中国の責任逃れを許すな

ケント 中国政府は、「米軍がウイルスを武漢に持ち込んだ」などと根も葉もないデタラメを吹聴しています。コロナ騒動の元凶である中国が、アメリカに罪をなすりつけようとしている。

渡邉 中国が必死に責任転嫁を図ったところで、ゴマカシきれません。新型ウイルスのDNAをゲノム解析することで、感染経路を特定できるからです。2月末、ワシントン州シアトル近郊で十代の若者の感染が確認されました。遺伝子データを調べると、1月下旬にシアトルで発症した患者のウイルスの子孫であることが判明。これによって、数週間にわたってシアトルでウイルスが蔓延していたことがわかった。

ケント アメリカ初の感染者は、1月中旬にシアトルで発見された。高齢者向け施設が「グラウンド・ゼロ」になったわけですが、典型的なクラスター感染ですね。早期に感染経路が特定できたおかげで、いまワシントン州では新規感染者が減っている。アメリカは早い段階で、西海岸からやってくる航空便をストップしました。ところが、ヨーロッパからのウイルス流入まで頭が回らなかった。 もっと早くヨーロッパ便を止めていれば、ニューヨークはここまでの大惨事にならなかったでしょう。

渡邉 ニューヨーク州のクオモ知事が非常事態宣言を出すのが遅れたから、感染が拡大した面もありますよね。

ケント ええ。彼はトランプ政権を批判していましたが、自らの失政を隠すためにトランプとの対決構図を演出していただけ。ただ、最近はトランプと「絶対に喧嘩しない」と言っています。安倍政権に歯向かう小池百合子都知事のパフォーマンスと似ている。

渡邉 ただアメリカ国内では、半年以内をメドに事態は終息すると思います。問題はヨーロッパで、2~3年このままの状態が続いても不思議じゃない。いざとなったら、アメリカは連邦政府が指導して国民が団結しますが、ヨーロッパは各国がバラバラでまとまりません。EUなど何の役にも立たないことが証明されました。

なぜ全人代を開かない

ケント 不気味なのが、中国の状況ですね。習隠蔽……じゃなくて習近平は「事態は終息に向かっている」とアピールしている。にもかかわらず、3月27日に再び映画館を閉鎖した。延期された全人代も、開催の目途は立っていません。そんななか、武漢のロックダウンが解除され、2カ月半ぶりに航空便や鉄道が再開しました。武漢と上海をつなぐ高速鉄道の予約は埋まっているそうですが、武漢から沿岸都市部へ向かう人たちとともに、感染拡大の〝第二波〟が到来してもおかしくありません。

渡邉 新型ウイルスは季節性の可能性が高く、気温22℃以上・湿度50%以上で活性化が鈍ることがわかっている。実際、東南アジアの感染者はさほど多くありません。なんとか夏には収まってほしいところですが……。

ケント それまで中小企業が耐えきれずに倒産してしまうと、経済が元に戻るまで時間がかかるでしょう。アメリカも日本も、経済を支えているのは中小企業ですから。リーマンショックは、金融機関が破綻することによって起こった。対照的に、今回は政府が意図的に経済をストップさせた形です。経済・金融システムに構造的な問題があるわけじゃないから、ウイルスさえ退治できれば景気はV字回復する──そう楽観視する向きもありますが、そんなに甘くないでしょうね。

渡邉 米中貿易戦争によって、世界経済が受けるダメージは軽減されたんじゃないでしょうか。1年半前から、トランプは「チャイナリスク」を喚起していた。おかげで、すでに各国がサプライチェーンから中国を外す方向に動いていたんです。トランプが現れていなかったら、世界経済はもっとヒドイ状況だったでしょうね。

習近平をつるし上げろ

ケント フロリダ州やテキサス州、ネバダ州で、中国を相手取った集団訴訟が起きています。原告は、「中国政府はウイルスの危険性と世界的流行の可能性を知っていながら、自らの経済的利益のために情報を隠蔽して対応を遅らせた」と主張。中国の責任を追及し、健康被害や経済的損失に対して巨額の賠償を求めている。

渡邉 果たして、現実的なんでしょうか。

ケント 各国が中国政府を訴えて、習近平をつるし上げるのはPR戦略としてはグッド。ただ実際問題、ウイルスが中国から持ち込まれた経路や、各州の感染拡大と中国政府の対応との因果関係を立証するのは難しいでしょうね。2018年1月の時点で、アメリカ大使館職員が武漢の研究所を数回訪問し、ワシントンに警告を送っていたという話もある。コウモリを使ったコロナウイルスの実験が「安全性が不十分で危険」だというものです。おそらく政府やCIAは、感染ルートや中国内部の機密情報を握っているはずです。でも、それを裁判で開示するのはリスクをともなう。

渡邉 それでも常識的に考えて、中国政府の〝重過失〟によって世界中にウイルスがバラまかれたことは事実。アメリカ国内に中国政府が保有する資産の差し押さえを求める形であれば、州によっては原告の主張を認めるかもしれません。テドロスよ、お前が言うな!

ケント 世界中が中国に冷ややかな目を向けるなか、WHOのテドロス事務局長は〝孤軍奮闘〟していますね(笑)。

渡邉 「中国は感染拡大阻止に並外れた措置をとった」などと、不自然な中国擁護を展開している。

ケント 中国という〝放火犯〟が、いつの間にか〝世界を救った英雄〟に仕立て上げられている。テドロスは、習近平と並ぶコロナ騒動の戦犯ですよ。トランプは「WHOは中国に偏っている」と批判し、拠出金停止を指示しました。誰もが賛同するところでしょう。

渡邉 トランプの発言を受け、テドロスは「死者の増加を望まないなら政治問題化するな」と恫喝まがいの反論をしていましたね。

ケント まさに、お前が言うな!

渡邉 テドロスの出身国エチオピアは、中国から巨額のインフラ投資を受けています。しかもエチオピアの外務大臣だったテドロスは、中国の王毅外相や中国高官ともベッタリ。ズブズブの関係なんです。国連のトップは、新興国から選ばれる慣例がある。さらに、大国でも小国でも平等に一票が与えられます。アフリカや太平洋に浮かぶ国々を買収すれば、それだけで半数近く票を集められる。近年、中国はカネにモノを言わせて国際機関を操ってきました。

ケント 特にアフリカはチャイナマネーに汚染されていますね。しかも今回、一帯一路がコロナの感染経路と重なっている。G7で真っ先にAIIB参加を決めたイタリアはあんな状況ですし……。一帯一路の胡散臭さは見透かされています。どう考えても、「世界植民地化計画」の一環ですから。

渡邉 ターゲット国の政治家に賄賂を渡して内政干渉するのが、中国の常套手段でした。しかし、オーストラリアでは実態が暴露されて失敗に終わった。これまでの中国のやり方が通用しなくなっています。いくらカネを積まれても、政治家は「ノー・チャイナ」の国民感情を無視できない。そう簡単に、中国の言いなりにはならないでしょう。

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窓がない理由

ケント そもそも、中国が常任理事国に名を連ねている時点でオカシイ。中国共産党政府は戦勝国じゃありませんから。それなら、まだ国民党政府だった台湾の方がふさわしい。

渡邉 アメリカは国連人権理事会やユネスコから脱退しました。全会一致原則のWTOも、アメリカが拒否権を発動して機能不全に陥っている。もはや国連改革は絶望的で、新たな組織をつくりあげる方が早い──トランプはそう判断しているはずです。

ケント アメリカ人にとって、国連はあくまで利用するもの。アメリカの国益にならないと判断すれば、容赦なく切り捨てます。

渡邉 テドロスの辞任を求めるネット署名が、すでに70万人を超えています。

ケント 世界中から中国寄りだと非難されると、今度は「台湾から人種差別を受けた」と騒いで被害者ヅラ。でも、台湾こそ国際機関から排除=差別されてきた。

渡邉 国際機関は中国共産党に忖度してきましたから。

ケント ここでクイズです。ニューヨークの国連ビルは水辺にありますが、道を挟んでその反対側にある建物はレンガ造りで、国連ビル側に窓が一切ありません。なぜでしょう?

渡邉 もともとロックフェラーが買収して、ニューヨーク市に提供した土地ですよね。ウーン、狙撃防止のためですか?

ケント ブッブー、不正解! 実は国連本部が建てられるまで、あそこには屠殺場と食肉加工場があったんです。臭いを防ぐため窓がなかった。いつの時代も、あの場所からは〝腐敗臭〟がしているということ(笑)。

渡邉 そうなんですね。第1次世界大戦後、世界恐慌が起きてナチスが台頭した。その頃、国際連盟も発足しました。現在の世界情勢は、当時に似ているような気がします。コロナ恐慌が起き、中国共産党は世界征服を企んでいる。国連に代わる新たな国際機関ができるなら、まだ救いはありますが。

マスクが戦略物資に

ケント トランプ政権は国防生産法によって、GMやGEといった民間企業に人工呼吸器など物資の供給を要請しました。

渡邉 国防生産法は、朝鮮戦争への対応策として制定されたものです。それ以来、70年ぶりに発動されましたね。

ケント 素材メーカーのスリーエムは当初、カナダや南米にマスクを送っていた。しかしトランプは、製造したマスクをすべてアメリカに送るよう求めた。スリーエムの鈍い反応に、トランプはツイッターで怒って、いったん輸出を禁止していたんです。ただ、カナダの猛烈な抗議があって、その後一部を解除しました。

渡邉 ベルリン市警察は、スリーエムに発注したマスク20万枚がバンコクの空港でアメリカに強奪されたと発表。マスク争奪戦が起きていますね。

ケント まさか、マスクが戦略物資になる日が来るとは。

渡邉 最新鋭の半導体チップの値段が3ドル20セント。現在マスク1枚で7ドル。いまや最先端技術の2倍も価値があるんです(笑)。

ケント 医薬品やマスクの製造を中国に依存してきたツケが回ってきた形です。コロナ騒動が一段落したら、各国がサプライチェーンの見直しに本腰を入れるでしょうね。

渡邉 日本政府は緊急経済対策の一環として、企業の国内回帰の支援に2,400億円を投入することを決めました。国内回帰なら中小企業は費用の3分の2、大企業にも2分の1を補助。マスクや人工呼吸器、防護服など緊急性の高い製品については、補助率がそれぞれ4分の3、3分の2に引き上がる。それ以外にも、企業のマスク製造設備への投資を支援します。

ケント この期に及んで、中国にサプライチェーンの拠点を置く大企業はありませんよね。

渡邉 中国から資金を持ち出しできないから、新規投資はないと思います。ただ、再投資する企業は出てくるでしょう。自動車部品メーカーのアイシン精機の中国子会社が、米国輸出管理法の要監視先に指定されました。アイシン精機はトヨタグループ。中国との関係を深めようとしているトヨタへの警告ですよ。

ファーウェイの押し売り

ケント 中国はフランス政府に、マスク提供の交換条件として、ファーウェイの5G設備導入を持ちかけたと報道されています。図々しい押し売りというほかありません。

渡邉 いまアメリカは、ファーウェイと68の関連会社を禁輸措置対象リストに入れ、アメリカの技術と製品の輸出を禁止しています。規制対象になっているのは、アメリカ原産技術が25%以上含まれている製品や部品ですが、これを10%まで強化するよう求める声も上がっています。そうなれば、世界各国の中国向け機械や、電機・ハイテク商品のほぼすべてが輸出禁止となってしまう。ヨーロッパでファーウェイが採用されても、そもそも製品がつくれないから意味がないんです。
 ファーウェイのICチップはTSMCという台湾企業がつくっています。トランプ政権はTSMCに、軍用半導体の生産をアメリカ国内で行うよう要請している。着々と対中包囲網を築きつつあります。

ケント 今年1月、米中交渉は第一段の合意に至りました。それに先立って米国は、昨年の春から中国からの輸入品を厳密に検査を行っている。合意の前と後で輸入にどんな変化が起きるか比較できるよう、データベースをつくっているんです。中国が合意を守らなければ、関税を50%に引き上げる可能性もあるんじゃないでしょうか。

渡邉 トランプは段階を追って、着実にファーウェイを追い詰めていますね。1月末、中国で感染が拡大するなか、アメリカ政府は、中国在住のアメリカ人の引き揚げを勧告しました。その数は7万人にのぼりますが、ほとんどがITや先端技術、金融などに携わるホワイトカラーです。彼らを中国から引き揚げさせることで、「中国製造2025」に代表される産業政策はストップするはず。表向きにはコロナ対策の一部なんですが、産業を自国に戻すための布石でもあります。これと前後して、ハーバード大学教授がアメリカ当局に逮捕されました。中国から毎月5万ドル受け取っていることを、国防総省に報告していなかったんです。

ケント これは氷山の一角で、中国からカネをもらっている学者は大勢いるでしょうね。もちろん、日本にも……。

渡邉 中国は「千人計画」と称して、世界中の科学者に資金を援助し、中国の大学や企業の研究所にスカウトしている。

どこの国の野党も

ケント トランプ政権はアフガンなど、中東からの米軍撤退を進めています。イスラエル・パレスチナ間の和平案を打ち出したのも中東不介入政策の一環です。その背景には、中東より中国にパワーを割きたい思惑がある。

渡邉 オバマもピボット政策を掲げていましたが、中国に強い態度をとれなかった。

ケント トランプが就任した頃、反中は国際世論の片隅に追いやられていた。トランプ政権下で世界が反中に傾きかけていたタイミングで、今回のコロナ騒動が起こったわけです。トランプは、中国国内で習近平が求心力を失い、軍や民衆を巻き込んだ内部分裂を引き起こしたいと思っているでしょう。そうすれば、一気に共産党政権は崩壊します。

渡邉 バイデンが大統領になるくらいの変化がない限り、「中国外し」の流れは変わらないでしょう。

ケント バイデンが当選する確率は極めて低いと思う。なぜなら、彼の言っていることは意味不明だから。政策が間違っているとかのレベルではなく、本当に何が言いたいかわからない。要するに、ボケ始めているんです。FOXニュースには、バイデンの〝迷言〟をまとめたコーナーがあって大人気(笑)。バイデンはコロナ対策についても当初、中国からの渡航禁止措置を「人種差別」と批判していた。最近になって、ようやく正しい選択だったと認めたくらいです。怒りを覚えるのが、コロナで大変な状況にもかかわらず、民主党がトランプの弾劾を優先していたこと。

渡邉 日本の野党もいまだにモリ・カケ・桜をやっていますし、似たようなものですね(笑)。
ケント・ギルバート
1952年、米国アイダホ州生まれ。70年にブリガムヤング大学に入学し、71年に宣教師として初来日。80年、同大学大学院を修了し、法務博士号・経営学修士号を取得。その後、国際法律事務所に就職し、法律コンサルタントとして再び来日。タレントとして『世界まるごとHOWマッチ』などの番組に出演する。『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社)など著書多数。
渡邉 哲也(わたなべ てつや)
1969年、愛知県生まれ。日本大学法学部卒業、貿易会社に勤務後、独立。複数の企業運営に携わる。2009年、『本当にヤバい! 欧州経済』(彩図社)がベストセラーに。『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』(ワック)、『金融で読み解く次の世界』(徳間書店)等著書多数。最新著は『「中国大崩壊」入門』(徳間書店)。プレミアムメールマガジン「今世界で何が起きているのか」配信中。

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