【朝香 豊】絶体絶命のトランプに打つ手はあるのか―

【朝香 豊】絶体絶命のトランプに打つ手はあるのか―

落ちていないトランプへの支持

 完全に追い込まれたとも見えるトランプ現大統領。もちろん、過剰な期待は禁物ながら、これからトランプが逆転勝利する可能性について考えてみたい。

 1月7日に収録したWiLL増刊号においては、私はトランプ大統領が大統領権限としてやれることはなくなったと判断していた。あの時に私がそう判断したのは、トランプ大統領の州兵派遣要請が実は拒絶されていたこと、あの時の州兵派遣はペンス副大統領が議会リーダーとの協議の上で決めた派遣要請に基づいて行われたこと、ミラー国防長官代行がトランプ大統領を指揮系統から除外した旨を発言していたことによる。つまり、治安維持に関わる大統領権限は実質的にトランプ大統領から奪われており、最後の望みとなっていた軍に対するコントロールもなくしたと知ったからだ。この状態でまだ何かできるなどと語るのは無責任だろうと、私は考えていた。

 ところがトランプ大統領が軍に対するコントロールを完全に喪失したわけではないことがその後わかった。1月6日の議事堂突入事件の際に、ナンシー・ペロシ下院議長のものなど十数名のパソコンが奪われたことが明らかになったが、これは軍の特殊部隊が押収したものだと退役軍人のマキナニー中将が語っている。これはトランプ大統領が軍に対する統制権を完全には失っていないことを示している。

 また、あの1月6日の事件以降にアメリカ国民のトランプ大統領に対する意識が大幅に変わったかというと、実は全くそうではないこともわかった。世論調査会社ラスムセンが調べた1月5日のトランプ大統領の支持率は47%だったが、事件後の1月8日の支持率は48%と、むしろ上がっているのである。

 わずか1%の上昇にすぎず、上昇自体が意味あるものだとは思わないが、主流派メディアの狂ったような反トランプ攻撃にも関わらず、支持率が全く落ちていないのは注目に値する。ちなみにトランプに強く反対するとの回答も、1月5日の43%から1月8日の42%へと1%減少していて、少なくともトランプ反対が大幅増加するような事態にもなっていない。相次ぐ側近の辞任があり、大統領権限の停止をめぐる議論までもが大々的に取り沙汰されているにも関わらず、アメリカの民意は全くトランプから離れていってはいないのである。

逆転の芽はイタリアから?

【朝香 豊】絶体絶命のトランプに打つ手はあるのか――

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1月6日に議事堂を取り囲む人々
 さらに大きな話が飛び込んできた。イタリアの防衛請負企業であるLeonardo SpAの元IT部門長であるArturo D'Eliaがトランプ票をバイデン票に切り替える操作を行ったことを、イタリアの裁判所で宣誓証言したというのである。この事実をイタリア陸軍の安全保障サービスの高官との会議で伝えられたと、大学教授兼弁護士のAlfio D'Urso氏が宣誓供述書を提出した。この宣誓供述書には自分と家族が全面的に保護されるならば、Arturo D'Eliaはこの事実を証言する意思があると述べていることが書かれている。
 
 この話に最初に触れた時にはあんまり信頼を寄せていなかったのだが、Alfio D'Urso氏がFilmon TVに出演してイタリア訛りの英語でこの話を語っているのを見て、考えを変えた。出演したAlfio D'Urso氏が役者でない限りは、この話は信頼してよいだろう。

 トランプ大統領は2018年に「米選挙に干渉した外国の企業や個人に制裁を科す」大統領令を発令した。この大統領令によれば、国家情報長官は米国の選挙終了後45日以内に外国勢力による選挙への干渉の意図や目的について関連機関の長と協議するものとされているが、45日を過ぎた現在でもこれがこれまでに行われている形跡はない。この前提となる国家情報長官室のレポートさえまだ上がっていないと思われる(インテリジェンス内部での意見の対立点について、オンブズマン〈行政のチェックを行う人物〉がまとめたレポートが提出されていることは確認した)。
 これはインテリジェンス機関の中の反トランプ派が様々に妨害しているからだと思われるが、何としてもレポートを用意し、必要な協議と認定さえ済ますことができれば、形勢は一気に逆転する。

 これが認められれば部分的な戒厳令のような状態になり、投票機の差し押さえもできるし、問題を調査するための特別検察官の任命もできる。投開票に関する確かな事実調査が行われれば、大規模な不正は間違いなく明らかになるだろう。Arturo D'Eliaの宣誓供述が事実であるかどうの確認さえイタリアに対して行えば、トランプ大統領はラトクリフ国家情報長官に関連機関の長との協議の場所を設けさせればよい。ラトクリフの裏切りがなければ、ここから逆転勝利の道が開けるはずだ。

 なお反乱法については、現状が反乱法の発動要件を満たしているとは到底言えず、ここには期待すべきではない。反乱法は当然ながら反乱が発生した上でなければ使えないし、反乱発生の上に、さらに必要な要件がある。現状では反乱の発生すら認められる状況にはない。
 1月6日に大統領が「家に帰ろう」と呼びかけたので反乱法の発動要件を満たしたと述べている人がいるが、「家に帰ろう」と呼びかけて騒動が収まってしまえば、発動要件を満たすわけがない。そもそもあの程度の騒動を「反乱」だと規定すること自体が無理がある。

 ともあれ、アメリカで残り10日がどうなるのかは、目が離せなくなってきた。トランプの究極の逆転はまだ果たしてあるのか。最後まで状況を注視したい。
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朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。

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