【安積明子】立憲民主・枝野代表を操る「玉木嫌い」の黒幕

【安積明子】立憲民主・枝野代表を操る「玉木嫌い」の黒幕

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 参議院の立憲民主党・社民党会派の新たな会長に、水岡俊一元首相補佐官(野田内閣時)が決定した。2004年と2010年の参議院選で兵庫県選挙区で当選し、2019年の参議院選比例区で立憲民主党内2位で返り咲いた水岡氏は、兵庫県豊岡市出身。一般的に但馬地方出身者の気質は「寡黙で辛抱強い」と言われている。

 国民民主党出身として対抗馬に立つのではないかと言われていた羽田雄一郎参議院議員は、幹事長に任命された。水岡・羽田体制は、それまで国民民主党に一方的に会派解消を宣告した長浜博行前会長や「予算委員会を私物化して、自分が目立つことばかり考えている」と批判があった蓮舫前幹事長の体制とは一線を画し、合流後の党内融和を図る――と報道された。果たしてそうか。

「水岡さんが次の会長?へえ、そうなんだ!赤松さんの言いなりになりそうだな」

 水岡氏の出馬が囁かれた頃、あちこちからこのような声が聞こえた。「赤松さん」とは赤松広隆衆議院副議長で、立憲民主党と国民民主党の合流問題では「枝野幸男代表を操る黒幕」として何度も名前が挙がっていた。「赤松氏は国民民主党の玉木雄一郎代表を徹底的に干すつもりだ」とも囁かれた。

 国政での勢力論は二元的では説明できない。長浜・蓮舫体制が反国民民主党だったことは事実で、それに代わった水岡会長が2日の就任会見で「国民民主党とは来年合流したい」と方針転換。だがその背後にいる赤松氏が“アンチ玉木”と来ているからだ。

 なぜ赤松氏が玉木代表嫌いなのかというと、自分の意のままになりそうにないからというのがその理由だろう。実際に赤松氏は2016年9月に蓮舫氏が民進党代表に選出された時、「幹事長にしてくれ」と打診したが断られ、その後に開かれた両院議員総会を無届で欠席した。

 一方で赤松氏は、立憲民主党の枝野幸男代表が2017年に同党を立ち上げた時、いち早く後押しした。設立メンバーとして結党届にサインし、最高顧問に納まった。国民民主党との合流問題では、合流新党の名前を「立憲民主党」に拘ったのも赤松氏だ。枝野代表・福山幹事長体制は続くことになったのも、赤松氏の意向と見られる。

 さてこの度の水岡会長就任で、その赤松氏の力が参議院にも及ぶことになった。立憲民主党の真の実力者は赤松氏ということになる。そういえば枝野代表は政権への意欲を口にするが、その行動を見る限りいまいち本気さが伺えないのは、この“黒幕”の存在ゆえか。

 なお赤松氏は愛知県名古屋市出身だが、旧社会党の衆議院議員を務めた亡父の勇氏は兵庫県朝来市出身。こちらも水岡氏と同様に但馬人ということになるが、「内気で辛抱強く無口。温和で消極的」(「うちのトコでは」飛鳥出版)とされる但馬人の気質がその息子に伝わったかどうかは、ここで述べるのは差し控えよう。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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