【谷本真由美】伝えられない欧米のアジア人差別
日本では外国人の権利が守られていない──そんな主張を耳にする。ところが実際は、日本ほど外国人が安全に暮らせる国はない。コロナ禍における在日外国人に対する差別や暴力の少なさが、この事実を何よりも証明している。
欧米では、昨年から〝コロナ発祥の地〟を理由とした東アジア人への差別が急増している。
たとえばイギリスの場合、昨年3月の時点で中国系の女子学生や若いシンガポール人男性、マレーシア出身の中華系男性などが、通りすがりの男たちに暴行され、誰なのか判別がつかないほど顔が変形する大怪我を負っている。たとえ若い女性であっても容赦しないのだ。
このような事件がターミナル駅やバス車内で、しかも昼間に起きているが、周囲の人は見て見ぬフリをして誰も助けない。自分が厄介な事件に巻き込まれたくないからである。
普段は人権問題にうるさいBBCをはじめ、大手メディアでもほとんど扱われず、ネットメディアで小さく報じられただけだ。政府も当然ダンマリを決め込んでいる。
日本のメディアが伝える「人権先進国」の実態など、所詮はこんなものである。
アメリカの主要16都市では昨年、東アジア系住民に対する憎悪犯罪が前年と比べて2.5倍に激増したというデータもある。東アジア系の人々は被害を受けても届け出ないケースが多く、実際の数はさらに増えるともいわれている。
ニューヨークのハーレムでは、日本人のジャズピアニストが黒人の若者に襲われて重傷を負い、再起不能となった。
フィリピン人女性はマンハッタンのホテル前で黒人男性から暴行されたが、目の前にいたホテルの警備員は助けなかった。白昼堂々の犯行にもかかわらず、である。
サンフランシスコでは70代と80代の中華系、ベトナム系の老人が黒人の男に襲われ大怪我を負い、中華系の老人は死亡している。
2月にはロサンゼルスにある東本願寺別院の建築物が放火され、日本人街「リトルトーキョー」にある桜の木が破壊された。
アトランタでは東アジア系の人々が働くマッサージ店が銃撃され8名が亡くなったが、メディアは事件が人種差別とは無関係であると主張し続けた。
欧米では、昨年から〝コロナ発祥の地〟を理由とした東アジア人への差別が急増している。
たとえばイギリスの場合、昨年3月の時点で中国系の女子学生や若いシンガポール人男性、マレーシア出身の中華系男性などが、通りすがりの男たちに暴行され、誰なのか判別がつかないほど顔が変形する大怪我を負っている。たとえ若い女性であっても容赦しないのだ。
このような事件がターミナル駅やバス車内で、しかも昼間に起きているが、周囲の人は見て見ぬフリをして誰も助けない。自分が厄介な事件に巻き込まれたくないからである。
普段は人権問題にうるさいBBCをはじめ、大手メディアでもほとんど扱われず、ネットメディアで小さく報じられただけだ。政府も当然ダンマリを決め込んでいる。
日本のメディアが伝える「人権先進国」の実態など、所詮はこんなものである。
アメリカの主要16都市では昨年、東アジア系住民に対する憎悪犯罪が前年と比べて2.5倍に激増したというデータもある。東アジア系の人々は被害を受けても届け出ないケースが多く、実際の数はさらに増えるともいわれている。
ニューヨークのハーレムでは、日本人のジャズピアニストが黒人の若者に襲われて重傷を負い、再起不能となった。
フィリピン人女性はマンハッタンのホテル前で黒人男性から暴行されたが、目の前にいたホテルの警備員は助けなかった。白昼堂々の犯行にもかかわらず、である。
サンフランシスコでは70代と80代の中華系、ベトナム系の老人が黒人の男に襲われ大怪我を負い、中華系の老人は死亡している。
2月にはロサンゼルスにある東本願寺別院の建築物が放火され、日本人街「リトルトーキョー」にある桜の木が破壊された。
アトランタでは東アジア系の人々が働くマッサージ店が銃撃され8名が亡くなったが、メディアは事件が人種差別とは無関係であると主張し続けた。
谷本真由美～伝えられない欧米のアジア人差別
アジア人差別への抗議運動も起きてはいるが…
東アジア人に対する差別が暴力事件に発展しているにもかかわらず、BLMなど黒人差別反対運動を行っていた人たちは立ち上がらない。「黒人とアジア人は連帯しよう」という声すら聞こえてこないのだ。
東アジア人はこれらの地域で最も高学歴で、収入も主流層の白人をはるかにしのいでいる。犯罪率も最も低く、「模範的な移民グループ」なのだが、なぜか困ったときに手を差し伸べてくれる人はいない。
人種差別にも明確な「格差」がある。アメリカだけではなく先進国では、人種的少数派は連帯するどころかお互い対立していて、学術的、経済的に成功している勤勉な東アジア系は嫉妬のターゲットになることが少なくない。
日本の話に戻ると、コロナ禍であっても暴力事件は起こっておらず、感染者や中国人が暴力をふるわれているわけでもない。外国人やその他マイノリティー同士の対立が煽られることもなく、主流派のストレスのはけ口として襲撃されることもない。襲撃されないどころか、路上で差別的なことを言われたという事件すら起きていない。
欧米では、東アジア系の親たちは自分の子供が暴力事件に巻き込まれないか、毎日ビクビクしながら暮らしている。日本の〝平和さ〟は実に信じられないレベルなのだ。
2020年秋、「Remitly」という金融企業がグーグルの検索を分析した結果、日本は最も移住したい国の2位だった。平和な日本は大人気なのだ。
にもかかわらず、日本の左翼・リベラルは日本はいまだに「日本人は外国人差別がひどい」「日本は外国人が暮らしにくい」などと叫び続けている。メディアも彼らの論調に乗っかり、海外の実態に目をつぶって日本だけを批判する。非常に不自然であると感じざるを得ない。
日本政府は、海外在住の日本人を含めた東アジア人の保護を各国政府に要請すべきだ。
東アジア人はこれらの地域で最も高学歴で、収入も主流層の白人をはるかにしのいでいる。犯罪率も最も低く、「模範的な移民グループ」なのだが、なぜか困ったときに手を差し伸べてくれる人はいない。
人種差別にも明確な「格差」がある。アメリカだけではなく先進国では、人種的少数派は連帯するどころかお互い対立していて、学術的、経済的に成功している勤勉な東アジア系は嫉妬のターゲットになることが少なくない。
日本の話に戻ると、コロナ禍であっても暴力事件は起こっておらず、感染者や中国人が暴力をふるわれているわけでもない。外国人やその他マイノリティー同士の対立が煽られることもなく、主流派のストレスのはけ口として襲撃されることもない。襲撃されないどころか、路上で差別的なことを言われたという事件すら起きていない。
欧米では、東アジア系の親たちは自分の子供が暴力事件に巻き込まれないか、毎日ビクビクしながら暮らしている。日本の〝平和さ〟は実に信じられないレベルなのだ。
2020年秋、「Remitly」という金融企業がグーグルの検索を分析した結果、日本は最も移住したい国の2位だった。平和な日本は大人気なのだ。
にもかかわらず、日本の左翼・リベラルは日本はいまだに「日本人は外国人差別がひどい」「日本は外国人が暮らしにくい」などと叫び続けている。メディアも彼らの論調に乗っかり、海外の実態に目をつぶって日本だけを批判する。非常に不自然であると感じざるを得ない。
日本政府は、海外在住の日本人を含めた東アジア人の保護を各国政府に要請すべきだ。
谷本 真由美（たにもと まゆみ）
1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて 国際関係論および情報管理学修士を取得。ＩＴベンチャー、コンサルティングファーム、 国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国で就労経験がある。ツイッター上では「May_Roma」（めいろま）として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。
1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて 国際関係論および情報管理学修士を取得。ＩＴベンチャー、コンサルティングファーム、 国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国で就労経験がある。ツイッター上では「May_Roma」（めいろま）として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。