【白川司】立憲・森ゆうこ議員に公職選挙法“違反“疑惑

【白川司】立憲・森ゆうこ議員に公職選挙法“違反“疑惑

公職選挙法178条の5では、選挙期日後での「当選祝賀会その他の集会の開催」は禁止されている
 「悪目立ち」という言葉があるが、まさに最近の森裕子参議院議員(立憲民主党)にふさわしい。

 いや、むしろ反自民の者にとっては、これほど頼りになる政治家はいないのかもしれない。隙を見つけたら、憤怒 の形相でにらみつけ、その攻撃性を隠すことなく、辛辣な言葉でたたみかける。さぞや胸のすく思いだろう。

 今国会でも激しかった。3月25日の参院予算委員会締めくくり質疑で、武田良太総務相や菅義偉首相の答弁に対して、「まともに答えない。資料は出さない。資料がない。記録がない。記憶がない。確認できない。廃棄した。菅総理、退陣すべきですよ」と辛辣に批判した。

 「森ゆうこ」と表記されることもある森氏は、新潟選挙区から自由党で出馬して初当選、現在は立憲民主党の副代表兼参議院幹事長を務めている。2012年に検察と裁判所の組織的腐敗の実態を告発する『検察の罠』(日本文芸社)を出版して、陸山会事件や西松建設事件などの小沢一郎氏の擁護しており、小沢氏に近い政治家として知られている。
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いつも舌鋒鋭い(?)森議員
via youtube

絶対に謝罪しない人

 森氏が最近、悪目立ちした件と言えば、2019年10月11日に官僚からツイッターで質問通告が遅かったと指摘された件を思い出す人も多いだろう。

 超大型台風が上陸するという夜、ツイッター上に、「そもそも、台風くるのわかっているのに期限の2営業日前に質問通告出さず、台風来る中ギリギリに質問通告する、こういう議員がいるから官僚志望者減るんだろうな」と、森氏の国会質問予告のツイートをリツイートしながら、官庁のブラックぶりを愚痴るツイートが投稿された。

 それに対して、森氏は「予算委質会質問通告は、11日金曜日16時30分に提出済み」と返信する。だがそれに対して「なんで16:30に出したなんて嘘つくんですか?」と返信が投稿されると、大炎上を始めた。もちろん、森氏に対するバッシングである。

 その後、森氏の通告が五月雨式であとからあとから来たことで官僚が深夜残業を強いられたことが、いくつかの証拠から裏付けられることとなった。

 森氏が当時所属していた国民民主党の玉木代表は「事実であれば問題、党を代表してお詫びする、事実関係を調べる」とツイートしたが、森氏自身が謝罪することはなかった。それどころか、参議院予算委員会の議事進行文書の画像を公開されると、原口一博国対と国会内で会見し、「憲法51条に対する挑戦だ」などとことを荒立てはじめた。ことをごまかすためだろうと呆れかえる者も少なくなかったようだ。

 森氏は過労死問題にも取り組んでいるそうだが、官僚の健康などどうでもいいのだろう。こういった政治家のダブルスタンダードを国民が嫌うことがわかっていないようだ。

原英史氏の個人情報を公開

 さらに同月15日、森氏が毎日新聞の記事をベースに「(政府の国家戦略特区ワーキンググループ座長代理の)原英史と密接な関係にある会社が、特区提案者からお金を受けてコンサル業務をしていた」「国家公務員だったら、あっせん利得、収賄で刑罰を受ける」と、国会質問を利用して原氏を侮辱している。さらに呆れたことに、原氏の自宅住所が記載された資料を自身のホームページとツイッター上に公開している。

 原氏は政策立案能力が高いことから国の政策に関わっているが、立場はあくまで民間人であり、政治家や公務員ではなく、国会質問で侮辱されるいわれなどない。

 また、この件に絡んで、同じく毎日新聞の記事を元に原氏を辛辣に批判した立憲民主党の篠原孝衆院議員に対して、東京地裁は3月29日、名誉毀損を認め、165万円の支払いを命じている(請求は550万円)。信憑性の低い記事で民間人を侮辱する国会議員など、言語道断である。

禁止されている選挙後の「祝勝会」

 相手を攻撃的に責め立てる森氏だが、では、果たして自身はそれほど潔白なのだろうか。

 森氏のフェイスブックを調べると、2016年9月27日に「祝 参議院議員 森ゆう子当選 選挙報告会 オールにいいがた平和と共生」という横断幕を掲げた画像を投稿している。ほかにも、同7月23日「オール魚沼 平和と共生」懇親会、24日「オール新発田 平和と共生」懇親会を開催して、画像には「祝勝会」と横断幕を掲げてある。また、各地区当選後挨拶回りも画像も見える。
多くの「祝勝会」が開かれている

多くの「祝勝会」が開かれている

 実は同年7月10日に第24回参議院議員選挙で、森氏は野党統一候補として新潟県選挙区から無所属で出馬し、3年ぶりに返り咲いて3期目の当選を果たしているのである。つまり、同月の魚沼や新発田の画像、および9月選挙報告会の投稿は、すべて選挙に勝利したあとの祝勝会だと考えざるを得ない。

 なぜ問題かというと、公職選挙法が選挙後の「選挙人挨拶」に制限を設けているからだ。178条は「当選祝賀会その他の集会を開催すること」を禁止しており、これに違反すれば30万円以下の罰金が科される。つまり、森氏の「祝勝会」は公職選挙法に抵触する可能性が極めて高い。
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明かな公職選挙法違反では?
 さらに、これらのイベントについて森氏の政治資金収支報告書にはいっさい記載が見当たらない。したがって、森氏のこれらの投稿は公職選挙法違反と政治資金規正法の両方に抵触している可能性がある。

 森氏はこれまで苛烈なほど、相手に対して進退にまで言及して説明責任を求めてきた。当然、そのことは参議院議員である森氏自身にも当てはまる。速やかに説明責任を果たして、進退を明らかにしていただきたい。

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白川 司(しらかわ・つかさ)
国際政治評論家・翻訳家。幅広いフィールドで活躍し、海外メディアや論文などの情報を駆使した国際情勢の分析に定評がある。月刊『WiLL』にて「Non-Fake News」を連載するとともに、インターネットテレビ『WiLL増刊号』でレギュラーコメンテーターを務める。また、foomii配信のメルマガ「マスコミに騙されないための国際政治入門」が好評を博している。
主な著書に『日本学術会議の研究』(ワック)、訳書に『クリエイティブ・シンキング入門』。

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