【安積明子】米国大統領選に負けない?日本政界の「年寄パワー」

【安積明子】米国大統領選に負けない?日本政界の「年寄パワー」

 アメリカ合衆国は若い国だと思っていた。ところがこの度の大統領選に出馬した2人は、いずれも70歳を超えている。トランプ大統領は74歳で、対抗馬のバイデン氏は78歳。自民党なら「比例区での擁立はできません」と断られる年齢だ。

 しかもバイデン氏の場合、すでに今から「大統領になったとしても、4年の任期を満了せずに退陣する」とされ、副大統領候補のハリス氏がアメリカ史上初の女性大統領に就任すると囁かれているとか。

 だったら初めから民主党は56歳のハリス氏を大統領候補にすればいいのにと思うのだが、そうもいかない理由があるのかもしれない。ある人は、「こうでもしないと、女性が“ガラスの天井”を破ることができない」と説明した。

 それにしてもつくづく思うのは、日本の政治家がタフな点だ。71歳で総理大臣になった菅義偉首相は言うに及ばず。副総理兼財務大臣の麻生太郎氏は80歳だが、今年8月に安倍晋三前首相の健康状態の悪化が伝わった時、ピンチヒッターとして首相再登板説が流れたことがあった。本人もすっかりその気になっていたというから、また凄い。

 81歳の二階俊博幹事長に至っては、「常に“通訳”の林幹雄幹事長代理が付いていないといけない」と言われながらも、自民党幹事長の在任記録を更新中。時々“覚醒”しては、「やはり二階さんだ」と周囲を唸らせるとか。

 その二階幹事長と11月2日に赤坂の料亭で会食したとして話題になったのが、二階氏より30歳若い国民民主党の玉木雄一郎代表だ。これに同席したのが亀井静香元金融担当大臣で、この日は亀井氏の84回目のお誕生日だったとか。

 だが政治家が単に誕生日のお祝いに集まるはずがない。玉木代表は11月4日の会見で会場となった料亭の費用を誰が払ったかについて聞かれると、「亀井さんが払ったんじゃないの?亀井さんの店なんだから」とクールに述べた。いや、そりゃダメでしょ。プレゼントくらいはしなきゃ。

 しかしその言葉通りなら、その会合は誕生会ではなく、なんらかの別の意図があったことになる。自身が自民党総裁選に出ただけでなく(地方選開票後に辞退したが)、石原慎太郎元東京都知事や徳洲会の徳田虎雄氏らと新党結成を画策したこともあった亀井氏は、もう一度永田町に一石を投じようとしているのかもしれない。

 ということで、78歳のバイデン氏が大統領になっても、日本は“年寄りパワー”ではアメリカに負けていない。ジャパニーズジジイパワー、本気で発動すれば恐るべし。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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