橋本琴絵:共産党「限定的閣外協力」に騙されるな

橋本琴絵:共産党「限定的閣外協力」に騙されるな

共産主義=「犯罪動機の根源」だった

 今回の衆議院総選挙(第49回)では、憲政史上初の現象が起きている。それは、共産党が他の政党と協調路線を採用し、多くの小選挙区で共産党立候補者を出さずに共闘していることだ。

 この動きに対して、自民党広報紙「The Jimin NEWS」(号外・10月15日付)では、『立民・共産の閣外協力は、共産党との連合政権への第一歩』と題する記事を掲載し、『共産党の1951年綱領は、日本の解放と民主的革命を平和の手段によって達成しうると考えるのは間違いであると暴力革命論を掲げています』と強い表現で非難している。

 また、立憲民主党の支持母体である日本労働組合総連合会の芳野友子会長は、10月21日の記者会見で「立憲と共産の距離感が縮まっていることについて、さまざまな地域から報告が来ており非常に残念だ」との考えを発表した。

 これほどにも共産党に対して保守・革新問わず批判的な立場があるという事実が、「日本共産党」という政党の本質を表している。

 戦前の大正15年、共産主義の取り締まりを目的にした「治安維持法」が施行された。施行の3年後には最高刑に死刑を含む改正がされ、警視庁のみに設置されていた共産主義取り締まり専門部局の「特別高等課」を全国の警察署に配置するようになった。日本では大正15年から「普通選挙法」が施行され、それまでは納税額によって参政権が制限されていた法規制を廃止し、所得に関係なく25歳以上の日本国民男子に参政権を認めるようになったため、無産階級の支持を受けた共産主義の政界進出を抑制する必要があった。

 なぜ、共産主義を取り締まる必要があったのか。今日の感覚からすると、単に思想信条を理由にした刑事罰には強い違和感を覚える方が多いだろう。実は、戦前の最高裁判所にあたる「大審院」の判例を読み解くと、治安維持法の適用によって処罰された数々の事件は正味「共産主義思想」を処罰しているものはなく、窃盗・強盗・強盗傷人・住居不法侵入などの一般刑法犯とセットで処罰されていたのだ。

 共産主義とは、その思想の性質上、どうしても「革命」(最終的には天皇と皇室の排除)という目的を外すことはできず、革命は往々にして殺傷行為を伴う。そして、殺傷をするためには武器を購入する必要があり、その武器購入資金を得るため、窃盗や強盗などをする必要もあった。つまり、革命を目指す共産主義は「犯罪動機の根源」であり、そのため当時の日本政府は共産主義を取り締まりの対象にしたのであった。
橋本琴絵:共産党「限定的閣外協力」に騙されるな

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治安維持法(1925年)の成立以前、明治天皇の暗殺を企て、大逆罪で死刑になった社会主義者・幸徳秋水
via Wikipedia

「一般国民のため」という大ウソ

 このようにして、戦前の共産主義は当局によって厳しく取り締まりを受け、その活動はできなくなった。しかし、第二次世界大戦が終結し、アメリカ軍の占領によって治安維持法が強制的に廃止されると、再び「暴力革命」の性質を露わにするようになった。

 たとえば1952年、北海道警の白鳥一雄警部が拳銃で射殺された。実行犯は海外逃亡し、射殺命令を出した罪によって日本共産党軍事委員会の村上国治が逮捕され、殺人罪の共同正犯で懲役20年が確定した。この事件に対して日本共産党は「白鳥氏殺害は官憲の弾圧に抵抗して起きた愛国者の英雄的行為」という公式声明を発表した。

 この白鳥事件は全国報道されて有名になったが、その他にも大小さまざまな警察官襲撃事件があった。共産主義を直接的に取り締まりできなくなったため、さっそく殺人・傷害事件が発生したのである。そもそも、このときの日本共産党には「所感派」と呼ばれる派閥があり、親中路線と暴力革命・テロ活動を推進する政策を表明していたのだ(現在も日本共産党の「親中」は変わらない)。

 この一連の流れにおいて、第49代吉田茂内閣のもと、破壊活動防止法が立法され、直接的取り締まりではなく「監視対象」という制度を創設するに至った。なお、破壊活動防止法の主務官庁である公安調査庁は、令和3年の現在においても「共産党が破防法に基づく調査対象団体であるとする当庁見解」との立場を公式に発表している。

 以上までの歴史的背景から、冒頭で紹介した自民党・連合という保守と革新の勢力が、共産党との共闘路線に対しては厳しい態度をとるという点で一致するのである。共産党はしばしば「一般国民のため」と称してさまざまな福祉政策を主張しているが、以上のような歴史的経緯からみれば、その本質と危険性は明らかだろう。

世界で最も人を殺した思想「共産主義」

 ここから、日本共産党が採用している「暴力革命」について、次のような分析ができる。

 大日本帝国憲法下で招集された最後の議会、第90回帝国議会において現在の日本国憲法は賛成多数で可決された。占領軍の武力による脅迫と主権喪失下の出来事であったとはいえ、一応の賛成決議が為されたことで知られている。しかし、このなかで一部の議員だけが日本国憲法に反対決議をしている。日本共産党である。

 現在の日本共産党は「護憲」を党是としているのに、なぜ憲法制定当初は「反対」をしたのだろうか。安直な見方をすれば、「とにかく反対する」という脊髄反射で反対をしたのではないかという考え方もできるが、筆者はそう考えない。

 戦後の日本共産党には「武装闘争」の路線と「平和路線」の内部対立があった。日本共産党自身の説明によれば、現在は「武装闘争」の方針は廃止していると主張しているが、「暴力革命」の路線は前述の通り廃止していない。一見すると矛盾するようであるが、次のように考えれば矛盾しない。

 平和路線、すなわち憲法第9条を守り続け、日米安全保障条約を廃止して在日米軍基地を日本国外に追放すれば、日本の防衛力は丸裸同然となり、容易に他国の侵略を受けることになる。この他国とは「共産国」だ。現実として、現在の日本を取り巻く国際情況は大変厳しく、ほぼ連日のように共産軍の艦隊が日本領海近くを航行している。つい先日も、共産軍艦隊が武装したまま北海道と青森県を隔てる津軽海峡と、鹿児島県の大隅海峡を航行する示威行動をしている

 「外国の共産軍によって日本が占領されてしまえば、武力闘争を日本国内でしなくても暴力革命が達成できる」という考え方は、非現実的なものではない。このまま日本が憲法第9条を保持したまま日米同盟を廃止すれば、容易に可能である。

 そのため、今日では日本共産党は「護憲」に転換し、「日米安保廃止」を党是としているのではないだろうか。「平和」という聞き覚えの良い表現を多用しているが、その実態は日本人に対する殺人思想と変わりがない。
橋本琴絵:共産党「限定的閣外協力」に騙されるな

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いまなお共産主義の怪物となった中国が、チベット・ウイグル・モンゴルで多くの人命を奪いながら、強制収用を続けている
 世界的にみて、共産主義の犠牲者数を前にすれば、ドイツのユダヤ人虐殺がかすむほどである。

 スターリン、毛沢東、ポルポトなどが大虐殺の限りを尽くしたことは、我が国の歴史教育からは隠蔽されることが多いが、教育制度が整備された諸外国では常識である。アメリカ合衆国では1954年に「共産主義者取締法」を制定し、共産党を非合法化している。自由と民主主義の国で共産主義は認められていないのだ。度々「海外では〇〇、日本は見習うべき」論の多い大手メディアもこの点はなぜかダンマリである。

 立憲民主党は「限定的閣外協力」なる言葉を使っているが、共産党にしてみれば「選挙に勝てばどうにでもなる」と考えていることであろう。共産党の恐るべき歴史を踏まえ、来たる月末の衆議院総選挙投票日を迎えるにあたり、どうか「命を守る投票」をして欲しいと切に願う。立憲民主党は、もはや共産主義の走狗と化しているのだ。
橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第五区より立候補。日本会議会員。
2021年8月にワックより初めての著書、『暴走するジェンダーフリー』を出版。

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