蛇口が壊れて水が垂れ流しになっているとします。これを手で塞いで止めようとしても、何の解決にもなりません。菅義偉首相は「小池百合子東京都知事に先駆けて東京五輪中止を発表したら、内閣支持率が上がる」と吹き込まれたそうです。5月29日未明に放映された「朝まで生テレビ」で国際政治学者の三浦瑠麗さんが得意げに披露していました。
その話、私も聞いたことがあります。あるいはどこかで読んだかも。しかしそれは「トイレの落書き」のようなもので、おちゃらけコラムに書くなら格別、わざわざ「こんなこと知ってますよ!」とおおっぴらに自慢するようなものではありません。
確かに最近の各社調査では、内閣支持率は下がり、不支持率は上がっています。5月の調査ではNHKの支持率大幅低下、共同通信の不支持率大幅上昇が衝撃的でした。いずれの調査でも東京五輪中止に賛成する人は6割から8割にも上っていますが、理由は新型コロナウイルス感染症です。ただ東京五輪を中止すれば「菅首相、国民に大人気!」になるというわけではないのです。
その話、私も聞いたことがあります。あるいはどこかで読んだかも。しかしそれは「トイレの落書き」のようなもので、おちゃらけコラムに書くなら格別、わざわざ「こんなこと知ってますよ!」とおおっぴらに自慢するようなものではありません。
確かに最近の各社調査では、内閣支持率は下がり、不支持率は上がっています。5月の調査ではNHKの支持率大幅低下、共同通信の不支持率大幅上昇が衝撃的でした。いずれの調査でも東京五輪中止に賛成する人は6割から8割にも上っていますが、理由は新型コロナウイルス感染症です。ただ東京五輪を中止すれば「菅首相、国民に大人気!」になるというわけではないのです。
そもそも菅首相が東京五輪を中止しないのは、2021年に決行することを安倍政権が決めたからです。安倍普三前首相も麻生太郎財務大臣兼副総理も東京五輪決行派で、菅政権が東京五輪を遂行することが菅政権支持の要件。党内で独自の支持基盤を持たない菅首相がもし「東京五輪を中止する」などと決意した時には、自民党が菅政権を崩しますよ。
それに過去の例を見ても、「独断」で重要事項を決めた政治家は潰れています。たとえば2010年の参議院選で突如「消費税10%」をぶち上げた菅直人元首相です。
こちらは「すが」首相ではなくて「かん」元首相です。菅元首相は鳩山由紀夫元首相とともに、1996年に民主党を立ち上げたいわば創設者であるわけですし、もともと社民連という小さな組織の出身です。東工大を卒業した後、特許事務所に勤務しますが、独立開業するためでした。要するに一匹狼タイプのリーダーです。
それに過去の例を見ても、「独断」で重要事項を決めた政治家は潰れています。たとえば2010年の参議院選で突如「消費税10%」をぶち上げた菅直人元首相です。
こちらは「すが」首相ではなくて「かん」元首相です。菅元首相は鳩山由紀夫元首相とともに、1996年に民主党を立ち上げたいわば創設者であるわけですし、もともと社民連という小さな組織の出身です。東工大を卒業した後、特許事務所に勤務しますが、独立開業するためでした。要するに一匹狼タイプのリーダーです。
一方で菅首相は、通産大臣や建設大臣を務めた故・小此木彦三郎氏の秘書でした。昔の大物政治家は大勢の秘書を抱え、生活をともにしていたことも多かった。そんな環境で政治キャリアを始めた菅首相は、人間関係の機微を学んだはずです。なお菅(すが)事務所では、他の自民党議員秘書がうらやむくらい、私設秘書の待遇も良いそうです。癇癪を起して秘書に灰皿を飛ばした菅(かん)元首相とはえらく違います。
もし「トイレの落書き」が事実なら、百害あって一利なし。壊れた蛇口の修理をしなければ、手で押さえても無意味です。アホなご注進をしてくる人が現実にいるのなら、菅首相はご自分の周辺を見直した方が良いでしょうね。
もし「トイレの落書き」が事実なら、百害あって一利なし。壊れた蛇口の修理をしなければ、手で押さえても無意味です。アホなご注進をしてくる人が現実にいるのなら、菅首相はご自分の周辺を見直した方が良いでしょうね。