安積明子：「拝察」発言～西村宮内庁長官は"異能者"？
「拝察」発言の西村宮内庁長官
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「国民の間に不安の声がある中でご自身が名誉総裁を務められるオリンピック・パラリンピックの開催が、感染に繋がるのではないか懸念されていると拝察します」
6月24日の会見で西村泰彦宮内庁長官がこのよう述べたことが、物議を醸しています。というのも、これは“東京オリパラいけいけドンドン”主義の政府のスタンスとは相反するものだからです。
現行憲法では天皇は日本国の象徴であるため、政治的行為を行うことはできません。「現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を大変心配」だけでは政治的なニュアンスは含まれませんが、「オリンピック開催が感染に繋がるのではないか懸念」では大きく踏み出します。
これについて、同日の会見で加藤勝信官房長官は「それは西村長官のお考えを述べたもの」とし、菅義偉首相も25日に「長官ご自身の見解を述べた」、丸川珠代五輪担当大臣も「長官ご自身の考えを述べられたものと承知している」として、問題化することを避けました。西村長官自身も、「日々陛下とお接しする中で私が肌感覚をして受け止めているということ」「私の受け取り方ですから。陛下はそうお考えではないかと、私は思っています。ただ陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはありません」と述べ、天皇陛下のお言葉があったわけではないとしています。では天皇陛下が何もおっしゃっていないにもかかわらず、西村長官は正しく天皇陛下のお心内を拝察できたのでしょうか。
6月24日の会見で西村泰彦宮内庁長官がこのよう述べたことが、物議を醸しています。というのも、これは“東京オリパラいけいけドンドン”主義の政府のスタンスとは相反するものだからです。
現行憲法では天皇は日本国の象徴であるため、政治的行為を行うことはできません。「現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を大変心配」だけでは政治的なニュアンスは含まれませんが、「オリンピック開催が感染に繋がるのではないか懸念」では大きく踏み出します。
これについて、同日の会見で加藤勝信官房長官は「それは西村長官のお考えを述べたもの」とし、菅義偉首相も25日に「長官ご自身の見解を述べた」、丸川珠代五輪担当大臣も「長官ご自身の考えを述べられたものと承知している」として、問題化することを避けました。西村長官自身も、「日々陛下とお接しする中で私が肌感覚をして受け止めているということ」「私の受け取り方ですから。陛下はそうお考えではないかと、私は思っています。ただ陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはありません」と述べ、天皇陛下のお言葉があったわけではないとしています。では天皇陛下が何もおっしゃっていないにもかかわらず、西村長官は正しく天皇陛下のお心内を拝察できたのでしょうか。
安積明子：「拝察」発言～西村宮内庁長官は"異能者"？
西村氏はあの難解な「小室文書」も理解できたという…
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気になるのは4月8日にあのバカ長いだけで意味不明な「小室文書」が公表された時、西村長官は「非常に丁寧に説明されている印象だ」と述べ、「小室さん側と元婚約者の間の話合いの経緯についても理解できた」と評価していたこと。全く国民一般の理解とかけ離れていますよね。
もしかしたら西村長官は、一般人が解せないようなことまで解してしまう異能の人なのかもしれませんが、うーん。どうだろう。ちょっとというか、かなり違うような…。
それに関して、思い出したことがありました。民主党政権時の2009年12月15日に、当時天皇だった上皇陛下が中国共産党副主席だった習近平氏と引見された時の小沢一郎民主党幹事長（当時）の発言が問題になった事件です。天皇陛下の引見には1か月前までに文書で申請すべしという「30日ルール」があったのですが、申込が遅れた中国政府のために羽毛田信吾宮内庁長官（当時）らの反対にもかかわらず、当時の鳩山政権がルールを破って引見を実現させたのです。この時、幹事長だった小沢氏は12月14日の定例記者会見で次のように述べたことが「天皇陛下のご意思を勝手に想像して不敬だ」と問題になりました。
「天皇陛下ご自身に俺聞いてみたら、必ず、それは手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょうと、私は天皇陛下は必ずそうおっしゃると思うよ」
小沢氏の発言が不敬なら、西村長官の発言も不敬になるはずです。この時、自民党の議員たちは大勢「けしからん！」と立ち上がった記憶していますが、さて今回はどうでしょうか。
もしかしたら西村長官は、一般人が解せないようなことまで解してしまう異能の人なのかもしれませんが、うーん。どうだろう。ちょっとというか、かなり違うような…。
それに関して、思い出したことがありました。民主党政権時の2009年12月15日に、当時天皇だった上皇陛下が中国共産党副主席だった習近平氏と引見された時の小沢一郎民主党幹事長（当時）の発言が問題になった事件です。天皇陛下の引見には1か月前までに文書で申請すべしという「30日ルール」があったのですが、申込が遅れた中国政府のために羽毛田信吾宮内庁長官（当時）らの反対にもかかわらず、当時の鳩山政権がルールを破って引見を実現させたのです。この時、幹事長だった小沢氏は12月14日の定例記者会見で次のように述べたことが「天皇陛下のご意思を勝手に想像して不敬だ」と問題になりました。
「天皇陛下ご自身に俺聞いてみたら、必ず、それは手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょうと、私は天皇陛下は必ずそうおっしゃると思うよ」
小沢氏の発言が不敬なら、西村長官の発言も不敬になるはずです。この時、自民党の議員たちは大勢「けしからん！」と立ち上がった記憶していますが、さて今回はどうでしょうか。
安積 明子（あづみ あきこ）：ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している
