橋本琴絵:移民解禁は「国家の自殺」

橋本琴絵:移民解禁は「国家の自殺」

日本における移民の問題点

 岸田内閣の古川禎久法務大臣が初登庁の記者会見で驚くべき思想を表明した(令和3年10月5日)。その要旨を抜粋すると「日本は日本人だけで生きるものではありません」といった主張や、「日本人と外国人ということに境界線を引くということは(中略)解消されていくべきもの緩和されていくべきもの」という思想であった。

 これに対応するかのように、松野博一官房長官は11月18日の記者会見で、家族帯同や永住もできる入国資格「特定技能2号」の対象となる業種を拡大すべく、「現在、出入国在留管理庁が関係省庁とともに検討を進めている」という事実を公表した。現在の運用では、知的労働を含まない「特定技能1号」は、最大でも在留期間は5年であり、家族同伴は認められていない。「特定技能2号」は建設や造船など高度な専門技術を要する職域に限られていた。これを特段の専門技術を必要としない労働にも適用拡大していくという政策が今回の問題である。

 今まで日本において諸外国に見られるような苛烈な「外国人差別」がなかったのは、移民資格が知的労働者に限定されていた背景が指摘できる。具体的には、外交官の家族、弁護士や医師、日本国内で営業している外資系会社の役員など専門的な知識・技能を有する教育水準の高い人々の移民のみ認めており、これらの人々は地位と財産を捨てて残虐な犯罪をする理由がなかった。
 ※参考記事:ナザレンコ・アンドリー『日本を滅ぼす「移民政策」の推進

 ところが今回は、「慢性的な人手不足」を表面的な理由にした移民政策が為されようとしているのである。安倍政権が改正した入管法は、あくまで在留期間5年を限度にして家族同伴を認めないため「移民政策ではない」との理由があったが、岸田政権ではすでにイギリスが失政だと認めて2016年に廃止した「移民政策」を5年経った今、導入しようとしているのだ。

 では、移民政策の何が問題なのか。それは、移民労働によって得られる経済的利益と、価値観の異なる人々が流入することに因って起きる犯罪や紛争で失われる経済的利益を一切比較衡量していないことにある。仮に、移民一人あたりで特定の企業が年間数百万円の利益をあげたとしても、ひとたび犯罪が起きれば逸失利益(その犯罪がなかったならば失われなかった利益。たとえば殺人被害者の生涯年収など)や遺族への慰謝料、捜査費用や裁判費用、収監費用、移民居住による不動産価格の低下幅などを差し引き計算している形跡が一切ないのである。目先の利益に囚われ、国家百年の計がないのだ。
橋本琴絵:移民解禁は「国家の自殺」

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「日本の終焉」を招くことにならなければよいが――

価値観を共有できない人々

 移民政策で「犯罪や紛争が起きる」とすることに、異論を持つ方もいるであろう。そこで、「価値観を共有できない人々」が現在まで私たちの社会に与えた影響として、次の3例の裁判を紹介したく思う。

【1】
東京地裁は平成29年7月27日、30代の日本人女性に対する準強姦罪で起訴されたトルコ人男性に対して、無罪判決を下した。同被告は、東京都北区JR赤羽駅近くの多目的トイレ内において、日本人女性を姦淫し、被害女性の生殖器付近にトルコ人被告の体液(DNA型一致)が付着していたとして起訴されていた。しかし、石井俊和裁判官は「(体液付着は)犯罪の裏付けにはならない」として無罪判決を下した。
参考記事

【2】
名古屋地裁は平成29年9月5日、電車内にいた23歳の日本人女性に対する強制わいせつの罪で起訴されたブラジル人男性に対して、無罪判決を下した。同被告は、電車内の座席にたまたま座っていた被害女性の頭部を掴んで性的行為を強要し、性器を触らせるなどしたとして起訴されていたが、田辺三保子裁判官は「被告は外国人であり、拒絶の態度を理解できず、女性がただはにかんでいると受け止めた」として無罪判決を下した。
参考記事

【3】
静岡地裁浜松支部は平成31年3月19日、自宅付近のコンビニを利用中だった16歳の日本人女性に対する強制性交等致死傷の罪で起訴されたメキシコ人男性に対して、無罪判決を下した。同被告は、被害女性を人のいない場所に連行して身体を触り、被害女性の口腔内に自己の性器を押し込み、口唇外傷を負わせるなどして起訴されていたが、山田直之裁判官は「(外国人の)被告からみて明らかにそれとわかる形での抵抗はなかった」として、無罪判決を下した。
参考記事

 こうした性犯罪において、日本人男性が加害者の場合、「被害者女性に同意があると錯誤した」と主張したとしても、被告人の弁識能力に精神障害や知的障害など病理的問題(またはその可能性)があった場合を除いて「誤信には理由がない」と裁判所は一蹴している(東京高裁・昭和34年10月30日判決など)。

 結局のところ、「外国人は価値観を共有できないため、明確に強く拒絶の外観を示さない限り電車内や公衆トイレや野外などで性行為を強制しても合法であるが、日本人の場合は明確に同意の外観を示さない限り性行為を強制したら犯罪が成立する」という基準であるだと思料される。まさに、「価値観が共有できない」のである。

 ここに移民政策の大きな誤りがある。移民を受け入れたとしても、移民が契約通りに労働して社会規範を守るという根拠がそもそも存在しないのだ。上記の性被害が無罪になった理由からわかるように、私たち日本人が常識と思っている社会通念を共有できていない。

 つまり、性行為という原始的な領域においても価値観が共有できないのであるから、「働いてお金を得る」とか「貸したものは返す」とか「自分が所有していないものを取らない」といったさらに高次な経済的領域において価値観を共有できる保証はなく、またその価値観の存在確認ないし教育予算を政府は一切捻出していないのである。
橋本琴絵:移民解禁は「国家の自殺」

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11月21日には千葉県松戸市の飲食店内で賭博をしていたとして、ベトナム人の男計29人を常習賭博や単純賭博の容疑で現行犯逮捕された。賭博によるベトナム人同士の借金トラブルや誘拐・監禁事件が全国各地で相次いでいるという。案の定、常習賭博容疑で逮捕されたベトナム人の男5人は短期滞在や学生ビザの在留資格を持っていた。

現状での移民政策は「国家の自殺」

 しかしながら、アメリカのように移民によって成立した国があるのも確かだ。では、何が違うのだろうか。

 実は、アメリカ建国時の移民たちは、人種や国籍が違っていたとしても「プロテスタンティズム」という宗教的価値観を共有する人々によって構成されていた。このプロテスタンティズムには、契約の遵守、善隣愛、勤勉の継続など経済発展に極めて有利な宗教倫理が含まれており、さまざまな地域からの移民であったとしても、結局は統一された価値観を持つ人々の集まりであった事情がある。言い換えれば、カトリック圏など価値観の異なる人々に対しては、苛烈な魔女狩りを加えて火刑に処していた(アメリカは最も長く魔女裁判をして価値観の異なる人々を女性や子どもでも殺害していた。※セイラム魔女裁判など)。

 また、言うまでもなく日本や中国からの移民は厳しく制限され、時には日本にルーツがあるというだけで全財産を没収して強制収容所に送っている。また、黒人は当時権利主体ではないから、そもそも移民ではなかった。

 このように極めて限定された条件下においてアメリカの移民は成功したのであり、日本のように旧共産圏など「労働」の意味も正しく理解しているか定かではない無資産の移民を受け入れていない。
 
 もし日本に移民したい人々が、二宮尊徳の報徳仕法などの労働倫理を学習し続け、かつ神社神道を崇敬しているのならば歓迎されるべきであるが、そうでない。実際は、「お金は騙したり奪ったりして得るもの」という価値観を持ち「神社は燃やせ」という宗教観を持っている場合も否定できない。こうした問題を何ら解決していない現時点では、移民政策はまったく受け入れることはできない。

 少なくとも、当該移民が不法行為をした際の連帯債務を無限責任で負う「保証人」の存在や、また警察官職務執行法の改正による警察官の権限拡大と、諸外国のようにMP5などの短機関銃を標準装備にするなどの武装強化と銃器使用基準の見直しが必要である。過激と思われる方もいるかもしれないが、移民を受け入れる際の国際社会の標準である。普段から「グローバルスタンダードに従え」と唱えるのであれば、江戸時代からの警察基準(捕縛が目的であり裁きは奉行所する)のままでは法制度上、治安を守ることはできない旨もしっかりと明らかにすべきであろう。

 現に、平成27年9月に埼玉県熊谷市では、警察署内で職務質問中に警察官の制止を腕力で振り切って逃亡したペルー人男性が、逃亡中に日本人女子小学生2名とその母親を強姦して殺害している。警察官の武器使用基準が法整備されている欧米では、警察官の制止を暴力で振り切って逃亡した時点で発砲されるため、逃亡中に女児2名が強姦殺人されるなどありえない話だ。

 以上から、何ら移民対応の法整備が為されていない現状での移民政策は国家の自殺でしかない。

 一方で、望ましい移民とは何であろうか。たとえば、サッカー選手のラモス・ルイ氏や研究者のドナルド・キーン氏のように、日本人の血が1滴もない身体にも生まれるも、日本を愛するがゆえに日本に移民して日本人となった人々を一体誰が批判するであろうか。

 日本を深く愛するために日本に住み、やがて日本人になりたいと願う世界の人々を拒絶するべき理由はない。しかし、現状の移民はそれとはかけ離れている。だからこそ、安易な移民受け入れは亡国の端緒であるため、許される理由がない。ここから、私は移民政策に強く反対する。
橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第五区より立候補。2021年8月にワックより初めての著書、『暴走するジェンダーフリー』を出版。

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