ナザレンコ・アンドリー:左翼リベラルに注意!――「過密...

ナザレンコ・アンドリー:左翼リベラルに注意!――「過密」な社会が崩壊する理由

「マウスの楽園」実験

 一部の保守派はLGBTが自然の摂理に反すると主張している。しかし、本能のままに生きる動物の世界でも同性愛らしきものは広く見られており、決して人間独自のものではない。ただ難しいことに、「自然でも見られる=問題ない」と一概に言うことはできないし、一方でLGBTとしての認識を持つ人は年々増加していることも否定できないだろう。

 たとえば米アリゾナ大学の最新研究によれば、米国のミレニアル世代(おおむね1980年代初頭から1990年代中盤までに生まれた人)のうち、およそ40%もの人が「自分はLGBTだ」と答えている。こうした傾向は、実は半世紀以上も前に米国のジョン・B・カルホーンという動物行動学者によっても確認されていたのだ。
 その実験は「Universe25」と呼ばれ、「過密」な空間での動物の行動を観察するマウス実験だ。1968年メリーランド州プールズビルの研究施設に「マウスの楽園」と呼ばれる飼育空間(高さ1.4メートル、横幅2.7メートルからなる正方形の空間)をつくり、マウスにとって最も快適な温度が常に保たれ水と餌が無限に与えられた。それだけではない。毎週掃除が行われ、そして天敵やウイルスなどが絶対に入らないように徹底的な管理が行われていた。まさに「マウスの楽園」であるその空間は、理論上最大9500匹のネズミが不自由(ストレス)なく生活できる広さだった。ところが、ネズミの数はその数字に達することはなかった。実際には2200匹を超えたころからネズミの楽園は終焉に向かい、やがて全滅する結果となった。

 なぜ、そうなったのか―。この実験の経緯と結果から、われわれ人間も多くを学べるのではないかと思う。

 実験開始からしばらくは55日ごとにマウスの数は倍増し続けた。最初は8匹だったマウスは315日後には620匹までに増加した。カルホーン氏ら研究者は、この状態がずっと続くと予測した。しかし、そこから出生率の著しい減少が起き始めたのだ。マウスの数は145日ごとに2倍のペースに落ち、飼育空間は3840匹ものマウスがストレスなく生活できるはずが、2200匹をピークに減少の一途をたどり、社会構造の崩壊が起こった。
Wikipedia (10283)

ジョン・B・カルホーンとマウス実験の飼育空間
via Wikipedia

「楽園」のはずが、治安が悪化

 事態の悪化は続いた。飼育空間の中で社会的役割を見つけることのできなかったオスたちは飼育空間の中心部に追いやられ、精神的苦痛から消極的になったり、逆に暴力的になってマウス同士が襲い合うケースも増えた。本来、自然界ではテリトリー(巣)を守るのがオスの役割で、子どもを守り育てるのはメスの役割だが、「治安」が悪化したためメスは子育てを怠り、テリトリーを守る社会的行動に出るようになった。挙句の果てには、自分の子どもまで邪魔扱いしたり殺害して食べる、あるいは移動中に落としたり本来の巣立ちより早い期間で追い出すようにもなった。生殖本能に反して妊娠そのものを避けるメスも増えた。

 さらに次の世代では、メスのオス化、オスのメス化も進んだ。一部のオスのマウスは他のマウスとの関わりを避けるようになり、社会的競争や繁殖に興味を失った。一日中ただ飲み食いして寝るだけで、まさに「引きこもり」状態になった。やがて求愛行動のルールも崩れ、成熟しきっていないメスと、またオス同士で交尾を試みたり、性別問わず無差別に強姦するマウスも増えた。

 そうしてネズミの楽園は「死」の段階へ入り、実験開始から560日目からはマウスの増加が止まり、600日目から死亡率が出生率を上回り始めたのだ。実験開始から4年目、最大2200匹まで増えたマウスは122匹まで減少し、そこでカルフーン氏は人道的な理由で実験を中止。ところが救出されたマウスを他の飼育空間に移しても、精神が戻ることはなく、元のマウス社会に適合できず全滅した。

「スピリットの死」を許すな

 われわれ人間社会が現在進行形で歩んでいるのも、このマウスの社会崩壊と同じ道ではないだろうか。過密な社会で居場所を見つけられず引きこもる者、生物学的に決まっている役割を拒否するメス(現代フェミニズム)、本能を捨てて異性に興味を持たなくなったオス、快楽が唯一の生きがいとなり同性や幼児に手を出す者……カルフーン氏の「Universe25」で見られたマウスの社会崩壊は、現代社会でも見られる現象である。

 カルフーン氏はこれを「行動の沈下」と命名。いくら物理的に豊かでも、ただ放っておくだけでは『スピリットの死』が必ず起こり、それが起こった社会ではいずれ肉体の死も迎えることになると定義した。

 この実験結果を見て皆さんはどうお感じになるだろうか?

 ひょっとして「じゃあLGBTやフェミニズムも、豊かな現代社会が招いた自然な流れなんだな」と思う方もいらっしゃるかもしれない。しかし、実験結果を見てほしい。マウスの楽園は滅んだのだ。マウスよりもずっと高度な知能を持つ「人類」の一人として、自分の種が自ら滅亡へと進んでいる現状を許してもいいとは、私には到底思えない。

 人間だからこそ、「沈下の連鎖」から抜け出すことができると信じたい。海外のように過激な個人主義を賛美すること、死刑廃止論や犯罪者人権の過剰擁護によって罪への寛容性を高めること、LGBT尊重の価値観を押し付けること―こういった「理性の暴走」こそがマウスの実験のような社会崩壊を招くのではないか。いまこそ私たちは「沈下の連鎖」を招きかねない左翼リベラルの思想波及を止めなければならないであろう。
ナザレンコ・アンドリー
1995年、ウクライナ東部のハリコフ市生まれ。ハリコフ・ラヂオ・エンジニアリング高等専門学校の「コンピューター・システムとネットワーク・メンテナンス学部」で準学士学位取得。2013年11月~14年2月、首都キエフと出身地のハリコフ市で、「新欧米側学生集団による国民運動に参加。2014年3~7月、家族とともにウクライナ軍をサポートするためのボランティア活動に参加。同年8月に来日。日本語学校を経て、大学で経営学を学ぶ。現在は政治評論家、外交評論家として活躍中。ウクライナ語、ロシア語のほか英語と日本語にも堪能。著書に『自由を守る戦い―日本よ、ウクライナの轍を踏むな!』(明成社)がある。

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