橋本琴絵:リベラルがウソをついても平気なワケ

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自衛隊に責任を押し付けて平気

 阪神淡路大震災から27年目を迎えた。死者6434人にものぼる未曾有の災害をいま振り返ると、ひとつの事実が浮き上がってくる。実は、朝5時46分に震災が起きるも、瓦礫の下に埋もれている人々を助けるために自衛隊の災害派遣要請がされたのは、その4時間14分後の午前10時であった。

 法制度上、都道府県知事は自衛隊への災害派遣要請権限を持つ。この派遣要請がなければ、自衛隊は被災地で救助活動をすることが法律で禁止されている。そこで当時、兵庫県知事をつとめていた貝原俊民氏は、2014年の雑誌インタビューにて、大震災当時を振り返ってこのようなコメントを残している。

自衛隊と交信ができなかった。連絡が取れなかった。いまだから言ってもいいと思うけど、出動要請が遅かったというのは、自衛隊の責任逃れ

 つまり、知事として自衛隊に災害派遣をする意思を地震発生当初から有していたが、自衛隊のせいで意思疎通ができなかったというのだ。しかし、公的記録として兵庫県庁側が、自衛隊に無線連絡を何度も試みたり、徒歩の連絡員を自衛隊に派遣したりするなどの「努力義務」をした形跡はない。あくまで「電話線が切れていた」と、まるで無線が世界に無かった19世紀前半のような前提で当時を振り返っている。
橋本琴絵:リベラルがウソをついても平気なワケ

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本当に「交信できなかった」のか?
 当時は、自民党が野党で、村山富市政権下であった。村山政権は言わずと知れた「護憲・反自衛隊思想」の政権であり、当然、大震災による多数の死傷者が出たとしても、優先されるべきは人命ではなく「反自衛隊」(自衛隊は憲法違反)という思想であった。

 ここで疑問なのは、事実として迅速な人命救助よりも反自衛隊思想が大切だという政治的信条に基づき行動をしていたのであれば、その通り述べればよいと思われるが、前述のように「連絡できなかったのは自衛隊の責任」であるととか、村山富市総理の「なんせ初めてのことじゃったしのぅ」という発言など、平然と事実である証明の無い発言を続ける姿勢である。これは、一体何であろうか。

嘘をつくのが平気な人とは

 認知神経科学者の中野信子博士は、著書『サイコパス』(文春新書)にて、次の三つの論点で、サイコパスとは何かを説明する。

 第一に、サイコパスとは精神病質であり、精神障害者と健常者の中間に位置する。精神医学で診断が下りる精神障害としてのサイコパスのことを反社会性パーソナリティ障害というが、サイコパスの実際の範囲は医学的領域よりも広い。

 第二に、サイコパスの研究は刑務所に収監された「負け組」サイコパスのみ研究データがあるが、知能が低くないことから未収監の「勝ち組」サイコパスは研究ができない実情がある。

 第三に、サイコパスの共通点は共感能力の欠如と嘘をつき続けることに何の自制も働かないことであるという。

 つまり、「頻繁に嘘をつく」ことに対して、何の良心の呵責もないことが、サイコパスと呼ばれる脳の構造を持つ人々に共通する行動原理であるという。

選択的夫婦別姓問題にはびこる嘘

 この視点から、リベラルの動向や発言を俯瞰して観察すると、なかなかどうして「リベラルは正直者である」とは断言できない。

 例えば、リベラル派が必死に実現しようとしている選択的夫婦別姓の問題について、次のようなことがあった。

 平成29年12月に内閣府が対面調査をした結果によると、選択的夫婦別姓について42.5%の人が「賛成」し、29.3%の人が反対かつ婚前の氏を通称とする必要もないと答え、24.4%の人が反対かつ婚前の氏を通称とすることは認めても良いと答えた(問10)。つまり、選択的夫婦別姓は42.5%が賛成であり、53.7%が反対であるとの結果であった。

 しかし、この事実を報道した各社は、日本共産党機関紙赤旗から産経新聞まで、「夫婦別姓賛成42%、反対上回る」などというフェイクニュースを流したのである。

 多くの人は内閣府の調査票結果など参照せず、報道機関の見出し配信のみ通読するだろうから、嘘をついても露見する確率が低く、また露見したとしても既に多くの者が配信記事を見た後であるから、「だませる」との算段(もしくは記者の資料の読み方が甘い)であると思われるが、あまりにも悪質だろう。

 ここに、いわゆるリベラル勢力の振る舞い方が「嘘をつくことに良心の呵責が無い」という特徴を持つこととの親和性を客観的に強く印象付けるのである。
橋本琴絵:リベラルがウソをついても平気なワケ

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あえて騙しているのであれば非常に悪質だ
 このような「嘘をつき続けること」は、マスコミだけに限った話ではない。法務省の官僚にもみることが出来る。

 例えば、法務省のホームページは「夫婦別氏の歴史」というものを掲載し、明治時代の初期は太政官令によって全国民が夫婦別氏だったなどと記述している。しかし、その太政官令の原文を読んでみると、「婦女はすべて夫の身分に従うはずのもの故、婚家後は婿養子同一にみなし夫家の苗字を終身称し候(そうろう)や」という下級庁からの質問に対して「夫の家を相続したる上は夫家の氏を称すべきこと」と太政官令は回答している。

 つまり、明治初期の夫婦の氏の在り方は、女性が夫の家に入る「嫁入り婚」と、男性が妻の家の入る「婿入り婚」で区分されており、かつ、「配偶者の死後に相続権(家督相続と遺産相続)があるかないか」という基準があった。このため、太政官令は「女が夫の家に嫁ぐ場合は夫婦別氏でもいいが、相続権を行使する場合は夫婦別氏を認めない」と定めたものであった。これは現在の「内縁の妻」と全く同じである。同居する彼氏・彼女が別氏なのは当たり前だ。
 にもかかわらず、法務省の官僚は法令文書を改ざんして国民に公開し、嘘をつき続けているのである。「国会議員などは明治期の文書を解読するスキルを持たないため、嘘をついても指摘することができないだろう」という算段のこと(もしくは、先の新聞の件と同様、資料を読み込む能力がない)と思われるが、ここにも良心の呵責が何ら見られないのである。つまり、「ばれなければ嘘をついて良い」という行動原理に基づいているのである。

 他者への思いやりが一切ないサイコパスであれば、当然夫婦関係や家族関係がうまくいく保障はない。必然的に夫婦の別離を制度化する「別姓」を狂信的に支持する側となったとしても全く違和感はないだろう。

嘘つきとの「対話」は無駄

 令和元年9月に山梨県内のキャンプ場で行方不明になった小倉美咲さん(当時9歳)の母親に対して、「捜索募金詐欺」「組織だってやっている」などの悪質な誹謗中傷をネット上で繰り返したとして、70才の男性被告人が懲役1年6か月の有罪判決を受けるという事件があった。この男性と被害者には何ら面識はなく、個人的な人間関係上のトラブルから犯行に及んだものではなかった。にもかかわらず、平然と「嘘」をつき続けて、面白半分に被害者の人格を否定し続けたのである。ここにも、良心の呵責は無かった。

 平成23年3月に起きた東日本大震災では、いわゆる「放射能デマ」が流され続けた。福島県内の農作物や海産物は放射能に汚染されており、食べると体内に放射能が蓄積されて身体機能を害するという悪質極まりないデマである。

 例えば、山本太郎氏(当時参議院議員)が、福島産の食材が使われている弁当に対して「ベクレてる(放射能汚染されている)んやろなぁ、国会議員に出すお弁当は」などと語るなどしたため、当時問題視されていた。

 このようなデマは、被害の特定が容易であり、行為の不法性の立証も可能であることからすぐに問題視され、解決に進むことが出来る。しかし、例えば従軍慰安婦問題などにみられる日本人全体に対する誹謗中傷など、攻撃対象がすでに存在しない組織や存命の個人ではない場合などでは、根本的解決が困難となっている。

 しかし、デマに共通する点は、「加害者が嘘をつき続けることに良心の呵責が無い」ということだ。有りもしない冤罪を作り上げたことによって侵害される「人格」があることについて全く無関心なのだ。

 その一方で、健常人は必死に騒ぎ立てる相手をみると「何か事情があるのではないだろうか」と共感能力を前提した解釈や推認をしてしまう。そこに加害者は付け込むのである。
橋本琴絵:リベラルがウソをついても平気なワケ

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対話は意味なし!
 前掲の『サイコパス』を著した中野信子博士はこのように論点を締めくくる。

サイコパスは男性100人中3人、女性100人中1人いることが疫学的に確認されている

 だいたい、リベラル政党の支持率と合致するのではないか。

 良心と共感能力を持つ健常人だからこそ、彼ら彼女らの特徴を正確に把握する必要がある。何も知識が無ければ「議論」や「説得」という方向性に関心が向いてしまい、付け入られる。サイコパスに必要なのは対話ではないのだ。この価値基準を「所謂リベラル」と呼ばれる人々に対して持つべきではないだろうか。嘘をつき続けることは政治的思想ではなく、彼らの性質の一様態なのだから。
橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第五区より立候補。令和3(2021)年8月にワックより初めての著書、『暴走するジェンダーフリー』を出版。

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