ袋と「エコバッグ」では重さが全然違う。同じ1枚だと思ってしまいがちだが、製造と廃棄に使われる1枚あたりのエネルギー量が桁違いに変わるのは、こういうところからもわかるだろう。
「エコバッグ」が広がったことで、万引の摘発が難しくなっている。商品代金は支払っても、レジ袋代をケチって、スーパーのかごをそのまま車に積んで持ち帰る客もいる。こうした社会的コストからも「エコバッグ」推進の是非は考えたい。
「エコバッグ」を毎回洗って衛生的に問題のない状態で常に使っている人はほとんどいない。そして洗ったら洗ったで、水も洗剤も使うことになる。乾かす手間も面倒だ。これらは当然「エコ」ではない。しかもこんな面倒なことをみんなやることなど、とても期待できない。だがこれがもとで感染症が発生することさえあり得るわけだ。
レジ袋を燃やすと、有毒ガスが発生すると思っている人がいるが、これは間違いだ。レジ袋はポリエチレンという炭素と水素だけからなる化合物からできていて、燃焼して生じるのは二酸化炭素と水だけである。一般の燃えるゴミを燃やす時に、燃焼温度を高くするために灯油などを混ぜているが、ごみ焼却場で焼却されるレジ袋が増えれば、こうした灯油を減らすことにもなる。
レジ袋の有料化を義務付けして、強制的にレジ袋を使わせないようにするよりも、レジ袋を普通に使わせた上で、「燃えるゴミ」を捨てる際のゴミ袋として活用した方がはるかのよいのではないか。これであれば、「燃えるゴミ」用のゴミ袋をわざわざ作らなくても済むようになる。透明性の低いゴミ袋では、中に何が入っているかがわからず、ゴミ収集業者が手に怪我をすることがあるという問題は確かにあるが、その問題は全体の問題から見てどの程度の重さなのかは、冷静に考えるべきだろう。
海洋などに漏れ出るレジ袋を問題視する向きがあるが、それならばレジ袋が普通に焼却できることを広報することの方が大切なのではないか。燃えるゴミとして簡単に捨てられると知ったら、ゴミとしての回収率はずっと高くなるはずだ。
このように見ていくと、今回のレジ袋の有料義務化が、むしろ環境には悪く、社会的コストもかかり、適切な運用が難しいことがわかる。
一面から見れば絶対に正しいと思えることが、実は正しいとは限らない。そのためにイデオロギーにとらわれないで冷静に議論ができる環境づくりが大切だということが、このことからもわかると思う。
まずは「エコバッグ」1つの二酸化炭素排出量はレジ袋何枚分の二酸化炭素排出量に相当するかだ。
これは「エコバッグ」の材質・大きさなどによっても大きく違うために、一般論としては語りにくいのだが、フィンランドの公共放送によると、布バッグの場合だとレジ袋840枚分に相当するそうだ。つまり、1つの布バッグを「エコバッグ」として利用した場合、レジ袋840枚に相当する分以上に使い続けなければ、「エコ」にはならないことになる。
「エコバッグ」がまだ普及する前の2002年に、日本人1人が1年間に利用したレジ袋の量は、Lサイズ換算で350枚程度である。これを前提とすれば、2年半は1つの「エコバッグ」だけを使い続けないと、エコにはならないことになる。同時に数種類の「エコバッグ」を気分を変えて使い分け、毎年のように買い替えたりしている人も多いと思うが、それでは決して「エコ」にはならないわけだ。
なお、東大が出した論文では、100均で売っているようなポリエステル製の袋でも、二酸化炭素排出量はレジ袋50枚分に相当するそうだ。
そもそもレジ袋と「エコバッグ」では重さが全然違う。同じ1枚だと思ってしまいがちだが、製造と廃棄に使われる1枚あたりのエネルギー量が桁違いに変わるのは、こういうところからもわかるだろう。
「エコバッグ」が広がったことで、万引の摘発が難しくなっている。商品代金は支払っても、レジ袋代をケチって、スーパーのかごをそのまま車に積んで持ち帰る客もいる。こうした社会的コストからも「エコバッグ」推進の是非は考えたい。
「エコバッグ」を毎回洗って衛生的に問題のない状態で常に使っている人はほとんどいない。そして洗ったら洗ったで、水も洗剤も使うことになる。乾かす手間も面倒だ。これらは当然「エコ」ではない。しかもこんな面倒なことをみんなやることなど、とても期待できない。だがこれがもとで感染症が発生することさえあり得るわけだ。
レジ袋を燃やすと、有毒ガスが発生すると思っている人がいるが、これは間違いだ。レジ袋はポリエチレンという炭素と水素だけからなる化合物からできていて、燃焼して生じるのは二酸化炭素と水だけである。一般の燃えるゴミを燃やす時に、燃焼温度を高くするために灯油などを混ぜているが、ごみ焼却場で焼却されるレジ袋が増えれば、こうした灯油を減らすことにもなる。
レジ袋の有料化を義務付けして、強制的にレジ袋を使わせないようにするよりも、レジ袋を普通に使わせた上で、「燃えるゴミ」を捨てる際のゴミ袋として活用した方がはるかのよいのではないか。これであれば、「燃えるゴミ」用のゴミ袋をわざわざ作らなくても済むようになる。透明性の低いゴミ袋では、中に何が入っているかがわからず、ゴミ収集業者が手に怪我をすることがあるという問題は確かにあるが、その問題は全体の問題から見てどの程度の重さなのかは、冷静に考えるべきだろう。
海洋などに漏れ出るレジ袋を問題視する向きがあるが、それならばレジ袋が普通に焼却できることを広報することの方が大切なのではないか。燃えるゴミとして簡単に捨てられると知ったら、ゴミとしての回収率はずっと高くなるはずだ。
このように見ていくと、今回のレジ袋の有料義務化が、むしろ環境には悪く、社会的コストもかかり、適切な運用が難しいことがわかる。
一面から見れば絶対に正しいと思えることが、実は正しいとは限らない。そのためにイデオロギーにとらわれないで冷静に議論ができる環境づくりが大切だということが、このことからもわかると思う。
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。