【安積明子】政治家に求められる「マナー」

【安積明子】政治家に求められる「マナー」

 衆議院で1月20日と21日に、そして参議院では21日と22日に代表質問が行われました。そこで気になることが一点。自民党の武見敬三参議院議員が12月27日に新型コロナウイルス感染症で死去した立憲民主党の羽田雄一郎議員を悼んだ時、「ご冥福をお祈りします」と言ったのです。えっと……。羽田議員って確か、クリスチャンではありませんでしたっけ?

 そもそも「冥福を祈る」とは「冥途の旅を終えて成仏することを祈る」という意味で、キリスト教には使えません。ちなみに浄土真宗でもダメだそうです。浄土真宗では死んだらすぐに浄土に生まれて仏になるわけですから、冥途の旅をする必要はありません。ややこしいけれど、気を付けたいことですね。

 マナーが違うといえば、2011年12月に北朝鮮の金正日総書記が亡くなった時、夕刊フジの取材で朝鮮総連本部に弔問に行ったんですが、献花用の花が赤いカーネーションだったことに驚きました。どうやら金総書記が薔薇やカーネーションといった花びらの多い花が好きだったらしく、故人を偲(しの)ぶという意味があったのかもしれません。でも弔問に赤い花って、ちょっと違和感ありませんか?

 ちなみにこの時、喪服までは着ませんでしたが、黒いコートに黒っぽい服装で行ってきました。北朝鮮との間には拉致問題やミサイル問題が存在し、とりわけ拉致問題は金総書記が首謀した犯罪ですが、「亡くなった」という事実に対しては一応の敬意は払うべきだと思ったからです。いや本当はなるべく目立たなく弔問を終えて、そっと帰ろうと思ったからですよ、喜び組に入れられる前に。

 そして無事に朝鮮総連本部から出てきた時の解放感といったら!「もう一回弔問してもいいわあ」と思ったくらいです! って、ウソですけど……。

 その後、永田町で知り合いの秘書さんと話していたら、知人の記者から電話がかかってきました。

「安積さん!朝鮮総連に行っていたんですね! ボクは先ほど行きましたよ!」
 
 どうやら受付での記帳を見て、私が行ったことを知ったらしいのです。

「でもボク、中に入れてもらえなかったんですよ!」
 
 それはおかしいですね。この私でさえ普通に入れてくれたのに。何かブラックリストに載るようなことでもしたのですか。

「いやあ、たぶんピンクのシャツにピンクのネクタイを締めていたのがいけなかったのかも。アハハ……」

 ああ、そりゃあきませんわ。朝鮮総連でなくても、そんな恰好では入れてくれませんわ……。
 
 ということで、くれぐれもマナーには気を付けましょう!
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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