立憲民主党と須藤元気の「子供の喧嘩」

立憲民主党と須藤元気の「子供の喧嘩」

都知事選出馬の山本太郎氏を応援する須藤元気議員
via youtube
 男女の関係のみならず、離れていこうとしている相手に対しては未練はつきものなのだろうか。東京都知事選で党の方針に反してれいわ新撰組の山本太郎代表を応援した須藤元気参議院議員と須藤氏の離党を認めない立憲民主党の間に、子供の喧嘩のようなバトルが繰り広げられている。

 須藤氏は6月17日に福山哲郎幹事長に離党届を差し出したが、福山幹事長はこれを拒否。その後、須藤氏は2度提出したが、立憲民主党側は秘書の顔を見るのも嫌なのだろうか。離党届は議員会館のポストに投かんされるなどして返却されている。

 立憲民主党はそこまで須藤氏を嫌っているのだが、離党を認めると参議院での立憲民主党の議席が減る。もし須藤氏が議員辞職するなら議席は減らず、代わって繰り上げ当選するのが元“モーニング娘。”の市井紗耶香氏。昨年の出馬会見で政治家として何をやりたいのか語れなかった市井氏に、筆者は歴代立候補者の中で最低点を付けている。

 さて永田町ではこの秋に解散総選挙があるのではないかと言われているが、渦中にいる須藤氏に持ち上がっているのが「衆議院への転身説」だ。狙う選挙区は東京5区で、戦う相手は昨年の参議院選では数々の評判の良くない候補を立てた手塚仁雄・立憲民主党東京都連会長だとか。

「須藤氏はれいわ新撰組の公認候補として東京ブロックで単独1位を確保した上で、東京5区(世田谷区の一部と目黒区の一部)に重複立候補する。山本太郎氏が須藤氏を全力で応援すれば、10万票を獲る自民党の若宮健嗣外務副大臣には及ばないにしても、結構な票数を獲得できるはずだ」と関係者は語る。

 2017年の衆議院選では、希望の党を率いた小池百合子東京都知事の「排除します」発言が立憲民主党の追い風となり、手塚氏は9万9183票を獲得して復活当選した。しかし2012年の衆議院選では6万5778票で、2014年は6万6255票。これが手塚氏の“実力”だとすれば、追い風なくして比例復活は難しくなる。

 一方で2013年の参議院選では、山本氏は目黒区で自民党の丸川珠代元環境大臣に次いで1万5753票を獲得。昨年の参議院選でも、れいわ新撰組は目黒区で1万871票、世田谷区で4万4067票を獲得した。東京都知事選で山本氏としっかりとタッグを組んだ須藤氏は、知名度が相当上がっている。

 もっとも須藤氏の衆議院転身は正式に決まったものではなく、あくまで仮定の話にすぎないが、こういう話題が出てくるというのは、これからの選挙で立憲民主党に相当なダメージを与えるのではないだろうか。
 (1703)

安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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